知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

い~な
あまみ
中 央
さくら
しらさぎ
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 1410 号 2013.6.30 発行
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上司らによる障害者虐待
133事業所で194人 厚労省調べ
産經新聞 2013 年 6 月 28 日
経営者や上司など職場の使用者から虐待を受けた障害者が133事業所で194人にの
ぼることが28日、厚生労働省の集計で分かった。昨年10月に障害者虐待防止法が施行
されたことを受け、初めて、使用者による障害者虐待の状況をとりまとめた。
虐待の種類別(重複有)では、賃金不払いや賃金額が最低賃金に満たないなど「経済的
虐待」が164人と最多。次いで、暴言や差別的な言動など「心理的虐待」20人、暴行
や傷害など「身体的虐待」16人、長時間放置するなど「放棄・放置による虐待」15人、
「性的虐待」1人となった。
虐待が認められた事業所の業種は、製造業(58事業所)が最も多く、医療・福祉(1
3同)
、卸売業・小売業(12同)-の順。
虐待を認知後、行政側が行った助言や是正指導は183件で、賃金不払いなど労働基準
関係法令に基づく指導などが全体の86・9%(159件)を占めた。
集計は、昨年10月から今年3月までの状況をまとめた。
知的障害者入所施設:第三者委の虐待認定に反論
毎日新聞 2013 年 06 月 29 日
西東京市の知的障害者入所施設「たんぽぽ」の虐待問題で、施設を運営する社会福祉法
人・田無の会が、東京都の指導で設置された第三者委員会が虐待の認定をしたことに反論
し、都に出した改善計画の報告の中で再調査を求めた。第三者委は新しい理事会の下で改
善計画をまとめるよう求めたが、報告は理事会の刷新には回答していない。都は「指導に
十分応えていない」として、さらに調査する方針。
この問題は昨年11月、障害者虐待防止法に基づく内部通報が都に寄せられたことで浮
上した。弁護士らによる第三者委は今年5月、施設の職員が入所者に馬乗りになって殴る
などの虐待をしたと認定。経営陣を「障害者の権利擁護に関する理念が著しく欠けている」
と非難し、刷新を求めた。これを受けて都は「経営陣刷新」などを重視するよう指摘した
上で、報告を求めていた。
都などによると、報告は期限だった27日に提出された。第三者委が認定した職員の暴
行などを「やや事実と異なった情報」と主張。さらに改善担当役員を新任するなどして経
営陣を強化し、虐待防止責任者を置くとしたが、理事の交代には明確に答えはなかった。
法人側は取材に対し「提出したばかりで話せることはない」とコメントしている。【野倉
恵】
給食牛乳広告で子どもの人権110番PR
朝日新聞
2013 年 6 月 27 日
牛乳パックの「子どもの人権110番」広告
24日から始まった全国一斉「子どもの人権1
10番」強化週間に合わせ、県人権啓発活動ネッ
トワーク協議会は、宇都宮市や鹿沼市などで学校
給食の牛乳パックに広告を掲載する。
「子どもの人権110番」は、いじめ、体罰、
不登校、親の虐待といった子どもをめぐる人権問
題の相談を受け付ける専用相談電話(フリーダイ
ヤル=0120・007・110)。
相談は法務局職員、人権擁護委員が受け付ける。
通常の受け付けは平日の午前8時30分から午
後5時15分までだが、30日までの強化週間中は午後7時まで延長し、土、日曜も受け
付ける(午前10時~午後5時)
。
牛乳パック広告は26日から20日間程度、8市2町の204校の給食で出される「と
ちらく牛乳」計100万本に掲載する。
「潜在的な障害者」132万人
77%が高齢者、厚労省調査
共同通信 2013 年 6 月 28 日
病気やけがのため買い物や排せつ、掃除など日常生活に困難を感じながら、障害者手帳
を持たず、障害者向けサービスも受けていない潜在的な障害者が推計132万9千人に上
ることが28日、厚生労働省の調査で分かった。制度への認識不足などにより、公的支援
から取り残された人がいる可能性がある。
このうち65歳以上の高齢者が77・9%を占め、103万5千人に達する。高齢化の
進行に伴い増加が予想されるだけに、厚労省は都道府県などと連携し、手続きの周知や相
談体制の充実を図る方針だ。
調査は2011年12月に実施。約2万4千人に調査票を配布し、約1万6千人分を回
収し推計した。
瀬戸内の障害者施設が建築法違反
補正予算案に改修委託料
山陽新聞 2013 年 6 月 28 日
瀬戸内市は 28 日、市が障害者支援施設として使用している建物が建築基準法に違反して
いたとして、改修の設計委託料 49 万9千円を盛り込んだ2013年度一般会計補正予算案
を開会中の定例市議会に提出した。
障害者に作業機会などを提供する「地域生活支援センタースマイル」
(同市邑久町山田庄、
鉄筋2階延べ640平方メートル)で、2カ所必要な階段が1カ所▽2階の1室に窓がな
い▽1階のガラス窓が網入りでない―の3点が違法だった。
同市によると、施設は 01 年に当時の広域連合が県から無償譲渡され、事務所として使っ
た後、04 年 10 月から旧邑久町が支援センターを運営。その際、障害者施設の基準に合わせ
た改修をしないまま、合併で瀬戸内市に引き継がれたという。
運営する社会福祉法人(和気町)が、13 年4月から新たな障害者向けサービスの開始を
岡山県に相談したことで発覚。今月 10 日に県から是正計画の提出を求められていた。
適正化法違反容疑でエコライフを告訴 宮城県
河北新報 2013 年 06 月 29 日
仙台市の障害者就労支援施設運営会社「エコライフ」による給付金などの不正受給問題
で、宮城県は28日、偽造した領収書を使い県の補助金を不正に受け取っていたとして、
補助金適正化法違反容疑で同社と菊地幸郎社長を宮城県警に告訴した。県警は告訴状を受
理した。
県によると、同社は2010年9月~11年9月、障害者支援施設「バンビの杜利府」
(利
府町)と「バンビの杜蒲生」
(仙台市)に関し、パソコンなどのリース物件を購入したよう
に領収書を偽造し、水増しした金額で補助金を申請。計約1億5800万円を不正に受け
取った疑いがある。
エコライフをめぐっては、架空の領収書でバンビの杜蒲生関連の補助金を申請し約50
0万円をだまし取ったとして、仙台市も詐欺容疑で告訴している。
福祉避難所に7施設
南国市が初めて協定
高知新聞 2013 年 06 月 29 日
南国市は28日、南海地震など大規模災害時に高齢者や身体障害者 10+ 件らを受け入れ
る「福祉避難所」の協定を、医療法人など5事業者と初めて結んだ。介護老人保健施設な
ど市内7施設で計約490人の収容が可能になる。
7施設は、介護老人保健施設「夢の里」
(岡豊町中島)、同「JAいなほ」
(明見)
、同「ケ
アポート南国」
(大埇乙)
、特別養護老人ホーム「白銀荘」(同)
、同「土佐清風園」(岡豊町
小篭)
、同「陽だまりの里」
(岡豊町中島)、ケアハウス「たんぽぽ」(同)。
災害弱者:支援者推計を市町村に要請へ
国が新指針検討
毎日新聞 2013 年 06 月 30 日
災害時に自力避難が難しい障害者や高齢者らの支援対策で、政府は「災害時要援護者避
難支援ガイドライン」を改定し、地域で支援者となり得る人の総数を推計するよう市町村
に求める方向で検討している。障害者の死亡率が高かった東日本大震災を教訓に地域のマ
ンパワーを把握し、市町村の支援計画に実効性を持たせる狙い。推計を基に、実践的な避
難支援訓練の実施を促すことも併せて検討している。
市町村に要援護者名簿の作成を義務付ける改正災害対策基本法は今月17日に成立した。
災害時は本人の同意なしで、平時は同意を得た上で、消防や民生委員など外部に名簿を提
供できるとした。
法改正により市町村は要援護者をほぼ正確に把握できる。だが、支援の受け皿を把握し
ておかなければ具体的な支援計画を立てられないため、ガイドラインの改定を検討。消防
や民生委員のほか、自主防災組織、地域の障害者支援団体、福祉NPO法人など支援者と
なり得る人の総数を「地域の共助力」として推計するよう求める。
また要援護者の避難支援訓練では、高台などの避難場所で身の安全を確保した後、避難
所へ届ける支援を実践する。
一方、改定ガイドラインでは個人情報への配慮として、平時の名簿の提供先には、名簿
を鍵のかかる場所に保管する▽必要以上にコピーしない▽取り扱う人を限定する−−ことな
ども求める。
避難支援ガイドラインは2005年策定。要援護者名簿作成などの全体計画と、支援者
や避難場所を決める個別計画の策定を市町村に求めている。【野倉恵】
いじめ自ら考える
小中学校で「防止プログラム」
東京新聞 2013 年 6 月 29 日
いじめが社会問題化する中、子ども自身にいじめについて考えさせる研修が、首都圏の
小中学校で注目されている。神奈川県藤沢市のNPO「湘南DVサポートセンター」が提
供する「いじめ防止プログラム」
。どんな内容なのか、取材した。(宮本直子)
いじめ防止プログラムのワークショップで、生徒たちの
意見を引き出す瀧田信之さん=神奈川県藤沢市の村岡中
学校で
「いじめと聞いて何が思い浮かぶ?」。湘南D
Vサポートセンター理事長の瀧田信之さんが尋
ねた。今月上旬、藤沢市の村岡中学校で行われた
プログラムのワークショップ。教室で生徒たちが
次々と手を挙げた。
「仲間外れ」
「無視」
「自殺」
「不
登校」
。そんな言葉が黒板を埋めた。
「じゃあ、加害者はどんな人?」と瀧田さん。
「
(漫画『ドラえもん』の)ジャイアン」
「力が強
い」といじめっ子像が出てきた。その一方で「家
庭に問題」「いじめられたくないからやってる」
など、加害者を分析する声もあった。
一週間後の二回目のワークショップでは五、六人の班ごとに加害者像を話し合う。「いじ
められた経験があるのかも」
「自分が標的になるのが怖くて傍観者に」-。最後に、意見を
集約して加害者像を模造紙に描き、発表する。
「こわもてだが心には傷」といったイメージ
だったり、
「見ぬふりをする傍観者」を描き込む班もあった。
ワークショップは全四回で、三回目は「大切な自分、自尊感情」、四回目は「相手に気持
ちを伝える」をテーマに、各教室で話し合う。
プログラム終了後、学校で生徒の悩みの相談役となる「スクール・バディ」を募る。バ
ディになるには別の講習を受ける。バディの継続的な活動でいじめを許さない校風を根付
かせるのが最終目標だ。瀧田さんは「生徒が主体的に動き、教師や地域が支援して、より
居心地のいい学校にしてほしい」と話した。
瀧田さんは、不登校や障害のある子どもを持つ家庭を支援するボランティア活動を二十
代から続け、家庭内暴力(DV)を抱える多くの家庭とも接してきた。DVの解決策を探
ろうと一九九九年に同センターを設立。米国のNPOで、DVの被害者救済プログラムを
学び、日本でも活用していた。それを応用したのが「いじめ防止プログラム」だ。
プログラムを最初に導入したのは村岡中で、今年で七年目。担当の長島瞳教諭は「効果
は目では見えにくいが、いじめ防止の大切さに気付くきっかけになっている。学校の伝統
にもなりつつある」と話す。
藤沢市は、村岡中を参考に導入を推進。計五十四校の公立小中学校のうち、十校で取り
入れている。都内では世田谷区が本年度から全区立中で実施。品川区もモデル校での導入
が始まり、実施校を増やしていく方針という。
いじめ問題に詳しい千葉大教育学部の藤川大祐教授は「子どもがいじめについて深く話
し合うことは意義深い。閉鎖社会の学校なので、外部人材の活用も意味がある」とプログ
ラムを評価。ただし、
「いじめ対策の外部丸投げは逆効果。教師もいじめに向き合っている
という姿勢が大前提」と話した。
<いじめ防止プログラム> 中学生向けは1回が50分で1週間おきに全5回。初回は、
いじめの実態とプログラム内容についての講演会。2回目から最終回まではワークショッ
プ形式。小学生向けは全4回。
湖国産 ワサビ栽培に力
守山の共同作業所
8月に初出荷へ
京都新聞 2013 年 6 月 28 日
野洲川の伏流水を活用したワサビの栽培に、滋賀県守山市中町の共同作業所「就農ベン
チャー協会 びわこ板倉ファーム」が取り組んでいる。湖国でのワサビ生産は珍しいとい
い、8月上旬の初出荷に向け障害者たちが日々の手入れに汗を流す。
7年前からワサビ栽培法の研究を続けてきた地元の企
業と、神戸市で共同作業所を運営する多田佳史さん(37)
らが協力、障害者らの就労の場づくりなどを目指し、今年
3月に同作業所を立ち上げた。
収穫に向け、ワサビの手入れをする農業訓練生たち(守山市川田町)
守山市川田町の約500平方メートルの休耕田に縦、横
それぞれ約1・2メートル、深さ約30センチの、水はけ
に工夫を凝らしたプラスチック製の箱約60個を並べ、伏
流水を専用の配水管で流し込んで育てる。守山、野洲、栗
東の3市に住む障害者8人が「農業訓練生」として、ワサ
ビの地下茎の成長を促すため葉を取り去る作業や、配水施
設の調整などの作業に当たっている。
大阪や神戸の料亭などからワサビを仕入れたいという
問い合わせもあるといい、同作業所事務長の多田さんは
「伏流水が湧き出る、という恵まれた環境を生かして、地元の特産物にできれば」と話し
ている。
ドリプラ:障害者支援施設の職員ら、
「夢」語り共感広がる−−国立 /東京
毎日新聞 2013 年 06 月 30 日
障害者支援施設の職員たちが、実現させたい夢を発表する「知的・発達障がい者福祉サ
ポーターズ ドリームプラン・プレゼンテーション」(実行委員会主催)が、国立市谷保の
同施設「滝乃川学園」で開かれ、東京、神奈川、長野、徳島の4都県の職員や施設長ら1
0人が来場者約300人を前に思いを語った。障害者福祉の現場としては初めての試みで、
終了後も共感が広がっている。
ドリームプラン・プレゼンテーション(ドリプラ)は、社会貢献度や独自性の高い夢を
語り、支援者を広げて実現につなげるイベント。企業支援会社が2007年に東京で初開
催し、賛同者による地域や業界ごとに各地で広がってきた。「現場が変わるきっかけに」と
障害者支援施設「町田福祉園」
(町田市)の阿部美樹雄統括施設長が実行委員長となり、参
加者らと年明けから準備してきた。
今月22日の本番、町田福祉園のマネジャー、斉田雄一さん(32)は「福祉と医療の
壁を超える病院」をテーマに発表。移動に介助の必要な入所男性が園内で転んで骨折した
際、受け入れ病院が翌朝まで見つからないまま寄り添った経験から「知的障害の人が24
時間安心して医療を受けられる社会が夢」と語り、観客の投票で「感動大賞」に選ばれた。
「声を出したり落ち着かなかったりなどで、障害の人が医療機関から受け入れてもらえな
い場合がある。現場のドクターの多くは何とかしたいと思ってくれており、つながれる仕
組みが必要」と話す。
同様に「共感大賞」には、障害者一人一人の夢の実現をテーマに語った同施設「八王子
平和の家」の支援スタッフ、冨松奈央さん(31)が選ばれた。働く希望があった入所女
性が週1度、売店で勤め始めた経験を交え「自信を持ちにくい知的障害の方に、自分らし
い自分を感じてもらうお手伝いはやりがいがある」と語る。
阿部さんは「私たちの目の前の仕事は大変だが、創造的でもある。発信することで実現
へ手がかりを得ることもできる」と話す。【野倉恵】
市営住宅にグループホーム
福岡市、転居や家賃の負担軽減
西日本新聞 2013 年 06 月 29 日
食事を終えて台所で食器の後片付けをする女性た
ち=福岡市西区
障害者のグループホームとして、福岡市
が市営住宅を貸し出す取り組みを進めてい
る。障害者が同じ場所に住み続け、自立し
やすい環境づくりを後押しするのが狙い。
現在、4法人に6戸を貸している。市営住
宅でグループホームを運営する社会福祉法
人は「家賃負担だけでなく、転居に対する
不安を軽減できるのが魅力」と話す。
グループホームとは、食事作りや洗濯な
ど自立に向けた生活を指導する世話人を置き、障害者数人が共同生活する場所。
社会福祉法人「ひまわり園」は今年3月、同市西区の市営住宅・壱岐団地の2戸(3D
K)を借り、女性限定のグループホームを開設。うち1戸で軽度の知的障害がある女性2
人が、4畳半と6畳の個室で暮らしている。食堂や台所は共有して利用。同じ団地に住む
世話人2人が朝夕に交代で訪れ、食事の準備や掃除などを手助けする。
世話人は町内会の役員も務め、地域との橋渡し役も果たす。世話人の中村隆子さん(6
0)は「地域の行事にも参加し、2人が地域に溶け込めるようにしたい」と笑顔をみせる。
市営住宅の利用は、家主の都合で転居を迫られる心配がないほか、民間の物件よりも家
賃を抑えることができる。2人が住む部屋の家賃は月額1万4800円。1人当たりの負
担は7400円だが、国の家賃助成制度(上限1万円)があるため実質無料。支出は食事
代と水道、光熱費だけで済む。同園は「グループホームの場所探しに苦労していた。公営
住宅だと、利用者の家賃負担も軽減できるのでありがたい」と話す。
キャンパる:就活最前線 後半戦・どんな軸で選べばいいの? 法政大学大学院教授・坂本
光司さんに聞く
毎日新聞 2013 年 06 月 28 日
◇人を大切にしているか
来年4月入社の新卒採用選考も後半戦。多くの大企業が採用活動を終え、中小企業へと
シフトしてきた。しかし、中小企業と一口に言ってもさまざま。どんな軸で企業を選べば
いいか悩んでいる学生も多いことだろう。そこで、中小企業経営研究の第一人者、法政大
学大学院教授の坂本光司さんに、企業選びの軸を中心に話を聞いた。【一橋大・長谷川拓、
写真は大妻女子大・牧ゆうな】
「いい会社とは?」と聞かれて、どんな企業を思い浮かべるだろうか。成長著しい企業、
業績が安定している企業、あるいは福利厚生が充実している企業。企業を測る物差しは時
代とともに変わってきたが、40年以上にわたって中小企業の経営を研究してきた坂本さ
んは、業績や成長を重視した経営を一貫して否定してきた。
「企業が業績や成長を追い求めるあまり、弱き人々が犠牲になっている。リストラした
り、下請け先に一方的なコストダウンを強いていたり、障害者雇用に尽力していなかった
り。こうした経営は根本的に間違っている」と強く訴える。
●正しい経営とは
では、坂本さんの考える「正しい経営」とはどんな経営か。それは、
“人を大切にする経
営”だという。これまでに7000社近い中小企業を訪問し、調査研究を行ってきた坂本
さん。経営の現場を見てまわるなかで、好不況にかかわらず好業績を持続する約1割の企
業には、いくつかの共通する特徴があることがわかったという。その最たる共通項が人を
とことん大切にする経営だった。
「
“人”とは会社に関わりのあるすべての人々のこと。その中でも一番大切なのが社員と
その家族だ」と坂本さんは力を込める。それは、社員こそが顧客や地域住民、株主などの
幸せを実現する主体だからだという。そして、社員の命と生活を守り、社員満足度を高め
ることが、感動的なサービスの提供、さらには企業の業績向上につながるという考え方が
ある。
●社員の幸せ追求
そうした「正しい経営」を実践する会社が長野県の寒天製造会社、伊那食品工業(伊那
市)だ。社員数約430人の同社は、
「企業は社員の幸せを通して社会に貢献する」という
経営理念に基づいて、社員と地域住民の幸せを追求する経営を続けてきた。
それは、無理な成長を追わない“年輪経営”
。創業から50年間一度もリストラをしなか
ったこと、敵をつくらず下請け企業ともウィンウィン(相互利益)の関係を築いてきたこ
と、また、会社の継続を何よりも重視し、活発な研究開発で常にオンリーワンの商品を作
りつづけてきたことなど、木の年輪のように地道かつ着実な経営に取り組んできた。
また、四季折々の花々に囲まれた自然豊かな同社工場は、地域住民の憩いの場にもなっ
ているという。そうした経営の結果、右肩下がりの寒天市場にあって、創業以来48年連
続で増収増益を果たし、今も好業績を維持している。このような企業の存在が“人を大切
にする経営”の「正しさ」を裏付けている。
●現場の空気知る
では、学生はどうすれば、そうした「いい会社」に巡り合えるのだろうか。企業が公表
している指標だけでは見えないことが多いと坂本さんは言う。
「多くの学生は、初めからこ
の業種は合わないとか、小さい会社だとか、創業間もないとか、そんな現象や見てくれで
企業を判断して大切なものを失っている」と指摘。その上で、
「新聞や雑誌をこまめに読み、
少しでも関心を持った企業があれば、おくすることなく訪問する。ネットや会社の説明書
ではわからない現場の空気を感じることが大事だ」とアドバイスする。
「ぎすぎすした職場
か、ぬくもりがあるかは自分の家庭と同じ。現場を見ればすぐにわかる」
また、1〜3年生のうちにある程度、業種や企業を絞り込んでおくことも一つの方法だ。
「日本には大企業、中小企業合わせて約430万社ある。3年生の後半や4年生から企業
を選び始めるのは、サハラ砂漠に落としたダイヤモンドを拾うくらい困難なこと」と坂本
さん。そのため、アルバイトやインターンシップなどで、多くの生きた会社を学び、見聞
を広めるべきだと提案する。
「自分は一体どんな職業に向いているのか、どんな職業から期
待されているのかを知るために、外食産業、サービス産業、公務員など、定期的に、業種
を変えて体験してみるのもいい」
しかし、
「どんなに準備を重ねても100%満足できるような会社選びはできない」と坂
本さんは語る。
「何をやりたいかといっても学生のうちはなかなか難しい。結局は、与えら
れた環境の中で全力を注ぐという生き方しかないのだと思う」と最後は自身の仕事観で締
めくくった。
●
●
「現象を見るな。本質を見ろ」
。知名度や賃金、規模や福利厚生といったハード面だけで
企業を判断してしまう私たち学生への言葉が胸に響いた。“人を大切にする会社”という物
差しは、一見あいまいだが、自らの視点で改めて企業を見てみると、また新たな選択肢が
広がるかもしれない。
■人物略歴 ◇さかもと・こうじ
1947年静岡生まれ。法政大学経営学部を卒業後、公共産業支援機関に就職。その時
に出版した本がきっかけで研究者となり、浜松大学教授、静岡文化芸術大学教授などを経
て、現在は法政大学大学院政策創造研究科教授。著書には「日本でいちばん大切にしたい
会社」シリーズなど約70冊ある。
生活センター拠点に消費者教育
基本方針を閣議決定
日本経済新聞
2013 年 6 月 28 日
政府は 28 日、消費者が自ら考えて行動し、悪質商法などから身を守る知識の充実などを
狙う「消費者教育の推進に関する基本方針」を閣議決定した。消費者団体と学校などのつ
なぎ役となるコーディネーターの育成のほか、消費生活センターを教育の拠点とすること
を提案。今後、方針を踏まえて都道府県や市町村が具体的な計画を決める。
基本方針は昨年 12 月施行の消費者教育推進法に基づいて策定。5年ごとに見直す。2016
年をめどに中間的な見直しが必要か検証する。
消費者被害が多様化する現状に触れ、年代に応じた教育目標の設定が必要と指摘。高齢
者や障害者など特性に応じた情報の伝え方の工夫も求めた。コーディネーターは消費生活
相談員や教育関係者を想定。学校や企業、消費者団体などに啓発の取り組みで連携を促す。
モデル地区を選び、先進的な事例を示す。
消費者庁は方針とあわせて、各自治体の 73 の取り組みを紹介する事例集をまとめた。高
校生にインターネットのトラブルと対処法を説明(大分県)、小学校で食品の成分を測り、
表示の見方を教える(新潟市)など消費生活センター職員らによる講座が目立った。島根
県では消費者センターのマスコットがツイッターで製品事故や悪質商法の被害を速報する
など独自の取り組みもあった。
消費者庁の長谷川秀司・消費生活情報課長は「限られた人員、予算で効果的な取り組み
をしている自治体も多く、参考にしてほしい」と話した。
天地人
東奥日報 2013 年 6 月 29 日
問題を解き、空欄という穴を埋めるのがクロスワードパズルである。今年はクロスワー
ドパズル百年の節目に当たる。1913 年、米国の新聞に載り、広く世に知られるようになっ
た。
このパズル、昨今は老化予防としても人気である。問題が全部分かればいいが、知恵が
及ばず、穴が空いたままとなれば、どうもすっきりしない。穴は何も、パズルの上だけと
は限らない。
必要な情報が把握しきれていないという、情報の穴もある。災害時要援護者名簿はどう
か。大規模な災害などが発生したときに自力では避難が難しい障害者、高齢者を手助けす
るために対象となる人を載せた名簿のことだ。これまでの国の調査によれば、市町村で名
簿は作られていても本人の同意が取れないとの理由で、支援が必要な人を網羅できていな
い穴があることが分かっている。
改正災害対策基本法が先ごろ成立した。法で市町村による十分な名簿作成を後押しする。
日ごろのプライバシーに配慮しながらも、災害発生時には本人の同意なく名簿を消防団な
どに提供できるようにした。
東日本大震災では高齢者、障害者の状況が消防団員や民生委員らに情報としてきちんと
伝わらずに犠牲者が増えた悲しい教訓がある。パズルと違い、情報、救援支援の穴は命に
かかわる問題である。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行