肺静脈隔離術後に誘発された右上肺静脈内リエントリー性頻拍の1例 328 ○丹生 治司,大畑 善治,鵤 茂,国島 保江(祉会保険小倉記念病院 検査技師部) 【はじめに】発作性心房細動(PAド)に対する商周波カテ 向性ブロックは観察されずPV内頻拍は誘発されなかった。 ーテルアブレーションでは,経中隔的アプローチにより左 また,RS−roofからの3連の期外刺激で刺激間隔の短縮にと 肺静脈と右肺静脈(RPV)を左房から電気的に隔離し,肺 もない1)V内頻拍が誘発された。連続刺激時と同様に,誘発 静脈(PV)から左房への異常興奮を伝導ブロックする電気 時にPV内び)一方向性伝導ブロックが確認された。RS−roof 的肺静脈隔離術(PVI)が行われている。今回,PVI後に右 からのentrain匿ent pach}gでは,刺激後の頻拍の回復周期 上肺静脈(RS)内でリエントリーを機序とする頻拍を証明 と頻拍周期が一致しconcealed entrainme圭ユtが得られた。 したので報告する。 また,RSゴoofから120msecのぺ一シングによりRS内の一方 1症例】症例は50代,男性。主訴は動悸と失神。PAFの治 向性伝導ブロックは解消し頻拍は停止した。PVI後,高位 療目的で入院。2005年左上肺静脈からfiring後に誘発され 右房より300msecから180msecのペーシングによっても心騰 る心房細動を確認し左右のPV王を施行したが,PAFが再発し 細動は誘発不能であった。 たため2006年に電気生理学的検査を施行した。左下肺静脈 【結語】PVI後に誘発された頻拍は,PV内の一方向性伝導 (LI),右上肺静脈,右下肺静脈の一部に心房への興奮伝 ブロックからの誘発とco1窪cealed entrainmerlt現象が得ら 導を認めたため再PVIを施行した。 【結果】LL RPV共に3回の通電でPVIに成功した。PV工後, RS天井部(RS−roof)から200msecと16伽secのぺ一シング れ,RS内の後壁を上から下へ,前壁を下から上へ旋圃する リエントリーが証明された。PVが関与する心膓細動の機序 を考察する上で興味深い症例を経験した. でRS内に孤立する周期長145msecのPV内頻拍が誘発され, 誘発時にはRS内でPV電位の一方向性伝導ブロックが観察さ (連絡先093−921−2231) れた。180msec,170msec,150msecのぺ一シングでは一方 慢性心房細動に対するカテーテル心筋焼灼術治療前後の運動耐容能の変化 329 一心肺運動負荷試験を用いた検討一 〇難波真砂美,星野晃子,新倉和子,棚橋洋子,藍田仁史 (総合病院横須賀共済病院中央検査科)、佐藤明,高橋淳(同循環器センター) 番場正博(同検査科部長) 細的1近年、頻脈性不整脈の治療において、カテーテル 度を増力目(Runp負荷)し、自覚的最大負荷までとした。 心筋焼灼術(ABL)が選択されることが多くなっている。当 【結果】ABL前後で運動耐容能の指標となる嫌気性代謝 閾値(AT)、PeakVO2、Pe&kWattで有意な改善を認めた。 院では、慢性心房細動の治療においてもABLが施行されて いるが、ABL前後による患者の運動耐容能の変化について 詳細に検討された報告はない。今回我々は、ABLを行った 慢性心房細動患者に対し、心肺運動負荷試験(CPX)を用い て、ABL前後で運動耐容能の変化について検討を行ったの で報告する。 ABL葡 A8L後 t検定 AT (ml/min/kg) 12,謹士2、8 階5.3士4.5 Pく0,01 Peak VO2 (ml/mln/kg) 16.2土3,8 18,8±5.7 Pく0.05 Peak Watt (watt) 90.7±26.2 103.0=ヒ35.0 Pく0.01 項目 【対象】当院でABI。治療を施行した慢性心房細動患者12 n証11(ABL後洞調律となった症例) 【考察】ABL治療により、慢性心房細動から洞調律とな 例(平均年齢162.6歳男性11名・女性1名)について検 った患者の多くは自覚的改善を認めるが、患者の主観に頼る 討を行った。 ものである。しかし今回の検討では、運動耐容能の改善を、 ABL治療後11例は洞調律となり、1例は心房細動であった。 客観的に評価をするうえで、CPXを行うことが有用である 1方法】ABL施行前および施行後ユ∼2ヶ月にCPXを行 と思われた。 った。運動負荷はLAOD祉製エルゴメーター、呼気ガス分 【結語】慢性心房細動に対するABLによる運動耐容能の 析はミナト医科学社製Aeromonitor AE・280SおよびAT 改善を、CPXにより客観的に評価可能であることが示され Windowデータ解析ソフトを用いた。 た。 プロトコールは安静4分、ウォーミングアップ20Wattの強 度で毎分60回転4分、っいで毎分まOWaもtの割合で運動強 医学検董Vo1,56NO.4200ア 横須賀共済病院中央検査科 生理検査室 TEL O46・822・27生0 (内線2398) 585 (243)
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