マクロ経済学初級I 第12回

マクロ経済学初級I
第12回
今学期のまとめ
経済学の考え方
• 限界原理
• 機会費用
• 市場均衡
マクロ経済学
• 一国経済を把握するための経済指標
• 国民所得勘定
• 一国の総生産はどのようにきまるか?
完全雇用生産水準 (供給側の要因)
• 総需要が総生産を決めるとしたら、それはどのように決
まるか?
有効需要の原理
(需要側の要因)
• 総需要の内わけはどのように決まるか?
– 消費関数 有効需要の原理→独立支出乗数 均衡財政乗数
– 投資関数
• 財市場、労働市場、貸付資金市場の一般均衡
総生産、雇用量(実質賃金)、利子率の決定
限界原理
• ある活動について活動水準をXにしたときの
純便益=
活動水準がXのときの便益
-活動水準がXのときの費用
• 限界原理(純便益最大化のルール)
限界便益=限界費用
となるようなXを選ぶのが最適
(純便益最大化を達成できる)
限界原理の応用
• 需要曲線、供給曲線 →市場均衡
• 労働需要(生産者)、労働供給(労働者)
• 望ましい資本ストックと投資関数
機会費用
• あることがらの機会費用は、
それを行わなければできたことのうちもっとも価値の
高いものではかられる。
• 例:1時間昼寝をすることの機会費用は、
1時間働いて獲得できる時給のうち最も高いもの。
• 例:コンピューターの機会費用は、
コンピューターの値段(それだけのお金で他に好き
なものがかえたはず)
• 例:今、一万円使ってしまうことの機会費用は、
それ使わずに預金して獲得できたはずの利子収入
機会費用の応用
• 比較優位の原理
自国は外国に対して比較優位を持つ財を
輸出する。
自国は外国より機会費用の安い財に比較
優位を持つ。
自国は外国より機会費用の安い財を輸出
する。
• 比較生産費説
自国は外国に対して相対的に安く生産でき
る財に比較優位を持つ。
比較優位の原理の結論
• 貿易を行う国はみな利益をえる。
交換の利益
生産の特化の利益
(得意なものの生産に集中する)
市場均衡
• 完全競争とは何か?
• 需要と供給が一致するように取引量と価格が決まる。
市場均衡
• 完全競争のもとでの市場均衡状態では
取引量がもっとも多い
社会的余剰(=消費者余剰+生産者余剰)が
もっとも大きくなる
マクロ経済学で扱う経済指標
• 国内総生産(GDP) 国民総生産(GNP)
• 物価
物価指数、GDPデフレーター、物価上昇率
• 利子率
• 雇用 失業率
国内総生産と国民総生産
• 国内総生産を支出面で測ると?
GDP=消費+投資+政府購入+純輸出
=C+I+G+NX
• 国民総生産を支出面で測ると?
GNP=GDP+海外からの純要素所得受け取り
=GDP+NFP
=C+I+G+NX+NFP
=C+I+G+CA(経常収支)
3面等価
• 総生産=総所得=総支出
貯蓄と投資の恒等関係
• GNPは国民所得と同じ額になる。
• 国民貯蓄≡国民所得-消費支出ー政府購入
• S ≡ Y-C-G
S=(C+I+G+CA)ーC-G
S=I+CA
貯蓄は国内投資と海外投資使われる
外国部門がなければCA=0
S=I
一国の総生産はどう決まるか?
• 供給側の要因
• 生産関数
Y=A・F(K, L)
Y;総生産 K;資本ストック投入量
L;労働投入量
A;総生産性 (与えられた数値)
• 今年の資本ストックがKだけ存在していたら、
今年の労働投入量がどのように決まるかで
今年の総生産 Y が定まる。
労働投入の決定
• 労働需要曲線 生産者の利潤最大化
限界原理→労働の限界生産力=実質賃金
• 労働供給曲線 労働者の効用最大化
(限界原理→実質賃金=労働の限界不効用)
実質賃金の変化が労働供給量におよぼす
代替効果と所得効果
• 労働市場の均衡
均衡実質賃金と均衡労働需給量がきまる。
完全雇用労働需給量 Lf
実質賃金
均衡実質賃金
Lf
完全雇用労働投入量
労働需要量
労働供給量
完全雇用生産水準
• Yf=A・F(K,Lf)
• 完全雇用労働需給量だけ労働投入したとき
の生産量を完全雇用生産水準という
• 完全雇用生産水準は実質賃金に依存する
需要が総生産を決めるとしたら
総生産量はどう決まるか?
• 有効需要の原理
• 価格水準が高すぎで供給が需要を上回るときには
需要が取引量を決定する
• 総需要はAD=C+I+G+NX
• かりにADが与えられていたら有効需要の原理のも
とでどのように総生産が決まるか?
総需要量
AD
45度
AD>Y
AD<Y
均衡総生産量
総生産量Y
(総供給)
総需要の内わけは?
• AD=C+I+G+NX
• 消費 C は所得(つまり総生産)に依存する
• 投資 I は利子に依存する
消費関数
• 消費と貯蓄決定
現在の財と将来の財のトレードオフ
現在の財1単位の消費の機会費用は
将来の財1+r単位 rは利子率!
消費や貯蓄はどのような要因に影響をうけるか?復
習しなさい!!
• ケインズ型消費関数
C=A+c・YD
A;基礎消費
c;限界消費性向
YD;可処分所得 Y-T
Tは所得税
ケインズ型消費関数のもとで
有効需要の原理はどのようになるか?
• 政府がない場合
• AD(Y) ≡ C(Y)+I=A+c・Y+I
• Y=AD(Y)
• Y=(A+I)/(1- c)
Y=AD(Y)
AD(Y)
AD(Y)
c
A+I
45゜
Y*
Y
S(Y)
S(Y)
I
1-c
Y*
-A
Y
ケインズ型消費関数と有効需要の原理
• 政府がある場合
• AD(Y) ≡ C(Y-T)+I+G=A+c・(Y-T)+I+G
• Y=AD(Y-T)
• Y=(A+I+G‐c・T)/(1- c)
(1)
• T=t・Y の場合
•
Y=(A+I+G)/[1- (1‐t)c]
• G=T(均衡財政)の場合
•
Y= [(A+I)/(1- c)]+G
乗数効果
• 独立支出が増大したとき
• 有効需要によってきまる生産量はその乗数倍
増える
1/(1 - c)
独立支出乗数
• 政府がt×100パーセントの所得税を徴収する
ときは独立支出乗数は
1 /[1 -(1-t)c]
• 均衡財政 T=G のとき、政府購入を増大して
も総生産はその分しか増えない
• 均衡財政政府購入乗数は 1
投資関数
• 投資は望ましい資本ストック水準を達成する
ように生産者が行う
• 望ましい資本ストック水準とは利潤を最大化
するような資本ストック水準
• 限界原理
→ 資本の限界生産力=資本の使用者費用
となるような資本ストック水準が
望ましい資本ストック水準K*
望ましい資本ストックと投資
• 利子率が上昇→望ましい資本ストック水準低下
• t年の投資は
It=K*-(1-d)Kt dは資本減耗率
• 利子率上昇→投資の低下
• I(r) 投資関数 rの減少関数
有効需要の原理による総生産
→総需要
• (1)式より
• YD= (A+I(r)+G‐c・T)/(1- c)
r
YD
財市場、労働市場の同時均衡
• 労働市場が均衡すると完全雇用が達成される
→完全雇用生産量 Yf も達成
これは総供給
• 有効需要の原理による総生産量は需要面から
みた総生産
• つまり総需要とみなせる YD
• 財市場の均衡は YF=YD
• このとき労働市場も均衡している
r
r*
YD
Yf
財市場の均衡はS=Iと表現もできる
• YF=C(YF)+I(r)+G
• YF-C(YF)-G= I(r)
• S=I(r)
財市場の均衡条件
• この式は
貯蓄資金を 投資に資金融通する
貸付資金市場の均衡と考えることもできる。
マクロ経済学
• 一国経済を把握するための経済指標
• 国民所得勘定
• 一国の総生産はどのようにきまるか?
完全雇用生産水準 (供給側の要因)
• 総需要が総生産を決めるとしたら、それはどのように決
まるか?
有効需要の原理
(需要側の要因)
• 総需要の内わけはどのように決まるか?
– 消費関数 有効需要の原理→独立支出乗数 均衡財政乗数
– 投資関数
• 財市場、労働市場、貸付資金市場の一般均衡
総生産、雇用量(実質賃金)、利子率の決定