http://www.b-kyoro.com/ ほんりゅう177 大 津 市 の い じ め 自 死 問 題

大津 市 のい じめ 自 死問 題が 大 きな 注目 を集 め、 そ の
後も 全国でいじめ 自死が相次ぎ、 国は昨年 、
﹁いじめ防
止対 策 推進 法 ﹂を 制 定し まし た 。愛 知で も 昨年 、名 古
屋 市の 中 学生 が 転落 死 し、 いじ め 問題 との 関 係も 懸念
されています 。学校や子どもの現状を見つめ直す中で 、
い じめ が 起き る 原因 や今 後 の課 題に つ いて 、皆 さ んと
ともに考えてみたいと思います。
大津 市の 中 二の いじ め 自殺 が、 学校 、教 職 員、 教育
委 員会 へ の不 信を 伴 って 社 会問 題化 す る中 で、 二 〇一
三 年 九月 二 十八 日 にい じめ 防 止対 策推 進 法が 施行 さ れ
一 方で 、基 本 方針 は私 たち が、 学校 づく り をし て
い く 上で 、大 切 なこ とも 指摘 して いま す 。そ れは 、
次のような点です
① い じめ は大 人社 会の 問 題で もあ り、 子ど もの 尊
厳を 守 るこ とが 必要 であ ると 指 摘し てい る点 。
② いじ め る子 、い じめ られ る 子の 二者 間の 関係 だ
けで なく 、 学級 や部 活動 の集 団の 様 子な どへ の
考慮も必要であると指摘している点。
③懲 戒な どの 強 調は なく 、安 直な 厳罰 化 は求 めて
いない点。
こ れ らの 指摘 は、 い じめ 問題 を教 育的 に解 決 する
こと の 必要 性を 説い て いる と考 えら れま す。 学 校現
場 で直 接 子ど もた ちに 接 して いる 私た ち教 職員 に と
っては納得できる内容ではないでしょうか。
い じめ は 子ど もた ちの 人間 関係 の中 で起 きて いる
十月 十 一日 に はい じ め防 止基 本 方針 が出 さ れま した 。
い じ めは 子ど も たち に 苦痛 や不 快 感を 与え 、 家族 に
こと です 。 私た ちが 実施 した ア ンケ ート でも 、い じ
問題 ﹂
﹁子 どものコミュニケーショ ン能力の乏しさ﹂
めが起きる 原因として 、
﹁子どもどうしの人間関係の
も言 え ず、 自 尊心 がえ ぐ られ てい く もの です 。 そし て
大人には見えにくいものです。
私た ちが 実 施し た アン ケ ート の中 で も、 いじ め が起
境が 、
・・・いじめ 、精神的障害 、不登校・登校拒否 、
中 退 及び 自殺 の 原因 にな る こと ﹂に 懸 念を 示し 、﹁学
校システ ム全体を見直す こと﹂を日本政府に 勧告しま
した。
競争的な環 境の中では焦り やストレスが生じ、そ れ
が子 どもたちには﹁ いらだち﹂とな って現れていると
は考えられな いでしょうか。 いじめ問題の中で見 られ
る弱者 への攻撃性は、 このいらだちが要 因になってい
るのではないでしょうか。
また、社 会に蔓延するい らだちが、弱者の弱 点を攻
撃 してしまう構造 を作り、それが 子どもにも及んでい
るとも考えられないでしょうか。
いじめを克 服する力は、子 どもや教育の中にこそ あ
ると 思われます。い じめを克服して いくためには、次
のようなことが大切ではないでしょうか。
①子ど も目線に立ち、 じっくりと子ども の話に耳を
傾ける機会や時間を設ける。
② ﹁勉強が分から ない ﹂
﹁進路のことが不安 ﹂
﹁友達
にどう 思われているか 心配﹂など子どもた ちの生
きづらさに 共感しつつ、じ っくり寄り添い、成長
を支え、子ども たち自身が問題 を乗り越えていけ
るようにする。
一方で 、
﹁競争的な雰囲気を作り出す取り組み ﹂
﹁上
ない ﹂ことが、教職 員や子どもたちの 共通の認識
す。 そし て 、
﹁い じめ ら れて もい い 子は 一人 もい
③子どもた ちが人間として 大切にされる学校を めざ
る こ とに 気 づけ な い周 囲の 大 人の 心﹂ と 指摘 され た 方
から 押 しつ ける よ うな 指導 の問 題﹂ と答 えた 方 もみ
になるように、人権教育を行う。
と答えた先生方が多くみられました。
があ り まし た 。子 ど もた ちの 様 子の 変化 に 気づ き、 切
えました。
こ る根 本 的な 問 題と して ﹁ 子ど もが ぎ くし ゃく し てい
実 な 思い を 受け 止 め、 子ど も の立 場に 立 つこ とが 取 り
そ うい う 視点 で 見て い くと 、い じ め防 止対 策 推進 法
切 なこ と は、 子ど もた ちの 中 で何 が起 こっ てい るの
いじ め問 題 の解 決策 を考 え、 実践 して いく 上で大
の場をもつ 。教職員の同僚性を高め 、連携を図る 。
④全教職員参 加による子ども 把握のための話し合い
組みの重要な出発点になるのではないでしょうか。
やい じ め防 止 基本 方針 は 政治 主導 の いじ め対 応 で、 加
かを 見定 め るこ とで はな いで し ょう か。 見誤 ると 、
ウ 、教職員定数の改善 、少人数学級編成を進める 。
効率化を図る。
イ、子ど もたちとじっ くり向き合うために校 務の
援を進める。
ア、カウンセ ラーや養護教諭 の加配など、人的支
⑤環境改善を行う
害 行為 の 制圧 や 、懲 戒、 規 範道 徳な ど で、 いじ め を封
解 決が 進む ど ころ か、 反対 にこ じれ て しま うこ とに
もなりかねません。
で は、 子ど もた ち の中 で、 何が 起こ って いる の で
じ込めようという一面が見られます。
こ こに は 、子 ども た ちの 可能 性 が信 じら れ ない とい
し ょ うか 。二 〇一 〇 年六 月の 第三 回国 連子 ど もの 権
利委員会最終所見 では 、
﹁高度 に競争主義的な学校環
う 大 人社 会 の﹁ 子 ども 不信 ﹂ が根 底に あ るよ うに 思 わ
れます。
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ほんりゅう177
N o .177
2014・2
■発 行■
尾北教職員労働組合
■責任者■
川崎 徹(犬西小)
さる12月25日、愛教労障害児教育部は、
障害児教育の充実に向けて、県教委への要請を
行いました。その概要を紹介します。
1名から特別支援学級の設置を
現在は、小学校では同じ障害で2名から、中学校
では3名から、特別支援学級が新設できることとな
っています。このため、たとえ障害のある子がいて
も、この基準に達する人数がそろわないと学級がで
きないため、満足な支援が受けられないままになっ
ていることがあります。そこで、次の要請をしまし
た。
『特別支援学級の開設を障害種別毎に1名からでき
るようにすること』
県教委からは次のような回答がありました 。「設
置基準は、だんだん下がって来ている。小学校の場
合、以前から、市町村をまたいで通学しなければな
らないような場合、つまり同一市町村内に該当の障
害種別の特別支援学級がない場合、特例で1名から
の新設を認めてきた。中学校の場合も、平成23年
度から、特例で1名から新設できるようにした 。」
全校に通級指導教室の設置を
学校では、通常学級において支援を必要としてい
る子どもたちが増え続けています。ところが、通級
指導教室は、数校に1校というような割合でしか設
置されていません。そこで、次の要請をしました。
『通級指導教室を全小中学校に配置すること』
県教委からは次のような回答がありました 。「通
級指導教室は、加配で配置している。明確な設置基
準はない 。文部科学省の定数予算から 、県が決める。」
個別の支援計画・指導計画を義務づけないように
将来にわたって支援の必要がある子、特に就労の
際に支援を必要と予想される子については、個別の
教育支援計画や指導計画が必要です。しかし、学校
においてはそのような計画を必要とする子が少ない
のにもかかわらず、特別支援学級・通級指導教室で
作成され、さらには通常学級の発達障害のある子に
ついても作成が広がりつつあります。そこで、次の
要請をしました。
『「 個別の教育支援計画」「個別の指導計画」につい
ては、指導上必要がある場合には作成するが、義務
づけられていないことを市町村教育委員会に周知徹
底すること』
県教委からは次のような回答がありました 。「作
成は義務づけられていない。しかし、将来にわたっ
て、継続して支援していくためには大切な計画であ
る。作成にあたっては、必ず保護者の了解を得て行
ってほしい。また、県の例示している計画の案は、
詳しすぎると言われることもあるが、この通りにで
はなく、それぞれで簡略化するなど工夫をして取り
組んでもらえばよい 。
」
ほんりゅう177
障害種別授業の機械的押しつけをしないように
特別支援学級が2クラス以上ある学校では、クラ
ス合同での朝の会や給食あるいは授業を通して、集
団の力で子どもたちの発達を促すことがよくありま
す。また、発達段階や学年、あるいは特性に応じて 、
たとえば知的と情緒の2クラスある場合、知的の子
の一部を情緒のクラスで、あるいは情緒の子の一部
を知的のクラスでというように、一部を入れ替えて
授業を受けさせることがあります。ところが、知的
の子は知的のクラスで、情緒は情緒のクラスで、と
いうように必ず分けて指導しなければいけないと言
われることがあります。特に、学校訪問の際に、合
同授業は行わないようにと言われます。また、知的
と情緒を必ず別にして、もし一部違う障害の子がい
たら、元に戻して授業を行うようにとされることが
あります。子どもたちは、普段とは違うメンバーで
の授業を、学校訪問のときだけに受けさせられ、大
きなとまどいを覚えることになります。そこで、次
の要請をしました。
『児童生徒の発達段階や行動特性あるいは学年を考
慮して、種別が異なる場合でも同一授業を実施でき
ることを市町村教育委員会に周知徹底すること』
県教委からは次のような回答がありました 。「障
害に応じた困難を克服するために、一人一人の教育
ニーズに応じた授業を行ってほしい。自立活動や道
徳など、必要に応じて一緒に授業を行うことも積極
的に行ってほしい。ただし、行政としては、分けて
やるために複数の学級の申請をしているのであるか
ら、もしいっしょに授業ができるのであれば、1ク
ラスでよいということになってしまう。学校訪問の
際には、障害種別の授業を見させてほしい 。
」
インクルーシブ教育に向けての条件整備を
障害者権利条約が批准され、障害のある人が社会
で差別されることなく一緒に生活することができる
ようにという流れの中で、障害のある子もない子も
一緒に通常学校で学ぶことを原則とする「インクル
ーシブ教育」の方向が示されています。一方、学校
教育法施行令が改正されて 、「本人と保護者の意見
を最大限尊重して」就学指導が行われるようになり
ました。今後、重い障害のある子を含め、保護者が
通常学校に障害のある子を通わせたいと希望するこ
とが増えると予想されます。そこで、次の質問をし
ました。
『名古屋市では、医療的ケアを必要としている子ど
もを通常学校に受け入れるために看護師の配置など
について検討する会議を今年度中に立ち上げるとし
ている。愛知県では、通常学校に障害が重い子ども
が入学してきたときに看護師や介助員の配置をする
などインクルーシブ教育に向けた計画はあるのか』
県教委からは次のような回答がありました 。「看
護師・支援員などの充実、施設・設備の充実につい
て、国に要請をしている。国が定数化してくれれば 、
県としても対応できる。
」
http://www.b-kyoro.com/