イネ縞葉枯病の被害と対策について <<< 収穫後は速やかな耕起を、薬剤防除、抵抗性品種の作付 >>> 平成 26 年 9 月 5 日 芳賀農業振興事務所 近年、県南部及びその周辺地域においてイネ縞葉枯病の発生が増加しており、発生 程度の高い地域では減収につながります。被害が見られる地域においては薬剤防除等 の実施や抵抗性品種への転換を検討しましょう。 1 イネ縞葉枯病とは ・イネ縞葉枯病は、ヒメトビウンカが媒介するウイルス病である。 ・水稲がウイルスを持ったヒメトビウンカに吸汁されると感染する。 ・発病株を吸汁したヒメトビウンカはウイルスを獲得し、他の水稲へも感染させる。 ・感染すると葉及び葉鞘に黄緑色または黄白色の縞状の病斑を生じ、発病株は生育 不良で葉は細くなって巻いたまま垂れ下がり枯れる(ゆうれい症状)。また、穂 が出すくんだり、不稔となり減収する。 ・ヒメトビウンカの越冬前の本病ウイルス保毒虫率が高いと、次年度のイネ縞葉枯 病の発生が多くなる。越冬世代幼虫の保毒虫率が 10 %以上で要防除水準である。 2 イネ縞葉枯ウイルス保毒虫率の推移 県中南部では年々保毒虫率が上がっており、H.26 の真岡市青田では 18.8 %と高 い状況にある。 ヒメトビウンカ第一世代幼虫のイネ縞葉枯病ウイルス保毒虫率(%) 地点名 H.24 H.25 H.26 真岡市青田 2.7 9.1 18.8 県央部 宇都宮市雀宮 12.5 下野市小金井 1.8 10.0 14.6 小山市石の上 3.6 8.2 7.3 県南部 栃木市大平町真弓 4.5 7.3 16.7 佐野市 0.0 1.8 8.3 ※ 栃木県農業環境指導センター調べ(H.26.5)、地点は一部抜粋 3 発病株率と減収程度 (1)発病株率 真岡市の調査地点 7 か所の中では、長沼地区の発病株率が 33 ~ 66 %と高かっ た。要防除水準は 10 % 発病株率調査結果(8月12日) 場 所 調査か所数 発病株率(%) 長 沼 3 34~66 久下田 1 11 物 部 1 9 中 村 2 11~21 ※ JA、農業振興事務所調べ (2)発病株率と減収率 穂揃期~乳熟期のイネ縞葉枯病の発病株率と推定最大減収率の関係は次式で表 される。(栃木農試(1980)) y= 0.555x - 3.044(r= 0.9321***) 発病株率(x)〔11%< x < 43%〕 推定最大減収率(y) 発病株率 14 ~ 15 %で約5%の減収、発病株率 23 ~ 24 %で約 10 %の減収 推定最大減収率(%) イネ縞葉枯病発病株率と最大減収率の関係 25 20 15 10 5 0 0 10 15 20 25 30 35 40 イネ縞葉枯病発病株率(%) 4 防除対策 イネ縞葉枯病はウイルス病であり、発病してから治療する方法はありません。 地域ぐるみで化学的防除及び耕種的防除を実施しましょう。 ○ 化学的防除 (1)箱施用剤 ・ヒメトビウンカに登録のある、箱施用剤を使用する。 ※ 残効性の長い剤の使用 (2)本田防除 ・早植では6月上旬~中旬に本田防除を地域ぐるみで行う。 ○ 耕種的防除 (1)再生稲はヒメトビウンカの個体数の増加や、 発病株をヒメトビウンカが吸汁して保毒虫率を 高める恐れがあるため、収穫後は速やかに耕起 を行う。 感染(黄化)した再生稲 (2)抵抗性品種「あさひの夢」や「とちぎの星」に作付を転換する。
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