ネットワーク成長モデルにおける 優先的選択関数と適応度の同時推定 大阪大学 東京大学 大阪大学 Pham The Thong Paul Sheridan 下平英寿 適応度モデル [1] は複雑ネットワークを生成するモデルであり、従来の生成モデルよ り多くの種類のネットワークを生成できると言った特徴がある。モデルパラメータであ る優先的選択関数 Ak と適応度関数 fi の統計的な推定方法が充分とはまだ言えない。今 までのすべての既存手法は限定されたモデルしか取り扱わなかった。そこで、本研究は Minorize-Maximization(MM) アルゴリズム [2] を適用して、限定されない形で Ak と fi を 同時に推定できるアルゴリズムを提案した。さらに安定性を考慮するための複数の正則 化項も導入した。提案アルゴリズムの収束を保証する上に、推定量の分散の高速計算も 提案する。数値実験を通して提案手法の有効性を示せた。 1 適応度モデルにおける最尤推定 適応度モデルでは、時刻 t にネットワークに新しく追加されたエッジが既存ノード vi に繋がる確率は、そのノードの次数 dvi (t) の優先的選択度 Advi (t) とそのノードの適応度 fi の積に比例する。 時刻 t において、既存ノードの集合を V (t) とし、ノード vi に繋がったエッジの総数を zi (t) とすると、時刻 t = 1, 2, · · · , T に観測されたデータの対数尤度は l(A, f ) = T ∑ ∑ t=1 i∈V (t) zi (t) log ∑ fi Advi (t) j∈V (t) fj Advj (t) (1) になる。但し、A = {A0 , A1 , · · · } と f = {f1 , f2 , · · · } は推定したい優先的選択関数と適 応度関数である。 尤度方程式を陽に解けないので、MM アルゴリズムを適用して最尤推定量を数値的に 計算するための反復アルゴリズムを提案した。 2 正則化 適応度モデルはデータ数に対してパラメータ数過剰になりやすいので最尤推定は数値的 に不安定である。よって、正則化項の導入が必要になる。fi の事前分布が Gamma 分布にな ∑ るように fi の正則化項を入れた。A の正則化項を −λ k (log Ak+1 + log Ak−1 − 2 log Ak )2 等にした。正則化項を加えた罰付き対数尤度を最大化する MM アルゴリズムを提案した。 数値実験を通して正則化項の有効性を示せた。 参考文献 [1] Bianconi & Barabasi (2001), Competition and multiscaling in evolving networks, Europhys. Lett. 54, 436. [2] Hunter, D.R.; Lange, K. (2000), Quantile Regression via an MM Algorithm, Journal of Computational and Graphical Statistics 9, 60-77.
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