圧平衡定数

圧平衡定数
2014 年 12 月 8 日
気体反応
aA + bB ⇀
↽ cC + dD
で、各成分の分圧を pA , pB 物質量を nA , nB などとすると、理想気体の状態方程式は、各成分気体
毎にも成り立つので、A について
pA V = nA RT
より、 pA =
nA
RT = [A]RT
V
の関係式が得られる。これより、直ちに
[A] =
pA
RT
(1)
の関係が得られる。B∼D についても (1) 式と同様の関係式が得られる。
これらの関係を、質量作用の法則の式に代入すると
K =
[C]c [D]d
pcC pdD
=
× (RT )(a+b)−(c+d)
a
b
[A]a [B]b
pA pB
となる。
T が一定であれば、K も RT も一定であるから
pcC pdD
= Kp
paA pbB
(2)
とおくと、Kp も一定となる。この Kp を圧平衡定数と呼ぶ (添え字の p は、pressure の p である)。気
体反応では、全圧は測定しやすく、全圧が分かれば各成分気体の分圧 (従って量) が分かる場合が多いの
で、質量作用の法則は、濃度の代わりに圧力で表した方が都合が良いのである。
圧平衡定数と平衡定数の関係式は
Kp = K × (RT )(c+d)−(a+b)
(3)
である。尚、注意すべきことは、圧平衡定数 Kp も (濃度) 平衡定数 K と同様に反応の種類と温度によっ
て決まる定数である、ということである (圧力には依存しない!)。
例えば、四酸化二窒素が分解して二酸化窒素ができる反応 (可逆反応)
N2 O4 ⇀
↽ 2NO2
は温度 T 一定で平衡状態に達することになる。この T に於ける圧平衡定数は Kp であり、反応容器の体
積を V 、最初に用意した四酸化二窒素の物質量を n として平衡状態を保つ。平衡状態での全圧は測定可
能であり、これを p とする。最初にあった四酸化二窒素の内、平衡状態に於いて二酸化窒素に解離 (分
解) した割合を解離度 α とすると、平衡状態で存在する四酸化二窒素と二酸化窒素の物質量は、それぞ
れ n(1 − α) 及び 2nα である。従って、気体の全物質量は n(1 + α) となる。平衡状態に於ける四酸化二
窒素と二酸化窒素の分圧を、それぞれ pN2 O4 及び pNO2 とすると、分圧は全圧 × モル分率であるから、
2α
1−α
· p 且つ pNO2 =
· p と表すことができる。ここで、質量作用の法則より
pN2 O4 =
1+α
1+α
(pNO2 )2
= Kp
pN2 O4
であるから、
(
2α
· p)2
1+α
= Kp
1−α
·p
1+α
つまり、
4α2
· p = Kp
1 − α2
が得られ、
√
α=
Kp
Kp + 4p
となる。Kp は定数で、全圧 p は測定可能であるから、この式より解離度 α が求まり、従って、平衡状態
にある四酸化二窒素と二酸化窒素の物質量も分かるということになる。