電気刺激による筋収縮を用いた 植込み型医療機器用体内発電システム 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 佐原 玄太 東京工業大学 ○土方 精密工学研究所 亘,進士 忠彦 1 従来技術とその問題点 化学電池による給電 神経刺激装置 50 W ケーブルによる給電 人工心臓 10 W 人工内耳 150 W 除細動器 10 W ペースメーカ 10 W ✘給電ケーブルの皮膚貫通 ・貫通部の感染症 ・入浴等の制限 ✘定期的な電池交換手術 ・身体的,経済的負担 ・電池残量に対する不安 2 従来技術とその問題点 電磁誘導を用いた非接触給電 体内 体外 人工心臓 10 W 受電コイル 送電コイル 体外装置 ✘送電コイルの位置ずれ (伝送効率低下) ✘コイルの発熱 ✘身体,医療機器の電磁波暴露 受電電流 送電電力 ✘バッテリ切れの心配 3 従来技術とその問題点 電磁誘導を用いた非接触給電 人工心臓 人工心臓 10 W 受電コイル 受電コイル 送電コイル 体外装置 送電コイル ✘送電コイルの位置ずれ (伝送効率低下) ✘コイルの発熱 体外装置 AbioCor® (ABIOMED社) 現在は販売中止 ✘身体,医療機器の電磁波暴露 ✘バッテリ切れの心配 4 従来技術とその問題点 体内発電システム ✔電池交換手術不要 ✔電池残量の懸念不要 エネルギ源 発電法 ✔外部機器不要 ・ 心拍 (血流,血圧,心筋運動) ・ 呼吸 (気圧,横隔膜運動) ・ 体の動き (慣性) ・ 体温 (熱) ・ 電磁誘導 ・ 圧電効果 ・ 熱電効果 ・ 栄養 (糖) 数μW ~数十μW ・ 電気化学反応 5 従来技術とその問題点 体内発電システム ✔電池交換手術不要 ✔電池残量の懸念不要 ✔外部機器不要 エネルギ源 ・ 心拍 (血流,血圧,心筋運動) ・ 呼吸 (気圧,横隔膜運動) ・ 体の動き (慣性) 低出力 低エネルギ密度 エネルギ収集困難 ・ 体温 (熱) ・ 栄養 (糖) ・ 骨格筋収縮 電気刺激により収縮 高出力 高エネルギ密度 能動的にエネルギ産出 コンパクト,高効率 6 新技術の特徴 提案する体内発電システム 能動的な 電気刺激 電極 化学 エネルギ 体内のブドウ糖 +酸素 運動 エネルギ 生体筋肉の収縮 ✔体内に豊富に存在 電気 エネルギ 電磁誘導型 発電機構の駆動 蓄電・給電 ✔高変換効率 ✔高エネルギ密度 体内の豊富な化学エネルギを電気エネルギに変換するシステム 7 従来技術との比較 実用化 化学電池 ✘交換手術 一部実用化 研究段階 本提案 電源ケーブルの 電磁誘導式 体内発電 体内発電 引出し (糖分・体温・ (電気刺激による 血圧変化など) 筋収縮) 非接触給電 ✘感染症 ✘体外装置携行 ✔体外装置不要 ✔体外装置不要 ✘行動制限 (入浴等) ✘電磁波暴露 ✘低出力 ✔高出力・高効率 ✘発電量制御困難 ✔発電量制御可能 電源供給課題解決による植込み型医療デバイスの導入容易化 使用筋肉量の調節で発電容量の選択可能なため,様々なデバイスに適用可能 患者の身体的・経済的負担の軽減 8 発電システムの概略 鎖骨 ・大胸筋の上縁を切断し, 発電機構に接続 ・発電機構サイズ:30×6mm 大胸筋 ボールジョイント 収縮筋シェル ペースメーカ等 発電機構 上腕骨 刺激電極 ワイヤ 9 発電システムの概略 ・大胸筋の上縁を切断し, 発電機構に接続 鎖骨 ・発電機構サイズ:30×6mm 大胸筋 ボールジョイント 収縮筋シェル ペースメーカ等 発電機構 刺激 刺激電極 発電 ワイヤ 10 発電機構設計例 ワンウェイクラッチ 30 t=6 ワイヤ (筋肉に接続) (i) 往復→回転運動変換 クランクギア (ii) 増速部 中継ギア (ii) 発電部 ロータ:永久磁石 ステータ:コイル 11 カエルを用いた 電気刺激による筋収縮特性調査 12 筋収縮特性測定セットアップ レーザ変位計 刺激電極 錘 カエルの後脚 20mm 使用筋肉量:2g 13 筋肉の刺激に用いる電気信号 ・ 電気刺激 : 連続矩形波電圧 5.0 sec 2.0 sec 継続時間(msec) 電圧の正負を反転 → 一方向電流の影響回避 可変パラメータ ① 繰返し周波数 ② 継続時間 ③ 振幅 →今後最適化の余地あり パルス幅 (0.2 msec) 1/ f 振幅(V) f : 繰返し周波数 (Hz) 14 筋収縮特性測定実験の結果 Laser displacement sensor 筋収縮実験時の動画 15 筋収縮特性測定実験の結果 3.5 筋収縮距離 [mm] 3.0 2.5 2.0 ストローク3.2mm @ 定荷重0.37N →1.2 mJ →(1収縮/60 s ならば)20 μW (筋肉量2g) 1.5 1.0 →10g程度の筋肉量で100Wの見込み 0.5 刺激電圧 [V] 0.0 2 0 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 時間 [msec] 16 想定される用途 • ペースメーカや除細動器等,従来,電池を使 用していた植込み型医療デバイスの電源 • 健康モニタリング装置や人工網膜等,将来実 現が見込まれる植込み型医療デバイスの電源 17 実用化に向けた課題 • 試作機を生体筋肉に接続した状態での,損失, 及び発電量の評価 • 生体適合性を考慮した材料の適用,及び動物 を用いた植込み試験 • 筋疲労や筋収縮力を考慮した最適な刺激信号 の探索 • 高出力化の検討 18 企業への期待 • 精密,微小部品の加工や小型発電機構を得 意とし,医療分野への展開を考えている企業 との提携を希望 • 体内植込み型医療デバイスを開発/販売中の 企業には,電力源として本技術の適用に関す る共同研究を希望 • 体内エネルギーハーベスティングに興味のあ る企業との共同開発を希望 19 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 :体内発電システム 出願番号 :特願2014-171562 出願人 :東京工業大学 発明者 :佐原玄太,土方亘,進士忠彦 20 お問い合わせ先 東京工業大学 産学連携コーディネーター 松下 近 TEL 03-5734 - 7693 FAX 03-5734 - 7694 e-mail matsushita@sangaku.titech.ac.jp 21
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