P36

P36
α-トリフルオロメチル基により不活性化されたカルボカチオン系の
ソルボリシスにおけるβ-ケイ素効果の解析
(九大先導研 • 高知大理)
○ 天野貴博 • Md. Ashadul Alam • 藤山亮治 • 藤尾瑞枝 • 都野雄甫
The -Silicon Effect in the Solvolysis of the Carbocation System Destabilized by
CF3
Institute for Materials Chemistry and Engineering, Kyushu University, and Faculty of Science, Kochi
University
Takahiro AMANO, Md. Ashadul ALAM, Ryoji FUJIYAMA, Mizue FUJIO, and Yuho TSUNO
[序] 反応中心炭素からβ位にあるケイ素原子の作用はβ -ケイ素効果として知られており、その
安定化機構はケイ素-炭素σ結合によるσ-π超共役安定化構造か、ケイ素の橋架安定化構造のど
ち ら か で 説 明 さ れ て い る 。 当 研 究 室 で は 、 そ の 判 別 を 湯 川 - 都 野 (Y-T) 式 :
log (k/k o ) = ρ(σo +r∆σ+R) = ρσ (1) を用いてソルボリシス反応の速度に対する置換基効果解析によ
り検討しており、反応中心炭素に Me, t-Bu のような電子供与基をもつ反応系の結果より、その構
造がどちらか一方ではなく連続的な変化で表されることを報告した。そこで本研究では反応中心
に電子求引性の CF3 基を導入し、不活性化された環境における置換基効果の解析を試みた(Scheme 1)。
Ph
[結果と考察] 反応中心炭素に R = CF 基を
1
3
MeSi Me
導入したβ-ケイ素の基質を合成し、加溶媒分
解反応(60% aq.EtOH at 25℃)におけるα-フェ
Lg
ニル基上の置換基の効果を(Y-T)式(1)により解
Si
R1
析した。その結果、α -CF3–Si 系に特有の
r=1.25 の σに対して、ρ=-3.09 の直線関係が得
H
H
PhX
R1
σ-π Hyperconjugation
Ph
X
Lg = OTFA or 3,5-DNBz
R1=H, CF 3
MeSi Me
PhX
H
の基質のρ= -3.07 と比較すると全く同一であ
H
R1
Si-bridged
cation
り、Si 関与機構に変化はないと考えられる。
Scheme 1. Two Expected Pathways on the β-Silicon Effect in the Carbocationic Solvolysis
たとえσ-π超共役および Si 架橋機構がはっ
られた(Fig 1)。このρ値は、以前報告した R1=H
きり識別できるとしても、両機構の関与比率は CF3 基により 106 程度不活性化されたカルボカチオ
ン系のβ-ケイ素効果においても変化はないことが示唆される。
X
H
C
CH3
ρ=-5.5
r=1.15
X
X
decrease
C
CH2 SiMe2 Ph
nearly same
ρ=-3.07
increase
r=1.01
H
F 3C
C
X
CH2 SiMe2 Ph
ρ=-3.09
r=1.25
decrease
Fig 1. β-Si Effects on Basic and Destabilized Carbocationic Solvolyses
- 93 -
F 3C
C
Me
ρ=-6.29
r=1.39