IABPの合併症 - 医療法人 徳洲会 大垣徳洲会病院

発行日 2015.3.20
みなさんこんにちは。大垣徳洲会病院
医療情報誌
IABPの合併症
・血管合併症
下肢阻血
血栓塞栓症
動脈解離
動脈損傷
臨床工学科が発行する
バルーンの穿孔(ラプチャー)
<原因>
①動脈内の石灰化病変部とバルーンが頻繁
に接触して摩耗した。
②バルーンが折れ曲がった(ねじれた)状
態でポンピングが行われて疲労破壊を起
こした。
③挿入時に傷がついていた。
・感染症
一週間程度で発熱や、
CRPの増加がみられる。
血液がバルーン内に入ってくる
・出血、血腫形成
・重篤な合併症
バルーンの穿孔、破裂
⇒バルーン抜去困難
アテローム塞栓症
⇒大動脈についているコレステロールがはが
れて脳梗塞や腸管の血管の梗塞を起こす。
↓
血液とヘリウムガスが混ざり固まる
↓
IABPの抜去が出来なくなる
(*早期に発見されればIABPが抜去できる。)
↓
外科的に抜く必要がでる
*予防としてCTをとって下肢の評価をしておくと良い
Medical partners
IABP駆動中の患者管理・合併症予防
下肢虚血
・足背、後脛骨動脈拍動の有無
・ドップラー血流音の聴取
・下肢皮膚の色調、温感と左右差
・血行障害を示す患者の訴え
バルーンの穿孔(ラプチャー)
・カテーテル体外チューブ内の血液
血栓(砂状で赤褐色)の観察
・キンクアラーム、リークアラームなどの頻発
・X線によるバルーンの位置の確認
適切なタイミングで拡張収縮させた場合
動脈解離、動脈損傷
・X線によるバルーンの位置の確認
・足は必ず伸ばす。
タイミングエラー
・施行中の圧波形の確認
その他合併症の予防
・褥瘡の予防
・肺合併症の予防
・不穏時の対応
誤ったタイミングで拡張収縮させた場合
拡張が早い
拡張が遅い
収縮が早い
収縮が遅い
誤ったタイミングでバルーンを拡張収縮させると心臓の負担を大きくしてしまい、IABPを留置した
効果が十分に得られない。 拡張のタイミングが早いと心臓の拍出を妨げてしまい、心臓に余計な
負荷をかけてしまい拡張のタイミングが遅いと心臓の拡張期に大動脈圧を十分高く上げることがで
きないため上行大動脈側に血液が逆流せず、冠動脈への血流量を増やすことが出来ない。そうなる
と、心臓への酸素供給量が減り心臓に負担が掛かる事になる。
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超音波ドプラー
ドップラー先端
拡大
ここに超音波
ゼリーが入っ
ています。
ここにドップ
ラーが入って
います。
<超音波ドップラーの使い方>
①電源を入れます。
②ドップラー先端に超音波ゼリー
をつけます。
③血流の確認をしたいところに当
てます。
電源
IABPはバルーンやデバイスが太いため下肢虚血な
どに陥りやすい状態にあります。
誤って阻害して虚血状態を引き起こしてしまうことが
あるので注意が必要です。
ドップラーで血流音が聞こえなくなり数時間すると
CPKの値が上昇してきます。
IABPバルーンにはYAMATOという名前のものがあり
ます。
これは、その名前の通り大和(やまと)日本人向け
に作られたバルーン径が細いバルーンです。
そしてIABPではカテーテルを長い時間留置したままにして
おくのでカテーテル挿入部は常に清潔にし、感染症を予防
しなくてはいけません。
<IABP駆動中の抗凝固>
IABP駆動中はACTを
150秒~180秒
に維持します。
問い合わせ先
2015年3月号
臨床工学科 内線 2037
制作・編集担当
中野 路子
久富 俊宏