国内株式市場の下落について(PDF/287KB)

情報提供資料
国内株式市場の下落について
2016年1月14日
 原油価格の先安懸念や米国株安、国内経済指標の下振れ、中国景気の先行き不透明感に加え、円高進行による
国内企業業績の先行き不透明感等を背景に、国内株式市場は下落。
 国内株式市場は短期的には波乱含みの展開になる可能性があるものの、徐々に落ち着きを取り戻し、緩やかな
上昇局面になると予想。
日経平均株価の推移
◆足元の株価下落の背景
1月14日の国内株式市場は、日経平均株価終値で17,240円
95銭と前日比474円68銭(2.68%)の下落となりました。
また、一時は、前日比771円安と17,000円を下回る水準にま
で下落しました。株価下落の背景には、以下の要因があると考
えられます。
(円)(2014年12月30日~2016年1月14日:日次)
22,000
21,000
20,000
19,000
18,000
①昨日の米国市場において、米エネルギー情報局が公表した週
間原油在庫統計で原油在庫の増加が確認され、原油価格の先
安懸念から投資家のリスク回避的な動きが強まったことで、
米国株式市場が大幅下落したこと。
17,000
16,000
14/12
15/3
15/6
15/9
15/12
(年/月)
上海総合指数の推移
②本日発表された国内の11月コア機械受注(船舶・電力を除
(2014年12月31日~2016年1月14日:日次)
く民需)が前月比マイナス14.4%と事前予想を下回る結果 (ポイント)
となり、国内景気の先行きに対する不安心理が強まったこと。 5,500
5,000
③年初から中国景気の先行き不透明感を背景とした同国株式市
場の下落基調が続いていること。
4,500
④上記を受けて、為替市場で米ドル/円相場が円高・米ドル安
に振れ、国内企業業績の先行き不透明感が広がったこと。
3,500
4,000
3,000
2,500
14/12
◆今後の見通し
今後の国内株式市場は、引き続きグローバルでリスク回避の動
きが強まるおそれがあり、波乱含みの展開になる可能性があり
ます。しかしながら、中期的には以下の理由から国内株式市場
は徐々に落ち着きを取り戻し、緩やかな上昇局面になると予想
されます。
①足元の原油安はエネルギーセクターを中心に企業収益悪化と
のマイナス材料として捉えられているものの、中期的には個
人消費の押し上げに寄与する側面もあり、米国経済にとって
はややプラスに働くと見込まれます。足元の米国経済は、確
かに外需低迷やドル高による製造業への下押し圧力は懸念さ
れるものの、良好な雇用環境を背景に、個人消費主導の緩や
かな景気回復基調が続いているものと考えます。また、米連
邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月の米連邦公開市場委
員会(FOMC)において利上げを決定しましたが、今後の利
上げペースについては緩やかなものとなり、当面緩和的な金
融環境が継続するとみられます。したがって、中期的には、
米国株式市場は回復基調をたどると考えます。
15/3
15/6
15/9
15/12
(年/月)
米ドル/円レートの推移
*
(円)(2014年12月31日~2016年1月14日 :日次)
128
124
120
116
112
14/12
15/3
15/6
15/9
15/12
(年/月)
*2016年1月14日は15時時点(日本時間)。
出所:ブルームバーグが提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が
作成。
※上記は、将来における日経平均株価、上海総合指数および米ドル/
円レートの推移を示唆、保証するものではありません。
※日経平均株価に関する著作権並びに「日経」及び日経平均株価の表
示に対する知的財産権その他一切の権利は、全て日本経済新聞社に
帰属します。
※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。
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②足元の国内景気は、設備投資の回復に疑問符がついたことや、これまで暖冬の影響で個人消費が冴えないなど、
力強さを欠く状況です。しかし、企業収益は過去最高水準であり、賃金上昇による所得増が今後の消費を下支
えするとみられます。また、政府は、経済対策として先般3.5兆円規模の平成27年度補正予算を閣議決定し
ており、国内景気は緩やかに持ち直していくものと考えます。
③中国株式市場については、当局は今年から新たに導入したサーキットブレーカー制度を短期間で停止したり、
大株主の株式売却制限措置について新たな施策を導入するなど、政策に一貫性がない上、株式需給対策に終始
していることから、株価の先行き不透明感の強い状況が続いています。
しかし、構造改革を推し進める過程で、景気に下押し圧力がかかる可能性には留意が必要なものの、昨年12
月に開催された中央経済工作会議において、「積極的な財政政策を強化し、穏健な金融政策を一段と柔軟にす
ることが必要」と表明されており、今後、中国景気を浮揚させる財政政策を含む経済対策の出動が予想されま
す。既に小売売上高や自動車販売など一部経済指標には下げ止まりの兆しが伺える指標もみられている上、こ
れまでの金融緩和措置、人民元安、原油安などの恩恵から、中国景気はソフトランディング(軟着陸)できる
とみています。また、年初来続いてきた人民元安の動きは、中国人民銀行が基準値をやや元高方向に設定する
動きをみせていることなどもあり、足元ではさらなる人民元安に一定の歯止めがかかっています。
したがって、中国株式市場の不安定さが、直接的で大きな中国景気の下押し圧力になるとは考えていません。
④国内企業業績は、円高の進展による下押し圧力は懸念されるものの、米国を牽引役としたグローバル景気の緩
やかな拡大を背景とした増収効果により、引き続き増益基調を維持できると予想します。
加えて、ガバナンスや資本収益力(ROE)への意識の高まりや株主還元拡充への期待、公的年金や日銀による
需給面での恩恵は株式市場にとって支援材料と期待できることから、原油市場に端を発したリスク回避的な局面
が一段落すれば、国内株式市場は、緩やかな上昇局面になると思われます。
(2016年1月14日 16時執筆)
※最終ページの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。
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