健康発達医学寄附講座

健康発達医学寄附講座
生活習慣病・脳血管疾患・癌の新規治療法開発を目指した新しい講座です。
研究テーマ
1.生活習慣病・癌を標的としたワクチン治療
超高齢化社会の今、社会構造の変化や抗体医薬などの高価な医療の出現により、質の
高い医療を保つ一方で、その予防・治療に費やす医療費をいかに抑えていくかというの
が今後の大きな課題であると思われます。
このような現状を打破するための一つの手段として、私たちは生活習慣病に対するワ
クチンが疾患治療の一つの選択肢となりうるのではないかと考え、ペプチドあるいは
DNA ワクチンに注目し、研究開発を行っています。プラスミド DNA の投与方法、投与す
るプラスミドの改変、自然免疫の活性化(アジュバンド)作用の最適化などにより、よ
り高抗体価の免疫を獲得して生活習慣病の治療へと応用できる方法の開発に取り組ん
でいます。実用化に向けた産学連携の研究体制を確立するためにいくつかの企業と共同
研究を行っています。対象疾患としては、すでに実績のあるアンジオテンシン II を標
的とした高血圧ワクチンの臨床応用を目指した開発(PLoS One 2013, Hypertension
2015)、糖尿病治療・脂質異常症治療を目指した新規ワクチンの開発(PNAS 2014, Sci Rep
2013)、抗血管新生治療を目指した癌ワクチンの開発にも取り組んでいます。
2.新規抗菌性ペプチドによる難治性皮膚潰瘍治療薬の開発
我々が同定した新規抗菌性ペプチド AG30 は緑膿菌・黄色ブドウ球菌などに対する広
い抗菌活性を有すると同時に強力な血管新生作用も有するユニークなペプチドです(J
Cell Mol Med. 2009)
。一般に創傷治癒にはこの抗菌作用と血管新生作用の両方の特性
が求められることから、本ペプチドの特性を活かした外用剤としての臨床開発を行って
います。医薬品開発に向けて AG30 をさらに改変したペプチドが SR ペプチドです(PLoS
ONE. 2014)
。SR-0379 は糖尿病での全層欠損モデルなどにおいて経皮投与でその効果が
確認されており、創部環境を悪化させることなく創傷治癒モデルでは創修復を促進でき
る作用があります。本プロジェクトは大阪大学の早期探索的臨床拠点プロジェクト(厚
生労働省)の重点シーズに選出されており、そのサポートを受けながら現在医師主導治
験実施に向けた準備を進めています。
3. 多角的視点からとらえた虚血性脳血管障害の病態解明と治療法の開発
私たちの研究室では多分野で活躍している研究者が在籍しているメリットをいかし、
脳以外の分野で研究されてきた様々な分子に着目し、脳梗塞や認知症といった病態にお
ける機能の解明と治療への応用の可能性を検討しています。
マウスを用いた脳動脈傷害後のリモデリングについての解析として、脳動脈の狭窄病変に
対する血管形成術ついては近年、DES ステントでの取り組みも行われていますが再狭窄率
が依然として高いことが報告されています。脳動脈の構造が頭蓋外の動脈に比較して構造
が大きく異なることからも、脳動脈における再狭窄の病態解明と有効な治療法の開発は重要
な課題であると考えています。我々は、マウスでのモデルの開発にも成功し(JCBFM 2013)、
頭蓋内動脈のリモデリング過程が頭蓋外動脈とは大きく異なることを見いだしました。さらに、
新たな炎症関連分子として、骨代謝に関連する OPG/RANKL/RANK 系が脳梗塞後の炎症に
も関連することを見いだしました(PNAS 2014)。RANK は脳梗塞後のミクログリア、マクロファ
ージに発現しており、RANKL/RANK がこの炎症を制御し、脳梗塞の病態に関連していること
が明らかとなりました。現在、この RANKL/RANK シグナルに基づいた脳梗塞の新規治療法
の開発に取り組んでいます。
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