出 血 時 の 対 処

症
し
た
際
の
救
急
対
処
法
を
概
説
す
る
。
140mmHg
未
満
へ
下
げ
て
血
腫
増
大
を
防
止
し
、
く
十
分
な
降
圧
を
行
う
。
脳
内
出
血
で
は
収
縮
期
血
圧
を
(1
1
2
8)
出
血
や
く
も
膜
下
出
血
な
ど
の
頭
蓋
内
出
血
時
に
は
、
本
稿
で
は
、
大
出
血
や
頭
蓋
内
出
血
を
ひ
と
た
び
発
を
腎
臓
や
肝
臓
で
代
謝
で
き
る
か
ら
で
あ
る
。
$
脳
内
こ
と
が
ま
ず
重
要
で
あ
る
。
や
、
抗
血
小
板
薬
の
併
用
療
法
を
で
き
る
だ
け
避
け
る
の
介
入
可
能
な
危
険
因
子
を
徹
底
的
に
管
理
す
る
こ
と
に
は
、
高
血
圧
、
高
血
糖
、
過
度
の
飲
酒
、
喫
煙
な
ど
1 そ
・ れ
0 ぞ
% れ
の 日
頻 本
度 人
で で
み 2
ら ・
れ 1
る1)∼
。 3
こ ・
れ 6
ら %
を と
予 0
防 ・
す 6
る ∼
せ
る
こ
と
で
、
半
日
か
ら
1
日
程
度
で
相
当
量
の
薬
物
で
は
さ
ら
に
意
味
深
い
。
点
滴
し
バ
イ
タ
ル
を
安
定
さ
タ
ル
の
安
定
は
基
本
で
あ
る
が
、
新
規
経
口
抗
凝
固
薬
作
を
行
う
こ
と
が
挙
げ
ら
れ
る
。
#
点
滴
に
よ
る
バ
イ
う
こ
と
、
そ
し
て
外
科
的
な
処
置
を
含
め
て
"
止
血
操
必
ず
行
う
べ
き
対
処
法
と
し
て
、
ま
ず
!
休
薬
を
行
ワ
ル
フ
ァ
リ
ン
療
法
中
の
大
出
血
や
頭
蓋
内
出
血
は
、
は
じ
め
に
"
必
ず
行
う
べ
き
事
柄
大
出
血
時
の
対
処
︵
表
!
︶
出
血
時
の
対
処
矢
坂
正
弘
CLINICIAN ’13 NO. 624
104
!抗凝固療法中の大出血時に必ず行うことと緊急リバース法
必ず行うこと
1.休薬
2.止血処置(外科的な処置を含めて)
3.適切な輸液によってバイタルを安定させ、尿量を確保する
(NOAC では体外への速やかな排出を促す作用も期待して)
4.脳内出血やくも膜下出血の場合は、十分な降圧を図る
必要に応じて考慮すべき緊急リバース法
〈ワルファリン〉
1.ビタミン K の静注
2.第$因子複合体の静注(保険適用外)
3.新鮮凍結血漿の点滴投与
〈新規経口抗凝固薬〉
1.凝固因子を補充する立場から、第$因子複合体や新鮮凍結血漿の静脈内投与
2.凝固系全般を賦活化させる観点から遺伝子組み換え第#因子製剤の静注
3.内服後4時間以内であれば、胃洗浄や活性炭の投与
4.透析(ダビガトランのみ)
〈ヘパリン〉
1.硫酸プロタミンの静注
〈アルガトロバン〉
1.新鮮凍結血漿の点滴投与
(筆者作成)
0
単
位
を
、
5
・
0
を
超
え
る
場
合
は
1
、
0
通
常
P
T
I
N
R
が
5
・
0
未
満
で
は
5
0
CLINICIAN ’13 NO. 624
$
因
子
複
合
体
の
投
与
が
I 極
N め
R て
は 有
低 用
下 で
す2)、
る3)投
。
与
後
10
分
以
内
に
P
T
せ
る
第
"
、
#
、
$
、
%
因
子
を
包
含
す
る
第
な
場
合
は
、
ワ
ル
フ
ァ
リ
ン
で
産
生
を
抑
制
さ
併
症
で
P
T
−
R 0
を 0
再 単
検 位
し を
必 投
要 与
に し
応 、
じ 10
て 分
追 後
加 に
投 P
与 T
す
る4)I
。 N
−
I
N
R
の
再
上
昇
が
み
ら
れ
る
が
、
第
$
因
子
複
合
体
を
単
独
投
与
す
る
と
2
4
時
間
−
105
後
に
P
T
−
起 ビ
こ タ
ら ミ
な ン
い K
︵ を
図 同
!5)時
︶
。 に
投
与
す
る
と
再
上
昇
は
−
第
$
因
子
複
合
体
は
血
友
病
B
に
伴
う
第
$
I
N
R
の
早
急
な
是
正
が
必
要
ワ
ル
フ
ァ
リ
ン
療
法
中
の
重
篤
な
出
血
性
合
#
ワ
ル
フ
ァ
リ
ン
投
与
時
"
場
合
に
よ
っ
て
考
慮
す
べ
き
事
柄
裂
の
リ
ス
ク
軽
減
を
図
る
。
も
膜
下
出
血
で
は
さ
ら
に
十
分
に
下
げ
て
再
破
(1
1
2
9)
!第"因子複合体投与と PT-INR の変化
ビタミン K のみ投与後(左)
、第!因子複合体のみ投与後(中)および第!因子複
合体とビタミン K 投与後(右)の INR の推移。ビタミン K 単独投与では INR 是正
に時間を要する。第!因子複合体製剤を単独で投与すると半減期に応じて INR は
12から2
4時間後に再上昇するが、ビタミン K を同時に投与すると肝での合成が加
わり INR の再上昇はみられない。
P 現
S 在
B"本
邦
H で
T は
﹁ 、
ニ 第
チ !
ヤ 因
ク 子
﹂ 複
が 合
限 体
ら の
れ P
開
発
が
急
ピ
ッ
チ
で
進
め
ら
れ
て
い
る
。
、
米
国
製
品
名
KcentraTM
た
施
設
で
保
険
適
用
外
と
し
て
用
い
ら
れ
"
て
い
る
が
、
ワ
ル
フ
ァ
リ
ン
療
法
中
の
緊
Beriplex
(1
1
3
0)
急
リ
バ
ー
ス
へ
向
け
て
の
開
発
は
行
わ
れ
−
て
い
な
い
。
︶
の
用
い
ら
れ
て
い
る
製
剤
︵
欧
州
製
品
名
認
さ
れ
た
。
本
邦
で
は
、
欧
州
や
米
国
で
用
い
ら
れ
、
米
国
で
は
2
0
1
3
年
に
承
前
の
緊
急
リ
バ
ー
ス
に
通
常
医
療
と
し
て
ル
フ
ァ
リ
ン
療
法
中
の
大
出
血
時
や
手
術
険
適
用
は
な
い
。
本
製
剤
は
欧
州
で
は
ワ
の
第
!
因
子
欠
乏
状
態
に
現
時
点
で
は
保
剤
で
あ
る
た
め
、
ワ
ル
フ
ァ
リ
ン
療
法
中
CLINICIAN ’13 NO. 624
因
子
欠
乏
状
態
を
念
頭
に
開
発
さ
れ
た
薬
106
が 第
是 !
正 因
さ 子
れ 複
る 合
可 体
能 を
性 投
が 与
示 す
さ る
れ こ
て と
い で
る6)、
。 抗
凝
固
作
用
高
い
た
め
困
難
と
予
測
さ
れ
る
。
N
O
A
C
療
法
中
は
バ
ー
ロ
キ
サ
バ
ン
や
ア
ピ
キ
サ
バ
ン
は
蛋
白
結
合
率
が
結
合
率
の
低
い
ダ
ビ
ガ
ト
ラ
ン
は
可
能
で
あ
る
が
、
リ
与
で
吸
収
を
抑
制
す
る
。
透
析
に
よ
る
除
去
は
、
蛋
白
の
で
、
4
時
間
以
内
の
場
合
は
胃
洗
浄
や
活
性
炭
の
投
述
の
方
法
に
従
っ
て
5
・
0
mL
と
算
出
し
、
1
0
分
以
上
出
血
が
起
こ
れ
ば
、
必
要
な
硫
酸
プ
ロ
タ
ミ
ン
量
を
前
0
0
単
位
以
上
を
ボ
ー
ラ
ス
で
投
与
し
、
そ
の
直
後
に
H
T
﹁
ニ
チ
ヤ
ク
﹂
を
1
、
ロ
タ
ミ
ン
の
必
要
量
の
計
算
は
容
易
で
あ
る
。
5
、
0
合
併
症
が
み
ら
れ
て
中
和
が
必
要
な
場
合
は
、
硫
酸
プ
ヘ
パ
リ
ン
を
ボ
ー
ラ
ス
で
投
与
し
た
直
後
に
出
血
性
測 徐
定 々
し に
、 静
追 脈
加 内
治 に
療 投
の 与
必 す
要 る
性 。
を 投
検 与
討 後
す 、
る7)A
。 P
T
T
を
ど
の
副
作
用
に
注
意
し
な
が
ら
10
分
以
上
を
か
け
て
食
塩
液
な
ど
に
希
釈
し
て
、
血
圧
低
下
や
シ
ョ
ッ
ク
な
酸 ン
プ 1
ロ ・
タ 0
ミ ∼
ン 1
と ・
5
し mL
て を
50 、
# 通
︶ 常
を 1
超 回
え に
な つ
い き
量 5
を mL
生 ︵
理 硫
パ
リ
ン
1
、
0
0
0
単
位
に
対
し
て
、
硫
酸
プ
ロ
タ
ミ
CLINICIAN ’13 NO. 624
キ
サ
バ
ン
の
食
後
内
服
時
の
は
4
時
間
程
度
な
ダ
ビ
ガ
ト
ラ
ン
や
リ
バ
ー
ロ
キ
サ
バ
ン
お
よ
び
ア
ピ
1
バ
イ
ア
ル
10
mL
中
に
1
0
0
#
を
有
し
て
い
る
。
ヘ
硫
酸
プ
ロ
タ
ミ
ン
を
投
与
す
る
。
硫
酸
プ
ロ
タ
ミ
ン
は
N
O
A
C
︶
投
与
時
ヘ
パ
リ
ン
投
与
時
に
そ
の
中
和
が
必
要
な
場
合
は
、
!
新
規
経
口
抗
凝
固
薬
︵
Novel oral
か
け
て
静
注
す
る
こ
と
に
な
る
。
し
か
し
、
2
時
間
前
107
九
州
医
療
セ
ン
タ
ー
で
は
N
O
A
C
療
法
中
の
頭
蓋
anticoagulants:
0
0
0
∼
1
、
5
0
0
単
位
投
与
し
、
経
過
を
観
察
す
Tmax
る
こ
と
に
し
て
い
る
。
N
O
A
C
の
抗
凝
固
作
用
を
急
140mmHg
に
1
万
単
位
入
れ
た
と
す
る
と
、
2
時
間
は
ヘ
パ
リ
ン
未
満
︶
、
第
!
因
子
内
出
血
が
搬
入
さ
れ
た
場
合
、
ま
ず
十
分
に
血
圧
を
下
複 げ
合 ︵
体 収
で 縮
あ 期
る 血
P 圧
P
S を
B"
速
に
是
正
す
る
抗
体
製
剤
や
低
分
子
化
合
物
が
開
発
中
−
で
あ
る
。
"
ヘ
パ
リ
ン
投
与
時
(1
1
3
1)
大
出
血
の
リ
ス
ク
管
理
と
出
血
時
の
対
処
法
を
概
説
す
る
研
究
や
報
告
は
な
い
。
お
わ
り
に
循
環
器
疾
患
に
お
け
る
抗
凝
固
・
抗
血
小
板
薬
療
法
に
3)
循
環
器
病
の
診
断
と
治
療
に
関
す
る
ガ
イ
ド
ラ
イ
ン
研
究
時
は
新
鮮
凍
結
血
漿
投
与
の
有
無
を
考
慮
す
る
。
第
!
血
の
程
度
や
緊
急
処
置
へ
の
反
応
を
み
な
が
ら
、
必
要
減
期
が
30
分
程
度
で
あ
る
こ
と
を
念
頭
に
置
い
て
、
出
2)
本
薬
に
特
異
的
な
中
和
薬
は
知
ら
れ
て
い
な
い
。
半
!
ア
ル
ガ
ト
ロ
バ
ン
投
与
時
し
、
追
加
投
与
の
可
否
を
判
断
せ
ざ
る
を
得
な
い
。
投
与
し
、
止
血
状
態
の
再
評
価
と
A
P
T
T
値
を
再
検
1)文
献
Toyoda K, et al ; Bleeding with Antithrombotic Therapy
(BAT) Study Group : Dual antithrombotic therapy
increases severe bleeding events in patients with stroke
and cardiovascular disease : a prospective, multicenter,
observational study. Stroke, 39, 1740-1745 (2008)
Yasaka M, et al : Predisposing factors for enlargement
of intracerebral hemorrhage in patients treated with
warfarin. Thromb Haemost, 89, 278-283 (2003)
班
:
http : //www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/
JCS2009_hori_h.pdf
(1
1
3
2)
関
す
る
ガ
イ
ド
ラ
イ
ン
︵
2
0
0
9
年
改
訂
版
︶
因
子
複
合
体
の
効
果
も
考
え
ら
れ
る
が
、
そ
れ
を
示
唆
与
の
場
合
は
、
残
存
量
の
計
算
が
容
易
で
な
い
た
め
、
・
8
mL
程
度
投
与
す
る
こ
と
も
一
法
で
あ
る
。
持
続
投
て
い
る
と
計
算
し
て
硫
酸
プ
ロ
タ
ミ
ン
を
1
・
2
∼
1
1
万
単
位
を
23
で
除
し
て
、
1
、
2
5
0
単
位
残
存
し
の
半
減
期
40
分
の
お
お
よ
そ
3
倍
な
の
で
血
中
濃
度
は
︵
独
立
行
政
法
人
国
立
病
脳
血 脳 院
管 血 機
・ 管 構
神 セ
経 ン
内 タ
科 ー
急
務
で
あ
る
。
析
に
よ
っ
て
出
血
時
の
対
応
方
法
を
確
立
す
る
こ
と
が
い
の
で
、
今
後
、
大
出
血
例
の
登
録
と
そ
の
デ
ー
タ
解
し
た
。
N
O
A
C
療
法
中
の
経
験
や
報
告
は
十
分
で
な
や
止
血
の
状
況
と
A
P
T
T
値
を
参
考
に
1
∼
5
mL
を
A
P
T
T
を
測
定
し
て
延
長
が
確
認
さ
れ
れ
ば
、
出
血
九
州
医
療
セ
ン
タ
ー
科
長
︶
CLINICIAN ’13 NO. 624
108
Yasaka M, et al : Optimal dose of prothrombin complex
concentrate for acute reversal of oral anticoagulation.
Thromb Res, 115, 455-459 (2005)
Yasaka M, et al : Correction of INR by prothrombin
complex concentrate and vitamin K in patients with
warfarin related hemorrhagic complication. Thromb Res,
108, 25-30 (2002)
Kaatz S, et al : Guidance on the emergent reversal of oral
thrombin and factor Xa inhibitors. Am J Hematol, 87
(Suppl 1), S141-S145 (2012)
:
(1
1
3
3)
CLINICIAN ’13 NO. 624
109
4)
5)
6)
7)
日 矢
本 坂
医 正
事 弘
新
報 ヘ
、 パ
4 リ
4 ン
9 療
1 法
、 例
7
4へ
∼ の
7
9硫
︵ 酸
2 プ
0 ロ
1 タ
0 ミ
︶ ン
使
用
、