発行日 2015.1.20 みなさんこんにちは。大垣徳洲会病院 医療情報誌 IABP駆動装置は心臓の ポンプ機能が低下して いる患者さんをサポー トする為の機械です。 大腿動脈から30~40ml のバルーンのついた、 カテーテルを心臓の拍 動にあわせて拡張、収 縮させます。 この動きによって心臓 を助けます。 臨床工学科が発行する 心臓への酸素の供給は冠動脈が行っています。 冠動脈への血流は冠動脈が心筋に埋もれている 為、収縮している時にはあまり流れず、拡張期 に多く流れます。 IABPの大きな効果は2つ!! ①Diastolic Augmentation ダイアストリック・オグメンテーション 心臓の拡張期開始時にバルーンを拡張させる。 ・拡張期血圧の上昇 ・冠動脈への血流増加 ・脳、腎血流の増加 心臓の勢いを強くする! ②Systolic Unloading シストリック・アンローディング 心臓の収縮開始期にバルーンを収縮させる。 ・心筋の酸素消費量の減少 ・左室の後負荷を軽減する。 心臓の動きを楽にする! Medical partners IABPの駆動原理 心電図のQRS、または動脈圧に同期させ て、迅速にバルーン内にガスを送り込み バルーンを膨らませる必要があります。 そのため使用する際のガスは、軽くて拡 張や収縮に動きの速いヘリウムガスが用 いられます。 万が一、バルーンが破れてヘリウムが漏 れても素早く血液に吸収され、梗塞を起 こす原因にはなりにくいガスです。 バルーンの留置位置 左鎖骨下動脈より2センチ程度下にバルーンの 先端を置く胸部下降大動脈内で腎動脈にバルー ンがかからない様に留置します。 上に行き過ぎると大動脈弓を傷つけてしまう危 険、下に下がると大切な腎動脈を閉塞させてし まい腎不全や腸管虚血を起こす原因にもなる。 身長とバルーンの選択 IABPで使用するバルーンは身長によって 決まります。 バルーンのサイズはバルーンの容量で表 されます。 30cc:155cm未満 35cc:155~165cm 40cc:165cm以上 Page 2 拡張と収縮のタイミング サポートを十分にするためにはきちんと拡張と収縮のタ イミングを心臓の動きに合わせることが重要です。心臓 の動きに同期させるためには心電図または大動脈圧を認 識してバルーンのタイミングを合わせます。 拡張末期圧が最も低い所 【拡張させるタイミング】 大動脈圧波形のdicrotic notch 心電図波形のT波の頂点付近 【収縮させるタイミング】 大動脈波形で拡張末期圧が最 も低くなるタイミング 心電図波形でP波の終了直後 【不適切なタイミング設定が起こると・・・】 問い合わせ先 膨張のタイミングが早いと心臓の一回拍出量が減少。 2015年1月号 膨張のタイミングが遅いと冠動脈への血流増加が不十分。 臨床工学科 内線 2037 収縮のタイミングが早すぎると後負荷の軽減が不十分。 制作・編集担当 中野 路子 久富 俊宏 収縮のタイミングが遅いと後負荷が軽減されず、駆出抵抗 が上がり、心筋での酸素需要は増加する。 中級編では、現場管理で見るべきpointをお伝えします。
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