解析学IV演習第2回試験問題

解析学 IV 演習第 2 回試験問題
2015.12.22
問題 1
面積確定集合 {(x, 2x) ∈ R2 |0 ≤ x ≤ 1} の面積を求めよ.
(解答例)
任意に ε > 0 をとる. 2/n < ε となる n ∈ N をとる.
2
A = {(x,
x ≤ 1}, Bm = [(m − 1)/n, m/n] × [2(m − 1)/n, 2m/n] (1 ≤ m ≤ n) とする.
∪ 2x) ∈ R |0 ≤ ∑
A⊂
Bm , |A| ≤
|Bm | = n(1/n)(2/n) = 2/n < ε である. A の面積は 0 である.
1≤m≤n
1≤m≤n
問題 2
D = {(x, y) ∈ R2 |0 ≤ x + y, 0 ≤ x − y}, Dn = {(x, y) ∈ R2 |0 ≤ x + y ≤ n, 0 ≤ x − y ≤ n} (n ∈ N) と
する.
(1)
∫∫
(x − y)e−(x+y) dxdy.
n ∈ N とする. 次の積分値を求めよ.
Dn
(2)
以下の広義積分は収束するかどうかを判定せよ
. 収束するならばその値を求めよ.
∫∫
(x − y)e−(x+y) dxdy.
D
(解答例)(1):
(
)
x
+
y
x
−
y
f, g : R2 → R2 , f (x, y) = (x + y, x − y), g(x, y) =
,
= (g1 (x, y), g2 (x, y)), とする.
2
2
(x, y) ∈ R2 ならば f (g(x, y)) = (x, y) = g(f (x, y)) だから f は全単射で g = f −1 である.
g のヤコビ行列を
J)
とする. すなわち,
(
1 1 1
−1 1
−1
J(x, y) =
, det J(x, y) =
− =
, ((x, y) ∈ R2 ) である.
2 1 −1
4
4
2
En = [0, n] × [0, n] とする.
g(En ) = Dn を示す. (x, y) ∈ En ならば g(x, y) = ((x + y)/2, (x − y)/2),
g1 (x, y) + g2 (x, y) = x, g1 (x, y) − g2 (x, y) = y, g(x, y) ∈ Dn , g(En ) ⊂ Dn である.
(x, y) ∈ Dn ならば f (x, y) = (x + y, x − y) ∈ En , f (Dn ) ⊂ En である.
Dn = g(f (Dn )) ⊂ g(En ) ⊂ Dn , g(En ) = Dn である.
積分の変数変換公式より
∫∫
∫∫
(x − y)e−(x+y) dxdy =
(g1 (x, y) − g2 (x, y))e−(g1 (x,y)+g2 (x,y)) | det J(x, y)|dxdy
Dn∫ ∫
)
∫ (E∫n n
∫
1 − e−n n
n2 (1 − e−n )
1
1 n
−x
−x
ye dx dy =
ydy =
である.
=
ye dxdy =
2 En
2 0
2
4
0
0
(2):
{Dn } は D の近似列である. en > n だから e−n < n−1 , 1 − e−n > 1 − n−1 , n2 (1 − e−n ) > n(n − 1) で
ある. 広義積分は発散する.
問題 3
A ⊂ R2 ∫は面積確定有界閉集合
, I = [0, 1], f : A × I → R は A × I 上連続,
∫
f (x, t)dx (t ∈ I) とする. 以下を示せ.
F (t) =
A
(1) 任意の t ∈ I に対して F (t) は存在する.
(2) F は I 上連続である.
(解答例)
(1): 任意の t ∈ I を固定する. g : A → R, g(x) = f (x, t), は A 上連続であり, A は有界な面積確定集
合だから g は A 上可積分である.
(2): |A| を A の面積とする. a ∈ I とする. 任意の ε > 0 を取る. f は有界閉集合 A × I 上一様連続だ
から δ > 0 が存在し
ε
x ∈ A, t, s ∈ I, |t − s| < δ ならば |f (x, t) − f (x, s)| <
である.
1 + |A|
∫∫
∫∫
ε
t ∈ I, |a − t| < δ ならば |F (a) − F (t)| ≤
|f (x, a) − f (x, t)|dx ≤
dx < ε
1 + |A| A
A
である. F は a で連続である.