米国経済と FRB の舵取り

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第 2297 号 2015 年 5 月 4 日
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審査番号・270427-B1
〔今週号は 4 月 24 日時点の情報を基に作成しています〕
投資コラム
日本株銘柄情報
日本株銘柄情報
:米国経済と FRB の舵取り ·····································································1
:ブリヂストン(5108) ··········································································· 2
:ヤマハ発動機(7272) ··········································································· 3
米国経済と FRB の舵取り
アナリスト
矢田真理
に回復し、その後もそれが続くと予想されていま
す。これは、天候要因の一巡と、雇用環境の改善、
ガソリン価格の下落などに伴う個人消費の増加が
牽引役になるとみられていることに起因します。
最近、発表された米国の経済指標の中には、3
こういうなかで、投資家が神経質になってい
月の耐久財受注や 3 月の ISM 製造業景気指数、3
るのが、FRB の利上げの時期です。2014 年後
月の雇用統計など、事前の市場予想平均を下回る
半からドル高が続いていますが、ドル高は、米
ものが目立ちます。このため、米国景気が減速し
国製品の相対的な価格を押し上げるため、輸出
ているのではないかという懸念が浮上しています。
についてはマイナスですが、同時に輸入物価を
米国の実質 GDP 成長率は、2014 年 10~12 月
抑制するため、原油安とともに、個人消費にプ
期に前期比年率 2.2%成長に減速しています(下
ラスに働きます。しかしながら、雇用状況とと
表参照)。これは、2014 年夏以降の原油価格下落
もに、FRB が利上げの条件としているのは、イ
に伴うエネルギー関連企業の投資の減少や、北東
ンフレ率の上昇で、ドル高はこれを下押ししま
部を中心とした悪天候が、住宅投資や小売売上に
す。昨年 12 月の FOMC 以降、原油価格は落ち
悪い影響を与えたことが主因です。
着く一方、ドル高傾向は止まらず、これが FRB
また、2015 年 1~3 月期の実質 GDP 成長率も、
の利上げのタイミングに影響しています。今後、
上記要因に加え、労働争議による西海岸の港湾機
FRB が、ドル相場を意識しつつ政策運営をする
能の停止などから、下振れする可能性があります。
姿勢が、投資家に浸透すれば、米国経済は堅調
しかし、下表にあるように、ブルームバーグ
に拡大しながら、株式市場も上昇基調を辿ると
エコノミストコンセンサスでは、今年 4~6 月期
考えられます。
の実質 GDP 成長率は、3.05%と、3%台の成長
米国の景気指標の実績と見通し
2014 Q1
2014 Q2
2014 Q3
2014 Q4 2015 Q1( 予)
実質GDP
-2.10
4.60
5.00
2.20
1.35
CPI
1.40
2.07
1.80
1.27
-0.07
コアPCE
1.25
1.48
1.48
1.41
1.30
失業率
6.63
6.20
6.07
5.70
5.57
2015 Q2(予) 2015 Q3(予) 2015 Q4(予) 2016 Q1(予) 2016 Q2(予)
実質GDP
3.05
3.00
3.00
2.70
2.75
CPI
-0.10
0.20
1.00
2.10
2.20
コアPCE
1.20
1.30
1.50
1.70
1.70
失業率
5.40
5.30
5.20
5.10
5.10
(注) 実質GDPは、季節調整値の各四半期前期比年率、CPI(消費者物価指数)は、
前年同期比、コアPCE(Personal Consumption Expenditure) は、食糧・エネルギー
を除く個人支出関連の物価指数で前年同期比。
(出所) ブルームバーグ アイザワ証券作成
http://www.aizawa.co.jp/
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項
を、本資料の最終ページに記載させていただきました。ご確認
の程、よろしくお願いいたします。
日本株銘柄情報
ブリヂストン(5108)
アナリスト
株価指標
株価 (2015/4/24)
売買単位
市場
発行済株式数
矢田真理
5054円
100株
東証1部
7 億8314万株
2
<業績の推移>
連結
決算期
営業収益
営業利益
経常利益
純利益
1株利益
1株配当
2013/12
3568091
438131
434793
202053
258.1
57.0
2014/12
3673964
478038
463212
300589
383.8
100.0
2015/12予 3980000
519000
501000
319000
407.4
120.0
単位:100万円 (1株利益、1株配当は円) 予想は会社予想によります。
100万円未満は四捨五入しています。
<投資指標>
連結
今期予想PER
PBR
予想配当利回り
12.4 倍
1.9 倍
2.4 %
(自己株式を除く)
時価総額
3兆9580億円
世界首位のタイヤメーカー
5108 ブリヂストンは、以前は、フランスのミ
シュランと、世界首位の座を争っていました
が、近年では、ブリヂストンのグローバルシ
ェアの方が高い状況が続いており、世界でト
ップの総合タイヤメーカーとなっています。
2014 年 12 月期は売上・利益ともに最高
同社の 2014 年 12 月期の売上、利益は、とも
に、過去最高を達成しました。その要因は、
米国で新車用タイヤの販売が伸びたことと、
利益率が比較的高い交換用タイヤで、低燃費
タイヤをはじめとした高付加価値製品の販売
が好調だったことです。さらに、為替で円安
が進んだこと、天然ゴム価格の下落も好業績
に大きく貢献しています。
今期の業績見通しのポイント
今期、すなわち 2015 年 12 月期の業績見通し
のポイントは、次に述べる三つです。第一の
ポイントは「地域」で米国での販売です。同
社の米国での売上高は、全体の売上高の 37%
高付加価値製品で、収益性がよいものになり
ます。今年後半からの、大手の鉱山における
タイヤの在庫動向などを考えると、同時期か
ら、鉱山用タイヤに対する需要が回復に向か
うとみられます。
第三のポイントは「コスト」、すなわち原材
料価格です。天然ゴムの市況、また石油化学
系の場合、合成ゴムやカーボンに関係してき
ますが、これらに係わる原油、ナフサ、ブタ
ジエンの現在の市況は落ち着いています。こ
のような状況を踏まえると、今期の同社の原
材料価格が、前年よりも低い水準になってい
ますが、理解できるレベルです。
今期も好業績を達成する可能性大
要するに、ポイントは、為替の円ドルレート、
米国での鉱山用タイヤの販売量、原材料価格
です。以上を総合しますと、同社は今期も、
増収増益を達成し、また、米国の販売状況、
鉱山用タイヤの販売状況、為替などが、良い
方向にいけば、会社見通しよりも実際の業績
は上振れる可能性があるとみています。
(出所:QUICK)
を占めます。この米国の売上が数%伸びるだ
けで、同社の収益に大きなインパクトを与え
ます。今期の同社の米国の売上見通しは、乗
用車需要は前年なみ、トラック・バス需要は
前年対比で 105%となっていますが、現在の
米国の経済状況を考えると妥当といえます。
第二のポイントは「タイヤの種類」です。
タイヤの種類の観点からは、鉱山用タイヤが
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させてい
ただきました。ご確認の程、よろしくお願いいたします。
日本株銘柄情報
3
<業績の推移>
連結
ヤマハ発動機(7272)
アナリスト
株価指標
株価 (2015/4/24)
売買単位
市場
発行済株式数
矢田真理
2859 円
100株
東証1部
3億4917万株
決算期
営業収益
営業利益
税前利益
純利益
1株利益
1株配当
2013/12
1410472
55137
60092
44057
126.2
2014/12
1521207
87249
97279
68452
196.1
2015/12予 1700000
120000
123000
76000
217.7
単位:100万円 (1株利益、1株配当は円) 予想は会社予想によります。
100万円未満は四捨五入しています。
26.0
40.0
44.0
<投資指標>
連結
今期予想PER
PBR
予想配当利回り
13.1 倍
2.2 倍
1.5 %
(自己株式を除く)
時価総額
9982億円
第三に、マリン事業も足元の状況は好調で、
北米経済も好調が持続するとみられることで
2 年連続の増収増益を達成
7272 ヤマハ発動機は、世界第 2 位の二輪車メ
ーカーです。2008 年のリーマンショック時に
赤字に転落した後、中期経営計画を策定し、
財務面を含めて、事業の立て直しを図ってい
す。第四に、今期は新車種が次々と投入され
るため、前期にかかった販売奨励金数十億円
が発生しなくなることです(古い車種は、販
売奨励金が付かないと売れにくいという事情
があります)。
ますが、その効果が 2013 年 12 月期に現れ、3
年ぶりの増収、2 年ぶりの増益となりました。
そして、2014 年 12 月期も、8%の増収、営業
利益等各利益も、約 60%の増益となりました。
世界の「ヤマハ」ブランド
「ヤマハ」というブランドは、先進国でも、
新興国でも、確立されています。「ヤマハ」の
ファンも数多くいますので、経済状態が良好
二輪車事業とマリン事業が同社の利益の源泉
好業績の要因は、以下の三つが挙げられます。
であれば、売上が立ちやすいという、同社な
らではの強みがあります。
第一に、同社の売上高の大半を占める新興国
での二輪車事業の好調です。第二に、リーマ
ンショック後、赤字が続いている、先進国で
の二輪車事業ですが、この赤字幅が縮小して
おり、その結果、利益を押し上げていること
です。第三に、約 16%と利益率が比較的高い
マリン事業(船外機を含む)が、北米を中心
として、好調であることです。
中期経営計画目標値を前倒しで達成
2015 年~2017 年、3 か年の中期経営計画では、
2015 年に、営業利益率 5.0%、自己資本比率
33%、デット・エクィティ・レシオ 1.0、ROE
10%を達成することを目標としていますが、
同社は 2014 年に既にこの目標を、前倒しで達
成しています。この勢いが、今期もつづくと
みています。
(出所:QUICK)
2015 年 12 月期は二桁増収増益の見込み
同社は、今期(2015 年 12 月期)についても、
好業績を見込んでおり、会社計画では、二桁
増収増益となっています。この根拠は、以下
の四つです。第一に、先進国の二輪車事業が、
ブレークイーブンにまで改善し、赤字が解消
されることです。第二に、新興国の二輪車事
業についても、インドでの売上高が昨年 1 年
間で前年比 30%の増収になったこと等から、
増収増益になると見込まれることです。
本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させてい
ただきました。ご確認の程、よろしくお願いいたします。
4
金融商品取引法に基づく表示事項
■
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商 号 等:
藍澤證券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 6 号
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証券・金融商品あっせん相談センター(略称:FINMAC)
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