【力学】 1 変位・速度・加速度 1.1 運動を表す量 物体の位置ベクトル ( ) x r= y 速度ベクトル v= dr = dt ( dx ) dt dy dt ≡ r˙ 加速度ベクトル dv a= = dt ( ( dv ) dt dv dt = d2 x dt2 d2 y dt2 ) ≡ r¨ 1.2 極座標表示 物体の位置ベクトルの極座標表示 ( r = r(t) θ(t) ) また x = r cos θ ,y = r sin θ と ( ) ( vr cos θ = vθ − sin θ sin θ cos θ )( ) vx vy を用れば, 速度,加速度を極座標表示した vr = r˙ , vθ = rθ˙ ar (中心方向) = r¨ − rθ˙2 ,aθ (接線方向) = 1 d 2 (r θ) r dt 1.3 単位ベクトルによる加速度の表記 物体の軌道の単位接線ベクトルを t, 単位法線ベクトルを n として v = vt dθ dt R n t n dθ t’ dθ t 図より, ndθ = dt , Rdθ = vdt(R:曲率半径) a= dv d(vt) dv dt dv dt dθ dv v2 = = t+v = t+v = t+ n dt dt dt dt dt dθ dt dt R 結論は高校範囲の円運動でお馴染みの式 (接線方向と向心方向の加速度を表現したもの) だ。 2 エネルギー 物体に保存力 F がはたらいているときの微小仕事を求めると, dW = F・dr = Fx dx + Fy dy + Fz dz ここで,dU = −dW より, dU = − (Fx dx + Fy dy + Fz dz) ここで,偏微分の定義より, Fx = − ∂U ∂x であるから,まとめると, F = ( ) ∂U ∂U ∂U − ,− ,− ∂x ∂y ∂z が得られる。 3 角運動量とトルク 3.1 トルク N = r ×F 3.2 角運動量 L = r ×p p:運動量 運動方程式 dp = F より, dt dL d = (r ×p) dt dt ここで,ベクトル積の積の微分法 dA dB d (A×B) = ×B + A× dt dt dt dL dr dp = ×p + r × dt dt dt ∴ dL =N dt トルクが 0 のときは, dL = 0 ⇔ L = const dt これを買う運動保存則と呼ぶ。 また,単位時間当たりの回転角として 角速度を定義する。 ω= dθ dt また, v = −r ×ω とする。ここで,ω は回転面の法線ベクトルの向きである。 3.3 慣性モーメント 運動量 p = mv のように,角運動量 L と角速度 ω の間に L = Iω の関係が成り立つとしたときの I を「慣性モーメント」と呼ぶ。質点の慣性モーメントは, L = r ×p = r × mv = r × m(−r ×ω) ここで,ベクトル3重積について復習する。 スカラー3重積:A(B ×C) = B(C ×A) = C(A×B) 3つのベクトルが作る平行六面体の体積が変わらないことからも明らかである。 ベクトル3重積:A× (B ×C) = (A・C) ×B − (A・B) ×C よって, r × (−r ×ω) = (r・ω) ×−r − (r・−r) ×ω r・ω = 0 より, L = mr2 ω ∴ I = mr 2 次に,半径 a, 厚さ b, 密度 ρ の円板の慣性モーメントを計算する。 すべての質点についての mr 2 を計算して足し合わせる。中心軸からの距離を r とすると, その部分の微小質量を dm として, dI = r2 dm ここで,dm = ρdV より, ∫ I= ∫ dI = ρr2 dV dV = dxdydz ∫∫∫ I= ρr2 dxdydz 積分範囲は 0 ≤ z ≤ b であり,x の範囲を −a ∼ a とするならば y の範囲は r2 = x2 + y 2 より,− ∫ I= ∫ b ∫ a dz dx a2 −x2 √ − a2 −x2 −a 0 √ √ √ a2 − x2 ≤ y ≤ a2 − x2 dy を計算する。また,円筒座標を使えば dV = rdrdθdz ∫ b ∫ ∴ I = dz 0 2π ∫ a ρr3 dr = 0 0 π 4 ρa b 2 また,軸が重心を通っている場合の慣性モーメント IC が分かっていれば,回転軸を距離 R だけ平行に動かしたときの慣性モーメントは,物体の全質量を M として, I = M R2 + Ic とすればよい。これを 平行軸の定理 という。この公式は文字通り,軸を重心を通る軸に 対して平行移動させた場合にしか適用できないので気をつけよう。 一般的な角運動量は, L = r ×p = r × m(−r ×ω) = m(r・ω) ×−r − m(r・−r) ×ω = mr2 ω − m(r・ω)・r 4 歳差運動 コマが回りながらその軸を不安定にぐるぐる回す動きを「歳差運動」と呼ぶ。 コマの回転の角運動量ベクトル L を回転軸向きに設定する。コマの接地点を軸としてコ マを回転させるように重力がはたらくためそのトルク N による影響を回転の角運動量ベ クトルは受ける。結果,高速で回転しているコマは,重力方向には倒れないで,重力に対 して垂直な向きに回転軸を移動させる。このような運動を ジャイロ現象 と呼ぶ。 またコマの回転が落ちてくると,重力のトルクの影響が大きくなり,次第に首振りははげ しくなり止まる。 dL =N dt
© Copyright 2025 ExpyDoc