GCI Global View 2012 年 9 月 3 日 【目次】 ● 拡大するオルタナティブ投資市場 P.1 ● Global Markets 1.オーバービュー P.4 【連絡先】 株式会社 GCI アセット・マネジメント 金融商品取引業者 ○住所:〒101‐0065 東京都千代田区西神田 3‐8‐1 関東財務局長(金商) 第 436 号 ○電話番号: 03‐3556‐5540(代表) 日本証券投資顧問業協会 加入 ○電子メール:[email protected] 当 資 料 は、株 式 会 社 GCI アセット・マネジメントが情 報 提 供 を目 的として作 成 したもので、投 資 家 に対する投 資 勧 誘を目 的 とす るものではありません。当 資 料 は、当 社 が信 頼 できると判 断 した情 報 データに基 づき作 成 しておりますが、その内 容 の完 全 性 、 正 確 性 について、当 社 が保 証 するものではありません。当 資 料 における見 解 は作 成 時 点 のものであり、今 後 予 告 なく変 更 される 場 合 があります。 ●巻頭レポート 拡大するオルタナティブ投資市場 8 月 30 日の日経新聞において、株式市場の月間売買代金が 7 年ぶりの低水準に留まって いるとの記事が掲載されました。世界的に経済・企業収益の成長期待が剥落し、個人投資 家の株離れもあり投資家の裾野が細ってきています。世界取引所連盟(WFE)の集計では、 世界の株式売買代金は 7 月に約 300 兆円と今年最低を記録し、月間ではピークであった 2008 年 1 月の 3 分の 1 程度に縮小しています。そして、ICI(米投資信託協会)によると 米国では今年に入り株式投信から約 4 兆円弱が流出し、5 年連続で流出超となる見通しと なっています。 そのような中で、オルタナティブ投資に対するニーズが高まっていることが McKinsey&Company に よ る オ ル タ ナ テ ィ ブ 投 資 に 関 す る 調 査 「 The Mainstreaming of Alternative Investments –Fueling the Next Wave of Growth in Asset Management: (http://hosting.mckinsey.com/clientservice/Financial_Services/Knowledge_Highlig hts/Recent_Reports/~/media/Reports/Financial_Services/AltInvest_Web.ashx)」で示さ れています。同調査によると、2005 年の 2.9 兆ドルから 2007 年の 5.9 兆ドルへと拡大を 見せたオルタナティブ投資に対する楽観的な見方こそ未曾有の金融危機を経て失われたも のの、足元でのそのモメンタムは回復傾向にあるようです。2011 年においては、オルタナ ティブ投資は 6.5 兆ドルという過去最高水準へと伸びを見せており、そして、機関投資家 によるオルタナティブ投資へのアロケーションの増加に加えて、特に強調されているのは、 リテール市場での裾野の広がりです。ヘッジファンドにおいても、大手を中心とした多く のファンドがリテールビジネスへとビジネスを拡大しつつあり、個人投資家の需要に対応 し始めています。米国では、オルタナティブ戦略への投資は 2005 年以降年率 21%のペース で増加しており、その規模は 7,000 億ドルと Investment Company Act of 1940(米投資 顧問法)に準拠する投資信託商品の運用資産残高の約 6%を占めるに至っています。そして、 この流れの中、2015 年までにはリテール向け運用ビジネスの収入の 4 分の 1 をオルタナテ ィブ投資による収入が占めると同時に、リテールビジネスの成長ドライバーとなることが 同調査では想定されています。 (出所:McKinsey&Company 「The Mainstreaming of Alternative Investments」) -1- また、Barrons 誌の記事“Hedge Funds for Hoi Polloi”(2012 年 7 月 28 日)では、よ り規制の厳しい投資信託ビジネスに参入するヘッジファンドが増えている背景について説 明がされています。背景の一つとして挙げられているのは、強化される規制に伴う各ヘッ ジファンドの体制の強化です。1.5 億ドル以上の運用資産を持つ運用会社がドッドフラン ク法に基づき SEC への登録を義務付けられるなど、これまで以上にコンプライアンスや運 用管理事務などの面が整備されてきており、大手ヘッジファンドの新たなビジネスライン 展開へとつながってきています。記事では、先日、620 億ドルの運用残高を持つ KKR が高 金利債券に投資を行うオルタナティブ商品、そして欧州あるいはアジアのディストレスト 債券を投資対象とする 2 つの投資信託を設定したことや、2009 年より投資信託ビジネスを 行う総運用資産 550 億ドルの AQR Capital Management がコモディティなどを投資対象とし た 4 つの投資信託の運用を新たに開始したことなどを挙げ、リテール市場の拡大が大手ヘ ッジファンドにとって魅力的な戦略となってきているとしています。 そして、Financial Times 誌の記事“Managed Futures reach retail portfolios”(2012 年 6 月 9 日)では、マネージドフューチャーズ戦略がリテール市場で大きな伸びを見せてい る様子が描かれ、個人投資家においても投資対象の分散と伝統的資産への低相関に対する ニーズが増えていることが示されています。昨年米国では、2010 年・2011 年の数字からは 倍以上となる 13 のマネージドフューチャーズ戦略の投資信託が新たに設定され、2011 年 の運用成績が厳しかった中においても運用残高は大きく増加しているようです。また、米 国外においても NuWave、Man、GAM といった大手の CTA が USITS の形で新たにファンド設定 し資金を集めています。 加えて、米国では、これまで小口の投資家に不適切なリスクを負わせないよう証券法に より適格機関投資家のみが非上場証券の販売先として認められていましたが、新興企業の 支援を目指す JOBS 法にオバマ米大統領が 4 月に署名をしたことを発端とし、ヘッジファン ドの一般広告が許可される可能性が出てきていることもこのトレンドを後押しすることに なると見られています。この点に関しては、SEC(米証券取引委員会)が投資家勧誘規制の 解禁方法について意見を公募することを決定したという報道が先月 29 日にされています。 ( 出 所 : Morningstar & Barron’s 2011 Alternative Investment Survey of U.S. Institutions and Financial Advisors : http://corporate.morningstar.com/us/documents/MarketResearchSurveys/Morningsta rBarrons2011Survey.pdf#search='Morningstar%20barrons%20survey%202011') -2- McKinsey 社の調査では、2013 年末までにヘッジファンドへのアロケーションをオルタナ ティブ投資という資産分類から株式などの既存のアセットクラスへと統合すると回答した 機関投資家の割合が 20%を超えたようです。対ベンチマークでの運用から絶対収益獲得を 志向する動きが高まる中で、投資家にとっての伝統的資産とオルタナティブ資産との垣根 が低くなってきており、同時に、伝統的投資とオルタナティブ投資を行う運用会社やその 商品も収斂する傾向にあります。このように、米国を中心に、オルタナティブ投資がその 名の通りの代替という役割を超えて、運用の主流の一部となりつつあると捉えることがで きるのではないかと思います。(インベストメントグループ 高橋) -3- Global Markets (8 月 20 日~8 月 24 日) 1. オーバービュー FRB 議 長 講 演を控え様 子 見ムードが漂う中、先 進 主 要 国 株 式 市 場 はスペイン財 政 不 安 など欧 州 情 勢 や各 国 経済指標を材料に上値の重い推移に。バーナンキ FRB 議長は講演で必要に応じて追加的な非伝統的緩和策を 行う用意があることをあらためて表明し、相場を下支え。 【各国株価インデックスの 2008 年末からの変化率の推移】 2.20 2.00 ブラジルBOVESPA 指数 1.80 インドNIFTY指数 香港ハンセン指数 1.60 シンガポールST指 数 1.40 ドイツDAX指数 1.20 米SP500指数 1.00 英FT100指数 0.80 東証株価指数 0.60 伊FTSE MIB指数 ユーロ・ドル相場は欧州ソブリン債務動向や週末に控える FRB 議長講演を前に一進一退の展開となっ たが、FRB 議長講演後にドル売りに。中国経済成長減速懸念や軟調な豪州経済指標を背景に、豪ドルは 対主要国通貨で弱含みの展開。 【各国通貨の 2008 年末からの対ドルでの変化率の推移】 1.60 1.50 ブラジルレアル カナダドル 1.40 豪ドル 1.30 日本円 スイスフラン 1.20 ユーロ 1.10 英ポンド シンガポールドル 1.00 韓国ウォン 0.90 南アフリカランド ドルインデックス 0.80 -4- ジャクソンホールでの FRB 議長講演を週末に控え、米国債市場は当局が必要な措置を講じるとの見方 から買いが優 勢に。講 演後 も緩和長 期化 期待から利回りは大幅低下。欧州国債市場ではスペインは財政 不安の高まりから利回り上昇。 各国10年国債の利回り推移 8.0 7.0 6.0 英10年国債 独10年国債 米10年国債 日10年国債 伊10年国債 西10年国債 利回り(%) 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 スワップスプレッドは小動き。 2年物スワップスプレッドの推移 180 160 USD 2年物スワップスプレッド (bp) JPY 140 EUR (Germany) 120 100 80 60 40 20 0 -5- スペインの CDS スプレッドが小幅拡大。 主要先進国ソブリン5年物CDSスプレッド推移 300 France CDS スプレッド(bp) 250 Japan United Kingdom 200 United States Germany 150 100 50 0 ポルトガル、アイルランド、スペイン、イタリア5年物CDSスプレッド推移 1,800 1,600 CDS スプレッド(bp) 1,400 1,200 Portugal Ireland Spain Italy 1,000 800 600 400 200 0 -6- 原油はハリケーン「アイザック」による原油生産への影響が限定的との見方や在庫状況を材料にやや売りが優勢 であったものの、週末の FRB 議長講演で追加金融緩和策実施の可能性を排除しないと示したことを受け上昇。ゴ ールドも FRB 議長講演の内容を受け急騰。 商品市況の推移(2006年末からのドルベースでの騰落率) 3.00 2.75 2.50 2.25 原油(WTI) 金 CRB 騰落率 2.00 1.75 1.50 1.25 1.00 0.75 0.50 ブレークイーブンレートはもみあい。 各国ブレークイーブンレートの推移 ブレークイーブンレート(%) 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 英国債2017年満期 米国10年債 フランス国債2017年満期 -1.0 (インベストメントグループ 末永) -7-
© Copyright 2024 ExpyDoc