「知の知の知の知 」第2434号 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

い~な
診療所
あまみ
中
中 央
事務局
研究所
しらさぎ
つなぐの
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 2434 号 2015.4.30 発行
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難病患者、一般就労例も
障害サービス支援対象化2年
北海道新聞
2015 年 4 月 29 日
難病患者の就労について、当事者、事業者として経験
を語る八木さん(左)と斎藤さん
難病患者が障害者総合支援法の障害福祉サー
ビスの対象に加えられ、就労支援を受けられる
ようになって4月で2年がたった。障害者向け
事業所で負担の少ない仕事をこなし能力を高め
られる就労継続支援の枠組みで働き、その後、
企業などに勤める一般就労につながるケースも
ある。難病患者の社会参画につながっている一
方、雇用主の難病患者に対する理解不足などの
課題も指摘される。
2013年に障害者総合支援法の対象にパーキンソン病や多発性硬化症など難病130
疾患の患者が加わった。15年1月にさらに151疾患まで拡大。対象者は障害者手帳を
持っていなくても、障害福祉サービスを受けられる。就労支援には、雇用契約を結び、飲
食やサービス業など軽作業中心の就労継続支援A型と、雇用契約を結ばず、障害の程度や
年齢、体力を考えて生活リズムを整える狙いも込めて働くB型の二つの形態がある。
難病患者の就労支援が進む状況を受け、北海道難病連(札幌)は討論会を3月に開催。
働く患者、雇い主双方からの経験や意見が語られた。
ホルモンの分泌をつかさどる脳の下垂体が萎縮したり、消失したりする下垂体機能低下
症の八木芳乃(やぎよしの)さんはA型事業所で、会報づくりなどの事務作業に従事。そ
の後、リサイクル業を行う事業所に一般就労し、利用者の仕事を援助したり健康を把握し
たりする生活支援員として働いている。
八木さんは、毎晩寝る前にホルモンを自ら注射しなければならず、疲れやすいなどの症
状がある。A型事業所に通った当初について「職場が『難病患者って何』という感じだっ
た。ホルモンが足りないと死ぬこともある病気だとか、暑さ、寒さに弱いとか、何度も繰
り返して伝えて分かってもらえた」と苦労ものぞかせた。その上で「A型事業所では仕事
のレベルを少しずつ高められ、難病患者の社会進出にかなう。一般就労につながった自分
の経験を伝えていきたい」と話した。
八木さんが利用したA型事業所を運営する斎藤規和(さいとうのりかず)さんは「A型
事業所は福祉的な支援がつき、仕事だけでなく社会に出る訓練もできる。働く能力のある
難病患者が現場で意欲を培い、一般就労につなげてもらえる」と述べた。
ただ「『体調悪くなったら言ってね』『休んでいいよ』などの言葉をかけたとしても、難
病患者が職場の環境や雰囲気で言い出しにくいことがある」と話し、雇い主として見た目
だけでは分かりづらい難病患者の症状に配慮する必要性にも触れた。
道難病連は、事業所や企業への難病についての理解・啓発を進めているが、高田秦一(た
かだしんいち)代表理事は「就労を希望する難病患者向けに、病気の症状やできる仕事の
内容を事業者に伝えるための勉強会も必要ではないか」と話す。
道内では、昨年9月までに就労継続支援のA型で31人、B型で32人がサービスを利
用。一般就労に向けた支援を受けている人も12人いるという。利用者の4割が集中する
札幌市は「潜在需要があり、希望者は増える」
(障がい福祉課)とし、難病患者の就労を受
け 入 れ て い る 事 業 所 な ど を 検 索 で き る 同 市 の ホ ー ム ペ ー ジ ( H P )「 元 気 さ ー ち 」
(http://www.sapporo-akijoho.jp/)を紹介している。
障害福祉サービスの対象疾患は厚生労働省のHPに掲載されている。サービスの手続き
は市区町村の障害福祉担当へ。
辞める前に相談を 道内唯一の難病患者就職サポーター・浅川身奈栄さんに聞く
障害福祉サービスを難病患者が利用できるようになり、全国に難病患者就職サポーター
が配置された。ハローワーク札幌で2013年7月から道内でただ1人、相談業務に当た
ってきた浅川身奈栄(あさかわみなえ)さんに難病患者の就労について聞いた。
――難病患者の就労の状況は。
「3月末までに205人から885件の相談を受け、52人が就労しました。就労継続
支援A型事業所では、1日4時間など短い勤務が中心で、最低賃金、雇用保険も保障され
ます」
――障害福祉サービスの利点は。
「仕事のブランクがあるなど、1日8時間以上のフルタイム勤務に不安を抱える人も多
い。リハビリを含めて、仕事に復帰する導入策として良いと思います。毎日働くのが厳し
い人はB型事業所も選べます」
――課題はありますか。
「難病は種類が多く、病気による症状の差のほか、個人差や症状の時間変動がある。こ
れを分かってもらうのが難しい。一方で、数は少ないですが事業者からどう支援したらよ
いかとの相談もあります」
――在職中に難病を発症したり、症状が悪化したりする人もいます。
「傷病休暇を取れることを知らずに退職する人もいます。負担が軽い仕事への配置替え
などを職場に訴えたり、産業医などから助言を得たりできる。辞める前に相談に来てほし
い」
難病患者就職サポーターの相談についての問い合わせはハローワーク札幌(電)011・
804・5253、道難病連(電)011・512・3233へ。(桜井則彦)
ネパールへ広がる支援
札幌圏の小売店など
北海道新聞
2015 年 4 月 30 日
イオン札幌苗穂店に設置された募金箱に寄付をする買い物客
ネパールの大地震を受け、札幌圏で被災者への支援活動が広が
っている。スーパーや小売店は被災地の復旧に役立ててもらおう
と、相次いで募金などを始めた。ネパールの人々から現地の窮状
を聞き、インターネットで応援メッセージを送るNPOも。物心
両面で被災者を支えるため、関係者は幅広い協力を呼び掛けてい
る。
イオン北海道(札幌)は28日、石狩管内の系列54店を含む
全道各店のレジ前などに募金箱を設置。募金は5月10日まで行
い、ネパール大使館を通じ、被災地復興に充ててもらう。札幌市
東区のイオン札幌苗穂店で寄付をした白石区の無職宮田恵美子
さん(62)は「亡くなった方々のご冥福をお祈りします。皆さ
んの心の傷が早く癒えてほしい」と話した。
また、コープさっぽろ(札幌)も5月3日から31日まで、石狩管内の34店を含む全
道109店で募金を行い、公益財団法人日本ユニセフ協会を通じて現地に寄付する予定だ。
札幌市白石区の雑貨店「これからや」では、ネパールの人々が生産した紅茶やせっけん
を適正価格で販売する「フェアトレード」に取り組んできた。震災を受け、同国製品の売
り上げの一部を、現地で活動する日本のフェアトレード支援団体を通じ、被災地に役立て
てもらうことにした。
身体障害者の介助などを行う札幌のNPO法人「手と手」は、車いすを寄贈をした縁で
交流があるネパールの障害者団体と地震発生後、インターネット交流サイト「フェイスブ
ック」やスマートフォン向け無料通信アプリ「LINE」で交信。首都カトマンズの車い
す生活者の中には、建物崩壊の危険に加え、介助者自身が被災した事情もあり、屋外に敷
かれたマットの上に避難したまま動けない人もいるという。
NPOのメンバーらは「応援しているから頑張って」「何かできることがあれば対応しま
す」などのメッセージを現地に送信。NPOのホームページでは、ネパールの障害者支援
を目的とした寄付も募る。NPO理事の浅野目祥子さん(56)は「現地で生活面のサポ
ートが必要な人々に支援が行き渡るよう、協力をお願いしたい」と話している。
(須藤真哉、
門馬羊次)
中日クラウンズきょう開幕
5選手、東郷の施設訪問
中日新聞 2015 年 4 月 30 日
パット勝負をする選手と利用者ら=東郷町のたんぽぽ作業所で
三十日に東郷町の名古屋ゴルフ倶楽部和合コースで
開幕する「中日クラウンズ」
(中日新聞社、中部日本放
送共催)に出場する中嶋常幸選手ら五人のプロゴルフ
ァーが二十八日、同町諸輪の障害者施設「たんぽぽ作
業所」を訪れた。
中嶋さんが大会での賞金の一部を寄付したことから
毎年開幕前に交流を深めており、今年で十七年目とな
る。
中嶋さんらは、歓迎の花束を受け取ったあと利用者と一緒にパット勝負。選手が負ける
場面もあり、盛り上がった。一緒にすしを味わいながら利用者が「試合のときに思ってい
る言葉は?」などと質問。選手らは「頑張り続けて時を待つ」などと答えていた。
中嶋さんは「これからもみんなとの絆を築きたい」
、利用者の笹野陽介さん(27)は「楽
しかった。試合を頑張ってほしい」と話していた。 (並木智子)
大分大、学力以外の要素重視
来年度新設の「福祉健康科学部」入試
朝日新聞 2015 年 4 月 29 日
大分大学は28日、2016年度に新設する「福祉健康科学部」(仮称)の受験科目につ
いて、センター試験後の個別学力検査を小論文・面接のみとする、と発表した。学力以外
の要素を重視すると説明している。
同大によると、福祉健康科学部は高齢化社会に対応できる専門職などの人材育成をめざ
す。理学療法士を養成する「高度リハビリテーションコース」、社会福祉士を養成する「社
会福祉実践コース」
、心理専門職を養成する「心理学コース」の3コース。計100人を募
集する予定。
県庁であった記者会見で北野正剛学長らは、個別学力検査を小論文と面接のみとする理
由について「学科試験だけでははかれない表現力や意欲などを見たい」と説明した。学力
偏重の入試の見直しを求める文部科学省の提言に沿った。
現行の教育福祉科学部から改組される「教育学部」(仮称)は、小学校教員の養成に主眼
を置き、これまでの教員養成課程の募集人員(100 人)より多い計 135 人を募集する予定。
同大によると、一連の計画は文科省に認可申請中。8月ごろ正式決定の見込み。
(鈴木春香)
「絆の広がる社会づくり」をテーマにした研究成果が報告書になりました!
産経新聞 2015 年 4 月 29 日
一般財団法人全国勤労者福祉・共済振興協会
~全労済協会が、公募委託調査研究等の研究成果をもとに報告書と
書籍を発行~
勤労者福祉に関する調査研究を行うシンクタンク事業と勤労者
の相互扶助事業を目的とする全労済協会(一般財団法人全国勤労者
福祉・共済振興協会 高木剛理事長)では、広く相互扶助思想の普
及を図り、勤労者の福祉向上とその発展に寄与することをめざして、
勤労者福祉等に関する各種研究に取り組んでいる若手研究者への
研究機会の提供と人材育成を目的として、2005 年から毎年、勤労
者の福祉・生活に関する公募委託調査研究を行ってきました。その
研究成果をまとめた研究報告書を発行しています。
2014 年度(2014 年 6 月 1 日~2015 年 5 月 31 日)におきましても、その研究成果を 4
冊の報告書にまとめましたので以下にご紹介します。また、全労済協会が主催する研究会
における研究成果をもとに、刊行した書店販売の書籍についても、併せてご紹介いたしま
す。
1.公募委託調査研究 報告書 (研究者の所属、役職等は刊行当時)
URL http://www.zenrosaikyokai.or.jp/
1)公募研究シリーズ 36(2012 年度採用) 研究調査名:「おしゃべりパーティ」によ
るコミュニティの再建~協同組合の「絆」づくりの試み~ 研究者代表:就実大学経営学
部講師 加賀美太記
<報告書の構成と内容> 本研究報告書は、大きく3つの調査にもとづいて、各章に分
けて構成しています。全国地域購買生協における 「『おしゃべりパーティ』の実施状況」
では、比較的規模の大きな 51 の地域購買生協の総代会文書を素材にして、 おしゃべりパ
ーティの実施状況を調査し、さらに 全国の地域購買生協向けのアンケート調査を実施しま
した。調査の結果から、おしゃべりパーティは認知されつつあるものの、取り組みとして
は全国的な規模に至っていないことがわかりました。また、組合員同士や職員と組合員な
ど、おしゃべりパーティを通じて多様なコミュニケーションを促進することが重視されて
いる様子も明らかになるなど、生協と組合員のおしゃべりパーティに関する現状や意識に
ついて結果をまとめています。
2)公募研究シリーズ 37(2012 年度採用) 研究調査名:雇用形態の多様化時代におけ
る企業外部労働力の包摂に関する研究 研究:静岡大学人文社会科学部法学科 准教授 本
庄淳志
<報告書の構成と内容> 労働者の雇用形態が多様化している中で、労働者派遣に代表
される雇用のアウトソース化が加速しており、同一職場内で就労する他企業の労働者をい
かにして法的にも包み込み、労働条件の適正化を図っていくのか課題となっています。こ
うした問題意識から、本研究報告書では、同一職場内で就労する企業外部の労働力を、法
的にいかに包摂するのかという問題について、個別法と集団法の両側面から検討し、その
結果をまとめています。
3)公募研究シリーズ 38(2012 年度採用) 研究調査名:大震災後に長期集団避難生活
を送る成人の社会的絆の再構築と精神的健康に関する研究 研究者代表:東京医療保健大
学医療保健学部看護学科教授 廣島麻揚
<報告書の構成と内容> 本研究報告書では、「東日本大震災」における被災地域から他
の地域へ 移り住み 、 避難生活を営んでいる人々の精神的な健康状態について 、保健学
の観点から課題に迫っています。本調査研究としてアンケートを実施し 、その結果を詳細
に分析し 、避難生活者の精神健康度の向上に向けて、心身ともに健康的な生活が送れるよ
う住民向けのプログラム開発が必要であると提言しています。
4)公募研究シリーズ 39(2012 年度採用) 研究調査名:絆の広がる社会づくり:地域連
携型高齢者ケアを目指した多職種連携のための協議会活動を促進する要素と求められる施
策 研究者代表:特定非営利活動法人日本医療政策機構 研究員 窪田和巳
<報告書の構成と内容> 東日本大震災の被災地の保健医療システム復興に向け、宮城
県石巻市を拠点として実際に支援活動を実施した「石巻医療圏健康・生活復興協議会」の
取り組みに注目して研究を行い 、その結果を本報告書にまとめました。被災地での多職種
連携モデルの実態の把握と 、住民への健康生活支援活動を促進する要素を明らかにし、さ
らに他地域において多職種連携モデルの展開を促進する要素と課題を明らかにすることで、
被災地における支援団体間のスムーズな連携を促進する要因や効果的な連携方法を考察し
ています。
※研究報告書の詳細については、当協会ホームページをご参照ください。
2.全国の書店で発売している研究成果の書籍 (著者の所属、役職等は刊行当時)
1)
『協同組合 未来への選択』 明治大学政治経済学部 教授 中川雄一郎、関西大学商
学部 教授 杉本貴志 編著 出版社:日本経済評論社 発行日等:2014 年 5 月 25 日 (定
価 2,200 円+税)
<書籍の内容> 本書は、協同組合が取り組んでいる実践事例、そして直面する諸課題
への考察という構成になっています。第 1 編では協同組合の主な事業である購買、エネル
ギー、医療、金融、共済などの現状と課題、第 2 編では協同組合教育の意義、組合員の多
様化や情報化社会における協同組合のあり方を取り上げ考察しています。そしてそれらの
考察を踏まえて、未来へのメッセージをシチズンシップと協同組合理念の共通項の中に見
出し、これからの協同組合のあり方を問うています。
2)『地域は消えない-コミュニティ再生の現場から』 法政大学現代福祉学部 教授 岡
崎昌之 編著 出版社:日本経済評論社 発行日等:2014 年 10 月 30 日(定価 2,900 円+
税)
<書籍の内容> 本書では、地域社会の研究者などから、各地の地域おこしの取り組み
について、多くの実践例を紹介していただき、あわせて、全労済協会の「地域研究会」と
して行った視察や招聘講師の報告内容をコラムとして紹介しています。これらを通じてい
くつかのモデルを明らかにし、地域社会の活性化に向けた示唆を数多く盛り込んでいただ
きました。また、協同組合や勤労者の地域社会へのかかわりという観点からも問題を掘り
下げています。
<どう進める 困窮者支援> 「実施しない」自治体が大半 中日新聞 2015 年 4 月 30 日
全国の九百一自治体で四月に始まった生活困窮者への支援。多くの自治体では、法で実
施が義務づけられた二事業のみしか行っていない。高齢化と格差社会の広がりで増え続け
る困窮者を支えていくには、自治体が就労支援などの任意事業を積極的に実施し、生活再
建を支援する体制にできるかどうかがかぎだ。
「困窮者支援に力を入れてほしいと市議会で訴えたが、市側の答弁はいつものらりくら
りだった」
。愛知県一宮市の市議、倉石義夫さん(75)は振り返る。
先進市の滋賀県野洲市の取り組みを事前に視察し、市の関係部署間や市と外部団体との
スムーズな連携ぶりなどに感心した。議会で生活困窮者支援を求めたのは、過去二年余り
で五回。
「野洲市をお手本に」と力説したが、市は本年度、任意事業を実施しないことにな
った。
倉石さんは、二十六日に投開票があった市議選に出馬せず、三十日に任期満了で引退す
る。
「心残りは、市の生活困窮者支援体制が思うように充実しなかったことです」
だが、全国の状況を見ると、任意事業を実施しな
い一宮市は特別ではなく、むしろ多数派だ。
生活困窮者自立支援法では、福祉事務所を持つ九
百一自治体が支援事業を行う。これらの自治体に義
務づけられたのは、生活困窮者からの相談に対応す
る事業と、仕事と住まいの両方を失っている人に住
居確保給付金を支給する事業だけ。
失業中の人への就労準備支援、ホームレス状態の
人に宿泊場所などを一時的に提供する一時生活支援、
家計管理のアドバイスをする家計相談支援、生活困
窮世帯の子どもへの学習支援などは任意事業だ。
厚生労働省は昨年十二月、九百一自治体に任意事
業に取り組むかどうか意向確認調査を行った。学習
支援は約35%の自治体が実施予定だったが、その
他の任意事業は三割未満と低かった=表参照。
窓口業務に当たる自治体の担当者からは「支援メ
ニューが少ないと、効果的な支援策をまとめにくい」
という声が強く、任意事業を積極的に実施することが必要だ。しかし「地味な分野なので、
財政課や首長の理解を得るのが難しい」
(自治体職員)といった声も聞かれる。
一方、これまで生活困窮者支援に取り組んできた森弘典弁護士(愛知県弁護士会)は「生
活保護が受給できなくなるケースが増えるのではないか」と懸念する。市民活動家の中か
らも同様の意見が出されている。
生活困窮者は、自治体などの支援を受けても、必ずしも自力で生活が立て直せるわけで
はない。高齢や心身の不調などの事情によっては、生活保護を受ける方が適切な場合もあ
る。森弁護士は「支援を受けて就職し、自立することが唯一の道として勧めるのでは」と
警戒する。生活保護費の急増と、保護を受ける困窮者への反発が国民の一部にあるからだ。
厚労省は今年三月、自治体の生活困窮者自立支援と生活保護の担当部署が適切に連携す
るよう通知した。生活保護が適切なケースについては「必要な者には適切に生活保護につ
なぐことが必要である」と強調している。自治体が、生活困窮者の状況に応じて制度を運
用するかどうかが問われている。
(白井康彦)
増える高齢者の犯罪
再犯防止へ孤立させない 滋賀本社
京都新聞 2015 年4月 29 日
森大樹
高齢の受刑者が急増する滋賀刑務所(大津市大平1丁目)
1月末に滋賀刑務所(大津市)を見学し、受刑
者の高齢化の実態を目の当たりにした。収容棟で
は同房者が車椅子を押し、夜間におむつを取り換
えてくれる。福祉施設並みの手厚い介助。満期出
所時、もしも身寄りがなければ彼らは一人で生き
ていけるのか。取材で見えてきたのは、出所後の
高齢者を取りまく厳しい現実だった。
2014年版の犯罪白書によると、全国で13
年中に摘発された高齢者の人数は各年齢層別で初
めて最多になった。万引などの軽微な罪を犯すケ
ースが大半で、年齢が上がるにつれて再び刑務所
に戻る確率も高くなっている。
滋賀刑務所では65歳以上の受刑者の割合は3月末現在、全体の17%で、3年前の約
2倍に膨らんだ。
刑期を終え、行く当てのない高齢者は保護観察所などを通じて居住先を調整してもらう。
だが、全国に103ある更生保護施設は仮出所者の収容で慢性的に空き室が少なく、公営
住宅や養護老人ホームなどの行政の措置施設もほぼ満員という。
他に、県内では自治体が提供する緊急宿泊所(シェルター)やNPOなどが運営する自
立準備ホームが増え、居住先の確保が進む。しかし、出所後の高齢者を取りまく環境は若
者に比べ厳しい。シェルターはあくまで仕事を探すなどの一時的な拠点。再就職の難しい
高齢者はそもそも入居要件ではじかれることが多い。元受刑者に住み込みなどの仕事を提
供する協力雇用主も高齢者を雇うのは困難だ。
一方、元受刑者の側にも事情がある。出所後に再び施設で管理下に置かれることを嫌い、
集団生活が苦手で保護を望まない人もいる。大津保護観察所は「行く当てのない満期出所
者を、強制して施設に入れることは人権侵害になる。本人の希望がないと…」と支援の難
しさを口にする。
更生保護の関係者によると、元受刑者の多くは後ろめたさや周囲の偏見を感じている。
「わしはのたれ死にしてもええ」
。そう言って支援を拒み、他人との交わりを避ける高齢者
が、ホームレスになるまで保護されず再犯に及ぶケースが後を絶たない。
ホームレスらに一時的なシェルターを提供するNPO法人「大津夜まわりの会」理事長
の小坂時子さん(80)も「罪を犯した人への地域の目は依然厳しい」と指摘する。たと
え行政や民間が居住先を確保しても、利用要件や自らの意思で福祉支援の網から漏れる高
齢者は救えない。同会では、元受刑者を含む生活困窮者の相談に応じるサロンや、食料や
衣服などを提供する催しを開いている。ただ、こうした地域に根ざした福祉支援は県内で
はまだ珍しい。
高齢者人口の増加率をはるかに上回るペースで高齢者の犯罪が増えており、今後、対策
が急がれる。再犯リスクを減らすには、地域社会で高齢者を孤立させない施策が、何より
求められている。
高齢者施設で歌声喫茶、歌謡曲合唱し交流
佐賀新聞 2015 年 04 月 29 日
昭和の歌謡曲などを参加者と一緒に歌う司会の森久美子さん(中
央)=佐賀市木原のアイケアレジデンス佐賀
住宅型有料老人ホーム・アイケアレジデンス佐賀(佐
賀市木原)で26日、参加者全員で昭和の歌謡曲や童謡
を合唱する「歌声喫茶」があった。入居者や地域住民ら
約60人が参加し、歌を通して親睦を深めた。
認知症の人と家族の会県支部の森久美子代表とミズ・
溝上薬局が、同ホームの協力を得て開いた。会場には歌
謡曲のレコードのジャケットを飾ってレトロな雰囲気を
演出。参加者は歌詞集を開いて「リンゴの唄」や「高校三年生」、「星影のワルツ」などを
熱唱し、前に出てマイクを握って歌ったり、歌にまつわる昔の思い出を紹介したりする人
もいた。
参加者からは「みんなで歌うと楽しくて元気が出る」「歌がはやった時代の記憶がよみが
える」などと好評。選曲や司会を担当した森代表は、今後も高齢者福祉施設などの依頼に
応じて歌声喫茶を開く予定で、
「やってみたいお年寄りも多いはず。地域との交流が進む場
にもなれば」と話した。
天川村、介護保険料が全国最高に 奈良県
朝日新聞 2015 年 4 月 29 日
県は28日、2015~17年度の各市町村の介護保険料(65歳以上の負担分)の基
準額を発表した。天川村が8686円で、全国で最も高い保
険料になった。
65歳以上の介護保険料は、介護サービスの利用状況に応
じ、市町村が3年ごとに見直す。実際の納付額は前年度の所
得によって変わり、おおむね基準額の半額から1・7倍まで
幅がある。
今回、県内では明日香村が据え置いた以外、すべて引き上
げた=表。全国平均は5514円、県平均は5231円。
人口約1600人の天川村は、65歳以上が4割を超える。
村健康福祉課によると、昨年12月時点で67人が特別養護
老人ホームなどの介護施設に入所しており、年々増加傾向と
いう。
さらに、過去3年間の介護サービスの利用者が当初の見積
もりより多く、14年度までに財政安定化基金から1800
万円を借り入れた。介護が必要な人の増加に加え、借り入れ
た分の返済もしなければならないため、全国で最も高い保険
料になったという。県内2番目に高いのは黒滝村の7800
円で、全国3位。
一方、最も低いのは御杖村の3900円。その理由につい
て県長寿社会課の担当者は「施設の利用者が比較的少ない。
ケアマネジャーがつくった介護プランを村の担当者も確認
するなど、一人ひとりの状況にあった介護認定や給付をして
いる効果では」と話す。
前年度の所得に応じて決まった保険料は、6~7月ごろに
市町村から通知される。(栗田優美)
子育てアプリ:笠間市、若い世代に情報発信 健診日程やイ
ベント、手軽に閲覧/茨城
毎日新聞 2015 年 4 月 29 日
笠間市は、子育て情報を提供するスマートフォン(スマホ)
向けアプリ「かさまぽけっと」の運用を始めた。健診の日程
やイベント情報を手軽に閲覧でき、予防接種の回数や成長記
録の管理もできる。市子ども福祉課の担当者は「若い世代に
情報を発信し、子育ての不安解消に役立てたい」と利用を呼
び掛けている。
内閣府の地域少子化対策強化事業を活用して開発し、今月
6日に運用を開始した。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベ
クトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行