No.260(平成26年No.7) 平成26年7月4日 ▼発 行▼ 山本地域振興局農林部農業振興普及課 草丈・葉色は平年並、茎数は多い 中干しの実施と生育・栄養診断の徹底を! ○気象経過(アメダスポイント能代:5月1日~7月3日) 6月6日の梅雨入り後、梅雨らしい天候がつづいたことから6月の降水量は平年よりも 多く【145mm(平年95mm)】、平均気温は高め【20.9℃(平年18.6℃)】、日照時間はほぼ平 年並【184時間(平年179時間)】となりました。7月になると天候が回復し、気温は平年 よりもやや高く、日照時間は多く、降水量は少なめで推移しています。 ※6月22日の気象データは欠測である。 日照(H26) 日照(平年) 気温(H26) 気温(平年) 25 20 60 40 降水量(H26) 30 降水量(平年) 15 10 20 5 0 20 日照時間(hr) 気温(℃) 40 10 0 0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 7.1 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 7.1 図-1 平成26年度 日照・気温の推移(能代アメダス) (月.半旬) 図-2 平成26年度 降水量の推移(能代アメダス) (月.半旬) ○生育状況(あきたこまち9地点平均) 7月4日現在の水稲定点ほの生育は、草丈52.0cm(平年比100%)、茎数597本/㎡(同11 5%)、葉色42.8(同98%)、葉齢10.0葉(平年差±0)となっています。まだ中干しを行 っていないほ場では、弱勢茎の発生を抑制し、倒伏を防止のためにもただちに中干しを行 ってください。なお、葉齢は平年並ですが気温が高い日が続くと見込まれることから、幼 穂形成期は早まると見込まれます。水管理等には注意してください。 また、適正な籾数確保と倒伏対策、稲体の活力維持のため、幼穂形成期の生育・栄養診 断を必ず実施してください。 45 50 400 200 0 6/10 6/25 7/5 H26茎数 183 413 597 平年茎数 147 406 517 H26草丈 26.3 39.0 52.0 平年草丈 25.2 38.1 53.1 7/15 7/25 514 465 64.9 75.5 穂揃期 成熟期 437 茎数(本/㎡) 草丈(cm) 600 0 435 84.3 図-3 草丈・茎数の推移 14 12 40 10 8 35 6/10 6/25 7/5 H26葉色 42.8 42.8 平年葉色 44.7 43.8 H26葉数 6.4 8.7 10.0 平年葉数 6.1 8.7 10.0 7/15 7/25 41.3 38.2 11.0 12.2 図-4 草丈・茎数の推移 - 1 - 穂揃期 12.8 6 葉数(葉) 800 葉色(SPADD値) 100 幼穂形成期(幼穂長2㎜期、出穂22日前頃)を発育モデルを用いて予測すると、あきたこ まち(中苗)を5月20日に田植えした場合、能代地域で7月11日、八森地域で7月14日と 見込まれます。 なお、本年の田植え始期は5月14日、盛期は5月19日、終期は5月26日とみております。 田植日 5月15日 5月20日 5月25日 5月30日 アメダス 能代 7月9日 7月11日 7月14日 7月18日 八森 7月12日 7月14日 7月16日 7月20日 ※田植翌日から7月3日までのアメダス平均気温、それ以降は平年値を使用した場合であり今後の気象 経過により前後する可能性有り。 幼穂形成期以降にほ場の水分が不足すると1穂粒数の減少を招きます。このため、中干 しは幼穂形成期までに終了します。幼穂形成期以降は稲体の活力維持のため間断かん水 (カ ドミウム含有米の発生が懸念される地域は湛水管理)とします。 高温時やフェーン現象時には、湛水や水の入れ替えにより根の活力維持に努めます ※冷害の危険性がある、日平均気温20℃以下(最低気温17℃以下)の低温が予想される場 合は、予め前歴深水管理(25度程度の水を10㎝以上に保つ)で、低温対策を実施します。 カドミウム含有米の発生が懸念される地域では、出穂前後3週間(7月15日頃~8月 25日頃)は湛水管理を厳守してカドミウム吸収を抑制してください。そのためにも、幼 穂形成期前までに中干しと溝掘りを実施し、中干し終了後は湛水管理を行ってください (ほ場全体に水が入るように管理をしてください)。 ①穂肥は減数分裂期の追肥を基本とします。ただし、幼穂形成期(11葉期)の葉色が極端 に低下すると、一穂粒数の減少・有効茎歩合の低下を招きますので、注意が必要です。 本年は草丈・葉色は平年並、茎数が多くなっています。理想とする生育量や葉色と比較 し、生育栄養診断を必ず実施してください。 なお、生育型がⅠ型またはⅡ型に属する場合は、窒素成分で2㎏/10a以下を目処に 追肥を検討してください。 ②一方、幼穂形成期に葉色が濃く草丈が62㎝以上、または減数分裂期に草丈が74㎝以上 で、倒伏の危険性が高くなります。幼穂形成期の栄養診断値(草丈×㎡茎数×葉色(SPA D値))が「 17.6×10 5 」を超えた場合は、穂肥の施用を控える他、倒伏軽減剤 の散布を考慮する必要があります。 ③なお、肥効調節型肥料(100日タイプ)を使用した場合や育苗箱全量施肥を行った場 合、これから肥効が現れますので追肥は控えてください。 - 2 - 表 幼穂形成期(11葉期:7月15日頃)における理想生育量(県北地域) 草 丈 (㎝) 茎 数 (本/㎡) 葉 数 (葉) 葉 色 (spad値) 生育量 (×103) 栄養診断値 (×105) 理想値 60 552 10.8 40 33.0 13.4 上限値 62 586 11.0 42 35.6 14.7 下限値 57 519 10.6 39 30.5 12.1 ※生育量は草丈×㎡当たり茎数。栄養診断値は草丈×㎡当たり茎数×葉色(SPAD値)。 【生育・栄養診断と追肥の判断】 (参考) 葉色板(カラースケール)で葉色を判断し、葉緑素計値に換算する際の計算式 『 葉緑素計値(葉色:SPAD値)=【葉色板判定値】×5+15 』 発生予察情報第3号(H26年6月26日 病害虫 発生・感染時期 葉いもち 早い(前年より早い) 紋枯病 平年並(前年よりやや早い) 稲こうじ病 平年並(前年並) フタオビコヤガ 平年並(前年並) 斑点米カメムシ類 アカスジカスミカメ 早い(前年並) アカヒゲホソミドリカスミカメ 早い(前年並) ① 県病害虫防除所発表) 発生・感染量 やや多い(前年よりやや多い) やや多い(前年よりやや少ない) やや少ない(前年並) 多い(前年並) 多い(前年並) やや多い(前年よりやや多い) 葉いもち 本田や畦畔に放置された余り苗は葉いもちの伝染源となるため、余り苗を放置している 場合はを直ちに処分し、葉いもちのほ場検診を実施してください。 余り苗での発病や本田への持ち込みを確認した場合は、直ちにブラシン剤またはノンブ ラス剤の茎葉散布を行い、必要に応じてビーム剤の追加防除を実施してください。 - 3 - ② 稲こうじ病 前年多発したほ場では、出穂20~10日前に必ず防除 します。 銅剤を使用する場合は、高温時の薬害を避けるため 夕方の涼しい時に防除してください。 薬 剤 名 散布量 ラ ブ サ イ ド ベフラン粉剤DL Zボルドー粉剤DL 3~4㎏ 出穂20~ 紋枯病 前年多発したほ場では、出穂直前を基本 に、薬剤が株元まで到達するように防除し ます。 なお、育苗箱に「嵐剤」を使用した場合 は、紋枯病防除を兼ねています。 10日前 撒粉ボルドー粉剤DL モンガリット粒剤 ③ 散布時期 4kg 薬剤名 バリダシン バシタック モンカット モンセレン リンバー 粉 粒 液 水 ゾル FL 散布時期 ○ ○ 出穂直前~穂揃期 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 出穂15日~5日前 モンガリット ○ 出穂20日~10日前 【ラブサイド剤(成分フサライド)等の総使用回数に注意!】 いもち病や稲こうじ病等の防除で用いられる成分の総使用回数を超えないように注意 してください。農薬の各成分の総使用回数は、ラブサイド剤(成分フサライド3回以内)、 ビーム剤(同トリシクラゾール本田3回以内)、ブラシン剤(同フェリムゾン2回以内、 フサライド3回以内)、ノンブラス剤(同フェリムゾン2回以内、トリシクラゾール本 田3回以内)です。 ④ 薬 剤 名 散布量 防除時期 フタオビコヤガ 葉色の濃いほ場や山沿いのほ場で集中加害を受け ト レ ボ ン 粉 剤 D L 3kg 第2世代 る場合があります。上位3葉の食害が多くみられる パ ダ ン 粉 剤 D L 3~4kg 7月上旬 場合は防除してください。 ロ ム ダ ン 粉 剤 D L 第3世代 MR.ジョーカーEW ⑤ 2,000倍 100L 8月上旬 斑点米カメムシ類 農道や畦畔、休耕田等のイネ科雑草で増殖します。 稲の出穂期10~15日前までに畦畔や農道の草刈りを継続して斑点米カメムシ類の発生源と 密度低下を図りましょう。 8月の草刈りは、薬剤の散布終了後~散布7日後までに行ってください。 水田畦畔の刈り込み軽減剤(グラスショート液剤)や刈り込み代用剤(タッチダウンiQ、 バスタ液剤、ハヤブサ、ザクサ液剤、ラウンドアップマックスロード)を散布すると40~ 50日間の抑草効果が期待できます。 また、ほ場内にノビエやホタルイ等の残草がある場合は、アカスジカスミカメの侵入 を助長するので水田内の雑草対策も徹底しましょう。 6月 上~下旬 上旬 7月 中旬 下旬 6月上旬 草刈り 法面 休耕田等 8月 中旬 下旬 上旬 9月 中旬 下旬 1回目防除 2回目防除 出穂期10日後頃 出穂期24日後頃 本田防除 農道 畦畔 上旬 6月上旬 草刈り 稲出穂 10~15日前 草刈り 稲出穂 10~15日前 草刈り 禁止 - 4 - 収穫期 2週間前 収穫期 2週間前 収穫期 草刈り 収穫期 草刈り 水に溶けやすく土壌中の移動が大きいベンタゾンナトリウム塩剤(バサグラン)は、散 布後1週間程度入排水をしないでください。散布後降雨無く、4日位晴れて蒸散が激しい 状態で、薬効が高まります。 薬 剤 10a薬量 対象草種 散布時の状態 散布時の注意点等 バサグラン粒剤 3㎏/10a クログワイ、シズイ 落水(土が湿っ 対象雑 等の多年生 ている状態)や 草発生 バサグラン液剤 原液500~700mlを 雑草(ノビエに 浅水(0~1㎝) 部分の 雑草に付着 70~100㍑に希釈 は効果なし) で散布 みへの するように 散布が 加圧噴霧す クリンチャーバスME液剤 原液1,000mlを クログワイ、シズイ等 落水(土が湿っ 可能 る。 70~100㍑に希釈 ノビエ5.0葉迄 ている状態)で 散布 ⑥ ばか苗病 採種ほ場周辺(荷八田、朴瀬、四日市地区)でばか苗病が発生した場合は、種子に感染 しないように早期の抜き取りに御協力をお願いします。 ⑦農薬の飛散防止と安全使用の徹底 (1)農薬散布時は、周辺作物への飛散防止対策を徹底してください。 (2)散布前に使用農薬のラベル等を熟読し、使用法を厳守してください。 (3)健康管理や服装・装備等を万全にし、涼しい時間帯に散布しましょう。 (4)農薬散布後は、防除用具の洗浄を必ず行いましょう。 (5)防除履歴を必ず作成してください。 不明な点がある場合は、山本地域振興局農林部農業振興普及課(℡52-1241)、担当まで電話してくださ い。 - 5 -
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