平成26年度 学力向上プラン 釧路市立共栄中学校 1 昨年度の学力向上に向けた取組の成果と課題 昨年度の本校の学力向上の取組の成果を,平成25年度1学期末に本校独自に行った授業評価アンケー ト,全国学力・学習状況調査(テスト結果・生徒質問紙),学校評価の結果をもとに振り返る。 <視点① 授業づくり>について ◇言語活動の充実 授業の中で発表の機会を与えられていると感じている生徒の割合が高く,そのことから,教師側に言語 活動を重視した授業を展開しようとする意識が作られていると思われる。しかし,生徒のテスト結果を見 ると,記述式問題での無答率が高い傾向にあり,まだ思考力・表現力が向上しているとは言い難い。難し い問題に取り組む意欲や最後まであきらめない意志がやや不足しており,そのことが結果の伸びを抑える 要因になっているとも言える。 ◇基礎・基本の定着と活用する力の育成 基礎・基本の定着のために,数学科における少人数指導の実施,放課後の学習指導や図書室の開放,長 期休業中の補習授業などを行い,成果は表れている。また,生徒に行ったアンケートで大半の生徒は「授 業が分かる」と答えている。しかし,活用問題の結果からは,活用する能力の定着は不十分である。今後 は反復練習に取り組むなどして活用する能力の向上に努める。 <視点② 環境づくり>について ◇全教科の言語活動の充実 年間を通じて行う朝読書の取組,昼休みや放課後の図書室の開放により,読書活動に親しむ態度を育成 するとともに,環境整備に努めてきた。その結果,読書の習慣化はなされてきている。しかし,それによ って表現力や理解力の向上にはまだ明確な成果は出ていない。各教科においては,自分の考えをまとめて 発表する指導を意識して行っていることからも,少しずつでも成果につながってもらいたい。 ◇基礎的・基本的な学力の定着と活用する力の育成 「授業の始めに本時の目標の提示がなされている」の数値が低く出ている。本時の目標を明確に示すこ とで授業の焦点化が図られることからこれを徹底する必要がある。 ◇主体的に学習に取り組む態度の育成 主体的に学習に取り組むための要因として,中学生は進路に対する明確な意識と目標を持つこととが考 えられる。そのためには系統だったキャリア教育・進路指導が必要である。将来を見据え,自らの明確な 目標を設定するための指導の充実を図る必要がある。 <視点③ 習慣づくり>について 今年度,家庭学習の手引きを作成し,全生徒に家庭学習の方法について情報提供を行った。また,調査 では本校生徒は家庭学習を行う時間は多い方である。しかし,その内容は宿題をするのが多く,自分の課 題を解決する積極的な家庭学習にはなっていない。上記のように自分で目標を持ち,それを見据えて学習 に取り組むよう指導する必要がある。そして,今まで以上に家庭との連携を強め,望ましい生活習慣の確 立,家庭学習の習慣化を呼びかけていく必要がある。 2 今年度の学力向上に向けた取組計画 (1)学力向上推進の重点 ◇全教科を通じての言語活動の充実をはかる。 ◇基礎的・基本的な学力の定着をはかるとともに,それらを活用する力を育成する。 ◇自己の学力を正確に把握し,主体的に学習に取り組む態度を育成する。 (2)学校全体の取組計画 *「釧路市学校改善プラン」の具体的な3つの視点に基づく計画 <視点① 授業づくり> ◇全教科を通じての言語活動の充実について ・言語活動の土台となる国語科の授業において,論理的な文章を書くために自分の考えとその根拠を整 理し,文章全体の構成を考えたり,わかりやすい記述の仕方を工夫したりすることができる力の定着 を図る。 ・各教科の年間指導計画及び評価規準表に言語活動に関する項目を設定し,適切な評価を行うことによ り授業改善を推進する。 ◇基礎的・基本的な学力の定着をはかるとともに,それらを活用する力の育成について ・年間を通じて朝学習を実施し,基礎的・基本的学力の向上の取り組みを習慣化させる。 ・長期休業中や放課後の補習を全校的な計画のもとに実施する。 ◇自己の学力を正確に把握し,主体的に学習に取り組む態度の育成について ・授業において基礎的・基本的な学習事項を活用する場面をより一層取り入れ,成就感・達成感を味わ わせることにより,積極的に課題に取り組む姿勢を育む。 ・チャレンジテスト,北海道学力向上 Web システムを活用し,データの蓄積と分析を行うことにより, 授業改善に役立てる。 ・評価と指導の一体化について,より一層の研修と実践交流を行う。 <視点② 環境づくり> ◇全教科を通じての言語活動の充実について ・年間を通じて実施している朝学習の時間において,読書週間を適宜設定し,文章を読むことに慣れ親 しむ場を増やす。 ・図書室経営について,定期的な開館と蔵書の充実を図るなど,生徒がより一層読書活動に意欲的に取 り組める環境作りを行う。また,放課後の図書室開放など,学習の場を提供する機会を定期的に設け る。 ◇基礎的・基本的な学力の定着を図るとともに,それらを活用する力の育成について ・毎時間の授業において,その授業における課題を明示し,それを強く生徒に意識させることにより見 通しを持った学習となるよう工夫する。 ◇学習規律の定着について ・年度始めに授業の受け方や家庭学習の取り組み方などを指導し,落ち着いた雰囲気の中で授業が行わ れるように努める。 ◇自己の学力を正確に把握し,主体的に学習に取り組む態度の育成について ・個人面談の設定により,進路指導の充実を図り,学習に対する明確な目的意識を持たせる。 <視点③ 習慣づくり> ・継続的な朝学習の実施により,個々の生徒が自らの課題を把握する機会となるよう,教科部会及び全 体研修においてその内容を工夫する。 ・家庭学習の手引きを作成し,生徒・保護者に周知する。今年度については,家庭学習の習慣化を強く 推し進めることを重点とし,教科と連携を図りながら学年が中心となって継続的に取り組む。 ・系統づけられた進路指導計画の立案と実施により,望ましい学習習慣の必然性を意識させる。 釧路市立共栄中学校 3 釧路市標準学力検査の活用による児童生徒の課題改善のための取組 (1)釧路市標準学力検査から明らかになった自校の課題 【教科に関する調査の結果】 【国語】 第1学年 (1)目標値との比較 ・ 「国語への関心・意欲・態度」 、 「話す・聞く能力」 、「読む能力」、 「言語についての知識・理解・ 技能」の各領域については目標値と同程度であるが、「書く能力」については目標値を下回る。 (2)改善すべき課題 ・正しい漢字を用いて文章を書くことに課題がある。 第2学年 (1)目標値との比較 ・ 「話す・聞く能力」 、 「読む能力」 、 「言語についての知識・理解・技能」の各領域については目標 値と同程度であるが、「国語への関心・意欲・態度」 、「書く能力」については目標値を下回る。 (2)改善すべき課題 ・自分の考えを文章に表すことに課題がある。 【数学】 第1学年 (1)目標値との比較 ・4領域すべてが目標値と同程度である。 (2)改善すべき課題 ・比や割合などの数量関係の理解に課題がある。 ・図形の領域に課題がある。 第2学年 (1)目標値との比較 ・4領域すべてが目標値と同程度である。 (2)改善すべき課題 ・資料を読み取り、分析、活用する内容に課題がある。 【生活・学習意識調査の結果】 第1学年 ・自尊感情が低い生徒が多い。 ・半数近くの生徒が1日に3時間以上テレビ・ビデオ・DVDを視聴している。 第2学年 ・家庭学習の内容として、宿題は行うが自分で計画的に取り組むことは少ない。 (2)課題改善のための補充的な指導の計画 ・夏休みの補習指導の中で、国語・数学ともに本校の生徒が苦手とする内容を重点的に指導するよう に取り組む。 ・国語の「書く能力」については、夏休みの宿題で他教科とも連携し、文章を書く課題を出題する。 釧路市立共栄中学校 4 全国学力・学習状況調査の活用による指導の改善・充実のための取組 (1)全国学力・学習状況調査から明らかになった自校の課題 【教科に関する調査の結果】 <国語> ○国語A・Bともに、平均正答率は全国・全道平均を上回っている。このことから、国語の学力に関して はおおよそ定着しているものと考えられる。 ○内容ごとの分析 ・文脈に即して漢字を正しく読んだり書いたりする。 ・必要に応じて質問し、足りない情報を聞き出す。 (以上A問題) ・文章に表れているものの見方について、自分の考えをもつ。 ・本や文章から、目的に応じて必要な情報を読み取る。 (以上B問題) 上記4点については高い評価が出ている。一方、 ・目的に応じて、資料を効果的に活用して話す。 ・抽象的な概念を表す語句が示すものについて理解する。 ・目的に沿って話し合い、互いの発言を検討する。 (以上A問題) ・文章の構成や表現の仕方などについて、根拠を明確にして自分の考えを書く。 (B問題) 以上 4点が低い評価であった。 <数学> ○A問題では、平均正答率は全国・全道平均を上回ったが、B問題では全国・全道平均とも下回って いる。このことから基礎的な知識はおおよそ定着しているが、活用の部分ではあとわずかの底上げ が必要である。 ○内容ごとの分析 ・簡単な連立二元一次方程式を解くことができる。 ・証明を読み、根拠として用いられている三角形の合同条件を理解している。 ・反比例の意味を理解している。 ・一次関数の変化の割合の意味を理解している。 ・一次関数y=ax+bについて、aとbの値とグラフの特徴を関連付けて理解している。 ・度数分布表から相対度数を求めることができる。 ・樹形図などを利用して、確率を求めることができる。 (以上A問題) ・ある場合の得点を樹形図を利用して求めることで、与えられた情報を分類整理することができる。 (B問題) 上記8点については高い評価が出ている。一方、 ・指数を含む正の数と負の数の計算ができる。 ・着目する必要がある数量を見いだし、その数量に着目し、連立二元一次方程式をつくることができる。 ・三角形の外角とそれと隣り合わない2つの内角の和の関係を理解している。 ・n角形の内角の和を求める式180°×(n-2)の意味を理解している。 ・比例の関係を式に表すことができる。 ・与えられた式を基に、事象における2つの数量の関係が比例であることを判断することができる。 ・連立二元一次方程式の解が、2直線の交点の座標として求められることを理解している。 (以上A問題) ・事象を理想化・単純化して問題解決した結果を解釈し、数量の関係を数学的に説明することができる。 ・付加された条件の下で、証明を振り返って考え、事柄を用いることができる。 ・不確定な事象の起こりやすさの傾向を捉え、判断の理由を説明することができる。 ・グラフの特徴を事象に即して解釈し、結果を改善して問題を解決する方法を説明することができる。 (以上B問題) 以上 11点が低い評価であった。 ○記述式の問題での無解答がやや多かった。 【質問紙に関する調査の結果】 ・平日2時間以上、テレビ、ビデオ、DVD、テレビゲーム、携帯電話での通話をする生徒の割合が高い。 ・平日、休日問わず、学校外で1時間以上勉強する生徒の割合が低い。 ・自宅で宿題は行うが、予習・復習をする生徒の割合が低い。 (2)課題改善のための方策 *学力向上プランの中間評価及び今後の取組 【今後の取組のポイント】 <視点① 授業づくり> ・自分の考えを持ち、その要点を相手に伝えたり、考えの根拠を明確にした文章を書いたりする活動 の充実を図る。 ・目的をもって文章を読み、必要な内容を取捨選択しながら読み取る活動の充実を図る。 ・様々な表現方法を理解し、内容を判断する活動の充実を図る。 (以上 国語) ・数量関係を数学的に判断・表現する活動の充実を図る。 ・定理や公式が成り立つ理由を理解し、そのことを使って問題を解く活動の充実を図る。 (以上 数学) ・あらゆる活動において、自分の意見や考えをしっかり持ち、それを表現する(書いたり発表したり する)活動の充実を図る。 ⇒ 言語活動の充実 (国語・数学共通) <視点② 環境づくり> ・現在実施している少人数指導において、さらに個々の習熟度に合わせた、よりきめ細かな指導や繰 り返しの指導を行うことにより、基礎・基本の充実を図る。 (数学) ・釧路新聞社より教育図書の寄贈を受け、夏休みから図書の整備を進め、生徒の読書意欲の高揚を図 る。 ・学生ボランティアを活用し、教員の指導で放課後の学習支援を行う。 <視点③ 習慣づくり> ○家庭と連携した取組を行うという観点から ・朝食、起床・就寝時刻、テレビ・ビデオ・DVDの視聴時間、携帯電話・スマートフォン・テレビ ゲームの使用時間、家事の手伝いなど、家庭での望ましい生活習慣を確立させる。 ・平日・休日を問わず、家庭学習の習慣化(読書を含む)を確立させる。
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