5・文化の多様性と普遍性 2012.05.25. 青山・文化人類学/文化人類学A 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [2] 民族と文化 世界中では、さまざまな人々(集団)が、それぞれ独自 の文化を持って暮らしている 「家族」のような小さな単位で成立する文化もある 都道府県や市町村など「地域」の単位で成立する文化もある もっと大きな、国や国を超えたグローバルな単位で成立する文化 もある そうした人々の集団の単位の一つに「民族」がある 民族はしばしば「国」やそれに近い自治システムを持とうとする 民族は基本的に「同質の文化を持つ」というふうにみなされる 国がただひとつの民族からなれば「単一民族国家」、複数の民族 が入り混じっていれば「多民族国家」になる ざっくりとした数え方をすると、「国」の数は200~250、「民 族」の数は600~2,000、「言語」の数は2,000~6,000 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [3] 文化の多様性と普遍性(1) 普遍性……見た目は異なっていてもやっぱり同じ「人 間」だ 1. たとえば「人類」であるかぎり、どこかで共通点はあるはずで、 なにかしらわかり合える部分はあるだろう(人類皆兄弟) また、地球上で暮らすひとびとが持っている文化に違いはあれ ど、ひとが「文化を持っている」こと自体は普遍的であろう 多様性……いろんな環境下でいろんな民族がいろんな 暮らしをしている 2. とはいえ、個々のひと・文化の特徴はさまざまであろう(十人 十色) そして、その多様性を認めることは、おそらく大事なことだろ う(文化相対主義) 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [4] 文化の多様性と普遍性(2) 「普遍性」を重視しすぎると、それぞれの文化の細かな 差異を見落としてしまうことになる 「結局自分の基準で判断して間違いないだろう」という自文化中 心的な考えは、ある意味「普遍性」によって支えられていると言 ってもよい 「多様性」を重視しすぎると、それぞれの文化が共通し て持つ要素を見落としてしまうことになる 違いにばかり目をやると、「異文化理解」する対象は無限と言っ ていいほどに増えてしまい、「文化相対主義」の限界がより早く やってきてしまうことになる 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [5] 文化の普遍性・多様性と人類 多様性をもたらすのは、人類の第一の特徴といえる創造 力と好奇心 環境という制約条件を緩和するために、本来人間は、どんなこと でも考えつくことができる 創造力・好奇心の淵源は、脳と手の発達 共通性・普遍性をもたらすのは、人類の第二の特徴とい えるコミュニティ(共同体)形成指向 コミュニティ維持のためにつくられるルールが、ある程度まで人 間の社会の共通性をもたらす コミュニティ維持のためのルール作りに大きな役割を果たすのが、 言語と家族(第一次的な居住集団) 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [6] 補足:文化と環境 もともと人は環境に適応するために文化を創り出したが、 その創り出した文化自体が、人にとって新たな環境とな っていった どんな動物でも(植物も含め)それなりに環境に適応する能力は 持っている。が、環境を「創り出す」能力を持っているのは、ひ とだけが持つ特徴 自分たちで創り出した「文化」という新たな環境に適応するため に、ひとの生態は著しく急速に変化を遂げた このことが、ひとの「進化」を、他の動物の進化と同列には考え にくくしている:「進化」という生物学的な生体構造の変化と、 「文化」に適応するひとの行動パターンの変化(「進歩」?)は、 本来は同一視できない 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [7] 文化とはなんだろうか 初回イントロダクションでの説明 民族誌フィルムから導かれる説明 あるひとびとの間に共有されるルールや感覚が文化 他の集団と接触することで、自分の文化に気づく 文化とは、さまざまな「環境」に適応するために、ひとびとが考 えだし、守り伝え、また磨き上げてきた知恵・知識の体系 文化人類学の古典的な定義としては次のようになる 「文化とは、後天的、歴史的に形成された、外面的および内面的 な生活様式の体系であり、集団の全員または特定のメンバーによ り共有されるものである」(KLUCKHOHN & KELLY [1945:98]) この定義のポイントは3点 1. 2. 3. 文化とは、学習されるものである(=自然にもって生まれてくるもの ではない) 文化とは、体系的なものである(=部分や要素に還元できない) 文化とは、共有されるものである(=個人ではなく、集団を想定) 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [8] 文化とは学習されるものである(1):文化と個人 社会 ● ▲ ★ ▼ ▼ ★ ◆ ■ ★ ■ ■ ● さまざまな 文化要素 ◆ ▼ ▲ ● 個人 ◆ ▲ 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [9] 文化とは学習されるものである(2):文化と個人 社会 ● ▲ ★ ◆ ▼ ▼ 学習 ■ ★ ■ ▼ ★ ◆ ★ ■ ● ■ ● ▲ ● 個人 ◆ ▲ 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [10] cf. 文化とは創られるものでもある:文化と個人 社会 ● ▲ ★ ◆ ▼ ▼ ♥ 創造 ♥? ★ ◆ ■ ★ ■ ▼ ★ ■ ● ■ ● ▲ ● 個人 ◆ ▲ 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [11] 文化は共有されるものである:文化と社会 社会 ● ★ ● ▲ ■ ◆ ● ▲▼ ▼ ◆ ★ ■ ▼ ■ ■ ▼ ■ ▼ ▲ ● ● ▲ ★ ▲ ◆ ▲ 5・文化の多様性と普遍性 2012/05/25 - [12] 文化は創られるものでもある:文化と社会 社会 ● ★ ● ▲ ■ ◆ ● ▲▼ ▼ ◆ ♥ ■ ▼ ▲ ♥ ★ ▲ ■ ■ ♥ ▼ ▲ ● ● ▼ ★ ◆ ■ ▲
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