平成26年(2014年)協会重大ニュース(PDF)

平成26年
日本伸銅協会重大ニュース
平 成 2 6 年 1 2 月
一般社団法人 日本伸銅協会
1.
伸銅品生産が3年ぶりに80万トン台に回復
・平成26歴年の伸銅品需要は、4月の消費税引き上げ前の住宅・自動車
や家電等の耐久消費財への駆け込み需要等を背景に、板条・銅管・黄銅
棒共に活況を呈し前年を上回る伸びを示した。
・引き上げ後も、自動車の国内生産は前年を下回ったものの、国内自動車
メーカーの北米他での順調な海外生産、世界的に回復した半導体等が寄
与し、その後も板条は堅調に推移した。
・銅管もルームエアコンの出荷は消費税の影響を受けたが、ビル用の大型
エアコンが年を通し順調に推移した。
・ただ、黄銅棒は住宅の伸び悩みにより夏場より前年割れとなった。
・このように下期に入ってからは、主要な品種間でも業況に温度差は見ら
れるが、上期の伸長が貢献し3年ぶりに80万トンの大台に乗り81万ト
ンに達する見通しとなった。
2.会長候補者選定委員会を新設、吉田会長2期目へ
・伸銅業を取り巻く環境が厳しさを増しつつあることから、伸銅協会長の
選出を、環境に合わせてその時に最も適切な会長を透明性のある手続き
で選定するため、会長候補者選定委員会の設置が決定した。
・その結果、第一回選定委員会が4月に開催され、吉田会長を選出し前年
度に続き2期目をお願いすることとなった。また、同選定委員会にて副
会長3名もそのまま留任頂くこととなった。
・尚、吉田会長は平成21年度にも会長にご就任頂いていることから、通
算で3期目となる。
3.現場の安全対策の重要性を改めて注意喚起
・近年の災害発生状況に鑑み、改めて、協会として会員各社に安全対策の
重要性を再認識するよう会長名の文書で注意喚起を行うとともに、セミ
ナーや他業種の事例研究など各種の手段にて意識高揚を図った。
4.伸銅業のロードマップ策定に着手(アクションプラン・フェーズⅡ)
・伸銅品アクションプラン・フェーズⅡの活動として、日本伸銅業のロー
ドマップ策定に着手した。
・ロードマップは、将来の年産 100 万トンへの回復を目指し、20 年~30
年先までも視野に入れた産業ビジョンを描くことを狙っている。
需要分野の見通しを描くビジネスロードマップと技術課題の将来目標を
描く技術ロードマップの二本立てからなる。
・検討は、板条・管・棒線の 3 部門からなり、それぞれにロードマップ委
員会を設置し、具体的な検討は当該社の中堅を担う担当者で構成される
品種別ワーキンググループで作業を進めることとなる。
来年末に完成する予定。
5.伸銅に係わるリサイクル原料の調査開始 (アクションプラン・フェーズⅡ)
・近年、中国の影響が強まり伸銅業のリサイクル原料の不安定性が増して
いることから、原料委員会がリサイクル原料の物流フローと物流を中心
とした調査に着手した。
・本調査は中国や東南アジアにも広がりを持たせた調査を実施することか
ら、そうした分野への知見を持つ日本メタル経済研究所との共同調査と
して実施される。来年春頃には完成予定。
・リサイクル原料は、発生品を回収することから物流統計が十分には整備
されているとは言えず、伸銅メーカーへのアンケートや調査に加え、非鉄金
属リサイクル全国連合会に所属する東京・東海・大阪・北陸のリサイクル事
業者へのヒアリングを進めている。
また、電線・製錬・鋳物・輸出入の関係者等にも幅広くヒアリングを進
めている。
6.エネルギーコストの上昇に対する対策に関する政府要望書の提出
・近年の電力を始めとするエネルギーコストの上昇が伸銅業の経営に大き
な影響を与えていることから、日本伸銅協会は協会会長名の要望書を作
成し 11 月経済産業省に提出した。
・要望には電力料金の低減をはじめ、賦課金の見直し、補助金の充実、技
術開発への助成などが幅広く盛り込まれた。
・尚、伸銅業の震災以降のエネルギーコストの負担増額は、年間 50 億円
を超える試算となっている。
7.消費税引き上げに際し、円滑な転嫁のお願い書作成
・平成26年4月の消費税引き上げに際し、流通並びにユーザー業界に円
滑な転嫁をお願いし無用な混乱を避けるため、協会会長名のお願い書を
作成し会員企業に有効に活用されるように供した。
・今回の消費税引き上げに当たり特別措置法が制定され、転嫁並びに表示
カルテルの設置が容認されたが、協会内の検討により伸銅協会は申請を
行わなかった。
・尚、こうした準備により伸銅業では特別のトラブルもなく 3%は順調に転
嫁がなされた。
8.非鉄金属業の魅力を広く学生向けに広報(講演会・工場見学会の開催)
・伸銅協会が今年度の幹事を務める非鉄金属ネットワーク協議会(通称、
ネット7)は、学生向け講演会・工場見学会を 10 月に大阪で開催した。
・講演会は、官・学・産の代表にそれぞれの立場での伸銅品並びに非鉄金
属の役割と魅力を語って頂いた。また、工場見学会は三菱伸銅・三宝製作
所を訪問し、伸銅の製造工程の見学と共に同社若手技術者との交流などを
企画した。
・今回の企画には主として関西の大学で学ぶ技術系の学生 50 名弱が参加し、
非鉄金属の印象が変わったと好評を得た。
9.BCP活動として、非常事態における事業継続計画の連携強化を発信
・東日本大震災を契機に、国内の製造業ではサプライチェーンの維持並び
に強靭化に向けた意識の盛り上がりが有り、伸銅業もBCPに関する関
心の高まりから経団連や経済産業省のアドバイス受け、対応などの準
備を進めた。
・特に板条製品では、2 月に古河電気工業日光事業所が雪害により大き
な被害を受けたこともあり、高い関心が見受けられた。
・こうしたことから、日本伸銅協会は協会会長名の文書で、会員企業へ
の一層の連携検討を奨励するともに、11 月協会ホームページなどに公開
し、需要業界及び経済産業省等に伸銅業の意思を示した。
10.日本銅学会の基盤整備、着実に進展
・日本銅学会は、平成23年に現在の名称に変更して以降、基盤整備を着
実に実施し、進展を図っている。本年5月には、その功績により、古城
副会長(当時)に対し日本銅センター賞が授与された。
・また、今年は規約の整備に伴い理事の年齢制限を導入、新たに学側の代表
に里東工大教授が選任された。
・10月には第54回講演大会が横浜国立大学で盛会裏に実施された。
11.日本銅センター設立50周年
・本年 11 月日本銅センターが設立 50 周年を迎え、記念行事が盛大に開催
された。
・日本銅センターは日本鉱業協会・伸銅協会・日本電線工業会、また近年
はICA(国際銅協会)の会員参加も得て、日本国内における銅需要の拡
大に向けた活動を展開している。
設立の経緯からも日本伸銅協会とは日々深い繋がりで事業が行われてい
る。
・現在では、ICAの財政的支援を受けながら、銅ローターモーターや
制振部材の開発、電線の導体サイズの適正化などと共に、特に抗菌 Cu+
の活動では病院などへの銅を採用した製品の導入で目覚ましい成果を上
げている。
12.第一回高機能金属展への協賛と日本銅センターのブース設置
・金属素材を対象とした日本で初めての金属展が開催され(東京 4 月、大
阪 9 月)、高機能な伸銅品を提供する日本伸銅業の方向と高機能金属展の
趣旨が合致するため、日本伸銅協会は日本銅センターと共に協賛を行っ
た。
・伸銅協会は日本銅センターと連携し、銅センターが設置したブースへの
伸銅協会会員企業に共同出展の機会を提供した。
(番外)
1.三菱電機メテックス社、伸銅事業から撤退を発表
・12 月に入り三菱電機は、同社子会社である三菱電機メテックスが
行っている伸銅事業を終息し、来年(平成 27 年)9 月で事業清算する
と発表した。
2.低炭素社会実行計画への参画
・平成26年度から、経団連及び経済産業省の「低炭素社会実行計画」に
参画し、平成25年度の実績を報告した。平成24年度までの環境自主
行動計画と比較すると、対象分野を板条製品に限定し、目標指標をその
年度の生産量から想定されるエネルギー使用原単位(BAU)からの改善
(1%)とした。
以上