リスクマネジメントに取り組み、みえたもの そのひとが楽しく輝くひとときを りが伸び伸びと自主的に働いていま 私が園芸療法士として当施設に勤め らかくなることから、花を見たり、摘 事故は、ヒューマンエラーの連鎖で す。結果として、当法人グループが て、3 月で丸 9 年になります。私は、 んで花瓶に活けたりを繰り返して行っ あり、当事者だけでなく他のさまざ 行 っ て い る ご 利 用 者・ ご 家 族 ア ン 園芸療法の知識も経験もほとんどない ていくうちに、徐々に落ち着いていっ まな要因が重なって発生します。 ケートで老健施設41施設中、満足度 状態のなか実践の場に立ちました。 たという経験もしました。 人間は、ミスをおかす生き物です。 第 1 位の表彰を受けました。 このようなとき、当事者となり辛 こうして日々、対象者と一緒に過ご 園芸療法のプログラムは、ほぼ毎日、 い思いをする仲間を出さないために 職員の幸せがご利用者の幸せであ 主に集団で活動を行っています。作業 す時間、実践を積み重ね、気がついた も、チーム力を活用することが何よ り、ご利用者の幸せが職員の幸せで 内容は、屋外で植物を育てること以外 ことがあります。それはこうした植物 りも大切です。 あるとの誇りを胸に、より仕事が楽 にも、天候に応じて屋内で植物を使っ しくなるよう、日々システムの整備 た活動も行います。 あいの郷(埼玉県) 当施設は、働く職員 1 人ひとりの 幸せを大切にしています。職員が生 し 介護(RM) み ず か ず き 清水和貴 や業務改善に努めています。 夢を見ることはいけないことでしょ き生きと楽しく働くことが、ご利用 者の幸せにつながると信じているからです。 和佐の里(和歌山県) お 園芸 和歌山県は農家が多く、この対象者 ざ き と し え 尾﨑敏枝 や植物を使った活動、その環境を通し て、対象者に自然と近づいていくこと ができるということです。 このように私の仕事は、対象者の普 (ご利用者のなかの園芸活動の参加者) うか? 理想を追い求めるのは恥ずかしいことで のほとんどの方が農家出身です。重度の認知症の 段の施設生活では見ることのできない生き生きと しょうか? あたりまえのことをあたりまえに行っ 方でも、いざ畑での作業となると“昔とった杵柄”、 した表情や姿、その人のいままでの暮らしを垣間 め、職員が楽しく働ける環境を整えるよう努め、 てきたからこそ得られた結果だと自負しています。 生き生きと作業に取り組むので、驚きとともに感 見ることができます。 安全性やケアの質をより向上させることができま 夢のある介護の実践、魅力あふれる介護を発信 した。またリーダーの責任・権限が明確になって していくことが、介護現場を取り巻く社会情勢を いることで的確な指示の下、スタッフ 1 人ひと 見据えた最大のリスクマネジメントだと思います。 各部門のリーダーがチームをバランスよくまと ある暴言・暴力などさまざまなBPSDのある方 がいました。その方が花を見ると一変、表情が柔 を始めました。これはアロマの効用を生かして、 過ごせられるよう、活動を提供していきたいと思 います。 私の 仕 事 私 の 思 い 私の 仕 事 私 の 思 い 介護報酬の引き下げや、ご利用者の介護保険施 これからも対象者が “楽しく” “輝くひととき”を 心させられます。 に お 瀬戸内海仁尾の浜を望むハートフルあいあい荘 いままでの経験から学んだことですが、私たち ちち ぶ 設利用料負担の見直しなど、介護業界にも厳しい 浮腫や疼痛の緩和、良眠や心の平穏につながる癒 は、窓から、驚くほど遠浅の海が広がる父母海岸 スタッフがご利用者を拒否することは、ご利用者 時代の波が押し寄せています。 しを目的としています。 を見渡すことができます。私は、この絶景の施設 が一番嫌がることだということです。そのため、 (入所定員80名、通所定員40名)の認知症専門棟 ご利用者がどのような方で、これまでどのような (40床)で、看護や介護を行っています。 人生を歩んできたのか、そしていま何を望んでい 20年後の2035年の不安が隠し切れない昨今です また、セラピューティック・ケアは、職員が講 が、なかでも認知症人口の増加は、これからの深 習・認定を受け、施設セラピストとして治癒力の 刻な問題になります。そのため、認知症予防のた あるケアに取り組んでいます。 めの生活や取り組みは、特に重要な 課題です。 ご利用者のなかにはさまざまな認知症状をも るのか、ご家族や周りのスタッフたちと相談し、 各ご利用者にあった看護をします。 方法は、セラピストがご利用者の ち、そこから派生する困難な場面に 肩と手と足の 3 か所を手のひらでさ 多々あたることもあります。そのた 認知症専門棟では、ご利用者やス すり、自然治癒にも効果がある“幸せ め、迷ったり悩んだりすることもあ タッフを含めた “なじみの関係” が大 法人テーマ「さりげないやさしさ」 ホルモン”と呼ばれるセロトニンやオ りましたが、私はまずご利用者の様 切だといわれます。このような関係 を掲げています。 「安心して年をとれ キシトシンの分泌を促します。 子をじっくり観察し、ご利用者の思 が、ご利用者の安心感につながると いを読みとり、対処するよう努めて 実感しています。 当施設では、昨年度から引き続き、 このような人と人との温かいふれ ない」不安が押し寄せてきたとして ご利用者全員に「ハートフルあい も、 老 い も 若 き も、 明 る く 元 気 に、 あい、生命を尊重したケアは、忙し やさしさを第一項目にした生き方を い日常業務とは全く違ったご利用者 施設で生活をともにしていると、 とのかかわりですが、これからも施 ご利用者が周囲を笑わせ、なごませ、 設全体で、懸命に取り組んでいきた 教えてくれたりすることもたくさん いと思います。 あります。 実践するべく日々取り組んでいます。 具体的な取り組みとして、薬物療 法の軽減としてのアロマケアの実施 サングレース(福岡県) ふじ わら あさ 事務 こ 藤原麻子 施設全体での「やさしさ」への取り組み 58 ●老健 2016.1 058-061私の仕事私の思い_1601.indd 58-59 います。 あい荘で過ごせて良かった。幸せだっ ハートフルあいあい荘(香川県) みなと ち え 湊 智恵 看護 た」と、満足してもらえるよう、こ れからもスタッフみんなで支援して いきたいと思います。 1人ひとりにあったケアを 老健 2016.1 ● 59 2015/12/10 15:49
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