昼寝 - タテ書き小説ネット

昼寝
竹仲法順
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︻小説タイトル︼
昼寝
︻Nコード︼
N3690X
︻作者名︼
竹仲法順
︻あらすじ︼
在宅で仕事をしている三十代半ばのあたしは昼食を取った後、昼
寝する癖があった。ベッドに横たわる前にコーヒーを一杯淹れて飲
んでから休む。毎日、朝早起きして時間の使い方を考えながら、日
々淡々と仕事をこなしていたのだが⋮⋮。
1
*
昼過ぎになると、どうしても疲れて寝てしまう。さすがに仕方な
かぶ
いのだった。ベッドに横になる前にコーヒーを一杯淹れ、飲んでか
ら毛布を被る。やはり日々自宅で仕事をこなすあたしのような人間
にとって、時間の使い方はおろか、休息の取り方も大事だった。そ
してトイレなどで目が覚めれば起き出すのだ。コーヒーには利尿作
用があるから、トイレには頻繁に立ってしまう。まあ、食後に安定
剤を飲んでいる分、水分を余計取るので、体外に水が出てしまうの
だが⋮⋮。街の都心で夜は辺り一帯が騒がしくなるので、昼間に睡
眠を取るようになってしまう。だけど朝は結構早い。午前六時半過
ぎには自然と目が覚める。そしてキッチンに入っていき、朝一のコ
ーヒーをブラックで淹れて、トーストを齧りながら飲むのだ。そし
て食事が済んだ後、洗顔とメイクをして部屋中に掃除機を掛ける。
朝の早い時間帯でもこのマンションは壁に防音設備が付いているの
で騒音は響かない。要は早起きしてから、準備を整えれば後は仕事
をするだけなのだ。自宅がオフィスであるあたしにとって⋮⋮。
*
街の精神科には月一回欠かさず通院している。さすがにここ数年
間、心労がひどい。やはり社会がどんどん高ストレス化しているの
だろう、あたしも流行には付いていけてなかった。今の若い子たち
がどんなことを思っているのかまるで知らないし、知りたくもない。
どうせ言葉遣いも悪いだろうし、流行などそこ数年でコロコロと変
わるのだ。現にテレビを付けていてもキャスターなどのニュースに
は付いていけるのだが、トレンドなどはまるで知らない。連続ドラ
マなどでも放映する側は何とも思ってないにしろ、三十代半ばのあ
たしぐらいの年代の女性が見れば違和感は大いにある。致し方ない
のだった。流行に乗る能力は着実に落ちてきている。その分、在宅
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で業務をこなしながら、ネットなどを通じて普通の人が知らないよ
うなことを知る羽目にもなるのだった。仕事は全て電話とメールだ
けで済む。来れば淡々とこなすだけだ。独身である以上、ふっと物
寂しさを感じることはある。そういったときはネット通販で買って
いたバイブレータを取り出し、ジーンズとパンティーを取ってあそ
こへと挿入するのだ。つまりオナニーというやつである。あそこが
熱くなるのは分かっていた。特に下半身が熱を帯びる。疲れたとき
は昼寝ももちろんだが、軽く自慰行為をすると、疲れが幾分取れた。
我慢すると悪いので、分泌された愛液を定期的に体外に出している。
精神科の担当医も確か言っていた。﹁女性でも適度に自慰はしても
らって結構ですよ﹂と。主治医は女性だったので、そういったアド
バイスもしてくれる。頼りになる人だった。あたしよりも五歳ぐら
い若かったが、早く結婚したのだろう、すでに出産していて、育児
もしているらしい。パートナーがいないあたしにとって羨ましい存
在だった。あたしのような患者が巷に多いのも知っているようだっ
たし⋮⋮。
*
その日も掃除を済ませ、デスクの上に置いてあるノートパソコン
を立ち上げて、起動させてからメールボックスを開く。二つメール
ボックスを持っていて、一つは業務用の有料のボックス、もう一つ
はプライベート用のフリーのそれだった。どちらも使っている。在
宅での仕事は大変なのだが、慣れればそうでもなくなる。あたし自
れいめいき
身、滅多に外出しない。食材や日用品なども通販で頼んでいて、毎
週月曜日と金曜日に自宅に届く。ネット通販はまだ黎明期とはいえ、
この街にも着実に根付いているのだった。多くのユーザーがパソコ
ンや、下手すると携帯電話などで商品を注文する。これがネット社
会の現実だった。元々通販のようなものはあったのだが、それがネ
ットで定着したというのは実に意想外だろう。だけど実際そういっ
たことは起きている。単にキーを叩くか、チェックボックスにチェ
ックを入れるかだけで、清算ボタンを押せば商品の注文が確定する
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のだ。そして決まった期日に自宅まで届く。一定額以上の買い物な
ら送料は取られない。あたしも三十代なので年齢相応の商品を使っ
ている。食材に加えて、サプリメントや化粧品など。今は五十代や
六十代の女性でもお洒落をする時代なので、あたしなんかまだまだ
十分行けると思えた。まあ、三十代というのは何かと倦怠する時期
だとは言われるのだが⋮⋮。
*
春夏も秋冬も、昼食を取った後は欠かさず昼寝する。確かにあた
しも仕事に関してはバリバリだ。同年代の子たちが出産して育児を
しているのと同じように。だけどふっと気が抜けることがある。倦
怠といえばそれまでだろうが、二十代では感じなかったことを三十
代では感じるようになるのだ。これが現実だった。毎日パソコンを
使いながら在宅で仕事しているので、これと言った変化がないのだ
し。確かに街の中心部にいるので、昼間は騒がしくて夜も何かと騒
音がひどい。午後十時過ぎに体をベッドに横たえるのだが、眠りに
落ちそうで落ちないのだ。やはり疲れに加え、神経が高ぶっている
のだろう。眠れない夜を経験することはあった。ただ、どうしても
眠れないときは冷蔵庫からウイスキーのビンを取り出し、グラスに
半分ほど注いで上からミネラルウオーターを足してハーフに割る。
そして氷を浮かべた。即席の水割りである。これを飲めば幾分落ち
着くのだ。そして悪ふざけで手に取ったバイブレータをパンティー
越しにあそこに当ててみる。スイッチを入れると、ブイーンという
音がして、バイブが回転し始めた。パンティーを取って膣に挿し込
むと、ぐるぐる回る。さすがにこればかりは快感なのだった。
﹁あ、あっ、あっ⋮⋮あーん︱︱﹂
喘ぎながら同時に胸を揉む。確かに性的欲求を感じてオナるのは、
女性にとっても自然なことだった。だけど度が過ぎるとまずいと思
ったので、適当にして一定のオーガズムに達したら止める。やはり
心身の疲労は溜まっていたのだが、オナニーは気休めだ。自分が思
っている以上に、単に分泌液を出すというだけの行為で、これと言
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は
って欲求の捌け口になるとは思えなかった。まあ、それでもしない
よりはマシなのだろうが⋮⋮。
*
膣中からバイブレータを抜き取ってみると、ねっとりとした愛液
が付いている。あたしもさすがにそれを見て驚いた。やはり自分は
現役の女性なんだなという。今更思い返すまでもないのだが、何を
言うこともなしに、昔から自分が恋愛に関して奥手だったのは感じ
まと
ていた。学生時代も社会人になってからも、出会いというのが少な
かったのが現実だ。ベッドから起き上がり、タバコを纏め買いして
つ
詰めていたタバコ入れから一本取り出し、銜え込む。そしてジッポ
で火を点けた。メラメラと火が上がり出し、煙に巻かれながら、フ
ゥーと息をつく。はだけていた胸元とパンティーを直し、ゆっくり
と窓辺へ向かう。街にはネオンが付いていて今夜も眠らない。さす
がにこの街は東京のような大都会じゃないにしろ、都心は明るいの
だった。残っていた水割りで眠剤を服用した後、ベッドに横になり
眠りに就く。夜はゆっくりと眠る時間だ。もちろん昼寝した日でも
例外なしにそうだった。快眠が仕事にとってエネルギーとなる。ゆ
っくりと眠ってまた明日から通常通り仕事だ。とにかく在宅での仕
事は時間の管理が問題となる。一日の時間をどう使うかで勝負が決
まるのだ。あたし自身、そういったことは痛感しているのだった。
もちろん昼間食事を取ったら、いつも通り昼寝し、体を十分休めて
から午後の業務に取り掛かることに変わりはないのだが⋮⋮。
サイドテーブルに置いてあった男根の形をしたバイブレータは残
ったままである。まるで使い主を探すかのように。
︵了︶
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PDF小説ネット発足にあたって
http://novel18.syosetu.com/n3690x/
昼寝
2013年5月22日16時09分発行
ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。
たんのう
公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ
うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、
など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ
行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版
小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流
ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、
PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル
この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。
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