GCI Global View

GCI Global View
2010 年 12 月 20 日
【目次】
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Déjà vu
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Global Markets
P.1
1.オーバービュー
P.3
【連絡先】
株式会社 GCI アセット・マネジメント
金融商品取引業者
○住所:〒101‐0065 東京都千代田区西神田 3‐8‐1
関東財務局長(金商) 第 436 号
○電話番号:
03‐3556‐5540(代表)
日本証券投資顧問業協会
加入
○電子メール:[email protected]
当 資 料 は、株 式 会 社 GCI アセット・マネジメントが情 報 提 供 を目 的として作 成 したもので、投 資 家 に対する投 資 勧 誘を目 的 とす
るものではありません。当 資 料 は、当 社 が信 頼 できると判 断 した情 報 データに基 づき作 成 しておりますが、その内 容 の完 全 性 、
正 確 性 について、当 社 が保 証 するものではありません。当 資 料 における見 解 は作 成 時 点 のものであり、今 後 予 告 なく変 更 される
場 合 があります。
巻頭レポート
Déjà vu
2010 年を振り返ってみると、感覚的には、2008 年の危機、2009 年の反発、そして
2010 年は気迷い(踊り場)、というところでしょうか。
金融危機への対応として、過去にない拡張的な金融財政政策協調が行われ、その結
果として主に国債、商品(特に金)、新興国に対して膨大な資本が流入しました。
国債 市 場 の 先行 き に 対 する 見 方 は ソブ リ ン ・ リス ク の 評 価の 相 違 か ら区 々 で あ り、
‘次ぎはデフレかインフレか’の見通しも割れています。そうした経済や市場に対す
る見方とは別次元で、①市場参加者の有無を言わさぬリスク削減行動(デレバレッジ
ング)と、②金融機関に対する規制強化が、巨大な国債バブル生成に大きな役割を果
たしました。余談ですが、この 2 要因は、2008 年まで(よく言えば)極度の効率化が
進んだ市場をかき回し、再び豊暁でニッチな収益機会をもたらすと同時に、専門性の
高い運用能力を有する人材の流動化を促しています。特に日本を含むアジアでは、伝
統的な株式ロングショート戦略以外の新興ファンド勃興の予感がします。
もうひとつ、特筆ものは金市場です。
【金(1994 年~)】
1,600
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
0
金価格(ドルベース)
-1-
2000 年前後の 250 ドル台から、1400 ドル台へとこの 10 年間で一本調子に 5 倍超の
上昇。金市場のほぼ一本調子の値動きほどではないにせよ、原油をはじめとする商品
市場もドル建て価格は上昇しています。
10 年超におよぶ金のドル建価格の一貫した上昇は、ファンダメンタルにはどう理解
するのでしょうか。1995 年のルービン米国財務長官就任以来のドル高政策(これを‘米
国金融覇権主義’と呼ぶ人や、‘某投資銀行の時代’と呼ぶ人もいます・・・)が息切
れした 1998 年以降の、ドルに対する信任の動揺の裏返しでしょうか。貨幣経済に対す
る不安が根底にあるのならば、それでは債券と金のブル相場の長期間にわたる並存は
どう説明されるのでしょうか。
ひとつだけ確実にいえるだろうことは、『需給』でしかないという事実です。
市場規模の大きくない商品市場や新興国市場に対して、大手ファンドなどのホット
マネーから年金によるインデックス運用などの腰の入った長期資金まで、多様な資金
が入っていることから来る当然の結果ではあります。買う理由はそれぞれであり、大
部分は実物資産に対する実需ではない需要に支えられています。
1995 年以降のドル高局面では、円キャリー取引が一世を風靡しました。LTCM のよ
うな例もありました。潜在的な市場規模に対して、過大なポジションを有してしまっ
たときの反動は、すばやく一気に到来します。いまの商品市場や新興国市場をみて、
1997-1998 年前夜を思い出してしまうのは、その当時アジア危機渦中のシンガポール
で荒波に揉まれた筆者の‘デジャ・ヴュ’かもしれません。(文責:山内)
-2-
Global Markets (12 月 13 日~12 月 17 日)
1.
オーバービュー
足 元 の経 済 指 標 の改 善を好 感しつつも、特に欧州では財政不安がくすぶり、ややモメンタムが低下した先進
国 株 式 市 場 の中では、出 遅 れ感の根 強い国 内市場が若干アウトパフォームしたものの未だ日経平均は昨年末
を下回る水準 に留まっている。資源国では、中国の利上げ観測は依然根強く、商品相場が圧迫されるとの懸念
が重石となり売りが優勢となる展開。
【各国株価インデックスの 2008 年末からの変化率の推移】
2.20
2.00
ブラジルBOVESPA
指数
1.80
インドNIFTY指数
香港ハンセン指数
1.60
シンガポールST指
数
1.40
ドイツDAX指数
1.20
米SP500指数
1.00
英FT100指数
0.80
東証株価指数
0.60
為替は概ねもみあいとなったが、欧州周辺国の財政懸念は根強くユーロの重石に。
【各国通貨の 2008 年末からの対ドルでの変化率の推移】
1.50
ブラジルレアル
1.40
カナダドル
1.30
豪ドル
日本円
1.20
スイスフラン
ユーロ
1.10
英ポンド
シンガポールドル
1.00
韓国ウォン
0.90
南アフリカランド
ドルインデックス
0.80
-3-
米減税措置の延長決定以降、利回り上昇が加速していた米国債は、FOMC で国債購入プログラム維持との前
回内容が踏襲されたものの、このところの利回り上昇に関するコメントは一切なく、さらなる売りに拍車をかけたが、
米国 10 年債 3.5%を超えるレベルでは値ごろ感からの買い手もみられ、週末にかけては売り方の手仕舞いも活発
化し利回りは低下に転じるなど、極めてボラタイルな展開に。
6.0
3.0
5.0
2.5
4.0
2.0
3.0
1.5
英10年国債
2.0
1.0
独10年国債
米10年国債
伊10年国債
日10年国債 (右軸 スケールを2倍に拡大して表示)
0.5
1.0
スワップスプレッドはもみあい。
2年物スワップスプレッドの推移
180
160
USD
2年物スワップスプレッド (bp)
JPY
140
DEM
120
100
80
60
40
20
0
-4-
日本10年国債利回り(%)
利回り(%)
各国10年国債の利回り推移
欧州周辺国の CDS スプレッドは、ムーディーズによるアイルランド格下げも影響し、もみあいながらも拡大圧力が
残存。
主要先進国ソブリン5年物CDSスプレッド推移
300
Italy
Japan
United Kingdom
United States
Germany
CDS スプレッド(bp)
250
200
150
100
50
0
PIGS5年物CDSスプレッド推移
1200
Greece
CDS スプレッド(bp)
1000
Portugal
Ireland
800
Spain
600
400
200
0
-5-
ゴールドは、1400 ドルを上抜けると利益確定売りが優勢となり下落。原油は先進国の景況感の改善、米国の
在庫減が買い材料となりつつ中国の引き締め警戒感も根強く、90 ドルを目前にしてもみあう展開。
商品市況の推移(2006年末からのドルベースでの騰落率)
2.50
2.25
2.00
原油(WTI)
金
CRB
騰落率
1.75
1.50
1.25
1.00
0.75
0.50
ブレークイーブンレートは全般的に小幅拡大。
各国ブレークイーブンレートの推移
4.0
ブレークイーブンレート(%)
3.0
2.0
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
英国債2017年満期
米国10年債
フランス国債2015年満期
-4.0
日本国債2016年満期
-5.0
(末永)
-6-