当日配布資料(217KB)

マリモカーボン:繊維状ナノ炭素で
できた球状炭素材料の合成
東洋大学
理工学部 応用化学科
教授 蒲生西谷 美香
(Mikka Nishitani-Gamo)
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従来技術とその問題点
炭素材料は、古くて新しい材料であり、様々な場
面で様々に活用されている。
新しい炭素材料=繊維状ナノ炭素材料は、構
造の特異性から様々な物性の発現が期待され、
現在も各方面で研究が行われている。
しかし、ナノレベルの微細構造を用途に合わせ
て任意に制御する合成技術は、確立されている
とは言い難い。
一般にナノレベル材料は、飛散しやすく取り扱
いが容易ではない。
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新技術の特徴・従来技術との比較
• マリモカーボンとは、サブミクロンオーダーの
ダイヤモンド微粒子が核となり、その表面にナ
ノメートルオーダーのカーボンナノフィラメント
(CNFs)が成長して球状をなすsp3-sp2炭素複
合材料である。本新技術は、CNFの直径、こ
のCNFを形成するグラフェンの大きさや積層
状態といった微細構造を制御可能な合成技術
である。
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新技術の特徴・従来技術との比較
• 本技術によれば、繊維状ナノ炭素をマリモ状
で提供することが可能であり、そのことによっ
て、繊維状ナノ炭素の特徴を保ったまま、取り
扱いの容易さを付与した材料を提供すること
が可能である。さらに、用途に合わせて、それ
ら繊維状ナノ炭素を構成するグラフェンの大き
さ、積層状態を制御することが可能である。
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想定される用途
• マリモカーボンを構成するCNFの表面に存在
するグラフェンエッジを生かし、燃料電池の触
媒電極担体として適用することで、触媒活性
制御及び白金量低減の可能性を見いだして
いる。
• 上記以外に、CNFの繊維状構造を生かした
排水促進効果が得られることも期待される。
• 構造制御性に優れた合成技術の達成に着目
すると、用途に合わせた材料設計により、環
境分野に展開することも可能と思われる。
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実用化に向けた課題
• 現在、マリモカーボンを構成するCNFsの
一本一本に関して、その直径やグラフェン
の積層状態を合成条件によりコントロール
することに目処は立っている。しかし、マリ
モカーボン一粒一粒の粒径及びその分布
の制御には、まだ課題が残されている。今
後、マリモカーボンが実用材料となっていく
ためには、化学工学的見地に立った合成
法の改善が必要である。
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企業への期待
• 未解決のマリモカーボン粒子径制御について
は、流動層による気相合成法について共同研
究先と実験室レベルの合成技術を検討中で
ある。
• 量産につながるレベルの上記技術を持つ、企
業との共同研究を希望。
• 本材料には、従来のナノ炭素材料には無い、
取り扱いの容易さや耐久性、各種性能向上の
可能性が期待できることは付記したい。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :マリモカーボンおよびその
製造方法
• 出願番号 :特願2011-186146
:学校法人東洋大学 ほか
• 出願人
• 発明者
:蒲生美香,安藤寿浩,蒲生
秀典, 鵜野美佳
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産学連携の経歴
• 2007年-2008年 凸版印刷株式会社と委託研究実施
• 2008年-2009年 凸版印刷株式会社と共同研究実施
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お問い合わせ先
東洋大学
知的財産・産学連携推進センター(研究協力課)
TEL
03-3945 - 7564
FAX
03-3945 - 7906
e-mail ml-chizai@toyo.jp
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