免疫グロブリン陰性のorganized depositsを認めた MPGN 旭川赤十字病院 腎臓内科 山岸優雅 症例 : 77歳、男性 主訴 : 下 浮腫、体重増加 現病歴: 生来著患なし。1986年より高血圧症にて近医にて内服加療を受けて いた。 2012年5月めまい、ふらつきを自覚し近医受診、無症候性脳 塞と診 断された。その際に施行した血液検査にてCr 2.0mg/dlと腎機能低下 を認めたが、慢性に経過した腎機能低下と判断され保存的加療にて経 過観察となっていた。 同年6月より四肢の浮腫を自覚、また体重増加(65→71kg)を認めるよ うになっていた。検査所見上蛋白尿、低蛋白血症を呈していたことか ら、ネフローゼ症候群と診断された。利尿剤投与にて経過観察となる も症状の改善を認めなかった。 このためネフローゼ症候群に対する精査・加療目的に8月16日当科紹 介となった。 既往歴:大腸ポリープ 入院時現症 身長 161cm、体重 68.6kg、BMI 26.5、BT 36.9℃ BP 154/91mmHg, PR 54/min, regular 心音・肺音に異常を認めず。 四肢に紫斑なし。 下 に浮腫を認める。 前医処方 ・ゲファニール10% 1.5g 3× ・SM配合散 1.5g 3× ・ハイゼット(200mg/g) 0.75g 3× ・ビオフェルミン配合散 1.5g 3× ・タケプロンOD(15) 1T 1×夕 ・メインテート(2.5) 1T 1×朝 ・アテレック(10) 1T 1×朝 ・フェブリク(10) 1T 1×朝 ・ディオバン(40) 1T 1×朝 ・ラシックス(40) 1T 1×朝 ・デパス(0.5) 3T 3× 入院時胸部Xp 肺うっ血なし。CTR=62.8%。右2弓、左3弓の突出あり。 腹部CT 両側腎の萎縮なし。 入院時検査所見(1) Blood Biochemistry Complete Blood Counts WBC RBC Hb Ht Ret Plt 5060 /µl 293万 /µl 8.3 g/dl 24.6 % 10 ‰ 21.5万 /µl Coagulation function PT PT-INR APTT Fib 12.3 sec 1.04 31.8 sec 333 mg/dl TP Alb AST ALT LDH ALP γ-GTP ChE CK BUN Cr UA T-chol TG LDL-chol CRP 4.6 g/dl 1.9 g/dl 20 IU/l 18 IU/l 274 IU/l 184 IU/l 11 IU/l 153 IU/l 180 IU/l 53.1 mg/dl 4.17 mg/dl 4.1 mg/dl 154 mg/dl 78 mg/dl 95 mg/dl 0.528 mg/dl Na K Cl Ca P BS HbA1c HBs-Ag HCV RPR TPLA 140 3.9 107 7.7 4.9 175 5.5 mEq/l mEq/l mEq/l mg/dl mg/dl mg/dl % 0.01 0.08 (-) (-) 入院時検査所見(2) IgG IgM IgA IgE C3 C4 CH50 ANA ASO RF MPO-ANCA PR3-ANCA クリオグロブリン 免疫電気泳動 Selectivity index 1106 mg/dl 52 mg/dl 165 mg/dl 63.8 IU/ml 57.5 mg/dl 21.9 mg/dl 31.2 U/ml 40 39 U/ml 1.0 U/ml <10 EU <10 EU (-) (-) 0.47 血清フリーライトチェーン定量 kappa 145.2 mg/L lambda 85.5 mg/L TSH FT3 FT4 1.92 µIU/ml 2.12 pg/ml 1.08 ng/ml Urinalysis 比重 pH OB UP US RBC WBC 顆粒円柱 u-protein 1.016 5.5 (3+) (4+) (+/-) 30-49/HPF 20-29/HPF 0-1/LPF 8.44 g/g・Cr 入院時検査所見(3) ・眼底検査:糖尿病性網膜症(-)。 ・骨髄 刺:異常所見なし。 ・心エコー:明らかな壁運動異常なし。EF 63%。 軽度の左室肥大を認めるが、エコー輝度の上昇なし。
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