ベトナム 2014 年の貿易収支について(2014年1月) 埼玉県ベトナムサポートデスク ベトナムの貿易収支は 2011 年まで赤字が続き、 ドン安やそれに伴う金利上昇などの形で経済に悪い影響 を与えていました。ベトナムの主な輸出品目は原油、鉄鉱石、農作物や海産物およびその加工品などで、 輸入品目は、鋼材、ガソリン、機械設備・部品などです。付加価値の低いものを輸出し、付加価値の高い ものを輸入するという構造が貿易赤字の背景となっていました。 ところが 2012 年以降、ベトナムの貿易収支は黒字となりました。輸出入の構造が根本的に変わったわけ ではありませんが、携帯電話などの新たな輸出品目が急成長したことがその理由です。衣料品、履物、原 油、農作物なども増加していますが、とりわけ韓国メーカーの携帯電話及び周辺部品の輸出増が目立ち、 ベトナムの貿易収支を一気に改善しました。 例えば、2013 年を見てみると、携帯電話及びその部品の輸出額が 215 億ドルで、輸出総額の実に 5 分の 1 を占めています。それまでは縫製・繊維製品が輸出額約 180 億ドルで輸出品目別の1位でしたが、これ を抜き去りました(出典:ベトナム統計総局) 。 ベトナムが輸出する携帯電話の 9 割以上はサムスン電子の製品です。2009 年に稼働したバクニン省の第 一工場、2014 年 3 月に稼働したタイグェン省の第二工場、そして 2014 年 11 月に新設が発表されたタイグ ェン省の第三工場、これら 3 つの工場を合わせると月 1,000 万台を越える生産量を誇ります。サムスン電 子のこうした動きは、輸出額の増加だけではなく、雇用創出や税収の増加、そしてベトナムの課題である 裾野産業の育成にもつながると、多方面から期待が寄せられています。 では、ここで 2014 年の貿易収支を見てみましょう。ベトナム税関総局の統計によると、2014 年 12 月ま でのベトナムの輸出総額は 1,501.9 億ドル、輸入総額は 1,480.5 億ドル、貿易収支は 21.4 億ドルの黒字と なり、2012 年から 3 年連続の貿易黒字となりました。 2014 年 1 月~12 月のベトナムの貿易収支(出典:ベトナム税関総局 ) 2013 年と比較すると、1 月を除く全ての月において貿易総額が前年を上回っています。そして貿易黒字 になっている月も 6 回あり半数となっています。 この中で外資系企業は、貿易総額の約 60%、輸出総額の 63%(940 億ドル)を占めています。最も輸出 額が多い品目は、先に述べた通り携帯電話及びその部品の 236 億ドルで、前年から更に 1 割ほど伸びてい ます。次いで、縫製・繊維製品が 209 億ドル、コンピュータ及び電子部品が 114 億ドルで続きます。現在 のベトナムの貿易収支の黒字については、外資系企業の貢献抜きには考えられません。
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