ネオジム磁石廃材からのネオジ ムの非加熱分離回収技術

島根大学研究シーズ
ネオジム磁石廃材からのネオジ
ムの非加熱分離回収技術
笹井 亮(総合理工学研究科)
【概要】
No.S-23-A
近年,自動車や家電製品などの小型モーターの材料として使用さ
れることが多くなったネオジム磁石(Fe-Nd-B系)の廃材から,全元
素を非加熱で分離回収できるシステムの開発を進めている。
その要素技術の一つとして,力学エネルギーと化学反応とを組み
合わせた「湿式メカノケミカル法」の研究を進め,廃磁石から希少金
属 あるネオジムを分離 収する と 成功 た
属であるネオジムを分離回収することに成功した。
今後,加熱を必要とせず,省エネルギーでネオジム磁石の廃材か
ら全元素を分離回収できるシステムの構築が期待できる。
本研究に関連する特許
1)特願2012-193017
回転数:300 rpm
室温・~24時間
ジルコニアボール
(5 mmφ)
力学エネルギー
ネオジムの分離回収
+
塩酸+シュウ酸
塩酸
シ ウ酸 化学反応
混合溶液
||
【ネオジムの分離回収技術】
異種技術の組合せ
・脱磁処理したネオジム磁石の廃材を粉砕し,湿式
⇊
メカノケミカル法を用いて湿式ボールミルで酸と共
室温で資源を回収できる技術
に処理を実施。
NdFeB磁石粉末
(脱磁済)
100
100
80
80
60
60
40
40
20
20
0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
・塩酸,硝酸,硫酸にシュウ酸を加えた酸で処理を
行ったところ シュウ酸ネオジムとして回収できる
行ったところ,シュウ酸ネオジムとして回収できる
ことが明らかになった。
Purity of recovere
ed Nd (%)
Recovery ra
ate of rare-earth (%)
図1 湿式メカノケミカル法
0
1.0
3
[(COOH)2] (mol/dm )
図2 ネオジムの回収率と純度
・回収率と回収物のネオジムの純度から硫酸が最
も適していることを明らかにした。
・[H2SO4]: 0.3 mol/dm3 + [(COOH)2]: 0.2 mol/dm3
の条件では,回収率が約90%,純度が約80%となり,
実用化が見込めることが明らかとなった
実用化が見込めることが明らかとなった。
【システム構築への今後の課題】
・回収ネオジムの純度のさらなる向上。
・処理時に発生する水素の処置。
・ネオジム回収後に発生する廃酸の処理と含有元
素(鉄やホウ素)の回収技術の開発
素(鉄やホウ素)の回収技術の開発。
([H2SO4]: 0.3 mol/dm3 + [(COOH)2]: ~ 0.7 mol/dm3)
【応用例】
・ネオジム磁石廃材からの各元素の回収システム
・希少金属の回収システムへの応用
希少 属 回収シ テ
応用
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〒690-0816 島根県松江市北陵町2番地
電話:0852-60-2290 FAX:0852-60-2395 電子メール:[email protected]
(2013.07)