フモニシン Fumonisin

フモニシン
Fumonisin
フモニシンはフザリウム属のかびが産生するかび毒(マイコトシキン)であり、特
にとうもろこしにおける汚染が世界中で懸念されている。このかび毒は比較的最近
(1988 年)発見され、現在までにフモニシン A、B、C 及び P 群が報告されている
が、そのうち重要なのは B 群のうちの B1、B2 及び B3 である。
COOH
HOOC
O
R2
O
OH
CH3
H3C
CH3
O
CH3
O
NH2
R1
HOOC
COOH
1.
R1
R2
分子式
分子量
フモニシン B1
OH
OH
C34H59NO15
721.83
フモニシン B2
H
OH
C34H59NO14
705.83
フモニシン B3
OH
H
C34H59NO14
705.83
毒性
フモニシンはブタの肺水腫、ウマの白質脳症の原因物質とされている。ヒトでは、
食道癌、新生児神経管障害との関係が示唆されている。
JECFA(Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives)により設定され
ている暫定最大耐用一日摂取量(provisional maximum tolerable daily intake、
PMTDI)は 2 µg/kg/day である。
2.
汚染作物
フモニシンは、世界中のとうもろこしから高頻度、高濃度に検出される。従って、
とうもろこしの副産物においても注意が必要である。各フモニシンの汚染量としては、
通常、フモニシン B1 が最も多く、B2、B3 と続く。
その他に汚染が報告されている作物としては、マイロ、麦類、大豆、米、アスパラ
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ガスなどが挙げられるが、それらの汚染量はとうもろこしと比較すると通常少量であ
る。
3.
規制
国内では、飼料、食品ともに規制値は設定されていない。
国際的な食品規格を作成しているコーデックス委員会でも規制値の設定はなされ
ていない。
海外においても、フモニシンの規制を行っている国は少数である。例として、米国
及び EU の規制値を以下に示す。
米国(フモニシン B1、B2 及び B3 の合計量)
飼料原料:
5~100 ppm(mg/kg)(とうもろこし及びその副産物)
食
2~4 ppm(とうもろこし関連)
品:
EU(フモニシン B1 及び B2 の合計量)
maize and maize products 60 ppm
Complementary and complete feedingstuffs 5~50 ppm
4.
汚染防止対策
ほ場段階では、かびが作物内に入らないようにすることが重要である。収穫後は十
分な乾燥、適切な条件での貯蔵、不良な穀物の仕分けなどが有効である。なお、コー
デックス委員会では「穀物におけるかび毒汚染の防止及び低減に関する行動規範(オ
クラトキシン A、ゼアラレノン、フモニシン及びトリコテセン類に関する付録を含
む)」を作成している。
参考資料
フモニシンのリスクプロファイル:
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/pdf/chem_fumonisin.pdf
Worldwide regulations for mycotoxins in food and feed in 2003:
ftp://ftp.fao.org/docrep/fao/007/y5499e/y5499e00.pdf
穀物におけるかび毒汚染の防止及び低減に関する行動規範:
http://www.codexalimentarius.net/download/standards/406/CXC_051e.pdf
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