ISC BCP講演20111028

三重県環境保全事業団
第20回情報交換会
事業継続計画(BCP)構築とISO
平成23年10月28日
株式会社 百五経済研究所
(NPO法人事業継続推進機構)
《 初 め に 》

東北地方太平洋沖地震により亡くな
られた方々のご冥福をお祈り申し上げ
ますとともに被災されました方々に、
心よりお見舞い申し上げます。
被災地が一日も早く復興されることを
お祈り申し上げます。
2
目
次
Ⅰ 地震について
Ⅱ 災害に備える事業継続計画
(BCP)
Ⅲ BCP(M)構築とISO
3
Ⅰ 地震について
4
近年の主な地震
①平成19年 4月15日 震源: 三重県中部 M5.4
最大震度5強 亀山市
②平成19年 7月16日 新潟県中越沖地震 M6.8
最大震度6強 新潟県柏崎市 他
③平成20年6月14日 岩手・宮城内陸地震 M7.2
最大震度6強 岩手県奥州市
宮城県栗原市
④平成21年7月11日 震源: 駿河湾 M6.5
最大震度6弱 静岡県伊豆市 他
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
⑤平成23年3月11日 震源: 三陸沖 M9.0
最大震度7
宮城県栗原市 他
5
東日本大震災の三重県内被害例
1 県内の主な被害状況
(1)人的被害 ・ 軽症1人(四日市市)
(2)経済的被害 ・水産業関係被害
40億円以上
(3)その他被害 ・住家:床上浸水1棟(紀北町矢口浦) ・非住家:床上浸水1棟(紀北町矢口浦)
床下浸水9棟(紀北町矢口浦)
・田 畑:冠水(鳥羽市浦村町)
2 県内の津波の状況
(1)津波警報・注意報発表状況
3月11日14:49 県南部「注意報」 15:14 伊勢・三河湾「注意報」 15:30 伊勢・三河湾、県南部「警報」
12日13:50 伊勢・三河湾「注意報」に切替
20:20 伊勢・三河湾「注意報」解除、 県南部「注意報」に切替
13日 17:58 県南部「注意報」解除
(2)津波観測状況
第1波
最大波
四日市
3月11日 17:20 0.4 m
11日 20:13 0.5 m
鳥 羽
3月11日 16:34 0.5 m
11日 19:13 1.8 m
尾 鷲
3月11日 16:17 1.0 m
11日 17:12 1.7 m
熊野市遊木
3月11日 16:12 0.7 m
11日 16:28 0.7 m
東日本大震災の影響調査
(H23年5月弊社調査)
企業として受けた被害
物流の遅れや資材・商品の不足など間接
的な被害があった
52.5
販売先・受注先に人的・物的被害があった
21.8
仕入先・受注先に人的・物的被害があった
20.8
消費の萎縮や風評被害などの影響があっ
た
10.9
自社に人的・物的被害があった
5.0
n=101
26.7
特に被害はなかった
0
10
20
30
40
50
60
(%)
70 80
企業としての防災対策の現状
東日本大震災の影響調査 2
40.8
(H23年5月弊社調査)
従業員の安否確認・緊急連絡網などの仕組みがある
重要書類や重要データを喪失しないよう、安全な保管・バックアップを
行っている
29.6
防災訓練・防災教育を定期的に実施している
28.6
災害に備え、非常用品(食品、懐中電灯、ラジオ、救急機材など)を備
蓄している
24.5
防災マニュアルを作成し、従業員に周知している
20.4
建物・工場の耐震性が確保されている
19.4
事業所所在地域の東海・東南海地震による被害想定などを把握して
いる
11.2
生産や事業が完全停止しないよう工場・事業所を分散させている
4.1
事業継続計画(BCP)を作成し、実施できるよう準備している
3.1
n=98
複数回答
30.6
特に対策は取れていない
0
10
20
30
(%)
40
50
60
70
80
企業として今後取り組みたい対策
防災マニュアルを作成し、従業員に周知する
52.9
重要書類や重要データを喪失しないよう、安全な保管・バックアップを行う
47.1
従業員の安否確認・緊急連絡網などの仕組みを作る
37.9
防災訓練・防災教育を定期的に実施する
29.9
災害に備え、非常用品(食品、懐中電灯、ラジオ、救急機材など)を備蓄する
29.9
27.6
事業所所在地域の東海・東南海地震による被害想定などを把握する
建物・工場の耐震補強を行う、耐震性のある建物・工場に移る、立て替える
25.3
事業継続計画(BCP)を作成し、実施できるよう準備する
21.8
生産や事業が完全停止しないよう工場・事業所を分散させる
5.7
既に十分対策を取っており、現状を維持する
n=87
複数回答
3.4
特に対策を取る考えはない
6.9
0
10
20
30
40
50
60
70
(%)
80
震度と揺れ
(気象庁)
・震度 5強
歩くことが困難
固定していない家具転倒
ブロック塀が崩れる
・震度 6弱
立っていること困難
ドアが開かない
木造建物が傾く
・震度 6強
人が飛ばされる
倒れる建物も多い
大きな地割れ、地すべりや
山崩れが発生
・震度 7
鉄筋コンクリート造建物でも
倒れる
3大地震同時発生時の震度と被害予想(出典:三重県H17.3)
東海・東南海・南海地震
規模
最大震度
死者数
揺れ等
M8.7
(M9.0へ見直し中)
7
約2,700~約4,800人
約1,700人
津波
約1,000~約3,100人
負傷者数
約11,700~11,800人
全壊棟数
約66,100~69,000棟
11
南海地震
東南海地震
東海地震
慶 長 地 震 (M7.9)
1605年
約100年
1707年
宝 永 地 震 (M8.6)
安政東海地震(M8.4)
安政南海地震(M8.4)
2年後
1946年
南海地震 (M8.0)
安政東海
死者 2,658人
熊野灘 10m
志摩 18m
約150年
32時間後
1854年
宝永地震
死者 5,038人
熊野灘 6m
志摩 10m
東南海地震
(M7.9)
東海地震?
20XX年
次の東南海・南海地震
昭和東南海
死者 1,251人
県内 389人
熊野灘 10m
志摩 4m
157年
昭和南海
死者 1,330人
県内 11人
熊野灘 2m
志摩 4m
Ⅱ
災害に備える事業継続計画
(BCP)
13
事業継続(BC)とは

事業継続(BC):Business Continuity
企業が被災しても重要業務を中断させず、あるいは
中断してもできるだけ早急に復旧させること
*重要業務とは、自社事業で中断が許されないもの
や最優先に復旧させるべきもの
14
BCの概念図
出典:「内閣府防災情報のページ」
15
事業継続計画(BCP)とは

事業継続計画:Business Continuity Plan
事業継続(BC)を達成するための計画(書)
① 継続や早期復旧を実現する体制、対応手順等
② 被害やその影響を小さくする事前対策
※狭義のBCPは、①の意味でも使われ事業継続
マネジメント(BCM)と同様なニュアンスで使う
こともある
16
事業継続マネジメント (BCM)とは

事業継続マネジメント:Business Continuity
Management
BCを達成するためのマネジメント(管理プロセス)
(P)事業継続計画を策定
(D)実施及び運用、教育・訓練
(C)点検及び是正措置 (A)経営者による見直し等
BCM
BCMシステ
ム運用により
B
C
17
継続的改善のイメージ
継続的改善
ACTION
PLAN(計画)
(マネジメントレビュー)
CHECK
(点検)
DO
(実施及び運用)
18
BCPの必要性
生命、財産や経済活動等に支障がある事象
(地震、感染症、大事故等)が発生すると、
① 企業自体が被災
② 商品・製品、サービスが途絶える
③ 経営の継続に悪影響

求められる対応=「BCP策定」
①応急対策

②重要業務確保
③被害の極小化
19
従来の防災とBCの特徴
従来の防災の特徴
BCの特徴
左記に新しい視点をプラス
視 ①人命の安全確保
点
②物的被害の軽減
<経営戦略の観点>
③拠点レベルでの対策対応
①重要業務(製品・サービスの供給)の
④主担当は安全部門や施設部門 継続と早期復旧
②サプライチェーンでの対策・対応
自社と取引先と一緒に検討
指 ①死傷者数
②物的損害額
標
①事前に決定していた復旧時間・復旧
レベル
②経営ならびにステークホルダーに及
ぼす影響
20
BCP策定メリット-1
(1) 社内的なメリット
 <直接的な効果>
被害や影響を最小限にする事前対策及び中断させない継
続対策と復旧対策となる
 <副次的な効果>
「自社の事業・業務」、「重要なリソース」などを再認識
災害時の対応計画だけでなく、業務の標準化、効率化、
可視化につながる
経営者と現場の間で、リスクや経営戦略に関する意識の
共有が図られる
21
BCP策定メリット-2
(2) 社会的、対外的なメリット
・ 防災や危機対応に取り組む企業として信頼を得る
・ ステークホルダーへ防災や危機対応に関する説明責任を
果たせる
・顧客や取引先への安定的な供給責任を果たせる
・災害事故発生時の地域貢献や行政へ協力の意思表明、
あるいは平時の防災活動支援は、CSR活動として評価さ
れる
22
BCP策定推進のために





経営者とBC担当者の理解と強いリーダーシップが必要
重要業務の検討や被害想定をするためには、部門横断
的な取組みが必要であり、現場の相互理解が重要
重要業務を担う部門が主となりBCPを策定し、BC推進
部門が全体を管理する
BCP策定と定着には相当の時間と労力、対策コストが必
要
減災対策予算や重要業務の選定等の経営判断が必要
23
BCP対応力向上のために




平時の業務をBCPの観点で見る
十分な教育で周知・理解を深め、定期的な訓練
で体得する
BCPの効果や実効性を検証し、
定期的に見直しする
PDCAサイクルにより、
継続的に改善する
24
政府のBCPへの取り組み

中央防災会議 (決定した地震防災戦略)
・東海地震の地震防災戦略 :平成17 年3 月
・東南海・南海地震の地震防災戦略 :平成17 年3 月
・首都直下地震の地震防災戦略 :平成18 年4 月
《経済被害軽減戦略の具体的目標》
「事業継続計画(BCP)策定企業割合を大企業でほぼ全て
、中堅企業の過半数」
25
BCP策定ニーズの高まり




多発する災害や事故の切迫性
地震、感染症、コンピュータウイルスの脅威
企業活動の連携
サプライチェーンの拡張、リアルタイム化
国内外の標準化
BC関連ガイドラインの発行、ISO化の動き
コンプライアンスへの期待
ステークホルダーからの要求
26
Ⅲ
BCP(M)構築とISO
27
海外の標準化





米国 ANSI/NFPA1600:2010
米国規格協会と米国防火協会が制定2010年改訂
英国 BBSI/PAS56
英国BCIと英国規格協会が2003年国内標準化
英国 BS25999
英国規格協会が認証規格BS25999‐2を2007年公開
(日本でも2008年から認証審査開始)
シンガポール TR19
シンガポール標準協会が2005年策定
韓国、オーストラリア、カナダ等で標準規格を策定
28
ISOの標準化


国際標準化機構(ISO)
2012年6月末に事業継続マネジメントシステム
(BCMS)認証規格を発行予定
TC223(社会セキュリティ)内WG4の設置目的
緊急事態準備及び業務継続マネジメントの規格
開発・・・H23年10月現在「22301(BCMS要求事
項)」FDIS
29
BCM構築の流れ
簡易モデル→三重県版、中小企業庁版
B
C
P
導
入
研
修
HRI(BCAO)モデル →
研修会形式、コンサル
NKSJモデル → 研修会形式、コンサル
シ
ミ
ュ
レ
ー
シ
ョ
ン
研
修
I
S
O
化
へ
の
対
応
耐震化対策
30
P
BCM構築例
A
D
C
既存システムの活用
1 基本方針
2 想定リスク
3 影響度評価
4 被害想定
5 重要な要素
6 組織体制と指揮命令系統
7 重要拠点の確保
8 対外的な情報発信及び情報共有
9 バックアップ
10 製品・サービス供給
11 生命の安全確保と安否確認
12 事務所・事業所および設備の災害被害軽減
13 二次災害の防止
14 地域との協調・地域貢献
15 共助、相互扶助
16 備蓄、救命機材、家庭における防災
17 財務手当
18 教育・訓練
19 点検および是正措置
20 経営層による見直し
31
BCP基本方針とは


経営層は被災時に“どのような心構え”
で取り組むかを示したもの
組織が被災時でも実行していくことを示
したもの
32
BCP基本方針 (例 )
1.具体的な内容
① 人命の安全を最優先すること
② 二次災害を防止すること
③ 被災時も供給責任を果たすこと
④ 雇用を守ること
⑤ 地域と協調し貢献すること
2. 優先的に取り組む事業範囲を明確化
3.BCP策定スケジュールの決定
4.経営資源を投入する表明
等
ISO(EMS)の活用-1

4.4.7 緊急事態への準備及び対応
組織は、環境に影響を与える可能性のある潜在的な緊急事態及び事故
を特定するための、またそれらにどのようにして対応するかの手順を確
立し、実施し、維持すること。
組織は、顕在した緊急事態や事故に対応し、それらに伴う有害な環境
影響を予防又は緩和すること。
組織は、緊急事態への準備及び対応手順を、定期的に、また特に事
故又は緊急事態の発生の後には、レビューし、必要に応じて改訂するこ
と。
組織は、また、実施可能な場合には、そのような手順を定期的にテスト
すること。
34
ISO(EMS)の活用-2

「4.4.7 緊急事態への準備及び対応」 ⇒ BCP(M)
「・・対応するかの手順を確立し、実施し、維持すること」
⇒ 災害発生時への対応(重要業務の早期復旧)を実施する
「・・それらに伴う有害な環境影響を予防又は緩和すること」
⇒ 防災(減災)対策を実施する
「・・実施可能な場合には、そのような手順を定期的にテストすること」
⇒ いろいろな想定条件(休日や夜間等)で、訓練を行い全員が
体得する
35
NPO法人BCAOとは





特定非営利活動法人 BCAO(事業継続推進機構)
Business Continuity Advancement Organizationの略
設立 2006年1月19日
本部 東京都港区虎ノ門1-1-21
目的 災害や事故時にも事業を継続し、被害軽減や危
機管理の対策充実を図り、国や各地域の安全
安心発展を図る。
活動内容 BCの普及啓発やBCの専門家育成等
最 後 に

できることから、防災(減災)対策の準備を
お願い申し上げます。
ご清聴ありがとうございました。
㈱百五経済研究所 経営コンサルティング部
主任研究員 永木良明
T e l 059-228-9105
E-mail [email protected]