「知の知の知の知 」第2416号 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

い~な
診療所
あまみ
中
中 央
事務局
研究所
しらさぎ
つなぐの
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 2416 号 2015.4.16 発行
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「助けて」気付いていれば
名古屋市熱田区 知的障害者
中日新聞(
2015 年 4 月 12 日
自室で産んだ女児死亡
知的障害のある女性と夫。ベビードレスを着るはずだった赤ち
ゃんは、もういない=名古屋市熱田区で
知的障害のある名古屋市熱田区の女性(28)が3
月下旬、アパートの自室で産気づき、女の子を出産し
た。女性は誰にも助けを求められず、娘は命を失った。
小さな命を守るすべはなかったのか、関係者の自問が
続いている。
(社会部・池田悌一)
女性は夫(49)、長男(3つ)、次男(1つ)と4
人暮らし。「女の子がほしいね」という夫婦の希望で、
おなかに3人目の子を授かった。
予定日は1カ月以上先だった女性が、出血に気づい
たのは3月26日午前8時ごろ。次第に腹部が痛くなり、早産を疑った。夫は自宅に携帯
電話を置いて出勤し連絡が取れない。長男は保育園で、自宅にいたのは次男だけだった。
119番通報は「説明するの、難しい」とためらった。日頃から他人に意思を伝えるの
は難しく、飲食店で「禁煙席ですか、喫煙席ですか」と聞かれるだけでパニックになる。
女性は正午ごろ出産。体を拭いて「温かいように」とバスタオルでくるんだ。
119番できたのは約1時間後。だが「火事ですか、救急ですか」と問われ、何も言え
ず電話を切った。すぐかけ直し、また切った。夫が午後6時半に帰宅した時、女性が抱い
た娘の体は既に冷たかった。夫が110番通報。警察の連絡を受けた医師は「死産の可能
性もある」と指摘するが、死因は不明のままだ。
生まれつき知的障害のある女性は、18歳で愛知県内の実家を飛び出し、公園で寝泊ま
りする生活を始めた。児童相談所で一時保護され、デイサービスの補助員として働いてい
た際に夫と出会い、やっと幸せをつかんだ。
家事や育児は夫が中心。それでも女性は長男の出産後、育児疲れで精神的に不安定にな
った。保健所の助言で市の補助があるホームヘルパーも雇ったが、女性が「子どもを奪わ
れる」と疑うなど長続きしなかった。夫は「娘の名前も『彩音』に決めていた。仕事の調
整などで乗り切れると思ったが、もっと妻を気にかけていれば」と悔やむ。
この女性を支援してきたNPO法人「くらし応援ネットワーク」(名古屋市)の岡部昭子
理事長によると、知的障害のある女性の出産は珍しくない。障害者を地域社会で支える障
害者自立支援法が2006年に施行され、出会いの場が広がった影響もある。
同NPOが支援する知的障害の女性約40人のうち、今回の女性を含む5人が出産して
いる。ただ、岡部さんは「出産、育児となると、親が近くにいるなど環境が整っていない
と難しい」と実情を語り、
「悲劇を防ぐため、日頃から地域社会との結びつきや、行政の積
極的な関与が必要だ」と訴える。
富士通 発言をすぐ文字表示できるソフト
NHK ニュース 2015 年 4 月 14 日
聴覚に障害がある人たちが会議や授業などに参加しやすくなるよう、電機大手の富士通
は音声認識の技術を使って会議中の出席者の発言をパソコンの画面上にすぐに文字として
表示できるというソフトを開発しました。
このソフトはパソコンやタブレット端末に入れてマイクとつなぐと、音声認識の技術で
会議の出席者が発言した内容をすぐに文字としてパソコンの画面上で表示できるというも
のです。
出席者の数だけマイクが必要になりますが、複数の人が同時に話しても発言者ごとに内
容を表示することもできます。
聴覚に障害がある人にとって会議や授業は複数の人が同時に発言することがあるため手
話などでの支援が難しいということですが、会社では、このソフトで参加しやすくなるこ
とが期待できるとしています。
このソフトは来月発売されますが、会社では会議の簡単な議事録を手早く作成すること
もできることから、幅広い利用を見込んでいます。
開発した「富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ」の塚野芳一部長は「聴覚障害者の
方が無理なく会議に参加できるようリアルタイムな情報表示を追求した。会話内容の完全
な記録は難しいが、メモ程度であれば議事録作成にも活用できるので、そうしたニーズも
探っていきたい」と話していました。
音声認識の技術で発言の内容を文字で表示する仕組みでは、NECが裁判所向けのシス
テムを実用化しているほかNTTも笑い声まで認識できる技術を開発するなど、今後も幅
広い利用が見込まれています。
介護や歩行にロボットスーツ
大和ハウスが事業拡大 神沢和敬
朝日新聞 2015 年 4 月 14 日
ロボットスーツHALの腰につけ
て使うタイプは、介護の現場などで
使う=大和ハウス工業提供
大和ハウス工業は、介護や
歩行訓練などで体につけて使
うロボットスーツ3種類を5
月からレンタルする。また、
重いものを持ち上げるのを支
えるロボットスーツを工事現場で使う実験も始める。高齢化など
で使い道は広がるとみており、2020年
度にはロボット関連の売上高を50億円に
伸ばすのが目標だ。
ロボットスーツは、筑波大発のベンチャ
ー企業、サイバーダイン(茨城県つくば市)
が開発した「HAL(ハル)」。大和ハウス
はサイバーダインに出資し、国内でのレン
タルなどを手がけている。
レンタルするのは、介護者が腰につけて、
抱き上げる作業などを支えるタイプや、ひ
じやひざなどにつけて関節の動きを助ける
タイプ、下半身につけて歩行を補助するタ
イプだ。体を動かす際に脳が発する信号を皮膚に貼ったセンサー
が読み取って動く。体にかかる負担を最大40%軽くするという。
徘徊高齢者発見に協力を
一般住民にもメール送信 明石
神戸新聞
2015 年 4 月 15 日
チラシを手にしてアドレスの登録を呼び掛ける職員=明石市貴崎1
徘徊して行方不明になった認知症高齢者の早期発見を目指
し、兵庫県の明石市社会福祉協議会(社協)は、福祉関係者
の携帯電話向けに配信してきた不明者情報のメールを15日
から一般住民にも送ることを決めた。顔写真を添付しないこ
とでプライバシーに配慮し、同日からアドレスの登録を受け
付ける。
同社協は、徘徊する可能性があるお年寄りの家族からあら
かじめ写真の提供を受け、行方不明になった場合は名前や場
所、顔写真を携帯電話のメールに配信してきた。
2012年に運用を開始し、現在は知的障害者を含む72
人が登録。民生委員やケアマネジャーなど約240人がメー
ルを受け取っており、これまでに31件の行方不明事案に対
応してきた。
警察官による捜索を補完するという位置付けながら、メールを受け取った人がお年寄り
を早期発見した例もある。今回は「利用者の期待に応えたい」と協力者の範囲を広げるこ
とにし、顔写真を添付せずに情報を提供することにした。
登録は明石市社会福祉協議会のホームページから。担当者は「早期発見に役立つことを
期待したい」と話している。同社協TEL078・924・9105(井原尚基)
明るさや衛生面など配慮…NPO法人「いぬいふくし村」リサイクル棟などが完成
産経新聞 2015 年 4 月 14 日
完成した待望のリサイクル作業棟。作業や衛生面などに配慮して
いる=兵庫県篠山市
兵庫県篠山市乾新町で、障害者の自立支援に取り組む
指定障害者サービス事業施設「NPO法人・いぬいふく
し村」(岩谷晃圓理事長)の新しいリサイクル作業棟と
事務所棟が完成した。新施設は障害者らが作業しやすい
よう明るく、衛生面などに配慮している。
いぬいふくし村は、市内の篠山養護学校のPTA有志
らのグループ。重度障害者が通える作業所開設のため、平成14年2月から募金活動を始
め、15年に無認可の知的障害者小規模作業所「紙ふうせん」を開設、16年にはNPO
法人を設立した。
現在、20代を中心に約10人が生活介護、20~60代の約20人が軽作業を中心に
活動している。軽作業は主に、リサイクル資源の回収とトイレットペーパーの販売。市内
の個人、事業所などからペットボトルやアルミ缶、段ボールなどを回収し、選別・洗浄な
どをして運営資金にしている。
完成した作業棟は、鉄骨平屋建て約160平方メートル。棟続きの事務所棟は、鉄骨2
階建て延べ約220平方メートル。事業費は約6千万円。旧リサイクル作業棟と倉庫など
を解体し、昨年7月に着工した。
これまでの作業所は四方に囲いがなく、冬場は風や寒さが厳しく、風雨が強いときは作
業を中断していた。新作業棟の整備は、いぬいふくし村の念願だった。障害者らの仕分け
作業や汚れた床面を洗いやすくするため、衛生面や明かり取りなどを配慮。出入りが頻繁
なため、スイングドアにした。
次長の増田豊彦さんは「新しい作業棟は作業環境がよくなったことで、作業の安全にも
つながった」と喜んでいる。問い合わせはいぬいふくし村((電)079・554・3340)
。
耳で聞く「オーディオブック」市場開拓へ協議会
産経新聞 2015 年 4 月 15 日
新潮社や小学館、講談社など16社は、書籍の内容を読み上げて耳から聞く「オーディ
オブック」の市場開拓と普及を促進するため、
「日本オーディオブック協議会」を設立した。
これまで各社で行っていた商品展開や販路について情報を共有し、市場の分析と拡大を目
指す。協議会によると、現在の国内のオーディオブック市場は約50億円。ビジネス書や
語学書を中心に約1万5000タイトルが制作されている。ただ、先行する米国の市場規
模は1600億円に上るという。
協議会の代表理事を務める佐藤隆信新潮社社長は6日の会見で「各社の資産を有効活用
できるように検討したい」と述べ、今後は制作会社などにも門戸を開く方針を明らかにし
た。また、来年4月の障害者差別禁止法施行をにらみ、書籍のアクセシビリティー(利用
しやすさ)向上を目指し、共同で普及のための活動に取り組む。
「知的障害者スポーツ支援を」有森さん
読売新聞 2015 年 04 月 15 日
福井
西川知事(手前)にスペシャルオリンピックスの活動へ協力を求
める有森さん(県庁で)
◇県組織設立に合わせ知事訪問
知的障害者のスポーツを振興する公益財団法人「スペ
シャルオリンピックス(SO)日本」の県組織の設立に
合わせ、法人の理事長で、バルセロナ五輪女子マラソン
銀メダリストの有森裕子さんらが14日、県庁を訪れ、
西川知事に協力を求めた。都道府県組織は46番目。水
泳、陸上、バドミントンなど5競技の選手や家族ら約8
0人が参加する。
この日夜の鯖江市での認証式に先立ち、有森さんや、県組織の理事長となる納村亮・県
心身障害児者福祉団体連合会長らが西川知事と面会。有森さんは「スポーツで知的障害の
ある選手の可能性を引き出す活動で、20周年を迎えました」と話して支援活動への協力
を呼び掛けた。西川知事も「福井では3年後に国体がありますし、輪が広がるといいです
ね」と応じた。
SOは1968年に米国で生まれ、4年に1度、夏季・冬季の世界大会が開かれる。S
O日本は94年の設立で、今週中に茨城県でも47番目の組織が認証されるという。
障害年金の支給、国家公務員に有利な格差是正へ
読売新聞 2015 年 04 月 14 日
病気やけがで仕事や生活に大きな支障がある場合に受給できる障害年金の支給ルールで、
国家公務員に有利な「官民格差」があることが分かり、政府は 10 月に公務員が加入する共
済年金と、会社員が加入する厚生年金が統合されるのに合わせ、ルールを統一化すること
を決めた。
障害年金は、保険料の滞納がなければ、障害の程度に応じて支払われる。自営業者らが
対象の障害基礎年金と、厚生年金加入の会社員に上乗せされる障害厚生年金、共済年金加
入の公務員に上乗せされる障害共済年金がある。受給者は 2012 年度末で、基礎年金が 177
万 3000 人、厚生年金が 39 万人、共済年金(国家公務員のみ)が 1 万 7000 人。
障害基礎年金や障害厚生年金の場合は、障害の原因となった傷病の「初診日」を証明し
なければならない。初診日に加入していた制度で、支払われる障害年金の種類が決まるた
めだ。
初診日の証明には健康保険の給付記録や医療機関の診察券などの提出が義務づけられて
いるが、時間が経過したケースでは証明が難しくなる。日本年金機構の調査では 12 年度、
基礎年金の申請者のうち 0・7%が初診日を証明できず、支給されなかった。
一方、国家公務員は証拠がなくても、本人が申告する初診日に共済年金に加入していれ
ば支給が認められる。転職者が少ないため、初診日がいつでも、ほとんどが共済年金に加
入しており、緩やかなルールになったとみられる。
政府は、10 月から国家公務員でも初診日の証拠を提出しなければ、障害年金を支給しな
いことにする。
子どもの発達障害
早期ケア
未来開く
高崎健康福祉大准教授・宮内さん
東京新聞 2015 年 4 月 15 日
発達障害の子どもへの早期支援の大切さを強調する宮内さん=高崎市で
高崎健康福祉大准教授で、臨床発達心理士の宮内洋さん(48)
が今月、桐生市の「子ども発達支援アドバイザー」に就任した。
子どもの発達障害を早期に見つけ、成長に合わせて切れ目なく支
援するための体制づくりに関わる。宮内さんは「障害に対するケ
アが早ければ早いほど、子どもたちの将来の選択肢を広げられ
る」と強調する。 (杉原麻央)
発達障害には、他人とコミュニケーションがうまくとれない、
じっとしていられない、読み書きができないなど、さまざまな症
状がある。文部科学省が二〇一二年、全国の小中学校を対象に実
施した調査によると、発達障害の可能性がある子どもは、三十人
に一~二人の割合でいる。
周りに「変わった子だな」という程度に受け止められ、本人も障害に気付かないまま成
長し、大人になってから日常生活で困難に直面するケースが目立つ。発達障害について知
識が乏しく、十分な対応ができずに悩む教員も多いという。
宮内さんは「子どもらしさなのか、障害なのかを見極めるのは難しい」と対応が遅れる
原因を指摘する。乳幼児健診や幼稚園、小学校生活などでのちょっとしたしぐさに、障害
の兆しが現れることもある。
「今まで見落とされていた子を救うには、親だけでなく地域の
大人たちが目を向け、関わっていく必要がある」と力説する。
宮内さんは北海道大で子どもの発達を研究した。各地の子どもの生活状況を調査した経
験もある。〇五年に高崎健康福祉大に赴任後は、県内を中心に発達障害について相談や講
演会の依頼を受けている。
桐生市は今月、乳幼児から十八歳までを対象に、成長に応じて支援する「子ども発達相
談室」を新設した。医療、保健、福祉、教育など関係機関のネットワークを築き、保育士
や教員の研修、保護者の指導などを進める上で宮内さんに助言を求める。
宮内さんは「人間の土台が育つ幼少期の発達支援は誰にとっても重要だが、発達障害の
ある子に対する支援の環境は十分でない。障害にも個性があり、個別に発達をサポートし
ていく体制をつくってほしい」と期待を込める。
旧東郷小跡を再整備、開園 [宮崎県]
西日本新聞 2015 年 04 月 15 日
宮崎県内初の児童心理治療施設「ひむかひこばえ学園」の開園式が11日、日向市東郷
町の同施設であった。旧東郷小学校跡を社会福祉法人清風会(瀧井修理事長)が県などの
補助を受けて約3億円かけて再整備した。旧校舎の1、2階部分にひこばえ学園、3階部
分に学園の児童生徒が通う小中一貫校の日向市立東郷学園「若竹分校」が入り、児童生徒
日向市に児童心理治療施設
の生活、学習の場として活用される。
旧東郷小学校跡に整備された「ひむかひこばえ学園」と日向市立
東郷学園「若竹分校」
児童心理治療施設は不登校や被虐待など、心のケアや
社会的養護を必要とする子どもたちへの施設で、臨床心
理士や社会福祉士など専門知識を持ったスタッフが生
活を共にする。ひこばえ学園は全国で41番目の開設で、
定員50人(入所35人、通所15人)
。
開園式では、瀧井理事長が「子どもと成長し、親と学
び、地域と生き、学習し続ける組織でありたい」。黒木
健二市長が「子どもがすくすくと育ち、地域に根付いて
生活できるようになってほしい」とあいさつした。
静岡)掛川で特別支援学校が開校 県内では25年ぶり
朝日新聞 2015 年 4 月 15 日
岡田和彦、大内悟史
開校式でダンスを披露する小学部の児童ら=掛川市の掛川特
別支援学校
県立掛川特別支援学校が14日、掛川
市に開校した。特別支援学校の本校開校
は県内で25年ぶり。15日には吉田町に吉田特別支援学校も開校する。身体が不自由だ
ったり、知的障害があったりする子どもを対象にした特別支援学校の児童生徒数は近年増
えており、県教育委員会は今後3年でさらに施設整備を進める。
■掛川で開校式 きょう吉田も
掛川特別支援学校は掛川市杉谷南1丁目の市立総合病院跡に建てられた。病院跡は市が
「希望の丘」と称して、医療、福祉、保健、教育の拠点として整備を進めている。
同校は知的障害と肢体不自由の子どもたちを対象にしており、小学部、中学部、高等部
に計169人が通う。14日の開校式典では小学部の児童がダンスを披露。深沢裕子校長
が「特別支援学校の子どもたちは住んでいる地域と学校のある地域という二つの地域を持
っている。学校ができてよかったと言ってもらえるよう、地域とつながる学校づくりを進
めたい」と述べた。
特養傷害、家族が運営法人提訴…「配慮怠る」
読売新聞 2015 年 04 月 14 日
新潟市中央区女池の特別養護老人ホーム「プリメーロ女池」で90歳代の入所女性が介
護職員に殴られて重傷を負ったり食事中に窒息して入院したりしたのは施設が安全配慮を
怠っていたためだとして、女性の長女らが施設を運営する社会福祉法人「修愛会」などを
相手取り、約140万円の損害賠償を求める訴えを新潟地裁に起こした。
訴状によると、女性は昨年10~11月、施設で当時職員だった男に殴られ胸の骨を折
るなどの重傷を負った。また、11月23日には食事中に窒息して救急搬送された。女性
は搬送先の病院で今年2月に死亡した。男は傷害罪に問われ、同地裁で懲役1年の実刑判
決が確定したが、原告は男に対しても慰謝料などを請求している。
原告代理人の弁護士は「施設から謝罪はなく、亡くなった方と家族の肉体的、精神的苦
痛に対する慰謝料を求める」と話した。修愛会は「裁判に影響があるので現時点ではコメ
ントできない」としている。
薬物乱用:精神疾患、受診件数過去最多に
毎日新聞 2015 年 04 月 14 日
◇治療プログラム受講、たった4割
薬物の乱用が原因で精神科の医療施設に入通院した患者が2014年に過去最多となる
一方で、乱用につながる依存症の専門治療プログラムを受けたことがある人がうち4割に
とどまることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。危険ドラッグのまん延などで患者
が急増する中、プログラムの受講割合は過去の調査より低下しており、精神科を受診した
患者が依存症からの回復機会を十分得られていない実態が浮き彫りになった。【江刺正嘉】
調査は薬物乱用と精神疾患の関連を調べるため、精神科病床がある全国の医療施設を対
象に1987年からほぼ隔年で実施。14年は1598施設を対象に、9〜10月に診察
した薬物関連患者の原因薬物などを尋ね、回答があった1201施設(75.2%)17
09症例のうちデータに欠損がない1579例を分析した。
調査結果によると、症例数、回答率とも過去最高となった。危険ドラッグの乱用で患者
が増えたほか、有名歌手の薬物事件で医療施設側の関心が高まったことも影響したとみら
れる。
薬物乱用報告症例数の推移(上)と依存症原因薬物の割合の推移
精神科受診の原因となった薬物は▽覚醒剤42.2%
(666例)▽危険ドラッグ23.7%(374例)▽
処方薬(睡眠薬と抗不安薬)13.1%(207例)▽
シンナー5.7%(90例)の順。前回12年調査と順
位は同じだが、危険ドラッグは、初めて調査対象となっ
た前回に比べ症例が2.7倍になり、割合も7.4ポイ
ント増となった。
原因薬物を1年以内に使った1019例に限ると、危
険ドラッグ34.8%(355例)▽覚醒剤27.4%
(279例)▽処方薬16.9%(172例)の順とな
った。前回は1年以内の使用でも覚醒剤が危険ドラッグ
をわずかに上回ったが、今回は逆転し、危険ドラッグ乱
用の急拡大が裏付けられた。
一方、医療施設や都道府県などの精神保健福祉センタ
ーで、
「認知行動療法」と呼ばれ依存症からの回復に効果
があるとされる治療プログラムを受講した経験がある人
は37.6%(593例)にとどまり、同じ設問があっ
た08年調査(43.0%)を下回った。多くの患者が
精神科を受診しながら、依存症の専門治療を受けていないことになる。プログラムを提供
する医療施設が全国で15カ所、精神保健福祉センターも11カ所しかないことが背景に
あるとみられる。
研究責任者の松本俊彦・国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長は「治療プ
ログラムを提供する専門施設からの症例報告が多いため、4割を下回る受講率でさえ実態
より高い可能性がある。プログラムは近年少しずつ広がっているが、危険ドラッグの乱用
などによる患者の急増に追いついていない。再乱用防止のためにも治療体制の整備は喫緊
の課題だ」と話している。
Listening:<ブックウオッチング>街の本屋さん さわや書店フェザン店(盛岡
市)
毎日新聞 2015 年 04 月 15 日
◇「いま読んでほしい」本を売る
駅ビルにある本屋だが個性が光る。JR盛岡駅の「さわや書店フェザン店」はそんな店
だ。
「書店の棚は自己主張の場ではなく、客の思いにどこまで寄り添えるかだ」と語る店長
の田口幹人さん(41)
。本を手に取りたくなる、そして買いたくなるような書棚作りの秘
密に迫った。
この店にはポップが多い。それも長文の。
今年、力を入れて売りたい本を「さわベス2
015」として書籍、文庫それぞれを店頭に
掲げる。書籍は1位に原田マハさん「奇跡の
人」
(双葉社)
、2位に川名壮志さん「謝るな
ら、いつでもおいで」
(集英社)といった具
合だ。店内は大型のポップが並ぶ。その狙いを説
明する田口店長
「謝るなら−−」は、2004年、長崎県佐
世保市の小学校で6年生の少女が同級生に
殺害された事件がテーマのノンフィクション。ポップには「三度読み三度むせび泣いたの
は、わが子を亡くしてなお気丈に振る舞う被害者の父の姿と罪の意識を抱けない加害者少
女(のちに発達障害と診断される)への無力感からだ」とある。
ポップの文章は朝4時に起きて本を読むという田口さんと店次長の松本大介さんが作り、
店員が書く。田口さんは文庫の解説、通信社が地方紙に配信する書評、地元ラジオ局の番
組での本の紹介もしている。鏑木蓮さんの「エンドロール」(早川書房)の文庫本解説は田
口さん、黒野伸一さんの「限界集落株式会社」
(小学館)の文庫は松本さんの解説だ。
80代の女性客。夫に先立たれ独居だ。ある日、女性は組み立てロボットの「ロビ」を
組み立ててほしいと田口さんに頼んだ。本来なら断る場面だが、若い店員に作らせて、女
性に渡した。
「ロビ」はロボットクリエーターの高橋智隆さんが開発した組み立て式ロボッ
トで、
「週刊ロビ」に付属するパーツを組み立てて作る。
入り口の最も目立つ場所は郷土の出版社と岩手ゆかりの人物の雑誌や書籍が並ぶ。地元、
盛岡の“普段”をつづるミニコミ誌「てくり」などと並んで岩見ヒサさん著「吾(わ)が
住(す)み処(じょ)ここより外になし−−田野畑村元開拓保健婦のあゆみ」(萌文(ほうぶ
ん)社)があった。ポップには「岩手県に原発がない理由が本書を読むとわかります」「こ
の本の118ページを見てください」とある。思わず手にとってしまう仕掛けだ。
東北の太平洋側4県で唯一原子力発電所のない岩手県。1917年、大阪生まれの岩見
さんは結婚で同県田野畑村に転居。養護教諭などを勤めた。81年、村に原発関連施設建
設の動きがあると知り、反対運動を始めた。広瀬隆さん著「原子力発電とはなにか」を5
0冊まとめ買い。村長や村の幹部、村議に配った。その結果、岩手に原発はない。この本
が出たのが10年5月。その10カ月後に福島第1原発事故が起きた。本書は、同店が突
出して日本一の売り上げを誇る。
「新刊書は黙っていても売れる。いま読んでほしい本に力を入れて売る」と田口さん。
この「吾が住み処」もそんな本の一冊といえそうだ。【須藤晃、写真も】
◇引きつける長文のポップ
さわや書店フェザン店(盛岡市盛岡駅前通1の44、盛岡駅ビル南館
1階、電話019・625・6311)
。午前9時〜午後9時、無休。駅
ビル「フェザン」は東北新幹線開業前年の1981年オープン。岩手県
の県鳥キジの英語「pheasant」から。さわや書店は岩手、青森
県に8店舗を展開している。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行