剛体を考える前に、 多重積分を説明する 1 多変数の積分を考える前に。 1変数の積分は高校で勉強した通り。 F ( x) f ( x)dx dF ( x) f ( x) dx y f (x) 傾き g’(x0) y=g(x) x1 x2 x1 x2 x f ( x)dx 積分は図形的には、 面積を表す。 x0 x 微分は図形的には、 傾きを表す。 2 多変数の積分を考える前に。 1変数の積分は高校で勉強した通り。 F ( x) f ( x)dx dF ( x) f ( x) dx y f (x) 傾き g’(x0) y=g(x) x1 x2 x1 x2 x f ( x)dx 積分は図形的には、 面積を表す。 x0 x 微分は図形的には、 傾きを表す。 3 偏微分:2変数以上の関数である1つの変数について微分する。 復習 p( x, y ) q ( x, y ) x x :xについて微分する。(yを一定とみる) 「偏微分」と呼ぶ。 図形的には、z=p(x,y)の関数を、 y一定の断面で見た時の、傾き z y x 4 次に多変数の積分を 定義します。 5 2変数の積分 F ( x, y ) dy dx f ( x, y ) 2段階で定義。 g ( x, y ) dx f ( x, y ) F ( x, y ) dyg ( x, y ) g ( x, y ) f ( x, y ) x F ( x, y ) g ( x, y ) y 順番に積分すればよい。 大部分の場合は積分順序によらないので、 積分しやすい方を先にすればよい。 z=f(x,y) 図形的には、曲面z=f(x,y)の下の体積 次のページに詳しい説明。 y x 6 積分の幾何学的意味 y=f(x) y 1変数の積分:曲線の下の面積 f ( x)dx x 0 図のような微小な幅の帯を考えると、 幅がdx, 高さがf(x)。 これの和が積分なので、面積に対応する。 f(x) dx 2変数の積分:曲面の下の体積 dx dy f ( x, y) f(x,y) dx 次のページに例。 dy 7 重積分の例 d a c I dx dy f ( x, y ) f ( x, y ) x sin y 3 1 b の場合 1 I dx dyx sin y x dx 2 dy sin y 0 2 0 3 3 0 0 x4 1 1 2 cos y 0 1 4 4 4 8 2変数の積分:曲面の下の体積 f(x,y)=xyのグラフ y f(x,y) dx dy 問題 z=xy, xy平面、x=a, y=bで x 囲まれる立体の体積を求めよ。(a>0, b>0) 特に、a=10, b=10の時、体積はどうなるか? 辺の長さが10,10,100の直方体の何パーセントの体積か? 9 解答 dx f ( x, y)dy 10 0 のf(x,y)に、xyを代入する。 10 10 10 0 0 0 dx xydy xdx 10 10 x y ydy 2 0 2 0 2 2 を計算すればよい。 10 ギリシャ文字 「割合」に使うことが多い。 ロー 密度 kg/m3 ω θ φ オメガ 角速度 rad/s シータ ファイ 角度 rad 弧の長さ r 半径 11 ここから物理にもどる。 剛体とは。 慣性モーメント 12 剛体とは 教科書 p.65 大きさを持った物体。 しかし、変形、膨張圧縮はしない。 形や体積は一定。 (形や体積が変わる場合は、 弾性体力学や流体力学で考える。) 質点の集まりと考えればよい。 13 質点系の角運動量 質点の角運動量は、 L r mv 質点系の場合、質点miの位置、速度をri, viとして、 L r i mi v i i 質量が連続的に分布している場合は積分で置き換える。 ( x, y , z ) L (r v ) ( x, y, z )dxdyd z 密度:単位体積中の 質量。 dz dy dx r o 14 v 記号の説明 N a i 1 r i i シグマ 和(たし算) a1 a 2 a 3 a N mi v i r1 m1v1 r2 m 2 v 2 i 質点1 質点2 15 質点系 剛体の角運動量 L 質量が連続的に分布している場合は 積分で置き換える。 r i mi v i i 質量=密度×体積 L (r v ) ( x, y, z )dxdyd z 密度: 単位体積中の 質量。 ( x, y , z ) dz o r dx dy 16 ( x, y , z ) の意味 場所(x,y,z)によって値が違う。 1変数だとf(x)など。 例:人間は場所によって密度が違う。 頭は密度が高い。 手は密度が低い。 17 角運動量に戻ると、 角速度ωで回転している、物体の角運動量は、 (質点の場合) 密度をρとして、 L r mv v ω r L (r (ω r )) dxdydz (以前やった) 問題 r=(x,y,z), ω=(ωx,ωy,ωz)を使って、 角運動量は以下のように書けることを示せ。 L Iˆω I xx ˆ 但し、 I I yx I zx 2 2 I xx ( y z ) dxdydz I xy xydxdydz I xy I yy I zy I xz I yz I zz ^:ハットと読む。 18 補足:行列とベクトルの積 b1 A11 b2 A21 b A 3 31 A12 A22 A32 A13 d1 A23 d 2 A33 d 3 b Ad A11d1 A12 d 2 A33 d 3 A21d1 A22 d 2 A23 d 3 A d A d A d 32 2 33 3 31 1 19 解答 L (r (ω r )) dxdyd z に成分を代入する。 外積の成分での表示は(復習) A A1 , A2 , A3 , B B1 , B2 , B3 に対して、 A B A2 B3 A3 B2 , A3 B1 A1 B3 , A1 B2 A2 B1 ω x , y , z r x, y, z に対して、 ω r y z z y, z x x z , x y y x 20 解答 ω r y z z y, z x x z , x y y x r x, y, z y x y y x z ( z x x z ) r ω r z (y z z y ) x( x y y x) x( z x x z ) y (y z z y ) ( y 2 z 2 ) xy zx x xy ( z 2 x 2 ) yz y 2 2 zx yz ( x y ) z 各成分に dxdydz をかけて積分する。 21 教科書p.71 角運動量の続き I xx ˆI I yx I zx 前問より、 L Iˆω I xx ( y z ) dxdydz 2 2 I xy I yy I zy I xz I yz I zz I xy xydxdydz 対角成分を慣性モーメントと呼ぶ。(非対角成分は、慣性乗積)。 22 慣性モーメント 慣性モーメントを書き換えると、 I r dm 2 rは軸までの距離。 例えばIxなら、x軸までの距離は、 r2=y2+z2 dmは質量の微小部分 23 慣性モーメントが大きいと、 ・回し始めは回りにくい。 ・いったんある速度で回ると、止まりにくい。 23 微小部分とは 数学的には、 x dx (デルタx) xの差(有限) difference of x x x2 x1 (ディーx) 微小の(無限に小さい)x differential of x 図に描くときは、dxは有限の大きさで書く。 (無限に小さいと見えないため。) dx x dx x 微小部分をたくさん加えると、 全体の長さになる。 24 いろいろな微小部分 dx 長さの微小部分 x dx 微小部分dxの和は、全体の長さ 曲線の場合も同様 ds s ds 微小長さの和は、曲線全体の長さ 面積の微小部分 S dS surface 曲面の面積は、 微小面積dSの和。 体積の微小部分 V dV volume 微小体積をたくさん加えると 全体の体積になる。 25 質量の微小部分 微小質量をたくさん加えると、 全体の質量になる。 m dm 1次元 dx dm dx 線密度(単位長さ当たりの質量) 2次元表面なら、 dm dxdy 面積密度(単位面積当たりの質量) 3次元の立体なら、 dm dxdydz 密度(単位体積当たりの質量) 26 剛体の運動 重心の運動以外に、「回転」を考える必要がある。 力のモーメント dL dt N N rF 角運動量Lは、剛体の場合は、 前回の計算より、 L Iˆω 行列 Iˆ F m r ω 角速度ベクトル(回転ベクトル) の対角成分が慣性モーメント。 慣性モーメント I r 2 dm dmは質量の微小部分 rはdmから軸までの距離。 軸が大事。 27 同じ剛体でも、軸が違えば、慣性モーメントが違う。 慣性モーメントを求めてみよう 28 慣性モーメント I r 2 dm rは軸までの距離。 dmは質量の微小部分 ある軸の周りの回転しにくさを表す量 問題 質量M、長さ2ℓの細い一様な棒の、 図の軸(中心を通る)の周りの慣性モーメントを求めよ。 2ℓ 教科書p.71 29
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