(2)投資信託の機能 • ①小口資金にも証券投資を可能にする。 • ②分散投資を可能にする • cf.前期証券経済論 • 第3章2.資産運用・投資のリスク分散 – しかし個人が自分で分散投資を実行しようとする と、巨額の資金が必要 1 ・分散投資によるリスク削減 ポートフォリオ:複数の資産の組み合わせ ボディ&マートン『現代ファイナンス論』p.356 ピアソン 2 • ③ – プロとしての知識・情報・ノウハウ(情報生産機能) – 分析・意思決定にかける時間 • ④ • cf. 前期証券経済論第1章.日本における金融仲介構造の変化 – これまで個人資産は預金へ一極集中 – 銀行預金はワンパターンだが、投資信託は様々な 特性を持った金融商品を自由に作り上げることが できる。 • 例えば、高配当株投信、ご当地ファンド、毎月分配型海 外投資ファンド、リスク限定型投信、不動産投資信託 3 ・ご当地ファンドの例:東海3県ファンド (東京海上火災アセットマネジメント) 4 ・毎月分配型海外投資ファンドの例 (国際投信投資顧問) 5 ・高配当株投信の例:日本好配当株投信(野村アセットマネジメント) 6 (3)ビッグバンと投資信託 • 金融ビッグバン1997 ~2001: ○日米個人金融資産の比較 日本1980 2005 米国1980 2005 • 投資信託:個人資産 運用のエース 預金 62% 52% 33% 16% 債券 8% 2% 10% 8% 株式 8% 8% 20% 19% 投資信託 2% 3% 2% 16% 11% 22% 33% 15% 5% 4% 年金 保険 14% 7 投資信託:国際比較 投信残高の対名目GDP比率 • 投信残高(05年3月末、オープンエンド公 募)/GDP(2004) – オーストラリア:105%、 アメリカ:69% – フランス:67% 、 カナダ:43% – イタリア:29%、 イギリス:23% – 日本: 8.6% – cf. 日本: 05年度末残高/GDP(2005年度): 11.6% 8 ○ビッグバンにおける投信改革 • ①業務自由化・商品多様化 • ②投信業への新規参入:運用業務 • ③投信業への新規参入:販売業務 9 ①業務自由化・商品多様化 • 1995.投信業務と投資顧問業務との兼営可 • 98.投信法改正 – 投信業務(ファンドの設定・運用): 免許制から認可制へ – 私募投信、会社型投信の解禁 – 銀行・保険、郵便局による投信の窓口販売の 開始 10 • 多くの投資家からの資金をプールし、数多 くの不動産に分散投資 – 会社型投信、クローズドエンド型 – 2001.9.東京証券取引所に上場 • 現在39本、時価総額約4兆円 ⇒ • 不動産への流動性付与、不動産投資の小口化、不 動産の金融商品化 – cf.アメリカのREIT(Real Estate Investment trust): 197社、時価総額3300億ドル(約39兆円) 11 ・J-REITの時価総額推移 薄紫:時価総額推移(左目盛、億円) 赤線:東証株式時価総額に対する 割合(右目盛、%) ・J-REITのプロパティタイプ別 投資実績(評価額ベース) 不動産証券化協会 12 ・不動産投資信託の銘柄 13 • ○商品の多様化 • ( xchange raded und): 2001.7.上場 – 株式と同様に取引所で取引可能、 – 運用手数料が安い • 未公開株投資信託 – 未公開企業・ベンチャー企業に投資する投信 – 大阪証券取引所が2001.12.に「ベンチャー ファンド市場」を開設 – クローズドエンド型 14 • 契約型と会社型との違い、なぜ不動産投信は会 社型? – 会社型のメリット:投資家は投資主総会で議決権を行 使できる(やや形だけ) • 実際の機能面では契約型とほぼ同じ – 投信が流動性のない資産(eg. 不動産、未公開株)に 投資する場合、解約を認めないクローズドエンド型に する必要あり。 – 投資家に投資資金の現金化の機会を提供するには、 会社型にして投資証券を取引所で売買する必要あり。 – また会社型は借入が容易、(クローズドエンドの会社 型の場合)投資法人債の発行も可能 – J-REITは、平均して50%弱の負債比率 15 16 17 ②投信業への新規参入:運用業務 • 投信(運用)会社の数の増大と多様化→競争激化 – 2006年8月末現在:119社 • • • • 80年代まで:証券会社の子会社のみ 90年:外資系投信会社の設立認可 93年:銀行系・保険系投信会社の設立認可 アメリカでは、独立系投信会社が大きなシェア 18 ○投信の手数料 (株式投信) ・ 1~3%程度 ・ 0.7~2%程度 (年当り) 運用会社、販売会 社、 受託銀行で分ける 日経06.8.9. 19 ③投信の販売業務 • ビッグバン以前の販売ルート:証券会社の 系列投信会社の投信をその証券会社が独 占的に販売 – 投信販売手数料を稼ぐために、短期売買(回 転売買)を推奨する営業姿勢 – cf.投信の平均保有期間(99年時点):日本1年 程度、米国5年 • 90年代に入り外資系投信を日本の証券会 社が扱い始める • 93年:投信会社の直接販売開始 20 – 自社系列投信会社の投信だけでなく、外資系・証券 系の投信も仕入れて販売 • 外資系投信会社は投資家への直接販売を強化 • 既存証券会社の資産管理型営業と投信販売の強化 • 05.10.郵便局の投信販売開始 • ⇒販売ルートの多様化 • ⇒投信の販売競争・運用競争の激化 • 投信における製販分離の進展 21 日経金融 06.7.21. ・投信の販売シェア(06.9) 公募投信全体:証券57.2 % 、銀行42.1%、直販0.7% 公募株式投信:証券47.9% 、銀行51.3%、直販0.8% 22 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 ヵ月 投信平均保有期間の推移(公募株式投信) 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 ・ 23 ○第3章参考文献 • 日本証券経済研究所『詳説:現代日本の証券市場06年版』 • 日本証券経済研究所『図説アメリカの証券市場05年版』 • ゴールドマン・サックス投信編『投資信託革命』日本経済新 聞社1999 • 大崎貞和『金融構造改革の誤算』東洋経済新報社2003 第 2章 • 証券経営研究会『証券ビジネスの再構築』日本証券経済研 究所2004 第4章 • 川村雄介『証券市場』財経詳報社2006 第2章 24
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