重力レンズ効果を想定した回転する ブラックホールの周りの粒子の軌道 大阪工業大学 情報科学部 情報科学科 学生番号 A05-011 入江 庄一 研究の目的 • 粒子の軌道の方程式をRunge-Kutta法で 計算して解き、ブラックホールの周りの粒子 の軌道を図示する 1. ニュートンの運動方程式 2. シュバルツシルト計量での粒子の軌道の 方程式 3. カー計量での粒子の軌道の方程式 重力レンズ効果 • 重力によって光が曲げられる現象 • 1916年にアインシュタインが一般相対性理論 で予言した • エディントンによって1919年の日食時に初め て観測されて、その結果がアインシュタインが 予言した理論とほぼ一致した。 これは一般相対性理論の予言 が正しいことを示した初めての 観測であった astro.ysc.go.jp/grav-lens.htmlより ニュートン力学での計算(1) • ブラックホールの周りの粒子の運動がニュートン力 学で表わされると考え、ニュートンの運動方程式 を解き、粒子の軌道を確認する G:万有引力定数 M:ブラックホールの質量 m:粒子の質量 r :ブラックホールと粒子の距離 ブラックホールは固定して計算する ニュートン力学での粒子の軌道 • エネルギーを一定に して計算 • 原点にBHがある • シュバルツシルト 半径rgは2である ブラックホールに近く なるほど曲がる角度 が大きくなることが分 かる ニュートン力学での計算(2) • 一般相対性理論での粒子の曲がる角度の公 式 に結果を代入し、ニュートン力学と一般相対 性理論の粒子の軌道の違いを確認する θm:BHに吸収されない最小のθ a,b:定数 曲がる角度の比較 α1:ニュートン力学 の計算 α2:一般相対性理論 • ブラックホールの近く ほど差が大きい • 一般相対性理論の 方がよく曲がる (強い重力の効果の 現れ) カー計量(1) • カー計量の式は と表わされる aは回転パラメータである a=0のときシュバルツシルト計量と一致する カー計量(2) カー計量での粒子の運動方程式は、2階の 微分方程式であるが、運動の定数が4つ存 在するために積分することができる シュバルツシルト計量での粒子の軌道と カー計量での粒子の軌道の比較 • 原点にBHがあり、rg=2である • 粒子の初期座標は(3,0)とした • 赤は上向き、青は下向きに出た粒子の軌道を示す a=0 a=1 BH 右図より、BHは反時計回りに回転していることが分かる 結論 • ブラックホールの遠くでは、ニュートン力学と一般相 対性理論は一致する • 一般相対性理論の式をきちんと解くと、ブラックホー ルの近くを通る光の軌道には、ブラックホールが鏡 のような役割を果たすことによって、戻ってくるもの もある • 光源と観測者の間に回転するブラックホールがある 場合、光源から出た光を観測すると、左右対称にな らない • 重力レンズ効果の観測精度が向上すれば、ブラック ホールの位置や回転の大きさなどを知ることができ ると考えられる
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