ニュージーランド準備銀行(RBNZ)の金融政策と ニュージーランドドルの

ニュージーランド準備銀行(RBNZ)の金融政策と
ニュージーランドドルの今後の展望
情報提供資料
2014年7月31日
 RBNZは4会合連続の政策金利引き上げを決定。今後の利上げ判断は慎重に
 RBNZの通貨高牽制姿勢は当面続くとみられるものの、相対的に高い信用力と金利水準が
ニュージーランドドルの下支えとなる見込み
ニュージーランド準備銀⾏、4会合連続の利上げ
2014年7月24日(現地時間)、ニュージーランド
準備銀行(以下、RBNZ)は市場の予想通り、政策金
利を0.25%引き上げ3.5%とすることを決定しました。
政策金利は2014年3月以降、4会合連続で引き上げ
られ、累計の上げ幅は1.0%となりました。
【ニュージーランドの政策金利と消費者物価指数】
(2004年6月30日~2014年7月30日*)
(%)
9
8
6
発表された声明文では、従来通り「インフレ期待を
引き続き抑制することが重要」と述べており、継続す
る景気拡大によりインフレ圧力が高まりやすい状況で
あることが利上げの一因として挙げられます。
5
利上げの⼀旦休⽌も⽰唆
1
一方で、RBNZは声明文において、「(政策)金利
をより中立的な水準に調整する前に、(これまでの政
策金利引き上げの効果などを)評価する期間を設ける
ことが賢明だ」と述べ、政策金利の引き上げの一旦休
止を示唆しました。
実際のインフレ率がRBNZのインフレ目標レンジ
(1~3%)の中央値(2%)を下回っていることなど
が背景にあると考えられます。
利上げは再開される⾒込み
政策金利
7
3.5%
4
3
2
消費者物価指数(前年比)
0
04/6
06/6
08/6
10/6
12/6
14/6
(年/月)
*消費者物価指数は四半期、2014年4-6月期まで。
※網掛けはRBNZのインフレ目標レンジ(1~3%)。
【ニュージーランドの実質GDP成長率】
(2004年4-6月期~2014年1-3月期)
(前年比、%)
8
6
4
ニュージーランド経済は、カンタベリー地震の復興
需要や移民流入を背景とした住宅需要と家計消費の拡
大が牽引する形で成長を続けており、RBNZの景気判
断も「2014年の実質GDPは年率3.7%のペースで成
長する見込み」という明るいものとなっています。
堅調な経済成長を背景にインフレ上昇圧力が強まる
可能性がある状況に変化はなく、RBNZは声明文で
「今後の政策金利の引き上げ速度と引き上げ幅は、こ
れまでの金融引き締めの影響に対する評価とインフレ
圧力に関する将来の経済・金融指標次第である」と述
べ、次の一手が利上げ再開である可能性が高いことを
示唆しています。
2
0
▲2
▲4
04/6
06/6
08/6
12/6
(年/月)
出所:ブルームバーグが提供するデータを基にみずほ投信
投資顧問が作成。
※上記は、将来におけるニュージーランドの政策金利と消
費者物価指数、実質GDP成長率の推移を示唆、保証す
るものではありません。
※最終ページの「当資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。
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10/6
RBNZのニュージーランドドル⾼懸念
ニュージーランドドル(以下、NZドル)は、RBNZが
声明文で「利上げの一旦休止」を示唆し、「NZドルの大
幅下落の可能性」を指摘したため、金融政策決定会合後、
軟調に推移しています。
7/24
利上げ
【ニュージーランドドルの推移】
(2013年6月30日~2014年7月30日)
(円)
90
(米ドル)
0.95
NZドル高
ここ数ヵ月、供給拡大と中国の需要悪化懸念から、
ニュージーランドの主要輸出品目である乳製品などのコ
モディティ価格が下落しています。特に中国向け輸出が
多い乳製品では、7月に入ってから全粉乳の価格が急落し
ました。
85
0.90
80
0.85
声明文では、このようなコモディティ価格の下落にも
かかわらず、NZドルが高水準で推移していることから、
RBNZがNZドル高懸念を強めたことが確認できます。
75
NZドル安
対米ドル:右軸
70
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ニュージーランドドルの今後の展望
しかし、ニュージーランドの相対的な金利水準の高さ
や良好な経済ファンダメンタルズが、低成長や低金利に
苦しむ先進各国の投資家にとって魅力的な状況に変化は
ありません。引き続き見込まれる先進各国からの資金流
入は、NZドルに上昇圧力をもたらす可能性が高いと考え
ます。
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NZ
3.5
2.5
豪州
1.0
カナダ
0.5
英国
0~0.25
米国
0.15
ユーロ
0~0.10
日本
0
1
2
4(%)
3
【主な先進国の10年国債利回り】
(2014年7月30日現在)
NZ
4.21
3.42
豪州
2.70
イタリア
英国
2.60
米国
2.56
2.16
カナダ
1.55
フランス
1.17
ドイツ
0.53
日本
0
1
2
3
4
5(%)
出所:ブルームバーグが提供するデータを基にみずほ投信
投資顧問が作成。
※日本の政策金利については、2013年4月以降、日銀金
融政策決定会合において、金融市場調節の操作目標が政
策金利からマネタリーベースに変更されています。
※上記は、将来におけるニュージーランドドルおよび主な
先進国の政策金利、10年国債利回りの推移を示唆、保証
するものではありません。
※最終ページの「当資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。
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0.75
14/6
(年/月)
14/3
(2014年7月30日現在)
先進国の中で相対的に高い経済成長率を誇り、貿易収
支や経常収支といった国際収支も改善するなど、ニュー
ジーランドの経済ファンダメンタルズも良好とみられま
す。財政収支についても、政府が緊縮財政路線を明確に
していることから改善の可能性が高く、ニュージーラン
ドの高い信用力が脅かされる公算は小さいとみています。
ただし、足元のコモディティ価格の軟調さが継続すれ
ば、RBNZのNZドル高牽制姿勢も継続し、NZドルに一
定の下押し圧力がかかると考えられます。また、ニュー
ジーランド国債の外国人保有比率の高さを勘案すると、
地政学的リスクの高まりなどをきっかけに外国人投資家
が自国に資金を引き揚げる局面では、NZドルへの下落圧
力が強まる可能性もあります。
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【主な先進国の政策金利】
ニュージーランドの政策金利と長期金利(10年国債利
回り)は主要先進国の中で最高水準にあります。また、
現時点で、RBNZは主要先進国の中で、金融政策の次の
一手が引き締め方向であると目される数少ない中央銀行
です。
ニュージーランドの乳製品は安全性の高さから、引き
続き中国を中心にアジア諸国からの需要が底堅く推移す
ると期待され、コモディティ価格の下落も一時的なもの
で、早晩落ち着きを取り戻すとみられます。
0.80
対円:左軸
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