知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

い~な
あまみ
中 央
しらさぎ
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 1799 号 2014.3.4 発行
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秀逸映画 関西セレクト おおさかシネマフェス
大阪日日新聞 2014 年 3 月 3 日
表彰式に出席した女優の赤木春恵さん(前列中央)ら受賞
者=2日午後、大阪市中央区の大阪歴史博物館
「おおさかシネマフェスティバル2014~映
画ファンのための映画まつり~」
(大阪映像文化振
興事業実行委員会主催)が2日、大阪市中央区の
大阪歴史博物館講堂で行われた。関西の映画ファ
ンが選んだ 13 年度のベストテン発表と個人賞の表彰式で、主演女優賞の赤木春恵さん(89)
らスターが出席。会場のファンとともに、映画への熱い思いを共有した。
赤木さんは「ペコロスの母に会いに行く」で受賞。ゲストでは最高齢で、車いすで登壇
し「京都で映画が女優生活のスタート。テレビや舞台が忙しくなり、初の映画主演で思い
がけない立派な賞をいただき感激です」と笑顔であいさつすると、大きな拍手に包まれた。
同映画で赤木さんの若い頃を演じた原田貴和子さんも助演女優賞で「生まれ育った長崎が
舞台の作品で、深い縁を感じます」と華やかな着物姿で席を並べた。
ほかに「横道世之介」などで主演男優賞の高良健吾さん、「舟を編む」などで助演男優賞
の小林薫さん、
「凶悪」などで同女優賞の池脇千鶴さん、「ソウル・フラワー・トレイン」
で新人女優賞の咲世子さん、
「少年H」で新人男優賞の吉岡竜輝さんと、「フラッシュバッ
クメモリーズ3D」で音楽賞のGOMAさん、
「利休にたずねよ」で監督賞の田中光敏さん
らがステージに集い、浜村淳さんの名調子の司会で「映画談義」に花を咲かせた。
ロボスーツでパワフル介護
30万~80万円で発売へ
朝日新聞 2014 年 3 月 2 日
背中に装着する「マッスルスーツ」
。重い荷物を持ち上げることがで
きる=東京都新宿区
人間が身につけると、パワーがアップするロボット「マッ
スルスーツ」を、東京理科大の小林宏教授らが開発した。
約30キロの荷物を簡単に持ち上げられるようになり、高
齢者の介護などに活用できるという。ベンチャー企業を通
じて年内にも売り出す。同大が27日発表した。
ロボットは、背中に装着した人工筋肉を圧縮空気で収縮
させ、腰の動きを補助するしくみ。同様に身につける方式
の他社の製品と比べると、構造が簡単でコストが安いとい
う。
すでに介護現場などで試験的に使われており、商品化できると判断してベンチャーを設
立した。介護のほか、荷役作業など向けに本格的に売り出す。想定価格は30万~80万
円で、当面はリースやレンタルが中心という。小林さんは「将来は介護を受けている高齢
者自身も使えるようにして、自立の手助けにつなげたい」と話す。(高山裕喜)
震災遺児の心のケアに 仙台に交流施設が完成
朝日新聞 2014 年 3 月 1 日
仙台レインボーハウスに設けられた「おしゃべりの部
屋」=仙台市青葉区五橋
東日本大震災で親を亡くした子どもたちの交流
施設「仙台レインボーハウス」が仙台市青葉区
に完成し、1日、式典があった。あしなが育英
会が寄付金14億円を投じてつくった。同じ境
遇の子どもの交流を促し、心のケアにつなげる。
5月から利用する。
専門学校だった鉄筋4階建ての校舎を改修。サンドバッグを殴ったり暴れたりできる「火
山の部屋」や、車座で話せる「おしゃべりの部屋」を設けた。多目的ホールもつくった。
100人まで泊まることができ、週末や夏休みには泊まりがけのケアプログラムを開く。
この日の式典では、震災で両親と妹を亡くした宮城県東松島市の中学生、高橋さつきさ
ん(13)が作文を朗読。
「学校の友達には理解してもらえない話もわかってくれる。成長
が感じられるよう写真や家族の手紙を飾りたい」と話した。
レインボーハウスは阪神大震災の遺児を支援するため、神戸市に1999年につくった。
東日本大震災では仙台市が第1号。宮城県石巻市には今月末、岩手県陸前高田市には5月
に完成させる。
(長嶋晶子)
篠沢教授とALS
何度も口がもつれる
朝日新聞 2014 年 3 月 3 日
闘病生活を送る篠沢秀夫さん。妻の礼子さんとお気に入りの散歩コースで
自宅のカーポートには草木がしげる=いずれも東京都新宿区、山本和生撮影
テレビ番組「クイズダ
ービー」では笑顔と珍
解答で人気を博した
(篠沢礼子さん提供)
電動ベッドを上
げてもらう。我が家
のカーポートにあ
る柿の木が見える。
その右上には、大木
の椰子(やし)。木には名前をつけてある。椰子の木は娘の、柿の木には
教え子の名前。からだはほとんど動かなくなった。でも、こうして木を眺めれば、顔を合
わせているようで、うれしい。そう。ゆかい、ゆかい――。
篠沢秀夫さん(80)。大橋巨泉さんが司会を務めたテレビ番組「クイズダービー」(T
BS系)に、1977年から11年間、レギュラー解答者として出演した。よく間違えた。
それでも、
「ゆかい、ゆかい」と鷹揚(おうよう)に笑った。本業は学習院大学文学部教授。
「ゆかい教授」のニックネームで人気を博した。
テレビ画面からうかがえる人物像は、普段も変わらなかった。クイズダービーを彩った
女優の長山藍子さん、竹下景子さんらに慕われた。降板後も母校の学習院大で教壇に立っ
た。そのかたわら、仏文学の専門を生かしたフランス旅行を主催し、テレビ出演、執筆活
動に励んだ。70歳で定年退職。最終講義には約700人が集まった。
経歴は華やかでも、ずっと愉快だったわけではない。フランス留学中の62年、自動車
事故を起こして先妻を失った。さらに帰国して13年後の75年、長男が部活動の合宿中
に海でおぼれて亡くなった。15歳だった。
クイズダービーに出たのはそれから約2年後だった。妻礼子(れいこ)さん(73)と
の間に、長女茜(あかね)さん(37)が生まれて1年。ようやく気持ちをもち直したこ
ろだ。出演を承諾したのは、学者として伝えたいことがあったから。
「クイズと学問は違う」
「不得手なことはできなくてもいい」
70歳で名誉教授となった後も、母校で生涯学習の講義を続けたり、各地で講演会を開
いたりして、忙しくしていた。講演に行った秋田で、二日酔いがたたって倒れた。人間ド
ックで「血糖値が高い」と注意されはじめた。
好物の黒飴(あめ)を隠し持っていたのが見つかり、妻から「甘い物禁止令」が出たの
が2007年の秋。そこから半年で8キロダイエットした。ちょっとやり過ぎかな、と思
っていた。異変が起きたのはそのころ。74歳の春だった。
「あれっ? どうも口がもつれるな」
体重の減らしすぎで、歯茎のバランスが崩れたのだと思った。念のため、検査入院した。
でも、はっきりと悪いところは見つからなかった。
口のもつれは続いた。気をつけてしゃべっても、聞き返されることが増えた。夏以降の
テレビへの出演依頼はキャンセルされた。
11月。風邪気味で、かかりつけの耳鼻咽喉(じびいんこう)科に行った。のどの奥を
診た専門医に言われた。「声門の閉まりが変だ」。総合病院で脳の検査を受けた。しかし、
問題は見つからなかった。
一安心した。ところが、同じ月に受けた人間ドックでも「東京大病院(東京都文京区)
の神経内科を受診したほうがいい」
。手指の反りが悪いという。総合病院で脳に問題はない
と言われた後でもあり、さほど気にしなかった。
翌月、神経内科外来を受診した。6人の医師に囲まれ、筋電図の検査を受けた。筋肉の
収縮具合を調べるため、手足や肩に針を刺された。
妻の礼子さんは、嫌な予感がしていた。同じころ、のちにiPS細胞の研究でノーベル
賞を受ける山中伸弥(やまなかしんや)
・京都大教授の講演を聴いた。
気になったのは、山中さんが終盤に話した往年の大リーグ選手の名がついた「ルー・ゲ
ーリッグ病」だった。筋力が落ちてからだが動かなくなる病気で、筋萎縮(きんいしゅく)
性側索(そくさく)硬化症(ALS)と呼ばれている。ゲーリッグの死去後、70年近く
がたってもなお、克服できていない難病という。
「どうしても治したい病気」と話す山中さんの言葉が耳に残った。夫の症状について聞
きたくなった。――ろれつが回らないのはダイエットのせいですか? 食べても太らず、
顔色が悪いのが続いているのはなぜでしょうか?
年が明けて09年。
「このまま20年が過ぎればいいよね」。夫婦でうなずき合った。そ
の2週間後、入院を促す連絡が東大病院から来た。
神経内科の高橋祐二(たかはしゆうじ)さん(44)=現国立精神・神経医療研究セン
ター神経内科医長=が主治医となり、採血、肺活量、筋力の検査をした。
1月末、別室に呼ばれた。礼子さんと茜さんも一緒だった。そこで、診断名が告げられ
た。長い名前で、ALSとしか覚えられない。覚えたくなかったのかも知れない。筋肉を
動かす神経が麻痺(まひ)していく病気。進行性で有効な治療法はない、らしい。
黙って聞いていると、隣にいた礼子さんが質問した。「奇跡はないのですか?」
主治医の高橋さんは淡々と答えた。
「残念ながら、診断が正しいのであれば、治る見込みはありません」
しのざわ・ひでお 1933年6月、東京生まれ。学習院大文学部、東京大大学院修士課
程でフランス文学を専攻。パリ大留学を経て、73年に学習院大教授に就任。2012年、
闘病記「明るいはみ出し ゆかい教授とはみ出し女房」(静山社)を出版。(藤島真人)
職員給与カット拒否の市町村に政府「制裁」
補助金を減額方針
北海道新聞 2014 年 3 月 3 日
政府は2日、2013年度中の実施を求めていた公務員給与削減に応じなかった市町村
に対し、今年5月に配分予定の公共事業関連の補助金を減らす方針を固めた。国の意向に
従わない自治体に対する事実上の制裁措置で、首長らから「地方分権に逆行する」との反
発が出るのは必至だ。
これまで政府は、要請に応じなくても制裁はしないと表明していた。今回の対応は「給
与を削減した行革に熱心な市町村への配分を手厚くした。制裁には当たらない」と説明す
る方針という。
口に塩押し込んだ介護施設役員に懲役2年求刑
読売新聞 2014 年 2 月 27 日
介護施設に入所中の男性の口にスプーンで塩を無理やり押し込んだとして暴行罪に問わ
れた佐賀県伊万里市立花町、介護施設運営会社役員冨永英之被告(61)の公判が25日、
佐賀地裁(杉田友宏裁判長)で開かれ、検察側は「悪質な犯行で常習性が認められる」と
して懲役2年を求刑した。
判決は3月13日。
検察側は「認知症を患い、落ち度のない被害者がトイレの床を汚したことに腹を立て、
本人が高血圧を気にして嫌がることを知って口に塩を押し込んだ」と指摘。弁護側は「目
撃者の証言はあいまいで、信用できない」と反論し、無罪を主張した。
地裁は21日付で、冨永被告の勾留を取り消している。
アルミ缶回収で障害者施設がエコ交流
中日新聞 2014 年 3 月 4 日
事業所の利用者は、地域の住民とともにアルミ缶回収を手伝
う。植松弘義さん(左)も見守っている=沼津市原で
エコ活動で地域と障害者の壁を取り除く-。沼津
市原の障害者就労支援事業所「ウィサポートゆう」
は六年前の開所時から、アルミ缶回収箱を置いて、
地元住民に利用してもらう取り組みを続けている。
市は二月のエコ活動コンテストで金賞に選んだ。所
長の植松弘義さん(68)のアイデアが実を結んだ。
ウィサポートの入り口に自動販売機サイズの回
収箱がある。缶を投入すると、ポイントがカードに記録され、千個で五百円分の図書カー
ドがもらえる仕組み。週に一度訪れる近所の主婦(58)は「資源ごみの回収は月に一度
だけど、ここならいつでも来られる」とほほ笑む。
ウィサポートは、利用者の就労支援や生活能力を高める多機能型就労支援事業所。市内
各地から二十人が通い、菓子の箱の組み立て作業を行う。地域の人たちが訪れると、袋な
どに集められた缶を回収箱に入れるのを、施設利用者も一緒になって手伝っている。
植松さん自身も障害者の父だった。周囲の人からの励ましや援助に感謝を感じる一方、
後ろめたさもあった。
「もらってばかりではだめ。気持ちのほかに何か返したかった」。市
内で衣服製造工場を経営していたが、六十歳を過ぎた二〇〇七年、「障害者を支援するよう
な施設をつくりたい」と事業所開設を決意し、工場を親族に譲った。
事業所から地域の人を含めた周囲へ返すもの-。
「環境を中心に考えていたが、地域の人
に何か得になることがないと」
。友人からアルミ缶回収箱がある東京都品川区の戸越銀座商
店街の話を聞いて出向いた。
「図書カードをもらおうと住民が楽しそうに缶を入れていくの
を見て、利用者も地域住民も楽しく活動できると思った」
〇八年七月の事業所開所に合わせ、回収箱も設置。近くの小中学校にアルミ缶回収活動
を呼び掛けた。子どもが来るようになると自然と親も同伴するようになった。昨年は十六
万個集め、四十万円の利益を出した。一部を図書カードに換え、事業所内で住民に贈呈式
を行った。これまでに五百枚以上を渡した。
市障害福祉課の担当者によると、市内の就労支援事業所は三十八カ所。どの施設も地域
貢献活動を行っているが利用者の工賃向上で手いっぱいだという。担当者は「環境対策を
システム化し、地域に広めている事業所は珍しい」と話す。
現在、施設には毎日二十人以上の老若男女が訪れる。植松さんは今後も「エコ活動を通
じ、地域に溶け込みたい」と期待を膨らませている。
(山下葉月)
<障害者就労支援事業所> 国が定めた障害程度の6区分の中で、主に1~3の中軽度
障害者が通う。仕事の場の提供や生活能力の向上を目指す。区分4~6の重度障害者が通
う生活介護施設より、行政側からの補助が少ない。事業所は利用者の工賃を上げるため、
仕事の確保に追われている。
ノロ感染40代女性死亡 障害者施設入所者
読売新聞 2014 年 3 月 4 日
県医療政策室は3日、釜石市の障害者支援施設で20~70歳代の入所者21人がノロ
ウイルスによる感染性胃腸炎を発症し、入所者のうち、医療機関に入院していた40歳代
の女性が2月19日に敗血症性ショックで死亡したと発表した。同室は、「胃腸炎が死亡の
間接的な原因になった可能性は高い」としている。
同室によると、この施設では2月7~15日、入所者50人のうち、男性7人と女性1
4人の計21人に下痢や嘔吐(おうと)などの症状が出た。20人は軽症で回復したが、女性
1人が重症となり、12日から入院していたという。
また、釜石市の特別養護老人ホームでも、2月16~27日に70~90歳代の入所者
11人と20~50歳代の職員6人の計17人がノロウイルスによる感染性胃腸炎を発症。
全員軽症で、入院者はおらず、快方に向かっているという。
同室によると、今年度、ノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎の集団発
生は県内で69件。昨年度の累計を既に2件上回っている。
同室の高橋孝嗣・感染症担当課長は「ノロウイルスの流行はまだ続く。手洗いや消毒を
徹底し、感染を防いでほしい」としている。
盛岡市保健所によると、市内の高齢者施設でも3日、ノロウイルスによる感染性胃腸炎
の集団発生が確認され、70歳代の男性利用者が同日死亡した。現在、詳しい検査をして
おり、近く発表するという。
高齢者へ金融商品
販売ルール厳格化
80歳以上
読売新聞 2014 年 3 月 3 日
上司・別社員で再三確認
新ルールのもとでは、高齢者に対する分かりやすい金融商品の説
明と丁寧な営業が厳しく問われる(証券会社のセミナーで)
75歳以上の高齢者に金融商品を販売する際のルール
が、16日から厳しくなる。リスクの高い金融商品の販
売を現場の営業担当者にまかせず、上司によるダブルチ
ェックを求める仕組みだ。
■ダブルチェック
日本証券業協会がまとめた新ルールは、高齢者が金融
商品の内容をよく理解しないまま購入し、予想外の損失
を被るなどのトラブルを防ぐことが狙いだ。
具体的には、
〈1〉価格変動が大きい〈2〉商品の仕組みが複雑〈3〉すぐに換金できな
い――といった金融商品の購入を勧誘する場合に、証券会社や銀行に特別の注意を求める。
値動きが大きい新興国通貨建ての投資信託や、デリバティブ(金融派生商品)を利用した
投資信託などが対象になる。
販売ルールは顧客の年齢が「75歳以上」「80歳以上」で異なる。
75歳以上の顧客に対象となる商品を勧める場合は、事前に営業担当者の上司が顧客と
面談や電話で会話し、リスクをきちんと理解できるかを確かめなければならない。
顧客が自ら商品を選び、金額も決めて購入する場合や、インターネット経由で自ら注文
する場合は、面談しなくてもよい。
一方、80歳以上の顧客に売る場合には、一段と厳しい
手続きが必要だ。原則として、営業担当者が勧誘した翌日
以降に、上司が改めて高齢者の意向を確認してから注文を
受ける。
売買が成立した後は、担当した営業担当者以外の職員が
顧客に連絡を取り、注文内容に間違いがないか、確認しな
ければならない。
上司との会話などの内容は、録音するか書面に記録して
保管しなければならない。「顧客にも煩雑な手続きとなるが、
二重、三重のチェックでトラブルを防ぐ」(金融商品に詳し
い弁護士)ための措置だ。
■対応急ぐ
大手証券は既に体制作りを終えたが、中小証券会社や銀行は新ルールへの対応を急いで
いる。
東京・日本橋の明和証券は、新ルールを踏まえ、高齢者に販売した際の経緯を書面にし
て管理することを義務づける社内規則を新たに作った。「手続きは増えるが、丁寧に説明す
ることで商品について十分に理解してもらえる」(水野博之・営業企画推進課長)とみる。
営業担当者のチェック役を務める支店長が不在の場合、誰が代行役を務めるかなど、細か
い手続きも定めた。ルールを徹底するため、社員向けの説明会も開く。
東北地方のある地方銀行では、数年前に75歳以上の顧客に対する投資信託の販売を原
則禁止した。高齢者が購入を希望した場合には、担当部長の決裁が必要だ。新ルールの導
入後も、社内規則を大きく変える必要はない。
それでもこの地銀にとっては、
「顧客の高齢化が進んでおり、丁寧な説明や確認を行うこ
とが年々難しくなっている」
(営業担当者)。コスト削減で人員の余裕も乏しく、
「どうやっ
て人材を確保するか」
(同)など課題も多い。(佐藤千尋、米山裕之)
日証協の新ルール 金融商品の勧誘を巡る高齢者からの苦情・相談が絶えないことを受
け、日証協が昨年10月に作った。12月16日から会員の証券会社や銀行を対象に施行
した。ただ、金融機関の対応が間に合わない場合を想定した猶予期間を設けており、3月
16日からの実施を求めている。ルール違反があった場合は、日証協がけん責などの処分
や、過怠金(罰金)などを科す可能性がある。
法律上は、金融商品取引法が、顧客の知識や経験に応じて商品を販売することを義務づ
けている。しかし、高齢者への対応について詳細に定めたルールはなかった。
リアル~大阪市の保育ママ・2 年目の冬~スーパーニュースアンカー 2014 年 2 月 27 日
「まず一にも二にも安全性、今日の小児保健の勉強はこの安全です」
2012 年の冬、大阪市が開いた保育ママの研修には、認可外保育所をはじめ、異業種からも
たくさんの参加者が集まっていました。
これまで認可外保育所を経営してきた畑中有美さん。
保護者が支払う保育料の負担を減らして、保育士には少しでもいい待遇で働いてほしいと
願っていました。
美術を子どもたちに教えてきた和泉誠さんは、もっと深く子どもと関わり、幼児にもアー
トの世界に触れて欲しいと考えていました。
2人とも開設に必要な資金を借りて、保育ママ事業に参入しました。
「待機児童をなんとかゼロを目指して頑張って欲しいと」(橋下市長)
当時の橋下市長の肝いりで大阪市が始めた“保育ママ事業”。
小規模で家庭的な保育施設で、生後 6 ヵ月から 3 歳未満の子どもを預かり、待機児童を減
らそうという取り組みで、現在 59 カ所の保育ママ施設が 535 人の子どもを受け入れていま
す。
保育ママ施設には大阪市から補助が下りるので、認可保育所と同じ料金で子どもを預ける
ことができます。畑中さんが保育ママをはじめて1年。
「可愛い〜」
(畑中さん)
「泣かないね」
(母親)
「2時間であれば...」
(畑中さん)
畑中さんは新たに、東淀川区の上新庄駅近くに2件目の保育ママ施設をオープンさせまし
た。
募集後すぐに0歳から2歳の子どもが10人集まり、定員は一杯になりました。
「0歳児の待機児童が多いので、受け入れが全くできていないと聞いたので、東淀川区で
もいい園ができたらいいなという思いがすごくあって...」(畑中)
「こっちに入っていた先生がこっちに入ってもらわないと、うちも足りなくなる」
保育ママ施設の運営で難しいのが保育スタッフのシフトのやりくりです。
スタッフには保育士の資格がある人もない人もいますし、フルタイムで働ける人、パート
タイムの人など、それぞれで事情が違います。
畑中さんの新しい施設は和泉さんが運営する保育施設の近くに新しい施設を作り、お互い
が協力することで、勤務シフトの組み方に余裕を持たせ、もしスタッフが急病になっても、
他のスタッフで代わりができる体制を整えました。
「畑中さんと協力して補い合えたらいいものができるという話になって...」(和泉さん)
アートを取り入れた新しい保育の形を追求する和泉さんと、少人数の保育を活かして、積
極的に遠足やイベントを行う畑中さん。
それぞれの強みを組み合わせる事で、保育の内容でも子どもを預ける親にアピールしたい
と考えています。
Q:先生の雰囲気は?
「お母さんみたいな感じでここなら安心かなと」(保護者)
「子どもも慣れてくれて本当に良くしてくれているので本当に助かっています」(保護者)
さらに畑中さんが運営する施設は、保育ママの隣に認可外保育所を構えているのが特徴で
す。
これにより、保育ママ施設だけでは対応できない一時預かりの子どもや、延長保育を受け
入れて、預ける親の利便性を高めたいと考えています。
「延長が出来る事はすごいありがたい。急な残業とかあったりしたらやっぱり…。
私、預かってもらえる人がいないので」(保護者)
2人はこの1年間、小さな子どもの命を預かる仕事に大きな責任を感じながら、一歩一歩、
保育ママとして成長をしてきました。
その中で、どうしても疑問に思う点が出てきています
大阪市の保育ママ事業は、安全基準を厳しく定めているので、施設の内装工事などにかな
りのコストがかかります。
命を守るためには当たり前のことなのですが、そこに対する市からの支援はありません。
「大阪市の方針としては『最小の費用で最大の効果を出したいんだ』と、
『なんじゃそら』
と思ったんですが、大阪市が出す費用は最小かもしれませんが それ以外の足りない部分
は僕ら事業者が出していることをしっかりと理解して欲しいなと」(和泉さん)
5人を預かる施設の場合は常に2人のスタッフが働きます。
大阪市から出る委託料は子ども一人あたりおよそ 10 万円。
保険料など様々な経費を差し引くと、スタッフに支払えるのは時給で 900 円以下になると
和泉さんはいいます。
「どうしても最低限のお給料しか支払えないのが現状ですね。
それだけ仕事をしていただいているのに、これだけしか払えないというのは申し訳ない
気持ちもありますし」
(和泉さん)
大雪となった2月中旬のある日、畑中さんは怒っていました。
「そんな雪やからってダメですよ、こないんですか?」
「職員も普通に出勤しているのに来ないんですね。それ結構失礼だと思いますけど」
保育ママ施設がきちんと運営されているかをチェックするために、週に一度、大阪市から
家庭的保育支援者が派遣されています。
この日、担当する支援者から「雪だから行けない」と電話があり、その発言に畑中さんは
怒っていたのです。
「私がそのスケジュールに合わせてきているんです…」(畑中さん)
雪が降っても大事な子どもを預かる保育ママ施設に休みはありません。
数百万の借金をして施設を作り、5年以上かけて返済する経営のリスクを考えると、畑中
さんはこうした行政の対応に不信感を抱く事もあるといいます。
「思いがないとできないですよ。お金を借りてまで。やっぱり、橋下さんとかもどうなる
のかなって…。
決めた人がやめていったりとかどうなるんですかね。不安ばっかり残りますよね」(畑中
さん)
大阪市の発表では待機児童の数は大幅に減少しています。
東淀川区では0歳から5歳まで全ての年齢で、待機児童が解消された0の数字が並んでい
ます
ただし、大阪市が出した待機児童の数には育児休業をしている人や、これから仕事をした
いと考える人の子どもは含まれていません。
待機児童がゼロのはずの東淀川区にある畑中さんの施設では、すぐに定員が埋まりました。
畑中さんの施設が、すぐに子供たちで一杯になったのは数えられていない待機児童がまだ
多くいることのあかしです。
和泉さんの施設にも入所したいという問い合わせが増えていました。
和泉さんは畑中さんに続き、新しい保育施設をこの地域に作る決意をしました。
「なんかいいやん」
(畑中さん)
「ここの下に手洗いがついて」
(和泉さん)
「あれトイレ?」
(畑中さん)
この施設でもお互いの保育スタッフが協力して働き、保育の質を高めながら、今まで子ど
もを預けられなかった親の助けになりたいと考えています。
「公立の保育所とか幼稚園とか、いろいろな施設はあるが、 選択肢のひとつとして保育
ママを選んでもらえるようになればいいなと思って作っています」
(和泉
さん)
工事資金の返済や、スタッフの待遇向上など様々な課題は依然としてあ
りますが、保育ママ事業に深く関わることで芽生えた仕事へのやりがい
が原動力となっています。
「忙しく毎日なりますけど、でも楽しいので大丈夫です」(畑中さん)
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行