3・6 理想気体における 熱力学第1法則

3・6 理想気体における
熱力学第1法則
R. Boyle (1662), E. Mariotte(1676)
pV = const.
( 温度一定)
J. A. Charles(1787), J. L. Gay-Lussac(1802)
V/T = const.
( 圧力一定)
1 ℃の温度上昇につき 0 . 0 0 3 6 6 倍増加
ボイ ル・ シ ャ ルルの法則
ボイ ル・ シ ャ ルルの法則
pV = mRT [J]
pv = mRT
pv = RT [J/kg]
一般気体(ガス)定数と気体(ガス)
定数
 二つの異なる表現
pV  m RT,
pV  nR0T
 ガスの質量mは,そのガスがn [mol]とすると
m  nM
Mはモル質量 [kg/mol]
 代入すると
pV  nMRT
 両者を比較すると
R0
MR  R0 , R 
M
演習24,25
同じ質量の酸素と水素がそれぞれ同温・
同圧に保たれている.酸素の容積は水素
の容積の何倍か.いずれの気体も近似的
に理想気体とみなせるものとする.
ガス定数が208.13 J/(kgK) の理想気体の
モル質量(分子量)はいくつか
水蒸気のガス定数はいくらか.理想気体と
仮定して求めよ.
理想気体の内部エネルギー
気体
真空
コッ ク
その結果・・
温度に変化なし
u 

u

du    dv    dT
v  T
T v
 Gay-Lussacの実験(ジュールの実験?)
・仕事はしない,熱も加えていない
・内部エネルギーの変化なし
du  q  l
この結果は,あくまでも,当時の実験の範囲で.
U 
 V
 V  T
完全微分
 U2  
U
V
T
U = f(T, V)
U = U1+U2
V
U 
 T
 T  V
 U1  
0
T
U 
 T
 T  V
 U1  
 U 
 U2    V
 V  T
U =U1+U2
 U 
U 
dU    dT    dV
 T  V
 V T
理想気体の内部エネルギー
 u 
du    dT
T v
ジ ュ ールの法則
理想気体の比内部エ ネルギーは温度だけに依
存し , 圧力や容積に依存し ない.
u


cv   
T v
より
du  cv dT
pv = RT が成り立つ時,厳密に成立(6章参照)
理想気体のエンタルピー
h  u  pv  u  RT
より
理想気体の比エンタルピーもまた温度のみの関数
du  cv dT
h 
 h 
dh    dp    dT
 T p
p T
 cp dT
c p  cv  R
理想気体の微視的理解
理想気体( 完全気体)
◆ 分子同士の間に働く 分子間力がない
( フ ァ ン デルワールス力, 電気力)
◆ 分子は体積を 持たない
v1'
v1
個々の分子の運動エネルギーの総和が,内部エ
ネルギー
高温・低圧のガスなど
v2
v2'
気体分子運動論
•圧力とは? 分子の壁への衝突力
Fdt = d(mv)
気体分子運動論その2
•左側が理想気体の状態方程式に似ている
気体分子運動論その3
•分子1個あたりの運動エネルギーが温度に比
例すると仮定すると・・・
pV  nR0T
2
N A e k  R0 T
3
ek  T

エネルギー等分配則
 分子1個の並進の運動
エネルギー
3
kT
2
単原子分子
z
並進運動のエ ネルギー
y
ここで k はBoltzmann定数
並進運動の自由度3

x
分子1個の1自由度あたりのエネルギー
1モルあたりでは?
1
kT
2
自由度と内部エネルギー
 1 molの気体の1自由度あた
2原子分子
りのエネルギー
1
1
NA  kT  R0T
2
2
ここでNAはアボガドロ数
+自由度2
 1 molの気体の内部エネル

並進およ び回転運動のエ ネルギー
ギーは

2
R0T
ここで  は自由度
理想気体のモル比熱 [J/(mol•K)]
 定積モル比熱
dU 
Cv 
 R0
dT 2
ここでUは1 molあたりの内部エネルギー
 定圧モル比熱
dH d(U  pV)  
Cp 

   1R0
2 
dT
dT
ここでHは1 molあたりのエンタルピー
 よって
C C R
p
v
0
定積比熱,定圧比熱 [J/(kg•K)]
u   (U / M)  
1
c v [J/(kg• K)]     
  R0 
T v  T v 2
M


2
R
h   (H / M)   
1
c p [J/(kg• K)]     
    1R0 
T p  T v 2 
M
 
   1R
2 
c p  cv  R
h  u  pv  u  RT
理想気体に対するマイヤーの関係
比熱比とマイヤーの関係式から

cp
cv
 C p 


 Cv 
c p  cv  R
C p  Cv  R0 
より
R
R 
R0
R0 
cv 
, cp 
, Cp 
Cv 

 1
 1 
 1
 1
単位は [J/(kg•K)]
()内は [J/(mol•K)]
演習26、27、29
 圧力 0.1 MPa,温度 300 K の理想気体が一定
容積のもとで 400 K に過熱された.圧力はどう
なるか.
 ある理想気体は,0℃, 0.1013 MPa において密
度が,0.1785 kg/m3 であった.この気体のガス
定数を求めよ.
 2原子から成る理想気体の定容モル比熱 Cv
[J/(mol•K)] および定圧モル比熱 Cp [J/(mol•K)]
を計算せよ.