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通貨発行特権 と世界中央銀行
通貨発行特権 と世 界中 央銀行
1 は じ め に ?
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q① は 通常 、 ﹁君 主造 幣 特 権 ﹂ あ る い は ﹁貨 幣造 幣税 ﹂ と 訳 さ れ てき た。 す な わち 歴 史 的 には、 政 府 が 金 地 金
を貨 幣 に鋳 造 す る 権利 を独 占 的 に所 有 し 、 そ のと き徴 収 し た手 数 料 (
貨幣 の額面 と地金プ ラス鋳造費 の差) を意 味 し て い た。
し か し、 経 済 の発 展 ・拡 大 に伴 な って、 そ の概 念 も拡 張 され 、 現 在 で は ﹁通 貨 発 行 特 権﹂ で総 称 さ れ、 政 治 的 ・法 律 的 な
意 味 の権 利 と、 そ れ か ら派 生 す る経 済 的 利 益 の両 者 を内 包 し て い る。
流 通手 段 と し て の貨 幣 の観 念 化 が す す み、 価 値 章 標 の完 成 形 態 たる 紙 幣 が 流 通 し、 し か も そ れが 不換 化 さ れ ると 、 国 家
(
1)
は 不換 紙 幣 に強 制 通 用 力 を 付 与 し、 通貨 発行 額 に等 し い (通貨発行費用ゼ ロとすれば) ωΦお乱o♂σq① を、 得 る こと が でき る。
(
2>
こ の よう な 一国 内 の議 論 を 国 際 面 にお いても 適 用 し て考 え る こと が可 能 で あ る。 そ の場 合 に は
qD 国 際 的 通 貨 発 行 特 権 はだ れ が 所有 し て いる のか。
② 国 際 通 貨 の発 行 量 と そ の配 分 はだ れ が 行 な う のか。
㈲ 国 際 通 貨 発 行 に よ る利 益 の分 配 は、 ど のよ う に行 な われ る の か。
(
3V
と い う諸 問 題 が 生 じ てく る 。
﹁国 際 通 貨 発 行 特 権 ﹂ の 問 題 も ク ロ ー ズ ・ア ヅプ さ れ 、
と こ ろ で 、 一九 七 一年 八 月 十 五 日 の ド ル の 金 交 換 性 停 止 で 、 名 目 的 に も 実 質 的 に も 国 際 金 為 替 本 位 制 は 終 止 す る こ と と
な り 、 国 際 通 貨 体 制 は 暗 中 模 索 の 混 迷 期 に あ る。 そ れ と と も に
ω①侭 巳o♂ σq① の利 益 を 享 受 し て い る ド ル に対 し て 、 い っそ う の 議 論 が さ れ る よ う に な った 。 ・
本稿 に お いて は、 国 際 通 貨 発 行 特 権 か ら 生 じ る利 益 を、 国 際 通 貨 保 有 者 に利 子 の形態 で還 元 七、 世 界経 済 を最 適 状 態 に
さ せ る よ う な 世 界 中 央 銀 行 の 構 築 を 試 み る 、 R ・A ・ マ ンデ ル (
即 ﹀・ζ ・鼠 ①
=) の 肱 謝 を 検 討 し て い く こ と に す る 。
(1)
本稿 においては蓄蔵貨幣たりうる貨幣と、流通 .支払手段と しての紙幣や不換銀行券を含 んだ広 い概 念とを区別するため、 後者 に ﹁通貨 ﹂の名称
を使うことにす る。
(2)
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mゆqoを取り扱 か った理論的なも のとしては、勇■﹀.言一
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雪目.拙稿、 ﹁国際的な .
.
ω¢茜巳。Bσq①.
. の問題﹂、六甲台論集、第十九巻 一号、昭和四七年四月。 同、
﹁イ ン
フレ!シ ョンと国際通貨制度﹂、 六甲台論集、第十九巻 三号、昭 和四七年十月、を参照。
・F
(3)
則武保夫、 ﹁国際通貨体制 の現状﹂、 ﹃国際通貨体制 の長期展望﹄、世界経済研究協会編、六六一七三ページ、昭和 四七年十 一月。
(4) 即 ﹀ ・ζ 巨
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﹃国 際 経済 学 ﹄、 一五 九 ! = 八四 ペ ージ 、 ダ イ ヤ モ ンド 社 、昭 和 四 六 年 。)一
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豆 基 本 的 図 式
ω 金 が 流 通 して いる 場 合
まず 所 与 の国 際価 格 で外 部 経 済 と財 を取 引 す る小 国 を 考 え 、 国 内 貨 幣 と し て 国 際 準 備 (
金) を 使 用 す る も のと す範 。 ま
た資 本 移 動 は な いも のと し、 当 該 国 の富 の総 額 は貨 幣 (金) と財 (
資本資産) に分 割 さ れ る。 図 一に お いて縦 軸 は、 種 々 の
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通貨発行特権と世界中央銀行 ︼六〇
利 子 率 水 準 を 、 横 軸砺 飯 は 一国 の富 を表 わ し て いる。す な わ ち 、横 軸 上 の各 点 は貨 幣 (
金)と 財 (
実物資本) への富 の配 分 を
意 味 す る 。ゐ〃 線 と Kκ 線 は原 点 を 、それ ぞ れ 砺 、 飯 と す る 貨 幣 と 財 の限 界生 産 力 線 を 示す 。 両 曲 線 はと も に収 穫 逓減 の法
則 に従 い、 貨 幣 と 資 本 の限 界 生 産力 は、 貨 幣 量 と資 本 量 に のみ 依 存 す る と いう意 味 で、 両 曲 線 は独 立 で あ る と仮 定 す る。
均 衡 は 、富 を C Q の利 子率 で、 貨 幣 と 財 を砺 C / C飯 の比率 で分 割 す る点 Q で達 成 され る。 た と え ば q R と いう 利 子率
H
ロ コ ロ コ
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W
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貨幣
財
素への藝
る。
K麗ζ
実質貨幣残高 への心理的報酬砺 加 え ら れ た も のが、 実 質 国 民 所 得 で あ る と いう こ と であ
C と 、 貨 幣 と協 力 す る要 素 への報 酬 B 五Q が 、・さ ら に付 け
馴
た 国 民 所 得 CQ Kq (資本報酬 CΩ P飯 と、 資本と協力する要
で 注意 し な け れば なら な い の は、 通 常 の意 味 で の計 測 さ れ
最 大 と な り、 そ れ は砺 ゐQ Kq で表 わ さ れ ると す る。 こ こ
点 Q で均 衡 が 達 成 さ れ た と き 、 当 該 国 の実 質 国 民 所得 は
うo
れ て いな い の で、 利 子 率 は OB にま で押 し下 げ ら れ る だ ろ
券 に対 す る同 量 の超 過 需 要 が 生 じ る 。 資 本 移 動 が 自 由 であ
れば 、 同 量 の海 外 投 資 が 行 な わ れ る が、 国 際 借款 は仮 定 さ
K U D k のも と で は、 社 会 は R 5 の貨 幣 と T σ の財 を 保 有 しよ う と
0
す る であ ろ う。 そ の合 計 は 3T だ け 社 会 の富 を 下 回 り、 証
L
lL:i並i==:二:::二
㈹ 国内 は紙幣が金 に代替 している場合
つぎ に・砺 c の金 を・ 国 内 紙 幣 にす べ て代 替 し た 場 合 の利 益 に つ いて考 そ
裂
55 ・
中 央銀 行 が 国 内 紙 幣 を、 ω①凶
α
q三。麸σq① に よ って創 出 し 、 公 開 市 場 買 操 作 で国内 の資 産 (証券) を購 入す ると しよ う 。金 に
対 す る国 内 紙 幣 の為替 相場 は、 金 現 送 点 ま で下 落 し、 当 該 国 か ら 金 を 流 出 さ せ る。 理 論 上 は、 当該 国 の金 をす べ て流 出 さ
せ る ま で、 こ の過 程 を 続 け る こと が 可能 であ る。
こ のよ う な操 作 によ り、 砺 C の金 は同 量 の資 本 と 代 替 す る ことが でき る。 ま た資 本 の増 加 か ら、 国 内 利 子 率 はω B よ り
砺 κ へと 下 落 し、 社 会 は以 前 よ り も 多く の通 貨 量 溜 F を保 有 し よう と す る であ ろ う。 す な わち 、 金 から紙 幣 への代替 によ
る実 質 所 得 の利 益 は、 図 一のの κ Q F G の斜線 部 分 で表 わす こと が でき るだ ろ う と す る。 つま り、 こ の利 益 は 二 つ の部分
から 構 成 され て い る。 まず 砺 κ Q C は、 実 物 資 本 の より 大 き な ス ト ック から 生 じ る追 加 的 産 出 高 であ る。 ま た C Q F G は
実物 資 本 の追 加 が 利 子 率 を 低 下 さ せ、 通 貨保 有 の費 用 を以 前 より 軽 減 し 、 社 会 が よ り 多く の通 貨 量 を保 有 し よう とす る こ
と か ら達 成 さ れ る余 剰 であ る。
均 衡 点 はQ か ら F へと 移 動 す るが、 これ は安定 的 な も ので はな いだ ろう 。 な ぜ な ら、 公 開市 場 買 操 作 によ る 国 内 資 産 獲
得 の総 額 を D、 利 子 率 を プと す れ ば 、 、・b に等 し い利 子 が 社 会 から 中 央 銀 行 に支 払 わ れ る こと にな る から であ る 。 課 税 率
不変 のも と で、 国 内 紙 幣 創 出 の全 費 用 を 無 視 す れぽ 、 社 会 か ら の利 子 受 け 取 り は経 済 界 にデ フ レ圧 力 を与 え る であ ろう 。
一六 一
中 央 銀 行 のバ ラ ン ス ・シ ー トで は、 国内 資 産 が金 に代 替 し て い る の で、 国 内 紙 幣 M は D に等 しく 、 、・
ミ ー1} b と な る。
し たが って、 通 貨 の供 給 量 変 化 は
概 ミ
ミ ・罰 1、ミ
通貨発行特権と世界中央銀行
通貨発行特権と世界中央銀行 一六二
とな り 、 M は中 央 銀 行 の保 有 す る 資産 に対 す る利 子 総 額 に等 し い割 合 で減 少 す る。 す な わち 、 通 貨 価 値 上昇 は、 国 内 通 貨
保 有 の限 界 機 会 費 用 を そ の分 だ け 軽減 す る。 よ ってさ ら に多 く の通貨 が保 有 さ れ る よう にな るで あ ろ う。 こ の議 論 をす す
め て いザ ば 、 究 極 は通貨 保 有 費 用 は〃 点 で ゼ ロと な り、 図 噌に お い て社 会 は、 よ り 大き な通 貨 量 q 〃 を 保 有 し よ う とす る
であ ろ う と す る。 し た が って、 当 該 国 の実 質 所 得 は FG 〃 増 加 す る だ ろう 。 中 央 銀 行 は社 会 に国 内 通 貨 を 最 大限 持 た せ る
こと が でき る。
こ のよ う な 可 能 性 は、 中 央 銀行 が 資 産 から の受 け 取 り 利 子 、・
ミ を、 国内 通 貨 預 金 へ利 子 と し て支 払 う こと に よ っても
考 え る こと が でき る。 す な わ ち、 預 金 に対 し て利 子 を支 払 う こと によ り、 社 会 は通 貨 保 有 の報 酬 と し て そ れ を看 做 し、 砺
(
5)
〃 の通 貨 量 を 保 有 す る であ ろ う と す る。 こ の場 合 、 価 格 水 準 は 不変 と な る であ ろう。
(1 ) ζ o口¢計 量 ↓﹃oo︻ざ 一
σ置 二 唱o・胃 一- 嵩 ω・剛暮 雪 日 二〇爵 一国oo口oヨ一〇ψ 唱や 一望 1 μωり. (邦 訳 一五九 - 一六 四 ペ ージ 。)
内 で通 貨 と 財 を 使 用 す る と き の機 会 費 用 よ り も大 き く 、 そ の差 額 5Q T が 、 さ ら に 実 質 国 民 所得 増 加 と し て追 加 され る こと にな る。
(2) も し資 本 移 動 が 自 由 であ れ ば 伽 R の利 子 率 の下 で は 、 S γ の通 貨 と y T の財 が 海 外 証 券 獲得 のた め送 付 さ れ、 そ の利 子 収 入 総 額 ε W X T は 、 国
(3 ) 三角 形 B ム Q と Q κ D は、 土 地 、 労 働 、 非 貿 易財 等 々の 、 通 貨 や財 と協 力す る要 素 への お 口けで あ る 。
(4 ) 寓 8 09 蔓 目冨 。ヨ 凶
三 島二 選 ■旨 ω1 嵩9
も
モ
(5) こ こ で国 内 通 貨 への利 子 支 払 い は、 この 場 合社 会 が 保 有 す る であ ろ う 実 質 通 貨 量 を変 化 さ せな い こ とを 認 識 す る こと が重 要 で あ る。 そ れ は 単 に イ
率、 ・を・ソ フ・率 とすれば、 。一
荷
で表わされ・。中央銀行 から・饗
の魏
出 に従 ・て罐
供給は変化す・ので、 人 喰
Y ・宇
ミ
ソ フ レ率 やデ フ レ率 に影 響 を 与 え る だ け で 、 通貨 保 有 の実 質 費 用 に対 す る 影 響 を 相 殺 す る の であ るQ 通 貨 保 有 の費 用 (0 ) は .
多を 通 貨 に対 す る利 子
であ る。
こ こ で 、 笥﹁ (一\ミ )(亀 ミ ミ ) と すれ ば 、 6-O と な る 。価 格 水準 は変 化 す る こと が 可能 であ る が 通貨 の実 質 量 は最 適 水 準 に留 ま る こと が で き る の
皿 準備率 を導 入した場合
以 上 の分 析 は、 国 内 の金 ス ト ック (
国際準備 も含 めて) が、 す べ て 国内 紙 幣 に よ って 代 替 され る 場合 の利 益 に つい て考 え
K
Q
・、 、
V
\
1
H K
てき た。 し か し、 これ は極 端 な 場 合 であ り、 少 し の準 備 も な し に斗 固 定 価 格
で 通 貨 の交換 性 に対 す る社 会 の信 頼 を 持 続 さ せう る と考 え る中 央 銀 行 は な い
で あ ろ う。 そ こで、 準 備 率 を導 入す る こと にし よ う。 こ の場 合 、 準 備 率 水準
(
1)
を 決 定 す る 要 因 は 種 々あ るが 、 簡 単 化 のた め に、 準 備率 は% とす る。
で は新 均衡 点 はど こ にな り、 百 % 準 備 に比 較 し て、 こ の準 備率 か ら 得 ら れ
る 利 益 は、 ど れ く ら い にな る で あ ろ う か。
これ に答 え るた め に、 マソデ ルは図 一の本 質 的 部 分 を そ のま ま引 き 継 いだ
図 二を 考 え る 。 す な わ ち、 L〃 線 の横 軸 の長 さ の% に対 応 す る 点 を 次 々 に取
り 、 L J 線 を導 出 す る。 こ の線 は国 内 通 貨 に 対 す る金 の準 備 を 表 わし て い
る。 そ し て L J線 と KK 線 の交点 ﹂ は、 H 1 の通 貨 が 保 有 さ れ た と き の金 の
準 備 が 、 H J であ る こ とを 示 す。
準 備 率 を導 入 し た場 合 の、 国 内 紙 幣 と 金 と の代 替 利 益 は、 図 二 の斜 線 部 分
で表 わ さ れ、 図 一のそ れ よ り小 さ い こと は明 ら か であ る。
マンデ ルは 最終 的均 衡 を求 め る た め、 より 高 度 な 図 へと 向 かう の であ る。
通貨発行特権と世界中央銀行
一六 三
を下 落 さ せ る ま ま に しな け れ ば 、 最 適 状 態 に動
す る こ と が でき
いで
達
な
あ
ろ
う
。
これ は通 貨 保 有 費 用 の変 化 や、 実 質 貨 幣 、
(
2)
残高 の追 加 的 調整 を生 じ さ せ る だ ろ う。
受 け 取 り 利 子 は、 経 済 にデ フ レ圧力 を与 え る こと
にな
る。
し たが って中 央 銀 行 は、 通 貨 保 有 に利 子 を支 払 う か、 価 格 水 準
し かし 図 二も、 前 節 で考 察 し たと 同 様 に、 中 央 銀 行 は買 い操 作 によ って、 金 と国 内 通 貨 を代 替 す ると 仮 定 さ れ て お り、
L
Ok
L'
(図2)
OM
通 貨 発 行 特 権 と世 界 中 央銀 行 一六 四
(
1)
︼
≦o
βo
一
霞冤↓冨 o蔓"ま達こ ℃質 一
州切-一
語●
.
K
(2) 追加的通貨保有 は二つの影響 を与 える。すなわち、 ひと つは、中央銀行 によ って保有される準備の スト ックが、 より大きくなる ことであり、 も う
ひと つは、追加的通貨保有は、その限界効用を低下さ せるであろうということ であ る。
W 最適通貨 保有と対外準備
(
1)
最 適 水 準 を求 め る た め、 図 工 の本質 的 部分 をも と に、 図 三を 構 築 す る。 K
κ 線 と 砺 q 線 を延 長 し、 そ の交 点 を0
1 と す る。 そ し て NW の% が N P であ る
よ うな 傾 き で、 0, P線 を 引 く 。0
, P 線 は中 央 銀 行 が受 け取 り利 子 を 、 全 部 通
'
E 一
Z
貨 保 有 に対 す る利 子 と し て支 払 う 場 合 の、 通 貨 保 有者 の利 子 負 担 分 を示 す 。
L ﹂線 とα p線 の交 点 p で・ 最 適 金 ス ト ・クq N と、 最 適 通 貨 スト ・ク㍗
Q
一 ,'
'
ノ
'
s r T'
\ 、p
'
有 費 用 は N P と な る。 し たが って、、図 二よ り も 大 き な 通貨 量 が 中 央 銀 行 の利
は中央銀行 の預 金利子率
Ok
AL'
OM N
子支 払 いに よ り 保有 さ れ、 準 備 率 % のも と で の、 紙 幣 の金 か ら の代 替 に よる
量、 多
0
(図3)
利 益 は、 図 二 の斜線 部分 より も 大 と な る 。
社会 は磁 五 の資 本 スト ック と、 NW の市 場 利 子 率 で中 央 銀行 から 借 り た 五
N の資 本 ス ト ック、 合 計 Nq を資 本 と し て所 有 す る 。 し か し、 中 央 銀 行 は受
は通無
け 取 った 利 子 NW E Aを、 砺 A ×EZ と し て、 す べ て通 貨 保有 に対 す る利 子
と して ・ 社 会 に還 元 す る・ (こ・で㍗
を さ す。) こ の預 金 に 対 す る 利 子 率 は 、 稼 得 資 産 (
。
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Q⇔・。
畏 、、ここ で は証 券 )
\
J%jW
が 決 定 さ れ る。 こ の状 態 で、 実 物 資 本 に対 す る 利 潤率 は N W であ り 、 通 貨 保
L
\
\
と非 稼 得資 産
(
社 債)、 M を 通 貨 と し 、 r・
を前 者 の、 ・
zを 後 者 に 対 す る 利 子 率 と す れ ば
(こ こで は金 ) の 割 合 に 一致 す る 。
いま β を証 券
、・
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十 )
こ こ で αは 、 準 備 率 を 示 す 。 し た が って 、 通 貨 に 支 払 わ れ る 最 適 利 子 率 は
軌11 ρ 1 黛)・
、
で示 さ れ る。
マ ソデ ル は 図 三 の 状 態 は 、 通 貨 の 創 出 が 通 貨 の 限 界 効 用 に 等 し い量 で 、 実 質 所 得 を 増 加 さ せ る で あ ろ う と い う こ と か ら
最 適 な も の で あ る と す る 。 ま た 通 貨 保 有 者 に と って 通 貨 の 限 界 効 用 は 、 通 貨 保 有 の 限 界 費 用 011 、1 馬+ 淵 (πは イ ン フレ率 )
に 等 し い こ と が 必 要 で あ る 。 し か し 、 追 加 的 通 貨 を 創 出 す る た め に は 、 αに 等 し い 準 備 が 要 求 さ れ 、 こ の 準 備 は 、 国 内 資
本 ス ト ッ ク の犠 牲 に よ って 獲 得 さ れ ね ば な ら ず 、 実 質 通 貨 残 高 を 創 出 す る 社 会 的 費 用 は OH 食・、 と な る と す る 。
以 上 の議 論 は 、 静 態 的 フ レ ー ム ・ワ ー ク の な か で 、 小 さ な 中 央 銀 行 や 個 々 の 銀 行 に つ い て の も の で あ り 、 い わ ば ミ ク ロ
経 済 の も の で あ った 。 つぎ に 、 世 界 経 済 と い う マ ク ロ の 段 階 に す す む こ と に し よ う 。
経
済
(1) ζ8 0耳 網目言 o
蔓 ℃ま竃二 ℃℃.一
朝一 嵩P
V 世 界
マソデ ルは与 え られ た国 際 価 格 で、 世 界 の他 の諸 国 と貿 易 す る小 国 経 済 か ら、 全体 と し て の世 界 経 済 に移 行 す る 場 合、
財 に対 す る通 貨 の購 買 力 の変 化 を 考 慮 に入 れ る 必 要 が あ る と す る。 ま た 世 界 経済 は閉 じ て お り、 単 一の利 子 率 によ り 統 合
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通貨発行特権と世界中央銀行 一六六
さ れ て いる も のと仮 定 す る。
ま ず 、 す べ て の国 は同 一規 模 であ り 、 各 国 は国 内 通 貨 によ って、 金 の 一定 割 合 を代 替 す る。 ま た成 長 はな く 、 国 際 通 貨
(金) の固定 し た スト ックが あ るも のと 前 提 す る。
図 四 にお い て横 軸 は、 世界 の貨 幣 と資 本 の スト ックを 示 し て いる。 L〃 線 は各 国 の実 質 金 ス ト ック に対 す る需 要 線 を合
F
P
E
L'
C
﹃ H 伽
(図4)
な る。 し たが って、 いく ら か の諸 国 は代 替 に よ って、 個 々 に利 益 を 得 る かも
価 値 は、 B Q から B J へ減 少 し、 流 通 し て いる国 内 紙 幣 の実 質 価 値 は y Q に
ら の、 世 界 経 済 への利 益 は な いと す る。 な ぜ な ら 、 世 界 全体 と し て金 の実質
衡 は財 に対 す る 金 の代替 に よ っても 変 化 はな く 、 国 内 紙 幣 に よ る金 の代 替 か
う マク ロ経 済 と は、 基 本 的 に異 な って いる こと を 示 し て いる。 そ し て実 質 均
れ は小 規 模 で個 々に活 動 す る単 一経 済 の ミ ク ロ経 済 的可 能 性 と世 界 経 済 と い
さ れ て いる ので、 金 の タ ー ム で の財 の価 格 も 三 倍 に な る であ ろう と す る。 こ
す れば 、 世 界 の通 貨 量 は 三倍 と な り、 世界 の資 本 財 の スト ック は DQ で固 定
ので あ る。 し か し、 各 国 が 個 々に % の準 備 で、 金 を国 内 通 貨 で代 替 し よう と
と L〃 線 の交 点 Q で均 衡 が 決 定 さ れ る。 世 界 経 済 は国 内 経 済 の拡 大 さ れ た も
各 国 に お い て、 金 が 唯 一の国内 流 通 手段 と し て使 われ て いる 場 合、 KK 線
線 であ る。
価 格 は 一定 では な く、 変 数 と な る。 ま たK K 線 は、 資 本 に対 す る世 界 の需 要
成 した も の で、 財 の価格 に よ って貨 幣 スト ックをデ フ レー ト し、 通 貨 に対 す る 実 質 需 要 と し て与 え ら れ る。 い ま や財 の金
Q
K D k
O
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工
一 一
一
一 一 一 一 一
一 一 一 一 一
一 一 一 一 一
しれ な いが 、 これ は他 の諸 国 の犠 牲 に よ って のみ 利 益 を 得 る にすぎ な い のであ る とす る。
と ・
ころ で、 金 が 国 際 的 準 備 と し て のみ有 用 であ る限 り 、 各 国 は資 源 を 犠 牲 にす る 金 を、 でき る だ け節 約 し よ う と 努 める
であ ろ う。 各 国 は、 他 の諸 国 の必要 を考 慮 す る こ とな し に、 競 争 し て国 内 紙 幣 で金 を代 替 し、 国 内 流 通 手 段 と し て は国 内
き 通貨 を、 対外 準 備 と し て の み金 を 使 用 す る よ う に な る だ ろ う。 マ ンデ ルは競 争 的 に金 と 国内 紙 幣 を代 替 す る こと が 、 より 、
有 効 な 状 態 へ近づ いて いく こと にな る と 主 張 す る。 こ のよ うな 代 替 過 程 で諸 銀 行 は、 稼 得 資 産 (証券) を獲 得 し、これ ら の
資 産 から の利 益 は、 そ の利 益 が 消 滅 す る ま で、 新 規参 入 と 競争 を招 来 す る であ ろ う。 新均 衡 は、 金 に対 す る紙 幣 の価 値 上
昇 か、 紙 幣 に対 す る利 子支 払 い に よ り形 成 さ れ る こと が で き る だ ろ う。 こ の両者 のいず れ の場 合 も 社 会 は、 金 の 紙幣 によ
る代 替 以 前 より も (一定 の準備率 のもと であ るが)、 より 多 く の通 貨 量 を 保 有 す る で あ ろう とす る。
図 四 に お いて、 競 争 は通 貨 の価 値 上昇 の形 態 か、 Q P (
9 Cの%に相当) に等 し い通 貨 預 金 への 利 子 支 払 い の形 態 で、 社
会 に対 し て利 益 を 還 元 す る であ ろ う。 し たが って、 最 適 通 貨 保 有 は、 % の準 備 率 のも と で は H F とな り 、 競 争 的 な 過 程 か
ら の利益 は、 Q C E F とな るだ ろう と す る。
と ころ で、 いま ま で は金 は商 品 と し て使 わ れ な いと 暗 黙 のう ち に前 提 し て いたが 、 現 実 の社 会 にお いて金 は、 貨 幣 であ
る と 同時 に商 品 であ る。 見 換 制 下 で銀 行 券 は固 定 レ ー ト で金 と 交 換 でき る が、 上昇 す る価 格 水 準 の下 で は、 商 品 の価 格 に
比 較 し て、 金 と 銀 行券 の相 対 価 格 は下 落 す る。 し たが って金 は、 装 飾 品、 歯 科 用、 宝 石細 工等 々工 業 資 本 と し て 吸 収 さ れ
て しま う であ ろ う。 よ って、 図 四 で 示 さ れ た社 会 的 節 約 は、 純 粋 な 金 地 金 本 位 制 から の移 行 に よ って 達 成 さ れ た 利 益 を、
低 く 見 積 も って いる こと にな る で あ ろ う。 も しも 、 一定 の価格 で金 が、 私 的 産 業 へ吸収 さ れ るな ら ば 、 世 界 の各 国 に おけ
る金 の部 分 的 代 替 は、 図 三 で 示 さ れ た の と同 じ よう な 利 益 を結 果 す る で あ ろ う。 こ の場 合 、 イ ン フ レを 伴 な った 通 貨 増 発
の かわ り に、 代 替 過 程 は 社会 的 資 本 と純 粋 利 益 の増 加 を 結 果 す る で あ ろ う。
通貨発行特権 と世界中央銀行 一六七
通貨発行特権と世界中央銀行 一六八
経
済
(1) ζo昆㌶蔓 ↓ず8蔓弘 三畠二 冨.嵩O一お。。
●
(2) 各国の大きさは同規模という仮定をおいて議論しているが、もしも 一国が非常に大きければ、その国にとっては、対外的なものも対内化すること
ができる。すなわち、アメリカのように対外準備なしに、通貨を創出することができ、.
代りに資本を得ることが可能なのである。もちろん、その他
の国はそれにより犠牲を強いられているのである。
W 成 長
(
1)
つぎ に マ ソデ ルは、 成 長 経 済 にお け る 最 適 通 貨 保有 の問題 を考 察 す る。 ま ず 、
一定 量 の資 源 は新 資 本 財 の創 出 に貢 献 す
ると 前 提 す る。 世 界 の通 貨 保 有 は最 適 水 準 に あ る も の と し て出 発 し、 経 済 成 長 によ って、 こ れら の最 適 通 貨 保 有 が い か に
変 化 す る かを み て い こう 。 ま た 準 備 に対 す る需 要 線 は、 準 備 が 所 得 と 同 じ 率 で 成 長 しな けれ ば な ら な いも の であ る と仮 定
する。
世 界 の価 格 水 準 を 安 定 化 さ せる た め に、 世 界 中 央 銀 行 は、 産 出 量 の増 加率 に 等 し い通 貨 増 発 を しな け れ ば な ら な い。 ひ
と つ の方 法 は、 通 貨 に対 し て追 加 的 利 子 を支 払 う こ と であ る。 し か し、 これ は、 よ り大 き な 準 備 保 有 と 通 貨 の過 剰 保有 を
招 来 す る 欠 点 を 持 つで あ ろ う。 新 通貨 の創 出 は、 通 貨 保 有 に対 す る誘 因 を変 化 さ せな い よう な 方 法 で な さ れ な け れぽ な ら
な い。
通 貨 供 給 の変 化 は、 中 央 銀 行 の操 作 に よ って決 定 さ れ る。 す な わ ち
喉 甚 弔 乱 +零 +恥 (
じ
と な り 、蹴鞠\ミ は 稼 得資 産 (
証券) の時 間 当 り 購 買、 概Q\ミ は 非 稼得 資 産 (
金) の時 間 当 り 購 買 、 ㌣ミ i、・
ヒ
6 は中 央銀 行
の受 け 取 り 利 子 と 通 貨預 金 に対 す る利 子 支 払 い の差 額 に よる 通 貨 供給 を表 わす 。
ま た、 通 貨 保 有 の私 的機 会 費 用 (C) は 、
貸11、1∼+註 .
(
卜。)
実 質 通 貨 残高 創 出 の社 会 的 費 用 は
O斎踊零 、 (
ω)
と ころ で、 ②、 ㈲ よ り、 通 貨 の最 適 量 を 保有 さ せる 利 子 率 は 、
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であ る。 つぎ に ワ ッ シ ャ ー (
担 閃写 ①﹁
) の交 換 方 程 式 ミ ・く11、・
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と なり 、 ⑤式 へω 式 を 代 入 整 理 す れば
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を得 る。 ㈲式 に㈲ 式 の最 適 条 件 を考 慮 に 入れ れ ば 、
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と な る。 こ こ で 0
6は稼 得 資 産 の増 加率 、 侮は非 稼 得 資 産 の増 加 率 を 示 す。
以 上 の こと を要 約 す れ ば 、 成 長 が な い状 態 で 保有 さ れ る最 適 準 備 が 与 え られ て い ると す れ ば、 成 長 はデ フ レを意 味 し、
通貨 残 高 の価 値 上 昇 か、 過 剰 な 準 備 通 貨 の保有 を 示 す。 最 適 条 件 の回 復 は、 通 貨 残 高 に対 す る利 子支 払 いを減 少 さ せる だ
け で は、 達 成 され る こ と は でき な い。 な ぜ な ら ば、 そ の分 だ け銀 行 の余 剰 を増 し、 デ フレを さ ら に深 刻 に さ せ る か ら であ
る。 妥 当 な解 決 は稼 得 資 産 と非 稼 得 資 産 の比 率 を 保 持 し つ つ、 成 長 率 に等 し い率 で金 と証 券 を 購 入 す る こと で あ り、 結 果
通貨発行特権と世界中央銀行 一六九
通 貨発 行 特 権 と 世 界中 央 銀 行
は非 イ ン フ レ的 な も のであ る。
(1) 言 oロo邸 望 ↓冨 o蔓 曽凶げ筐 二 娼O・一。。ω1 一。。餅
W 世界中央銀行 への道
一七 σ
(
1)
以 上 の分 析 を も と に、 マンデ ルは 世界 中 央 銀 行 への構 築 にと り か かる。 まず 第 一に諸 国 は自 国 の金 準 備 を中 央 銀 行 に集
中 す る こと を 同 意 す る と と も に、 世界 中 央 銀 行 はそ れ に対 し て金 証 券 を 発 行 し、 金 証 券 は各 国 中 央 銀 行 の準 備 と し て持 た
(
2)
(
3)
れ る だ ろ う 。 あ る いは、 ベ ル ン シ ュタイ ン (
国・竃・需ヨω
録 コ) の いう よう に、 世 界 中 央 銀 行 に対 し て 金 を 。
、
①pNヨp蒔ぎσq.
.し
て物 理 的 所 有 を 許 し ても よ いだ うと す る 。
これ ら の諸 手 段 は、 世 界 中 央 銀 行 に対 す る信 用 を得 る た め のも の であ る。 世界 通貨 に対 す る信 認 が ま った く 欠 け て いれ
ば 、 百 % の準 備 が 必 要 であ り、 信 認 が 全 面的 に存 在 す る場 合 に は、 準 備 は不 必 要 で あ る。 いず れ に し ても 、 世 界 中 央 銀 行
発 足 当 初 は 、 高 い準 備 率が 必要 と さ れ る。 た と え ば % の準 備 で ス タ ート す れば 、 % の金 資 産 が 稼 得 資 産 、 たと え ば 、 ド ル
と代 替 でき る。 そ し てド ル資 産 から の受 け取 り利 子 を 、 金 証 券 に利 子 と し て支 払 う。 こ の場 合、 銀 行 の諸 経 費 を 無 視 す れ
ば 世 界 通 貨 への利 子 払 い は、 ド ル資 産 の利 子 率 の% と な る であ ろ う。
世 界 中 央 銀行 に対 す る信 認 が 増 加 して く れば 、 準 備 率 も 、 よ り低 下 す る であ ろ う し、 世 界 通 貨 に対 す る利 子 払 いも増 加
・
す る。 し たが って、 世 界 通 貨 も 、 よ り 多 く保 有 さ れ る よう にな る であ ろう 。 そ し て究 極 的 に は、 無 準 備 発 行 が 行 な わ れ 、
金 は追 放 さ れ る よう に な る であ ろう と 壼
説o関口oψ噌月﹁£ 識。なo o肩 潔 o口oざ くoド 起
電ωP 対㌘ ωり朝ームOド (鬼 頭 七 三郎 訳
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(2 ) こ の考 え方 拡、 ケ イ ンズ 案 やト リ フイ ン案 に み られ る。 ↑ 言
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草書 房 、 昭 和 三 九 年 。)
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8 00ヨ ヨ葺 oo層ζ 昌 噂一⑩①一. (鈴 木 浩 次
﹃ケイ ンズ貨 幣論 ﹄、 同 文 館 、昭 和 七年 。) 即 日ユ{津ジ Oo薤 露 q 暮o uo=母 〇二 ω凶。。"団円 ① ご巳 く.層一霧 P (村野 ・小 島 訳 ﹃金 と ド ル の危 機 ﹄、 勤
編 、 ﹃国 際 流 動 性論 集﹄、 東 洋 経 済 、 昭 和 三九 年 所 収 。)
(3 ) 国
(4 ) マンデ ルは金 は 廃 貨 さ れ る であ ろう と いう 意 見 で あ る が 、 私 見 と し て は 、金 の みが 究 極 的 な 貨 幣 で あ り 、 ﹁安 眠 ﹂ す る こと は あ っても 廃 貨 さ れ る
こと はな いで あ ろ う 。後 節 で述 べ る金 価 格 引 き 上 げ も 同 様 な 立 場 か ら で あ る。
皿 マン デ ル所 説 の検 討
国
際 通 貨 発 行
特
権
に
(
1)
よ る利 益 の配 分 方 法 は理 論 的 に は 三方 式 あ る。 す な わ ち
ω、自由市場方式 (
h§ 暮 ﹁
﹃2 ω
。一
毎 8)
㈲、中央政府方式 (
§ 5 一σq。<。
∋幕 三 m
。一
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㈹、需要型方式 (
山①§5匹一
箸①。・
。ζ δロ
)
であ り 、 ω は世 界 中 央 銀 行 が 金 や各 国 通貨 の払 い込 みを 受 け 、 国 際 通貨 を 発行 し、 そ の貸 付 ・投 資 収 益 を、 預 金 者 の利 子
支払
(
2)
い によ って分 配 し よ う と す る も の であ る。 ㈹ は、 世 界 中 央 銀 行 に対 し て、 世 界 的 公 共財 の購 入 や国 際 的 所 得 の再 配 分
を行 な わ せよ う と す る も ので あ る。 す な わ ち、 国 連 ・I M F ・世 界 銀 行 の運 営 費 と い った 公 共 財 の購 入 や、 発 展 途 上 国 に
多 く 配 分 しよ う と す る。 ㈹ は、 各 国 に 長期 的 通 貨 需 要 に対 す る平 均 に比 例 し て、 配 分 さ れ る べき も のであ ると いう も の で
ある 。
マンデ ル の議 論 は 、 ω に 相 当 す る と い う こ と が でき る。 こ の議 論 で まず 問 題 にな る の は、 各 国 が金 の集 中 管 理 に、 は た
して 同 意 す る であ ろ う か と いう こ と であ る。 戦 争 や イ ン フ レの危 険 が 全 然 な く な る ま で、 各 国 は金 を でき るだ け 自 分 の手
元 にお く こと を 欲 す る で あ ろ う。 そ の つぎ に問 題 と な る の は、 現 行 の莫 大 な ド ル残 高 の解 消 を 図 る のは、 ど う ずれ ば よ い
通貨発行特権 と世界中央銀行 一七 一
通 貨 発 行特 権 と 世 界中 央 銀 行 一七 二
か と い う こ と で あ る 。 ユー ロ ・ダ ラ ー に よ って 国 際 通 貨 体 制 が 何 度 も 危 機 に直 面 さ せ ら れ る 現 実 を み る と き 、 こ れ は 是 非
と も 解 決 さ れ な け れ ば な ら な い こ と で あ る 。 さ ら に 考 慮 し な け れ ば な ら な い の は 、 発 展 途 上 国 に 対 し て は ω の方 式 は 極 め
て 不 公平 で あ る と いう こ と であ る。
(
3)
こ のよ う な 諸 問 題 を解 決 す る方 策 と し て は、 金 価 格 の大 幅引 き 上 げ が 考 え ら れ る だ ろう 。 す な わ ち、 金 の評 価 益 を 金 で
I M F か 新 国 際 通 貨 機 関 に出 資 さ せ る 。 (
そ のさ い、 あ る 程度 の金 の再 配分 を行 な う 。) ま た ア メ リ カ は 、 評 価 益 に よ って 、 ド
ル 残 高 の 一部 を 回 収 し 、 そ の 他 は 長 期 低 利 の貸 し つ け を 受 け れ ば よ い で あ ろ う 。 (こ の場 合 、民 間 保 有 のド ル残 高 と介 入 通貨 の
た め のド ル保 有 を 除 いた 、 公 的機 関 保 有 の過剰 ド ルだ け を 整 理す れ ば よ い。
) こ のよ う な金 の評 価 益 の集 中 管 理 は、金 価 格引 き 上げ
よ り 生 じ る 国 際 的 イ ン フ レ防 止 にも 役 立 つで あ ろ う。
し か し、 こ の 方 式 は 、 莫 大 な 資 産 を 世 界 中 央 銀 行 が 、 管 理 ・運 営 し な け れ ば な ら ず 、 技 術 的 に も 困 難 な 面 も あ り 、 投 資
資 金 を ど う 運 用 す る か に よ り 、 不 公 平 が 生 じ る 難 点 も あ る 。 ま た 南 北 問 題 の 解 決 に あ た って は 、 別 の 機 関 を つ く る 必 要 が
あ る であ ろ う 。
いず れ に し て も 、 特 定 国 が ω。一
σ
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q① の 利 益 を 独 占 す る こ と な く 、世 界 全 体 と し て 国 際 貿 易 や 資 本 取 り 引 き が 円 滑 に
(
4)
行 な わ れ 、 世 界 経 済 が 成 長 を 確 保 す る よ う な 方 向 で 、 ωΦ蒔 艮o鎚 σq① の分 配 が な さ れ る べ き で あ ろ う 。
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(3) 則 武 保 夫 、 前 掲 書 、 六 六一 七 三 ぺ ージ 。
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画 国oo口o§ ざ
(4 ) 本 稿 の作 成 にあ た り 、 七 月 二 四 日 の M ・M ・E (ζ09 ヨ 言 8 窪碧 ︽ 団8 p。∋ 凶
のけω) 研 究 会 の席 上 で、 多 く の有 益 な コ メン ト を戴 き 、心 よ り御 礼
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(2) 国際 的 な h
一算 ヨoロΦ鴫 に 対 す る 利 子支 払 いに つい て述 べた も の に 勺¢8鉾 し目幽Ω 日ぎ 一口陣雲 Φ鴇 ℃9網目o口尻 磐 田 昏 o閃β。8 0h 因oけ目旨 8 冒 →
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申 し 上 げ ま す 。 も ち ろ ん 、あ りう べき 誤 り は、 私 自 身 の も の で あ る こと は、 いう ま でも あ り ま せ ん。