情報リテラシーとネチケット 講師 高橋邦夫 千葉学芸高等学校長 2001年度千葉大学総合科目1.思惟の世界 「先端技術と倫理」 情報リテラシー リテラシー = 読み書き能力、教養 情報を扱うスキル ⇒ 情報活用能力 – 情報活用の実践力 – 情報の科学的な理解 – 情報社会に参画する態度 情報リテラシー教育 = 情報教育 – 体系的に整理された文部科学省の取り組み の概要をみてみよう 情報教育の目標 情報化の進展に対応した初等 中等教育における情報教育の 推進等に関する調査研究協力 者会議報告: 「体系的な情報教育の実施に向 けて」 情報活用の実践力 情報の科学的な理解 情報社会に参画する態度 情報社会に参画する態度 情報の科学的な理解 情報活用の実践力 – 社会生活の中で情報や情報技術が果たしてい 課題や目的に応じて情報手段を適切に活用する 情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解 る役割や及ぼしている影響を理解し,情報モラ ことを含めて,情報を主体的に収集・判断・表 と,情報を適切に扱ったり,自らの情報活用を評 ルの必要性や情報に対する責任について考え, 価・改善するための基礎的な理論や方法の理解 現・処理・創造し,受け手の状況などを踏まえて 望ましい情報社会の創造に参画しようとする態 発信・伝達できる能力 度 情報教育の指導 情報化の進展に主体的に対応できる 「能力と態度」を育成 – 3つの観点が相互に関連 情報活用の実践力 情報の 科学的な理解 情報社会に 参画する態度 学校での情報教育 実践力 最低限のスキルを 身につける 科学的理解 参画態度 (関連)メディアリテラシー 1. メディアを主体的に読み解く能力 – 情報を伝達するメディアそれぞれの特質を理解する能力 – メディアから発信される情報について、社会的文脈で批 判的に分析・評価・吟味し、能動的に選択する能力 2. メディアにアクセスし、活用する能力 – メディア(機器)を選択、操作し、能動的に活用する能力 3. メディアを通じてコミュニケーションを創造する能力 – 特に、情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ)コ ミュニケーション能力 メディア・リテラシーの構成要素 情報教育の目標 との関連 情報社会に参画する態度 情報の科学的理解 情報活用の実践力 情報教育の意義 コンピュータの活用の在り方を考える インターネットの活用の在り方を考える 「情報」の接し方、取り扱いを考える 情報社会の今後を考える 情報モラル 情報社会での生活 日常想定外の新たな状況 – 日常生活のモラルが必ずしも適切でない場合 がある – 新たなモラルが求められる場合がある 情報社会で適正に生活を送るには ⇒「情報モラルの育成」が必要 – 情報モラル=日常モラルの適用+α 新たなモラルの例 携帯型電話 日常モラル – 電話利用のマナー +αのモラル – コンサート会場などでの鳴動停止 – ペースメーカー装着者直近での電源停止 – 病院,航空機機内での電源停止 新たなモラルの例 著作物の利用 日常モラル – 許諾を原則とする公正利用 – 私的複製,授業での複製などの公正利用 +α – 複製物の送信 – 複製物の送信可能化 情報社会の特徴 通信相手 – 近くの人←→遠くの人,1人←→多数 通信範囲 – 遠隔地との通信,1対多数との通信 通信速度 – 瞬時←→不達,時差 通信形態 – マルチメディア,リアルタイム,マルチキャスト 情報社会のモラル 情報社会は日常社会の延長にある – 日常のモラルが適用される(多くの場合) 情報社会は日常社会とは異なる面がある – 情報通信手段使用の特性による相違 – 特別なモラル(情報モラル)の適用が必要な場 合がある 情報モラル 情報社会で適正な活動を行うための基に なる考え方と態度 – 対処的ルールを身に付けるだけでなく,ルー ルの意味を正しく理解し,新たな場面でも正し い行動がとれる – 情報収集,情報発信,コミュニケーション,制 作活動等の場面での適正な活動 – 生活安全(デマ情報や不正アクセス等の備 え) 情報モラルの要素 日常生活上のモラル 情報技術の特性を踏まえた活動 文化的・社会的なコミュニケーションの範 囲・深度が変化する特性を踏まえた活動 基本的な考え方 人と人との間のコミュニケーション 人権への配慮 ○差別・誹謗中傷の回避,知的所有権,プライバシー 文化的・社会的な環境,考え方の違いへの配慮 ○予見や憶測による誤解の回避,適正な意見情報交換 技術的な環境の違いへの配慮 ○情報機器の方式の相違,共通のデータ形式の利用 コンピュータや情報通信ネットワークの特性への配慮 ○影響範囲の理解,コンピュータ犯罪, ネットワーク使用犯罪の回避 参考資料(1) 文部科学省委託事業 「インターネット活用ガイド ブック」モラル・セキュリティ編 インターネット活用のための 「情報モラル指導事例集」 発行 コンピュータ教育開発センター (CEC) http://www.cec.or.jp/CEC/ 参考資料(2) ネット社会の歩き方 – http://www.net-walking.net/ 参考資料(3) 【資料】 ネチケット情報 – http://www.cgh.ed.jp/netiquette/ 【情報交換】 i-ethicsメーリングリスト – 学校教育と情報倫理メーリングリスト – http://i-ethics.k12.gr.jp/ 【法律】 法庫 – http://www.houko.com/ 【判例】 最高裁判所 – http://www.courts.go.jp/ 情報モラルの内容 情報収集活動 適正な手続きによる情報の収集 知的所有権の尊重 情報の信頼性についての意識 情報の品質についての意識 情報発信活動 プライバシーの保護 – 無断開示,漏洩への注意 著作権などの尊重 – 著作物の複製,公衆送信 – 誹謗中傷など人権侵害に慎重な態度 情報発信に伴う責任 – 正確,良質な情報,情報の更新,苦情処理 – すべての人のためのユニバーサルデザイン コミュニケーション活動 コミュニケーション・マナー – netiquette(ネットワーク上のエチケット) 相手への配慮 – 1対1,1対多のTPO – 仮想人格か否か – 信頼と警戒 情報通信手段の利用 ガイドラインの遵守 セキュリティへの配慮 犯罪に巻き込まれないための対応 一般社会の常識 – 契約履行義務,損害賠償責任 Netiquette ネットワークのエチケット トラブルを避ける知恵 インターネットは無法地帯? エチケット=お作法 ネチケット? ネットワーク上のエチケット 法律ではない 規則ではない 倫理でもない =作法 =礼儀正しさ =生活の知恵 ネチケットガイドライン RFC1855 (FYI28) – IETF RUN-WG/ Chair: Sally Hambridge – October 1995 日本語版 http://www.cgh.ed.jp/netiquette/ (注)Informational: 教条的に取り扱うものではない Netiquette ネットワークエチケット 概論 インターネット利用者の4つの心がけ インターネット利用の心がけ “相手”を意識する 身を守る 責任ある行動 貢献する “相手”を意識する コンピュータの向こうには人間がいる – 相手はコンピュータ画面ではない • 考え方(文化)・文脈の違い • 発言する者の立場 – 大勢の聴衆の前で話すようなもの ネットワークは□と□とをつなぐもの 身を守る 実社会と同様に外部社会の危険に備える – 情報の正確性を判断する – 詐欺 – 個人情報保護 信頼するかどうかは自分の□□ 責任ある行動 迷惑行為はトラブルにつながる – ネチケットを知ろう – 知的所有権の保護 自由とは□□が持てる者の特権 貢献する ネットワーク社会への貢献 – Give and Take – 自ら貢献する態度を みずから□□するところに情報は集まる 4つの要素のまとめ コンピュータの向こうには人間がいる 実社会と同様に外部社会の危険に備える 迷惑行為はトラブルにつながる ネットワーク社会への貢献 格言 ネットワークは人と人とをつなぐもの 信頼するかどうかは自分の責任 自由とは責任が持てる者の特権 みずから発信するところに情報は集まる Netiquette ネットワークエチケット 各論 ネチケットの要素 ネチケット トラブルを避ける「生活の知恵」 礼儀作法 – 法律ではない – 規則ではない – ユーザー間の申し合わせ – デファクトスタンダード 倫理(心)とエチケット(作法)は異なる さまざまな場面でのネチケット 電子メール メーリングリスト BBS(掲示板) チャット WWW 電子メール(1対1) Eメールアドレスは誰のもの?(公用/私用) Eメールは葉書のようなもの 相手が読めるメールを送る – 機種別の機能・表示文字の違いに注意 – メールソフトの設定~最低レベルに合わせて 必要な情報を盛り込み、不要なものを省く – ◎有効なFrom: ×大型の添付ファイル Eメールの所有権 学校や会社のアドレスは公用かもしれない – 各組織のポリシーによる 公用の場合、他者の閲覧も許される – 公用アドレスに私的な内容は迷惑 私的アドレスと公用アドレスの使い分け – グループアドレス、転送機能の利用 Eメールのセキュリティ 「葉書」と同じ – 第3者が読んでしまう可能性がある 機密情報は書けない – クレジットカード番号・パスワード – 個人情報 「封書」にするには暗号化 偽造もありうる→必要なら電子署名で防護 受信する相手の環境に配慮 機種・ソフトの違い – 機能の制限、文字化け 受信データ量 – メールボックスのサイズ、メモリ・ディスク容量 – 受信にかかる通信コスト 添付ファイルのデータ形式 – WWWやFTPの利用も検討しよう 内容面での配慮 チェインレターの禁止 リーチャブルなFro m: 引用は短く出典明記 説明は詳しく正確に ジョークは通じる? 取り戻せない – 送信前にTo:と内容の 再チェック 行間を読む – 説明不足を前提に あわてずに – 後送メールがあるかも 偽造かもしれない 重要なメールには受 領確認を フレームにつきあうな 電子メールの配慮 返事がない理由? – 届かなかった、忙しかった、応えたくなかった – 状況を受け入れて、前向きの対応を考える 相手には返事をする義務はない – 返事をもらえるメールの書き方 メーリングリスト(1対多) 聴衆は誰か。話題は何か。 – オープンか。クローズか。 – 個人的メッセージはDirectMailで。 – Cc:しないのが原則 聴く(読む)態度、話す(書く)態度 – 自分に厳しく、他人に寛容 ローカル・コミュニティのローカルルール メーリングリストでの配慮 多くの人が読む 発言の立場を明らか に – 人格ではなく「内容」に 注意を集中する 添付ファイルは了承 を得てから マルチポストはしない のが原則 参加・脱退申請のアド レスを確認 論争への参加は暇の あるときに 管理人はボランティア BBS(掲示板) 電子ニュースやWWW掲示板など 記事のキャンセル 用語・表現の選び方に注意 – 誤解を防ぐ 議論の場を移すときは明示する 偽造の防止には電子署名を利用 掲示記事に関する配慮 匿名を避ける – 記名に適さない内容は匿名投稿にも適さない スポイラー(暴露記事)は明示 – 推理小説の種明かし、読みたくない人もいる 内容の正確性には責任を持って モデレータ(検閲者)がいる場合に注意 – 掲示板のポリシー、チャーター(憲章)に留意 チャット(1) リアルタイム・コミュニケーション 相手・自分の時間を無駄にせぬよう – 始めと終わりの「あいさつ」…Hi ~Bye ローカルグループの文化を知る – はじめは「聞くこと」に徹して 強制しない・強制されない チャット(2) 宛先人の特定には >○○さん – 秘話機能もある 複数行のときは目印をおく 「…」など WWW 対象読者? – 一般公開/限定公開 – 使用する言語、機能 ユニバーサル・デザイン – 特定ブラウザの機能に依存しない – 用語は一般的なものに – 障害者にも優しいページ • 画像にはALTを付加、など。 WWW 「見映え」よりも「内容」 古くなったら、すぐに更新 誤りは訂正する – 制作者の連絡先を明記 複製利用の条件を明記 情報の収集時は、利用範囲を明記 ×HP ○ホームページ ◎Webページ 何 を 知 り た い か 説 明 で き る か 調 べ 方 を 聞 く 甘 え る こ と は で き な い – – – – – の 公 表 も ) 助む 言し がろ 要質 る問 かを もま と め る た め に – – 状 何 緊 況 に 急 を 使 度 よ う く の 伝 か ( え 成 る 果 相 手 に は 答 え る 義 務 が な い ネ ッ ト 以 外 の 手 段 も 検 討 自 力 で で き る だ け 調 べ る 効ネ 果ッ ト 的 ワ なー 助ク 言で のの 求 め 方
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