知の知の知の知

い~な
診療所
あまみ
中
中 央
事務局
研究所
しらさぎ
つなぐの
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 2451 号 2015.5.12 発行
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全教科をタブレット1台に…デジタル教科書検討
読売新聞 2015 年 05 月 11 日
文部科学省は、タブレット式の情報端末を使っ
た「デジタル教科書」の導入に向け、有識者会議
を設置して検討を始める。
英語や音楽で音声を使った体験学習をしやすく
なるほか、算数・数学では、図形を立体的に学ぶ
ことができるといったメリットに着目している。
文科省は、2年程度かけて新たな教科書検定の
方法などを検討し、早ければ2020年度からの
導入を目指す。
デジタル教科書は、公立小中学校の全教科の教
科書をタブレット端末1台にまとめ、児童生徒に
配布することを想定している。新しいニュースを
学ぶことにも役立つ。
教育現場では、情報通信技術(ICT)の活用
が進んでいる。文科省の調査では、電子黒板を活
用した授業は、13年度に全国の公立学校の37・4%で行われている。教育委員会や学
校などが、独自にタブレット端末を購入し、学習を助ける教材として児童らに貸し出す例
もある。
ただ、教科書は現行法では「紙」であることが定められており、タブレット端末を教科
書と認める場合、学校教育法などの法改正が必要となる。
不登校生宅に大学生派遣…熊大で研修会
読売新聞 2015 年 05 月 11 日
野添さん(右)の話を聞く大学生たち
不登校の小中学生の話し相手に大学生を派遣する「ユア・
フレンド事業」の研修会が9日、熊本市中央区の熊本大教育
学部で開かれた。同学部と熊本市教育委員会の主催で、大学
生ら73人が参加し、不登校の子どもと向き合う心構えなど
を学んだ。
事業では、熊本大から推薦を受けた学生を市教委が「ユ
ア・フレンド」として登録。保護者や学校の依頼を受けて、
学生が子どもの自宅などを週に1回、2時間程度訪問し、話をしたり一緒に遊んだりする。
この日は、ユア・フレンドとしての活動が3年目になる同大教育学部4年、野添研太さ
ん(21)が「子どもたちと本気で遊んでほしい。コミュニケーションの積み重ねが信頼
関係の構築につながる」と助言。市教委の担当者は、子どもの人権を大切にしながら向き
合っていくことの重要性を説いた。
参加した同大教育学部2年、国本優希さん(19)は「私と出会った子どもが笑顔で日々
を過ごせるようになるよう、頑張りたい」と話していた。
市教委によると、昨年度は154人の学生が活動。登校を促すことが目的ではないが、
訪問した168人の子どものうち128人で、登校できるようになるなど状況の改善が見
られた。今年度は、この日の参加者を含め96人の学生が新たに登録を予定し、昨年度か
らの継続者と合わせ、197人が登録する見込みという。
増やせ障害者の収入
北海道内の就労施設、高品質の商品作り
北海道新聞 2015 年 5 月 11 日
雪の結晶などのキャンドルが人気の「スノードロップ」
(中村祐子撮影)
障害者の就労支援に向けた動きが広まる中、道内の就労継続支援事業
所で一般の企業や商店に劣らない高品質の商品作りを目指す取り組みが
出始めている。商品の品質やデザインで差別化を図り、適正な価格で売
ることで、障害者の収入を増やすのが狙い。障害者が自立した生活を送
る上で、働く意欲や経済的な支えにつながると期待されている。
昨年6月に開所し、女性向けにデザインしたキャンドルが評判を呼ん
でいるのは、精神障害者らが働く札幌市南区澄川の「スノードロップ」
。青、水色、白の濃
淡がある雪の結晶形のろうを重ねた製品など、1個500~2千円。催しで売り上げが数
万円になることもある。
■適正価格で
「適正な価格で買ってもらえるのは、『かわいい』からこそ」と話すのは、デザインや仕
上がりを指導する所長の川又郁子さん(63)
。従業員は5ミリ四方の色違いのろうを格子
模様に組んだり、キャンドルの色に合わせて芯を手作りしたりする。細部の美しさを出す
作業は根気が必要だ。
事業所は、正式の雇用契約を結び最低賃金などを保障する就労継続支援A型で、従業員
の平均賃金は月7万円近く。技術が高い人は8万円以上を得られるようになった。川又さ
んは「障害年金と合わせれば1人暮らしもできる。我慢強く作業を続けたことで自信を持
ち、接客や仲間への教え方を丁寧にできるようになった従業員もいる」と喜ぶ。
札幌市南区中ノ沢の「お菓子工房ノワ」。甘い香りの店内は主婦らでにぎわう。看板商品
はシュークリームで、生地に道産小麦、クリームにはこくのある三温糖を使い、1個14
0円。一般の菓子店とほぼ同じ価格設定だが、週末は1日240個が売れる人気だ。
水族館サンダルを障害者デザイン 中國新聞 2015 年 5 月 11 日
障害者がデザインした、しまね海洋館アクアス(浜田、江津市)
のオリジナルビーチサンダル3種類の販売が、同館などで始まった。
井畑礎理子さん(64)=浜田市三隅町=がムツゴロウ、田畑玲美
さん(21)=同市国分町=がシロイルカ、ヒトデなど八つの生き
物、三好史子さん(20)=江津市渡津町=はペンギンをそれぞれ
デザインした。館内の生き物をスケッチした36点から来館者の投票で選ばれた。
同館
や島根県社会福祉協議会が昨年に続き企画した。 サンダルは各2千円。
再生エネ会社 福祉施設に設置 太陽光発電 市民出資募る 中日新聞 2015 年 5 月 12 日
配当 地元産農産物も選択可
再生可能エネルギーの普及・啓発に取り組む合同会社「金沢市民発電所2号」(金沢市)
は、市内の福祉施設に設置する太陽光発電設備の管理費などに充てるため、市民の出資を
募っている。同社が手掛ける発電施設は三カ所目。今回は現金配当のほかに、出資者が地
元産の米や野菜など現物による配当も選択できるようにした。永原伸一郎代表は「エネル
ギーだけでなく、食の地産地消も進めたい」と話している。(飯田樹与)
金沢市民発電所と出資者の募集を代行する金融商品取扱業「おひさま自然エネルギー」
(名古屋市)が十一日、金沢市役所で記者会見し、概要を発表した。
太陽光発電設備を置くのは、高齢者福祉施設「マナの家」(同市涌波)。年間予測発電量
は約三万二千キロワット時で、九世帯分の年間使用量に相当する。
太陽光発電設備が設置される「マナの家」=金沢市涌波で
出資金は九百万円(八十口)
。出資方法は二種類あり、十年契約で一口
十万円(一人最大五口まで)と、十五年契約で一口二十万円(同三口ま
で)
。発電した電気は北陸電力に売り、年間百十万円の売り上げを予想。
出資者へ配当する予想利回りは十年契約が2%、十五年契約が2・5%。
申し込みは六月三十日まで。
金沢市民発電所は昨年三月、安原保育園(下安原町東)とみなと第二
保育園(桂町)の屋根に太陽光発電設備を設置。同四月から一年間の二
施設の合計発電量は、天候に恵まれたことで予想の四万二千三百キロワット時に対して五
万二千九十五キロワット時。年間売電額も予想を四十二万円上回る二百二万円だった。
事業説明会を二十一日に近江町交流プラザで開催。問い合わせは、金沢市民発電所=電
076(208)3120=まで。
ボランティア 震災直後の10分の1に減少
NHK ニュース 2015 年 5 月 11 日
東日本大震災で被害の大きかった宮城、岩手、福島の3県で活動したボランティアは昨
年度、7万7000人余りと震災直後の10分の1以下に減っていることが分かりました。
一方で被災地では、行方不明者の捜索や原発事故による避難区域の住宅の片付けなどボラ
ンティアのニーズが高い状況が続いています。
東日本大震災の被災地ではがれきの片づけや仮設住宅での見守り活動など全国各地から
数多くのボランティアが訪れて活動しています。発生直後の平成23年度に社会福祉協議
会を通して活動したボランティアは、宮城県で52万5741人、岩手県で34万749
9人、福島県で12万7792人と合わせて100万1032人に上りました。
しかし、去年3月までに宮城と岩手ではがれきの処理が終了したうえ、仮設住宅から災
害公営住宅などに移り住む人などが増えるにつれてボランティアも減少し、昨年度は、宮
城県で3万5536人、岩手県で2万6995人、福島県で1万5066人となり合わせ
て7万7597人と10分の1以下に減っています。
一方で、今も行方が分からない人は3県で2500人以上に上り、捜索活動が続けられ
ているほか、福島県では、原発事故による避難区域の住宅の片付けなど依然としてボラン
ティアのニーズが高い状況が続いています。このため、各地の社会福祉協議会ではボラン
ティアによる被災地の支援を呼びかけています。
高校中退者の就職後押し
都教委「ユースアドバイザー」採用
東京新聞 2015 年 5 月 12 日
都教育委員会は、都立高校の中途退学者や進路が決まっていない卒業生の相談に乗る「ユ
ースアドバイザー」として、非常勤職員三人を新たに採用した。教員や親とは異なる第三
者の立場で進路を話し合い、ハローワークや若者支援のNPOなどと連携して、就職や再
就学を後押しする。
都教委によると、ユースアドバイザーには社会福祉士や臨床心理士、教員などの資格が
あり、若者支援活動の経験がある人を採用した。
退学者の多い十のモデル校を中心に、生徒らと面会して相談に乗るほか、退学してしま
った場合でも支援を切らさないようにする。モデル校の中でも、青井高(足立区)と八王
子拓真高(八王子市)では退学者全員に接触を試みるという。
足立・葛飾地区と多摩地区の都内二地区では、ハローワークや都産業労働局など関係機
関とも情報を交換し、就職希望者を支援できるようにする。
都が二月に東京労働局と結んだ雇用対策協定に基づき、都立高でハローワーク職員が仕
事に関する講演をしたり、都立高に若者ハローワークのリーフレットを置いたりするなど、
労働局も中退者らの支援に積極的にかかわる。
都教委によると、二〇一三年度の都立高中途退学者は約三千二百人。アドバイザーの指
示で各校に派遣する進路指導支援員も一六年度以降に採用し、中退後の支援を本格化する
という。
勾留中更生サポート
大分保護観察所と地検
大分合同新聞
2015 年 5 月 12 日
更生保護施設で生活しながら仕事に通う男性。生活を建て直し、再犯はした
くないと思っている=4月、大分市内
裁判手続きには至らない「起訴猶予処分」が見込まれる容疑者
の社会復帰を支援するため、大分保護観察所と大分地検が連携し、
釈放前から住居の確保や福祉サービスの受給手続きなどを手伝う
「事前調整」を始めた。再犯防止の取り組みの一環で、万引や無
銭飲食といった比較的軽微な容疑で逮捕された高齢者、知的障害
者、住居がない人たちが対象。1月以降、勾留中の4人について調整を実施した。4人は
一時的住居として民間の更生保護施設などに入り、既に仕事も見つかったという。
法務省は2013年10月から、仙台、福島、水戸など7カ所の保護観察所で事前調整
を実施。14年度からは新たに大分など13カ所で、15年度からは全国で試行を始めた。
地検から依頼を受け、保護観察官らが勾留中の容疑者と面談。釈放後に入る住居の確保や
仕事探し、必要なら生活保護の受給手続きなどをサポートする。本人が望めば、その後も
原則半年間を上限に、継続的に相談を受けたりする。
従来も社会復帰を支援する仕組みはあったが、起訴猶予になり釈放されてから面談して
いた。容疑者段階で面談に着手できることでスムーズな支援ができるようになったという。
大分ではこれまで、金属窃盗未遂や無銭飲食などで1~4月に起訴猶予処分となった30
~50代の男女4人が対象となった。4人はいずれも住所不定で仕事がなかったが、現在
は更生保護施設などに入り、土木や食品関係などの仕事をしながら生活の再建を目指して
いる。
全国の刑法犯の認知件数は年々減少しているものの、再犯者の割合は増加している。大
分保護観察所は「再犯防止のため、生活困窮者らが社会で自立できるように支援したい」、
大分地検も「積極的に取り組んでいきたい」と話している。
再出発した男性 「お金ためて自立したい」
「いきなり世間に放り込まれたら、どうにもならん。家も仕事も金もなければ、再犯を
してしまう可能性は高いと思う」
万引事件で勾留中の3月に事前調整を受け、大分市内の更生保護施設に入った男性(5
9)は、こう話す。
男性によると、50歳まで地元の鹿児島で漁業をしていたが、不漁などでやっていけず、
大阪に出た。仕事を探したが、なかなか見つからない。面接を受けても断られ、
「心が折れ
た」
。ハローワークにも行かなくなり、野宿生活が始まった。日雇いの土木作業や、空き缶
を拾って換金するなどして生活していた。
前々から「故郷に帰りたい」とは思っていた。そんな折、パチンコで偶然2万5千円を
手にした。電車に乗り、鹿児島を目指した。だが、九州に入り、
「知り合いや身内に顔を合
わせられんなあ」とちゅうちょした。別府市内の駅で降り、数日過ごしたら所持金は30
円ほどになった。
何も食べず、公園の水を飲んで過ごしたが、腹が減った。3月上旬、大型スーパーでお
にぎりを万引して店外に出ようとしたところを店の関係者に見つかり、現行犯逮捕された。
釈放後に施設に入り、仕事も見つかった。「ここに入れてもらえんかったら、どうにもな
らんかった。もう犯罪はしたくない。お金をためて自立したい」と思っている。
教職員削減提案、財務省が歳出抑制具体策
与党など抵抗も
日本経済新聞 2015 年 5 月 12 日
財務省は 11 日、
財政健全化目標を達成するために求める歳出抑制の具体案をほぼ固めた。
2008 年の金融危機後に設けた地方向けの特別予算を廃止する案や、公立の小中学校の教職
員数を抑える案を新たに示した。今年4月に示した社会保障費を抑える具体策とあわせ、
各省庁に実施を迫る。ただ医療費の負担増など過去に断念した改革が多く、実現できるか
どうかは不透明だ。
11 日に開いた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で地方や教育、公共イン
フラへの歳出を抑える具体策を示した。社会保障費抑制の具体策は先月末にすでに示して
おり、改革案がほぼ出そろった形だ。
焦点の一つである地方向け予算では、地方の予算総額をかさ上げする「歳出特別枠」と
地方交付税交付金に上乗せする「別枠加算」の廃止を求めた。いずれも金融危機後に落ち
込んだ地方経済を支えるための措置。地方税収は 15 年度に 40.2 兆円と危機前の 07 年と同
水準になる見込みで、分科会では「危機対応であったはずの措置は廃止すべきだ」との指
摘が出た。
救急車で搬送した患者が軽症だった場合に本人にお金を払ってもらう案も示した。15 年
度の地方財政計画で1兆円が計上された「まち・ひと・しごと創生事業費」についても「か
なり増えており、成果のチェックが必要」との指摘があった。
教育分野では小中学校の教職員を今後 10 年で約 4.2 万人減らしても教育の質を維持でき
るとして合理化を求めた。公共インフラは新しい投資を抑え、既存設備の長寿命化や集約
に力を入れるべきだとした。
政府は社会保障費などの政策経費を税収でどのくらい賄っているかを示す基礎的財政収
支(プライマリーバランス、PB)を 20 年度に黒字化する目標を掲げている。経済財政諮
問会議の議論を経て6月末をメドに目標達成に向けた計画をつくる予定で、財務省はここ
に歳出削減の具体策を盛り込みたい考えだ。
内閣府の試算によると、財政健全化目標を達成するには 9.4 兆円分の歳出削減や税収増が
必要だ。政府は今回の計画では消費税率を 10%超に引き上げることは避ける方針で、歳出
削減の重要度は増している。
ただ来夏に参院選が控え、医療費の自己負担増など国民に痛みを求める改革には与党内
や関係者の抵抗が予想される。病院での受診時に窓口負担とは別に定額負担を求める案な
ど、過去に検討したものの頓挫した案も再び盛り込んでいる。
地方向け歳出も選挙を控え「地方に配慮するため、ばっさり削ることはできない」(経済
官庁幹部)との声も漏れる。
経済の成長力を高める施策も必要になる。政府は実質2%以上、名目3%以上の経済成
長を続けて税収を増やすことを財政健全化計画の最大の柱に据える方向。潜在成長率が
1%に満たない日本ではかなり高いハードルだ。規制改革など潜在成長率を高める成長戦
略の立案と実行が問われることになる。
地方財源の水準引き下げを 財務省指摘 自治体反発も SANKEIBIZ2015 年 5 月 12 日
財務省は11日の財政制度等審議会の分科会で、自治体が自由に使える地方一般財源総
額に関して、リーマン・ショック後の危機対応策で総額が膨らんだ2010年度以降、「実
質的に同水準」が続いていると指摘し、歳出を抑制して現在の水準から引き下げるべきだ
とした。
一般財源は地方税収や地方交付税などの合計で、消費税増税による社会保障の充実分な
どを除いた15年度の一般財源は59兆円と、10年度の58兆8000億円とほぼ同水
準。危機対応策がなかった08年度は57兆4000億円だった。
財務省は危機対応策として導入された「歳出特別枠」(15年度は8500億円)の廃止
を訴えた。
政府が今夏まとめる財政健全化計画では歳出削減をどう進めるかが課題となるが、一般
財源の水準引き下げには自治体の反発も予想される。
障害年金
西日本新聞 2015 年 5 月 11 日
病気やけがで一定の障害がある人が受け取れる公的年金。加入制度に応じて障害基礎年
金、障害厚生年金、障害共済年金がある。「基礎」は2階建ての年金制度の1階部分に当た
る。支給額は「基礎」の1級で月約8万1千円、2級で月約6万5千円。受給者は「基礎」
と「厚生」で2012年度に約198万人。受給には「初診日」の証明が条件となり、国
民、厚生年金の加入者は証拠書類を提出しなければならないが、国家公務員と一部の地方
公務員は自己申告だけで認められるという官民格差がある。
障害年金地域差 3年放置 厚労省 不支給率、最大6倍
国の障害年金を申請して不支給と判定される人の割合に最大6倍の地域差がある問題で、
厚生労働省が遅くとも2011年に問題を認識しながら昨年まで実態を調査せず、支給実
務を担う日本年金機構の対策が後回しになっていたことが10日、共同通信の情報公開請
求に対して開示された会議録で分かった。
地域による判定のばらつきは昨年、共同通信の取材で判明。厚労省と年金機構が対応に
乗り出したのはその後で、今年2月に専門家検討会を設置し、客観的な判定指標の策定な
どを進めている。
多くの人が受け取る障害基礎年金では、年金機構の都道府県事務センターが各地の医師
(認定医)に審査を委託しており、機構は11年11月、全国の認定医を集めた会議を都
内で開催した。
開示された議事録によると、会議に出席した厚労省の担当者は「同じ障害の状態である
にもかかわらず、
(地域によって)等級(の判定)が違うことがある」と指摘。
さらに、各事務センターで審査する障害基礎年金と、機構本部が一括で扱う障害厚生年
金の間でも違いがあることに触れ、
「国民(基礎)年金、厚生年金で異なる判断をしている
のはまずい」との認識も示していた。
担当者は「認定の均一化が最重要課題」として、判定にばらつきが出ないよう審査基準
の改正と年金機構の事務運営の見直しを図る考えを表明。しかし厚労省は基準改正は実施
したものの、実態を把握するための調査には乗り出さず、事務運営見直しは進まなかった。
この担当者は取材に対し「業務の優先順位があり、何もかもはできなかった」と話して
いる。
障害基礎年金をめぐっては、審査件数全体に占める不支給判定の割合が、10~12年
度平均で最高の大分県(24・4%)と最低の栃木県(4・0%)で6・1倍の開きがあ
ることが分かっている。
社説:[障害年金の格差] 早急に解消を図るべき
南日本新聞
2015 年 5 月 12 日
怠慢と言われても反論できまい。障害者の「命綱」をめぐる厚生労働省の対応のことだ。
病気やけがで一定の障害がある人が受け取れる障害年金の認定審査に最大6倍の地域差
があることが昨年明らかになった。厚労省はその3年前に問題を認識していながら放置し
ていたのである。
障害年金の支給条件に官民に格差があり、「公務員優遇」が半世紀にわたって続いていた
ことも3月に発覚した。居住地域や加入制度によって年金を受け取ったり、受け取れなか
ったりするのは、法の下の平等に反する可能性がある。国は早急に格差解消を図るべきだ。
障害年金は、公的年金の加入制度に応じて障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金
があり、障害の程度や保険料納付期間などの要件を満たせば受給できる。約200万人が
受け取っている。
障害基礎年金をめぐっては、不支給判定の割合が2010~12年度平均で最高の大分
県が24%、最低の栃木県の4%と6.1倍の開きがあった。鹿児島県は13%だった。
厚労省は、支給審査に当たる全国の認定医を集めた11年の会議で地域間のばらつきを
指摘されていたにもかかわらず、実態調査も行わなかった。
情報公開請求で開示された会議録によると、制度に矛盾があることを認めた上で「法律
改正となると国会承認が必要なので難しい」と根本的な対策を見送っている。
矛盾や不備があれば是正するのが監督官庁の責務ではないか。ましてや障害者にとって
障害年金は生活の命綱である。不公平な状態をそのままにした責任は重大だ。
地域差の是正について支給事務を担う日本年金機構は、都道府県ごとに行う審査を広域
化する方向で検討している。医師1人当たりの審査件数に最大14倍の開きがあるという。
認定医の確保などを急ぐ必要がある。
公務員優遇は「初診日」の取り扱いの差で生じた。国民年金と厚生年金は障害のもとに
なった傷病で初めて医療機関にかかった初診日の証明が条件だが、公務員などが加入する
共済年金は本人申告で認めていた。国は10月に予定される厚生年金と共済年金の一元化
に合わせて、初診日の証明を求める方針だ。だが、カルテ保存義務は5年間に限られてお
り、初診日の証明は受給の「高い壁」になっている。
客観的な判定で公平に年金を受給できる体制構築が求められる。実態に即した対応を含
め、制度見直しに本腰を入れてもらいたい。
社説:マイナンバー 範囲の拡大を急ぐ前に
中國新聞 2015 年 5 月 12 日
赤ちゃんからお年寄りまで日本に暮らす住民一人一人に12桁の番号を割り当て、行政
手続きに使う「マイナンバー制度」の導入が迫ってきた。
これまで国や自治体が別々に持っていた個人情報を共通の番号で一元管理する仕組みだ。
希望者には顔写真入りの集積回路(IC)カードが無償で配布される。各世帯へ番号通知
が10月に始まり、来年1月の運用開始という手はずである。
しかし国民の認知度はいまだ低い。内閣府が行った最新の調査でも、7割以上が「内容
を知らない」と回答している。不正利用を懸念する人の割合も3割に上っていた。
そうした状況だというのに社会保障、税、災害対策の3分野に限られる当初の用途を早
くも拡大したいのだという。マイナンバー法改正案の審議が、衆院で連休明けから本格化
している。
まずはマイナンバーの役割について説明と周知を徹底させる方が先なのではないか。
むろん制度の導入が一定の意味を持つことは否定しない。政府からすれば、まず個人所
得の把握が簡単になる。脱税を防ぎ、生活保護の不正受給を防ぐ効果は確かにあろう。
住民にとってもカード1枚で各種の行政サービスが順次、受けられるようになる。例え
ば行政窓口で提出する書類が大幅に減り、年金受け取りを始める時などにも住民票や所得
の証明書の添付が不要になる。確定申告なども容易になる見通しだ。
ただ、それも準備が整ってこその話である。今のところ民間の受け皿は心もとない。
各企業は源泉徴収票などに従業員のマイナンバーを記載することが義務付けられる。極
めて重要な個人情報であり、外部に漏らした場合は法律で罰則の対象になる。なのにセキ
ュリティーをどう確保するか、とりわけ中小零細企業では対応が遅れがちのようだ。この
ままなら混乱が生じかねない。
せっかくの制度である。軌道に乗せるために政府がやるべきことは多いのではないか。
しかし現在の改正案審議を見れば、一足飛びに先へ先へと急ぐ姿勢ばかりが際立つ。
新たに範囲を拡大する内容も慎重な議論が必要なものばかりだろう。個人の所得に加え
て資産を把握できる金融機関の預金口座のほか、国民の健康管理を理由に予防接種履歴な
どが含まれている。仮に改正が実現すれば、早ければ2018年度から実施されるものも
ある。それらにしても政府側が描いているシナリオの一端にすぎまい。ゆくゆくは戸籍や
旅券、医療・介護分野などへも順次、拡大させていく。そんな意図が伝えられているから
だ。重複診療を防ぎ、医療費全体を減らす。そうした国民が納得しやすい狙いならまだい
い。国民の懐を把握し、ゆとりのある高齢者に対して場合によっては現役世代並みの負担
を願うことには賛否両論があろう。国民が制度に漠然とした不安を抱くのは、単に情報流
出など直接的な被害に対する懸念だけではないはずだ。国によって自らの情報がどこまで
把握され、どう活用されるかの将来像が分かりにくいからではないか。
そうした本質論を置き去りにしたまま、結論ありきで次のステップに移るのは早過ぎる。
社説:介護と保育 将来見据え一体化推進を
西日本新聞 2015 年 05 月 12 日
団塊の世代が全て75歳以上になる2025年には、介護職員が約30万人も不足する
とされる。保育も需要がピークを迎える17年度末までに新たな保育士が約6万9千人必
要になるとの推計もある。
人口流出が続く地方では、高齢者や障害者、児童の各福祉を担う人材の確保がより厳し
くなる。現状を放置すれば、サービスの提供が困難になることが予想される。座視するわ
けにはいかない。
厚生労働省が、中山間地などで高齢者の介護や児童、障害者向け施設の統合を進める方
向で検討を始めた。互いに利用したり、交流したりできる共生型の福祉施設を整備し、併
せて人材の融合化も図る。4月に省内の検討チームを設置し、実現に向けての課題を今月
中に整理する方針だ。
住宅が点在する中山間地では、福祉サービスの拠点となる施設をそれぞれ設けるには限
界がある。高齢者介護や児童、障害者向け施設を統合し、複数のサービスを手掛けること
ができれば、事業の経営安定にもつながるだろう。早急に具体策を講じてもらいたい。
共生型福祉施設は地域によって形態が異なるものの、全国的に広がり始めている。
福岡県や佐賀県などでは、高齢者が子どもたちと触れ合いながら介護が受けられる「宅
幼老所」がある。全国でも介護施設が人材確保のために職員の子どもを預けられる施設を
併設する事例がある。
子どもとの交流で高齢者は生き生きし、障害者の社会参加への意欲を引き出す効果も期
待できる。子どもたちも、お年寄りへの思いやりを身に付ける機会になろう。
ただ、現状では分野別に異なる法律で福祉施設の設置と運営が定められ、
臨機応変の対応は難しい。地域のニーズに応じてつくられ、変化にも柔軟
に対処できる共生型の福祉施設を増やしたい。
このような動きを後押しするには、限られた人材を有効に活用するため
の新たな資格の創設など法的な整備も必要ではないか。国や自治体ととも
に、社会全体で効果的な仕組みを考えていきたい。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行