2.文化とは何か - 言語文化教育研究所

理論研究:言語文化研究
担当:細川英雄
講義スケジュール
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ことばとは何か-思考・表現・コミュニケーション
文化とは何か-社会・文化・場面
ことばと文化の関係-文化リテラシーとしての言
語習得
総合活動型日本語教育のめざすもの
ことばと文化はなぜ統合されなければならないの
か
言語教育のめざすもの
2.文化とは何か
社会 ・ 文化 ・ 場面
1. 「社会」とは何か - 「社会」をめぐ
るさまざまなイメージ
人は一人一人すべて異なる
人はみな同じ
個人 < 家族 < 地域 < 組織 < 民族 < 国家 < 地球

固定的な社会と流動的な社会
→ 個のネットワークとしての社会

さまざまな「社会」を背負う「個人」
→ 「社会」はどこにあるか/認識論の問題
2. 「文化」をどのように捉えるか

○○文化(価値を伴わない)
→ 文化相対主義 (人間の生活するところすべ
てに「文化」がある)

文化○○(価値を伴う)
→ 文化本質主義(文化の価値を本質的なもの
とみなす)
すべての集団に伴う「文化」の事象・現象

伝統的な作品・遺産としての「文化」



社会習慣・生活様式としての「文化」
行動の様式・方法としての「文化」


C(Large)・・・物質文化(目に見える文化)
c(small)・・・行動文化(目に見えにくい文化)
思考の様式・方法としての「文化」

精神文化(目に見えない文化)
では、「文化」の境界はどこにあるのか?
3.「文化」はあなたの中にある!
集団社会の「文化論」から「個の文化」形成へ
「文化」の事象・認識・記述

目に見えるものとしての
「文化事象」
省略と非論理性


自分にとってどう見えるか
というものとしての「文化
認識」





自分にとっての「文化」を
他者に対して説明するた
めの「文化記述」(文化
論)

タテ社会の構造
ウチソト文化
察しの文化
心の表現と日本語
同質性社会と「XはY」
敬語は日本文化・・・
→ これらはすべて「文化論」
では,「文化」とは?
「社会」の「文化」はどうしたら見える?誰が見るの?
どうやって?
 「文化」は個人にしか認識できない/「文化」を解釈で
きるのは個人だけ。
 「ミツケタ!」という感覚は,個人だけのもの。その「ミ
ツケタ」(解釈された)ものが「文化」
 「文化」とは,個人に内在する,目に見えない,その人
の「何か」(生活・行為・意識そのもの)
 その「文化」をミツケル能力が「文化リテラシー」!?

情報としての事象

情報としての事象とは,学習者にとって関心
のあるもの・興味のあるもの

「文化」の価値との関係
事象(情報) → 認識/判断 → 他者への記述
(理解のプロセス)
(表現のプロセス)
集団社会の「文化論」から
「個の文化」形成へ

「文化」の価値や事実そのものを問題にす
るのではなく、人間一人一人にとっての
認識と判断を記述し、その記述に基づく
価値観のズレや違いを問題にしつつ、他
者との共生の経験的に体得する。
関連文献

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板坂元 『日本人の論理構造』 講談社新書
1971
牧野成一 『ウチとソトの言語文化学-文法で
文化を切る』 アルク 1996
氏家洋子 『言語文化学の視点-言わない社
会と言葉の力』 おうふう 1996