微少量から大容量に適用可能な、 投げ込み式の凍結濃縮装置 静岡大学 学術院工学領域 化学バイオ工学系列 教授 木村 元彦 1 従来技術とその問題点 従来の凍結濃縮法は、大型の専用装置を使用して流体を激しく撹拌 しながら凍結濃縮するものであり、微少量の液体には使用困難 GEA Freeze concentration plants 2 従来技術とその問題点 従来の凍結濃縮法は、大型の専用装置を使用して流体を激しく撹拌 しながら凍結濃縮するものであり、微少量の液体には使用困難 撹拌機 モーター 未凍結溶液相 氷相 低温恒温槽 石川県立大学での研究例 3 新技術の特徴・従来技術との比較 生化学サンプル溶液や各種食品溶液を、投げ 込み式の簡便な装置によって凍結濃縮できる。 1mL以下の微少量から大容量の各種溶液を濃 縮することができる。 4 原理 A点では、純水な氷ができる 点では、純水な氷ができる 5 氷相から排出された溶質を氷表面から排除するために、 氷と溶液の界面付近を激しく乱す必要がある。 【従来】溶液を撹拌する (境膜を薄くする) 【本発明】凍結面を振動させる (境膜を破壊する) 溶質 濃度分極 氷 溶液 境膜 氷 氷 境膜 境膜 6 本発明の実施形態 冷媒 加振器 冷却器 溶液 投げ込み管 加振器 溶液 7 実験方法 • 試料溶液:赤色色素102号の0.05 wt%溶液 • 加振器:100 Hz、振幅:1.0 mm にて溶液の一部を凍結 • 所定時間後、試料を凍結部と未凍結部に分離し、それぞれの 濃度を測定 濃縮分離効率 凍結部分の濃度 分配係数 = 未凍結部分の平均濃度 この値が小さいほど溶質は凍結部分に取り込まれ難い 8 凍結速度に対する濃縮分離効率の比較 16 14 凍結速度 [a.u.] 12 10 8 6 4 振動あり 振動なし 2 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 分配係数 [-] 9 試料液温に対する濃縮分離効率の比較 16 凍結速度 [a.u.] 14 12 10 8 6 振動あり / 23.0-24.0℃ 振動なし/ 23.0-24.0℃ 4 振動あり / 11.0-12.0℃ 振動なし / 11.0-12.0℃ 2 振動あり / 0.0-0.5℃ 振動なし / 0.0-0.5℃ 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 分配係数 [-] 試料温度によらず安定した濃縮が可能 10 想定される用途 ☆研究機関、教育機関などでの濃縮試験 生化学分野での微量サンプルの濃縮 一般化学分析での微量サンプルの濃縮 ☆食品工場での濃縮行程への導入 ☆化学プロセス(晶析を含む)の濃縮行程への導入 ☆一般工業用途での水溶液濃縮 ☆一般家庭用途での水溶液濃縮 11 実用化に向けた課題 • 現在、振動印加によって凍結濃縮が促進され ることが確認できている。多くの溶質について 試験中。 • 実用化に向けて、安価な超小型の冷却装置と 加振装置の開発が必要。 12 企業への期待 本技術を利用した、濃縮試験用の超小型凍結 濃縮装置を開発・製品化して頂きたい。 製品イメージ 1~10mLの試験チューブ中に装置を挿入し、 10分間程度で5倍に濃縮 13 本技術に関する知的財産権、問合先 • • • • 発明の名称: 凍結分離装置および凍結分離方法 出願番号 : 特願2015-156801 出願人 : 静岡大学 発明者 : 木村元彦 ◎共同研究および関連する特許については、 静岡大学イノベーション社会連携推進機構にお問い合わせください。 コーディネーター : 小嶋豊誠、斉藤久男 TEL : 053-478-1702 Email : [email protected] 14
© Copyright 2024 ExpyDoc