講義資料 14/11/17 定義1.k を体,K, K ′ を k の拡大体とし,φ : K → K ′ を体の準同型とする.任意の a ∈ k に対して φ(a) = a となるとき,φ は体の k 準同型であるという.さらに,φ が体の同型であるとき,φ は体の k 同 型であるという.特に,K = K ′ のとき,φ は体 K の k 自己同型であるという. 例2.複素共役は体 C の R 自己同型. √ √ √ √ √ 例3.対応 a + b 2 7→ a − b 2 (a, b ∈ Q) によって定義される写像 φ : Q( 2) → Q( 2) は体 Q( 2) の Q 自己同型. 命題4.K/k を体の拡大,φ を K の k 自己同型とし,f (t) ∈ k[t],α ∈ K とする.このとき,f (α) = 0 なら f (φ(α)) = 0. 証明.f (t) = a0 + a1 t + · · · + an−1 tn−1 + an tn (a0 , a1 , . . . , an−1 , an ∈ k) とおく.このとき,φ が体の k 自己同型なので, φ(a0 + a1 α + · · · + an−1 αn−1 + an αn ) = a0 + a1 φ(α) + · · · + an−1 φ(α)n−1 + an φ(α)n したがって,f (φ(α)) = φ(f (α)) = 0. 系5.K/k を体の拡大,φ を K の k 自己同型とし,α を k の上に代数的な K の元とする.このとき,α, φ(α) の k の上の最小多項式は一致する. 証明.p(t), q(t) をそれぞれ α, φ(α) の k の上の最小多項式とする.このとき,p(φ(α)) = 0 なので,q(t) は p(t) で割り切れる.さらに,p(t) は k[t] において既約なので,q(t) = p(t). 定義6.K/k を体の拡大,α, β を k の上に代数的な K の元とする.α, β の k の上の最小多項式が一致す るとき,α, β は k の上に共役であるという. 例7.K/k を体の拡大,φ を K の k 自己同型とし,α を k の上に代数的な K の元とする.このとき,系 5から α, φ(α) は k の上に共役. 命題8.K/k を体の拡大,α, β を k の上に代数的な K の元とする.α, β が k の上に共役なら,φ(α) = β ∼ となるような k 同型 φ : k(α) → k(β) が存在する. ∼ 証明.p(t) ∈ k[t] を α の最小多項式とすれば,対応 f (t) 7→ f (α) は体の k 自己同型 φ1 : k[t]/(p(t)) → k(α) を ∼ 誘導する.一方,p(t) は β の最小多項式でもあるので,対応 f (t) 7→ f (β) は体の k 自己同型 φ2 : k[t]/(p(t)) → ∼ k(β) を誘導する.φ = φ2 ◦ φ−1 1 とおけば,φ : k(α) → k(β) は体の k 自己同型で φ(α) = β . √ √ √ √ √ √ 例9.対応 a+b 3 2+c 3 4 7→ a+b 3 2ω+c 3 4ω 2 (a, b, c ∈ Q) によって定義される写像 φ : Q( 3 2) → Q( 3 2ω) は体の Q 同型.
© Copyright 2024 ExpyDoc