ベイジアンネットワーク概説 第3章 ベイジアンネットワークモデルの 数学的基礎 3.1 ベイジアンネットワークモデルの概要 3.2 ベイジアンネットワークモデルの定式化 岩崎唯史 3.1.1 相互情報量による因果の計量化(1) 2変数 x と y の因果の強さを計量化 → 相互情報量 I(x,y) I ( x, y ) p( xi , y j ) log i j p( xi , y j ) p( xi ) p( y j ) 0 p( xi :) xiの生起確率 p( yi :) yiの生起確率 p( xi , y j :) xiと y jの同時生起確率 ※ x と y が互いに独立 → 最小値 I(x,y)=0 3.1.1 相互情報量による因果の計量化(2) I ( x, y ) p( xi , y j ) log i j p( xi , y j ) p( xi ) p( y j ) p( xi , y j ) log p( xi ) p( xi , y j ) log p( xi | y j ) i j i j p( xi ) log p( xi ) p( y j ) p( xi | y j ) log p( xi | y j ) i i j H ( x) p( y j ) H ( x | y j ) H ( x) H ( x | y ) H ( y ) H ( y | x) j H ( x:) xのあいまいさ (エントロピー ) H ( x | y:) yを知ったときの xのあいまいさ (エントロピー ) 相互情報量とは:一方を知ることで他方が何で あるかについて得られる情報量 3.1.1 相互情報量による因果の計量化(3) [データ1] x={0,1}, y={0,1} p( x 1) 0.01 p( y 1 | x 1) 0.8, p( y 0 | x 1) 0.2, p( y 1 | x 0) 0.8, p( y 0 | x 0) 0.2 • x の値によらず y の確率が一定 → x と y は互いに独立 • 相互情報量を計算すると I(x,y)=0 → 因果関係なし 3.1.1 相互情報量による因果の計量化(4) [データ2] x={0,1}, y={0,1} p( x 1) 0.01 p( y 1 | x 1) 0.8, p( y 0 | x 1) 0.2, p( y 1 | x 0) 0.2, p( y 0 | x 0) 0.8 • x の値で y の確率が変化 → y は x に依存 • 相互情報量を計算すると I(x,y)=0.00356 → 因果関係あり 3.1.2 因果モデルはなぜ必要なのか われわれは、因果モデルを用いて将来の事象を予測 し、意思決定を行っている 目的達成のためには、予測精度と効率の高い因果モ デルが必要 ただし、因果モデルも時には人間の判断を誤らせる -人間の傾向(Gilovich, 1991)- • ランダムデータに対し何らかの因果モデルを見出そ うとする • わずかなデータから全てを決めてしまう • 思い込みや願望でものごとを見てしまう 3.2 ベイジアンネットワークモデルの定式化(1) ・ p( X k | Y h, :バックグラウンド情 ) 報 , Y h を所与したとき , X kとなる条件付き確率 ・ ( Bs, :確率構造 ) Bsと条件付き確率パラメ ータ 集合で指定されるベイジア ンネットワーク n ・ p( X 1 , X 2 ,..., X n | Bs) p( X i | pa( X i ), Bs) (3.1) i 1 n 個の離散変数をもつベイジアンネットワーク の同時分布(条件付き確率と確率の連鎖法則) 3.2 ベイジアンネットワークモデルの定式化(2) 癌転移 p( X1 1) 0.8 p( X 2 1 | X1 1) 0.8 1 p( X 2 1 | X1 0) 0.2 p( X 3 1 | X 1 1) 0.8 p( X 3 1 | X 1 0) 0.2 血清中のカルシ 2 ウム量の増加 3 脳腫瘍 p( X 5 1 | X 3 1) 0.8 p( X 4 1 | X 2 1, X 3 1) 0.8 p( X 5 1 | X 3 0) 0.2 p( X 4 1 | X 2 0, X 3 1) 0.6 p( X 4 1 | X 2 1, X 3 0) 0.6 4 p( X 4 1 | X 2 0, X 3 0) 0.2 昏睡状態 5 激しい頭痛 図3.1 ベイジアンネットワークの因果モデル例 3.2 ベイジアンネットワークモデルの定式化(3) ・ 図3.1の構造に対する同時確率分布 p( X 1 , X 2 ,..., X 5 | Bs) p( X 1 ) p( X 2 | X 1 ) p( X 3 | X 1 ) p( X 4 | X 2 , X 3 ) p( X 5| X 3 ) ・ 図3.1の因果モデルから発生させた20個の事例サン プル → 表3.1 ※ ベイジアンネットワークの因果モデルの学習 → 事例データから因果モデルを推定 3.2 ベイジアンネットワークモデルの定式化(4) 表3.1 データ例 ノード番号 ノード番号 No. 1 2 3 4 5 No. 1 2 3 4 5 1 1 0 1 1 1 11 0 0 0 0 0 2 0 0 0 1 0 12 1 1 1 1 1 3 1 1 1 1 1 13 0 0 1 1 1 4 1 1 1 1 0 14 1 1 1 1 1 5 1 1 1 1 0 15 1 0 1 1 1 6 1 1 0 0 0 16 1 1 1 0 0 7 1 0 0 0 0 17 1 1 0 1 0 8 0 0 0 0 0 18 1 1 1 0 0 9 0 0 0 0 0 19 1 1 0 1 0 10 0 1 1 1 1 20 1 1 1 0 1 平均 0.70 0.60 0.60 0.60 0.40
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