2015 阪大理系 問題 5 n を 2 以上の整数とする。正方形の形に並んだ n × n のマスに 0 または 1 のい ずれかの数字を入れる。マスは上から第 1 行、第2行、. . . 左から第1列、第2 列、. . . と数える。数字の入れ方についての次の条件 p を考える。 条件 p:1 から n − 1 までのどの整数 i, j についても第 i 行、第 i + 1 行と第 j 列、第 j + 1 列とが作る 2 × 2 の 4 個のマスにが 0 と 1 が 2つずつ入る。 第 1 列 第 2 列 第 3 列 第 4 列 第1行 0 1 0 0 第2行 1 0 1 1 第3行 0 1 0 0 第4行 1 0 1 1 第2行 第3列 2 × 2 の 4 個のマス (n = 4 の場合の入れ方の例) (1) 条件 p を満たすとき、第 n 行、第 n 列の少なくとも一方には 0 と 1 が交互 に現れることを示せ。 (2) 条件 p を満たすような数字の入れ方の総数 an を求めよ。 解答 行と列を入れ替えても、0 と 1 を入れ替えても議論の本質は変わらないことに 注意しておく。行と列での双対性が成立しているのである。別の言い方をすれば、対 角線に関して対称移動しても条件 p は成り立つのである。 (1) 命題を数学的帰納法で示す。 (i) n = 2 のときは、 1 0 0 1 0 0 1 1 または または c Darumafactory 0 1 1 0 1 0 1 0 または または 1 1 0 0 0 1 0 1 -1- または RadicalMath の 6 通りでどれも適している。 (ii) n = k のとき、命題が成り立つと仮定する。このとき、k 行目が 0 と 1 が交 互に現れるとしてもよい。さらに、k 行目の左が 0 であるとしてもよい。つ まり、 0 1 0 1 0 ··· 0 1 0 1 0 1 0 ··· 1 0 または である。いま、前者の場合を考える。このとき、k + 1 行目に条件 p を満た すように 0,1 を並べると、(a, b, c, d は k + 1 列目の数字) 0 0 1 1 0 0 1 1 0 0 ··· ··· 0 0 1 1 a 1 ······ b 0 1 1 0 0 1 1 0 0 1 ··· ··· 0 1 1 0 c 2 ······ d または 1 の場合は、a = 0, b = 0 となるから、k + 1 列目は確かに 0 と 1 が交互に 2 の場合は、d = 1 とすると、c = 0 となり、k + 1 列目は確かに 0 現れる。 と 1 が交互に現れる。d = 0 とすると c = 1 となる。このときは。k + 1 列 目に 0 と 1 が交互に現れない。 ∗ 0 1 ∗ 1 0 ∗ 0 1 ∗ 1 0 ∗ 0 1 ··· ··· ··· ∗ 0 1 e 1 0 f 3 1 ······ 0 もしこのような場合があるならば、k − 1 行目の e, f は (0, 0) になり、その上 の k − 2 行目の2数は (1, 1) になる。これが1行目まで繰り返されて、k + 1 列目が 0 と 1 が交互に現れることになる。以上より、命題は成立。 【別証明】いま、1列目の i, i + 1 行目が同じ数 a であるとすると2列目の i, i + 1 行目 a と異なる b になる。したがって、i, i + 1 行目の列は下のようになる。 a a b b a a b b a a ··· ··· a a b b ··· ··· この議論は行と列を言い換えても成立する。この性質を用いて、背理法により、 命題を証明する。すなわち命題を否定して、矛盾を導く。 第 n 行にも第 n 列にも 0 と 1 が交互に現れないとする。すると、第 n 行で第 i, i+1 列目に同じ数字 a が並び、第 n 列で第 i, i + 1 行目に同じ数字 b が並ぶ (a = b で もよい)。このとき、下図の表において、x = y かつ x = z であるがこれは 2 × 2 c Darumafactory -2- RadicalMath のマスに同じ数字が3個以上はいることになり、矛盾である。よって示せた。 ··· ··· ··· ··· ··· ··· ··· ··· x z y w b a a a ··· ··· ··· ··· ··· ··· ··· ··· a a b b ··· ··· (2) 条件 p によれば、ある i 行の数字の列とその下の i + 1 行の数字の列については、 同じ数字の列か、反転をして数字の列かである。この性質は列に関しても成り 立つ。 0 1 1 1 0 0 0 1 0 1 1 1 0 0 0 1 0 1 1 1 0 0 0 1 1 0 0 0 1 1 1 0 に現れる列を A 列と呼び、そうでない列を B 列と 0 1 1 1 0 0 0 1 呼ぶ。いま、1 行目が B 列ならば、2行目も B 列 1 0 0 0 1 1 1 0 になり、· · · · · · 、n 行目も B 列になる。このとき、 0 1 1 1 0 0 0 1 n 列目は縦に 0 と 1 が交互に現れなければならな いから、どの i 行の列と i + 1 行の列は反転してい 1 0 0 0 1 1 1 0 0 1 1 1 0 0 0 1 なければならない。したがって、1 行目が B 列で 1 0 0 0 1 1 1 0 ある場合を数えて、 0 1 1 1 0 0 0 1 1 0 0 0 1 1 1 0 以下では行の数字列について考える。0 と 1 が交互 2n − 2 通り 一方、1 行目が A 列ならば、n 行目の A 列になるから、1列目を決めて、2列目、 · · · · · · と反転した数字決めていけばよいから、やはり、 2n − 2 通り さらに、1行目の1列目も 0 と 1 が交互に現れる場合は 2 通りあるから、 an = (2n − 2) × 2 + 2 = 2n+1 − 2 である。 c Darumafactory -3- RadicalMath
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