平方剰余とそれに関する ある予想について

東邦大学理学部情報科学科卒業研究発表会
指導教員 白柳 潔
提出者 5508018 大貫佑一郎
平方剰余その1
a は整数で、p を2 以外の素数かつ、a とp が
互いに素であるとする。
x 2 ≡ a (mod p) が整数解を持つとき、a を p の平方剰余、
そうでないときに平方非剰余という。
平方剰余の
とき
1
a
 
 p
ルジャンドル
記号
平方非剰余
のとき
-1
平方剰余その2
例えば、p を7,つまり7を法としたとき
12 11  1
1
=1
7
2 24  4
2
2
=1
7
32  9 32(mod7) 52  255 4(mod7)
3
= −1
7
5
= −1
7
42  164
 2(mod7) 62  366 1(mod7)
4
=1
7
6
= −1
7
この世界では、1, 2, 4 が平方剰余である。
また、3, 5, 6 は平方非剰余である。
このように、平方剰余であるものとないものは
ちょうど半分になる。
平方剰余に関するチャップマンの予想
p = 2k + 1 が素数 > 3であり、≡ 3 (mod 4) とする。
そのとき、(i,j)-成分が
i+j
p
のk次行列は非正則である。
すなわち行列式 = 0というものである。
※以下チャップマン行列と略す
例 p = 11, k = 5 のとき
𝑖+𝑗
𝑝
𝑖+𝑗
1
-1
1
0
研究目的
・平方剰余の性質を理解
・チャップマンの予想を把握
チャップマン行列の行列式が0になるという
予想の裏には何があるのか?
チャップマン行列の階数、
同次連立一次方程式について調べる
予想に関する実験
・チャップマン行列から階数(Rank)について検証
・行列を同次連立一次方程式として、その解について調査
1 0 0
0 1 0
0 0 0
Rank
実験方法
数式処理ソフトMapleを使い、
最小値である p = 7 から p の数を
4ケタほどまで for文でまわす。
𝑥−𝑦+𝑧 =0
−𝑥 + 𝑦 − 𝑧 = 0
𝑥−𝑦−𝑧 =0
?
実験結果その1
○:行列のサイズ △:階数
□:同次連立一次方程式の解の0成分の個数
○
△
□
3
2
1
5
4
3
95
99
105
3
111
110
1
243
242
1
112
3
375
374
1
3
113
245
244
3
118
1
393
392
3
249
248
3
405
404
3
411
410
1
413
412
3
419
418
1
429
428
3
431
430
1
441
440
3
443
442
1
453
452
3
9
11
8
10
94
98
104
1
3
3
231
230
1
363
362
1
233
232
3
369
368
3
239
238
1
371
370
1
15
14
3
119
21
20
3
125
124
3
251
250
1
1
131
130
1
261
260
3
134
1
273
272
3
23
22
29
28
3
135
33
32
3
141
140
3
281
280
3
35
34
1
153
152
3
285
284
3
39
38
3
155
154
1
293
292
3
41
40
3
165
164
3
299
298
1
51
50
1
173
172
3
303
302
1
53
52
3
179
178
1
309
308
3
63
62
1
183
182
1
315
314
1
455
454
1
65
64
3
189
188
3
321
320
3
459
458
1
69
68
3
191
190
1
323
322
1
473
472
3
75
74
1
209
208
3
329
328
3
483
482
1
81
80
3
215
214
1
341
340
3
485
484
3
83
82
1
219
218
1
345
344
3
491
490
1
89
88
3
221
220
3
359
358
1
495
494
1
実験結果その2
行列サイズ
階数(Rank)
同次連立一次
方程式の解
階数は行列のサイズより
1だけ小さいものになった。
方程式の解は、
・0が一つで他が任意の定数
・0が三つで他が任意の定数
の2パターン
・・・
・・・
三つの予想
・行列がn次行列のとき、階数がn-1となる
・同次連立1次方程式の解の0の個数には、
1個の場合と3個の場合の2パターンしか存在しない
・また0の並びにも規則性がある
行
列
階
数
△
□
□
▽
□
△
▽
△
・
・
・
0
解
□
0
△
□
▽
▽
・
・
・
0
□
0
まとめと今後の課題
実験から新しく三つの予想を立てることができた
階数が1減る現象、同次連立一次方程式の解の背景を
解明できるように!!
参考文献
・「数論への出発」 1980年度 日本評論社
著者 藤崎源二郎、森田康夫、山本芳彦
・「数論(未解決問題)の辞典」 2011年度 朝倉書店
著者 リチャード・K・ガイ 訳 金光滋