第6回

物理学 B1 演習
2014. 7. 3
1.保存力
ある空間に、空間の各点で作用する力 F が有って(定義されていて)、その力 F が質点にする仕事が質点の
運動の経路に依存しないとき力 F を保存力という。また、質点が元の位置に戻る事を考えれば容易に分かる
様に、閉経路 C に沿って保存力を積分してやると、∮𝐂 𝑭 𝐝𝒓 = 𝟎 であるので、保存力である為の必要十分条件
∂Fy
は
∂x
=
∂Fx
∂y
,
∂Fz
∂y
=
∂Fy ∂F
x
∂z
,
∂z
=
∂Fz
∂x
が成り立つ事である。
保存力は場所にのみ依存する力であって、空間内の全ての点で(質点に)作用することができる。その意味
で、古い力の概念(
「作用・反作用は接し合う物体間に働く」
)とは異なるものである。
2.ポテンシャル
保存力 F では微少変位 𝐝𝒓 に対する仕事 𝑭 𝐝𝒓 を全微分の形に書き下す事が出来て、 𝒓 の適当な関数 U(r) を
用いれば、 𝑭 𝐝𝒓 = −d𝑈(𝒓) = - ∇𝑈 d𝐫 と書き表せる。この U(r) をポテンシャルという。
つまり、ポテンシャル U(r) の勾配によって保存力 F が働くのである。重力ポテンシャル・静電ポテンシャル
によって、重力場・電磁場が定義され、重力・電磁力が働くのである。
問題:
A
ⅰ.平面上の運動で、力が𝐹𝑥 = axy, 𝐹𝑦 = b𝑦 2 で与えられている。保存力か?また、右
̂ に沿って行くときと、直線 AC に沿っていくときの仕事を比較せよ。
図の様に円弧 AC
C
ⅱ.質点が常に y 方向の保存力を受けている。このとき、y 方向に垂直な任意の平面
上で質点が受ける力は一定である事を示せ。
ⅲ.3次元の保存力 F のポテンシャルが𝑈(𝐱, 𝐲, 𝐳) = −𝒙𝒚 − 𝒛𝒚 + 𝒛𝟑 で与えられるとき、保存力𝐹(𝐱, 𝐲, 𝐳) を求
めよ。
ⅳ.力 f(x,y) =(x-3y, -3x) が保存力である事を示し、そのポテンシャル 𝑈(𝐱, 𝐲) を求めよ。
v.地表(地球半径 6400km)から地球(質量 6.0x1024kg)の重力ポテンシャルに逆らって、無限遠まで到
達するのに必要な速さはいくらか求めよ。但し、万有引力定数 G=6.7x10-11m3/kgs2 とする。
ⅵ.質量1(kg) の質点に対する2次元の保存力 F のポテンシャル𝑈(𝑥, 𝑦) が 𝑈(𝑥, 𝑦) = −
4
𝑥 2 +𝑦 2 +1
(J)で有ると
いう。質量1(kg) の質点 P がこの保存力のみを受けて点A(−2, −√3)から原点まで運動した。点Aにおけ
る質点Pの速さが 3 (m/s) のとき、原点における質点Pの速さ v を有効数字1桁で求めよ。
問題:
ⅰ.平面上の運動で、力が𝐹𝑥 = axy, 𝐹𝑦 = b𝑦 2 で与えられている。保存力か?
̂ に沿って行くときと、直線 AC に沿っていくときの
また、右図の様に円弧 AC
A
仕事を比較せよ。
解) 保存力ではない。 円弧ではW =
𝑟 3 (𝑏−𝑎)
3
直線では W =
C
𝑟 3 (2𝑏−𝑎)
6
ⅱ.質点が常に y 方向の保存力を受けている。このとき、y 方向に垂直な任意の平面上で質点が受ける力は一
定である事を示せ。
解)y 方向の力だから、x ,z 方向成分は0。だから𝐅𝒚 は x ,z 成分は持たないので、一定
ⅲ.3次元の保存力 F のポテンシャルが𝑈(𝐱, 𝐲, 𝐳) = −𝒙𝒚 − 𝒛𝒚 + 𝒛𝟑 で与えられるとき、保存力𝐹(𝐱, 𝐲, 𝐳) を求
めよ。
解)𝐹(𝐱, 𝐲, 𝐳) = (−𝑦, −𝑥 − 𝑧, −𝑦 + 2𝑧)
ⅳ.力 f(x,y) =(x-3y, -3x) が保存力である事を示し、そのポテンシャル 𝑈(𝐱, 𝐲) を求めよ。
∂fy
解)
∂x
=
∂fx
∂y
𝟏
なので、保存力。𝑈(𝐱, 𝐲) = − 𝒙𝟐 + 𝟑𝒙𝒚 + 𝑪 C は任意定数
𝟐
v.地表(地球半径 6400km)から地球(質量 6.0x1024kg)の重力ポテンシャルに逆らって、無限遠まで到
達するのに必要な速さはいくらか求めよ。但し、万有引力定数 G=6.7x10-11m3/kgs2 とする。
解)第2宇宙速度11km/s
ⅵ.質量1(kg) の質点に対する2次元の保存力 F のポテンシャル𝑈(𝑥, 𝑦) が 𝑈(𝑥, 𝑦) = −
4
𝑥 2 +𝑦 2 +1
(J)で有ると
いう。質量1(kg) の質点 P がこの保存力のみを受けて点A(−2, −√3)から原点まで運動した。点Aにおけ
る質点Pの速さが 3 (m/s) のとき、原点における質点Pの速さ v を有効数字1桁で求めよ。
解)v = 4 (m/s)