○金融取引のタイプ:市場取引と相対取引 • 市場取引:多くの取引参加者が市場に集中して取引 – e.g. 証券取引所での株式取引、外国為替の銀行間取引 • 相対取引:1対1での取引 – e.g. 貸出取引、預金取引 間接金融 直接金融 相対型 銀行 親戚・知人によるベン チャー企業への出資 市場型 投資信託、 証券化、年金 市場を通じる個人の 株式・債券投資 ○市場型間接金融:投資信託と年金 投資信託 ( 企不 業足 主 体 ) 証 券 市 場 有 価 証 券 投 信 受 益 証 券 年金 有 価 証 券 年 金 給 付 債 務 ( 投余 資剰 家主 体 ) 年 金 受 給 権 ○市場型間接金融:証券化 債権譲渡 住宅 ローン 借入証書 住 宅 ロ ー ン 負 債 資 本 ・ 債( 不 務足 者主 体 ) 銀行・ノン バンク 住 宅 ロ ー ン ( 資 産 担 保 証 券 SPC(特別 ) 目的会社) ・Special Purpose Company ・Asset Backed Security A B S 証 券 市 場 投( 余 資剰 家主 体 ) ○日米個人金融資産の比較 日本1980 2005 米国1980 2005 預金 62% 52% 33% 16% 債券 8% 2% 10% 8% 株式 8% 8% 20% 19% 投資信託 2% 3% 2% 16% 11% 22% 33% 15% 5% 4% 年金 保険 14% ○ 日米の金融仲介構造の比較 相対型間接 市場型間接 日本 67% 14 (市場型) 直接金融 10 米国 20 49 27 - 日本:銀行中心の相対型間接金融 - 米国:市場型間接金融・直接金融(証券市場 中心) ○金融仲介構造の違いの要因 ①歴史的経緯: - 日本:後発資本主義国として銀行中心で始発 - 企業の資金調達は銀行借入中心 - 米国:Unit Banking Systemの伝統 - 銀行は本店以外に支店の開設ができない or 支店開 設は州内のみ←銀行の力を抑制すべきという考え方 - 大企業は証券市場を通じて資金調達(株式・社債) ②株式投資に対する考え方:個人投資家側 - 日本は短期的値上り狙い、米国は長期投資 - 米国では株式保有が長期的な資産形成・資産運 用の有力な手段という考えが伝統的に強い ③投資家のリスク許容度の違い:個人投資家側 - 日本人:安全性重視、アメリカ人:収益性重視 ④金融自由化の進展度の違い - 金融自由化はアメリカが先、日本はその後 - 預金金利の自由化:米1983、日1993 - 株式の委託売買手数料自由化:米1975、日1999 ⑤1990年代の経済状況 – 日本は長期停滞(「失われた10年」)、米国経済は 活性化 – →株式投資収益率の格差 ④の参考:金融自由化の進展 ○金融制度の歴史的展開の中の現在:日本の状況 – 「ライブドア事件と現代の金融・証券制度」の時に使ったスライド • 1990年代後半~:金融・証券制度の規制緩和・自由化 • 戦後~80年代:安定化を重視した規制された金融制度 – 金利規制・業務分野規制・内外資金交流の遮断・固定相場制度・護送 船団方式 • 1930年代の不安定化した経済・金融の状況 • 19世紀後半~第一次大戦:金本位制の下で自由な金融制度 – 国際的資本移動の自由、株式市場も発展 • こうした歴史的展開は、日本だけのものではなく、世界各国に 共通 ○ 日本における金融仲介構造の変化 間接金 直接金 融 融 相対 67% 型 市場 型 (14%) (10%) 相対型間接金融中心(単線 型金融システム) ⇒市場型間接金融、直接金 融の発展 (複線型金融システム、金 融チャネルの多様化) ○日本における金融仲介 構造変化の背景 ①金融仲介チャネルの多様化 ②幅広い投資家へのリスク移転・リスク分担 ③多様な資金運用対象の提供 ④コーポレートガバナンス機能 ⑤市場型金融のメリットの活用 ①銀行による金融仲介チャネルの機能低下(担保主 義、不良債権問題、貸し渋り) ⇒銀行仲介のみの単線型から、金融チャネルの 多様化・複線化(投信・証券化)が必要 - 投信による株式・社債の購入 - 貸出債権の証券化 ②すべての金融リスクが銀行に集中 – 貸倒れリスク、不動産価格リスク、株価リスク、 破綻企業を抱えこむリスク – 事業におけるリスク挑戦の必要性+銀行へのリ スク集中・銀行によるリスク負担の限界 預金という元利保証商品による資金調達 ⇒幅広い機関・投資家へのリスク移転・リスク分担 株式持合い解消の受け皿としての投信・個人投資家、 証券化を通じる貸出リスクの投資家への移転 ③これまで個人資産は預金へ一極集中 – しかし、個人資産の蓄積、個人金融ニーズの多 様化、リスク負担能力の向上 ⇒多様な資金運用対象の提供、ミドルリスク・ミ ドルリターン商品の提供、特に投資信託 – 銀行預金はワンパターンだが、投資信託は様々 な特性を持った金融商品を自由に作り上げること ができる。 – 例えば、リスク限定型投信、ご当地ファンド、不動 産投資信託 ・株式投資に比べて、分散投資によるリスク削減が 図られている(ミドルリスク・ミドルリターン) リスク大 リ ス ク 大 負債Debt 直接金融 ①社債投資 株式Equity ③株式投資 間接金融 ②銀行預金・企業貸出 ④株式投資信託 cf. 金融商品としての投資信託と投信運用会社 ・1つの運用会社が複数の投資信託商品を設定・運用 ・資金運用・投信財産管理は投資信託の商品毎に行う ・投信の収益率(騰落率・配当率)は、商品毎に異なる (運用成績次第であり、運用会社は保証はしない) ・投資信託受益証券は運用会社に対する請求権ではなく、 その投信の財産から収益分配・償還を受ける権利 ・シャープ・レシオ=(収益率の平均値-無リスク金利)/収益率の標準偏差 日経金融06.4.18. • 投資信託の仕組み ・信託銀行 本源的証券 (有価証券) 資金不足 主体(企業) 本源的証券 信託財産 の管理 間接証券 ・投信販売会社 (投資信託 受益証券) (証券会社・銀行 ・郵貯) 投資信託 資金運用 ・投資信託 委託会社 (運用会社) ・証券会社 資金余剰 主体(家計)
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